EPISODE.00
俺は今、人生のどん底にいる。
学校に行っても勉強についていけず、テストは名前だけ書いて白紙提出。
先生からの呼び出しに応じずバックレる。
留年二回して、諦めて中退。
バイトはじめるも続かず辞める。
派遣に登録しても仕事出来ない、続かない。
何をしてもダメ。
仕事も30件以上勤めては辞めてを繰り返して、既に仕事がない。
親にも勘当され、金もない。
ホームレスみたいなことしてるけど、仕事をしてないから金がない。
というより仕事が嫌いでやる気がない。
正にどん底。望んでないのにどん底に落ちた奴と望んでどん底に落ちた奴のでは天と地ほどの差がある。
望んでない奴の場合は、まだ復活の可能性がある。
だが、望んでなった奴は復活の可能性がゼロ。
後者が俺だ。
勉強も仕事もできず、親に迷惑かけまくって、親孝行出来ずに先に死んでいく。
人間の中でも最低ランク。どん底。
俺は人生諦めていた。
諦めていたはずだった。
明日には餓死してるんだろうなと思ってた。
でもなんかよくわからん事態が俺の体を襲った。
その日も朝が来た。
いつも通りの朝。晴々とした爽快な朝。
季節は春。桜が徐々に咲いてきている。
まだ少し肌寒い。
我が家(ダンボールとブルーシートで覆った家)からもそもそと顔を出す。
太陽が眩しい。
肌を擦りながら暖を取りつつ公園の真ん中にある水道へ向かう。
顔を洗う。口を濯ぐ。
髭が伸び放題、髪はぼさぼさ。
近くにあったベンチに座る。
ベンチの下に捨てられたタバコの箱とライター。
箱を開けると数本のタバコが入っている。
一本取り、口に加えてライターで火をつける、が火がつかない。
何度やってもつかない。
イラッとした。火が欲しいと思った。
その時だった。
“手”が“燃えた”
?!?!
手が燃えた・・・。
でも熱くない。もう一度念じてみる。
また“手”が“燃えた”
火を自在に出したり消したり出来るようになっていた。
なんだこれ・・・。
とりあえず指先に小さな火を出してみた。
火が出た。タバコに火をつけてみる。
タバコに火がついた。煙が口から肺に入る。勢いよく吐き出す。
頭がクラッとした。
でもなんだか気分がいい。
タバコをギリギリまで吸い終わり、捨てる。
ポイ捨て。
そして手を見る。
次は“炎の玉”と念じる。
掌に炎の玉が生まれた。
触っても熱くない。投げてみる。
木が燃えた。激しく燃えた。
この時悟った。
これは異能。なんでか知らないけど、俺は異能を手に入れた。
俺はベンチから立ち上がった。
俺は生きる為に犯罪者になることをこの時決めた。