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ぼんやり海を  作者: a i o
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花は旅する

 字面だけロマンチックにしてみました。


 花が好きです。育てるのではなく、専ら鑑賞して楽しむ方ですが。近所の家の生け垣や、近くの川縁に咲く花などを愛で歩くのが日課となりつつあります。名前の知らない花を見かけたら、家で調べてニヤニヤ。花の名前を知ると一層花を身近に感じられて嬉しいのです。


 私の印象に過ぎませんが、古い佇まいの残る家の庭は大抵同じような植物が植えられているような気がします。偶然、地元の昔ながらの庭に関する本に触れ知ったのですが、昔の庭には配置されている植物にも理由があって防風林や魔除け、薬となる植物などそれぞれに意味のあるものを植えていたそうです。とても興味深いです。


 そんなこんなで、いつもぷらぷら歩いているのですが、最近気になる花があります。その名もヤナギバルイラ草。鮮やかな紫の朝にしか咲かない花です。朝方、川縁や川の浅瀬で一斉に咲く姿は本当に壮観で、楽しみがひとつ増えました。

 そのヤナギバルイラ草、なんと今わが家の裏庭に咲いています。なぜ。

 愛でる専門の私は、もちろん摘んで持って帰りなどしません。庭と言うには狭すぎる猫の額にも失礼なそのスペースに、私は滅多に立ち寄らないのですが、雑草が余りにも生い茂っていた為踏みいってみると、すっかり背の高くなったそれが生えていました。

 鳥に運ばれたのか風に運ばれたのか分かりませんが、ふと、花の旅路の辿り着いた先がここだということがとても感慨深く思えました。

 種子の連綿と続く果てしない旅路。きっとわが家は通過点でしかないでしょう。そして私という人間は花にとってひとつの風景にすぎません。

 そう思うと、胸の中をずっと遠くに向かう風が吹き抜けるような気がします。





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