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《 第29話 仮面妃とナミス 》


『ナミス=リュシー・ロロット』

 私はこの名前を知ってるよ。

 昔、アリーサ姉様が歴代国王の話をしてくれた事がある。

 ラザール=リュシアン・ラルエット王。

 何代目の国王かは忘れたけど、私のご先祖様だ。



 ナミスはラザール王と、身分違いの男爵令嬢との間に出来た落とし胤。

 男爵家で育てられ、成人後は湖の守り姫となった。

 ナミス=リュシー・ロロットは過去に実在した人物。

 アリーサ姉様から聞いた話では、ラザール王はナミスを自分の子と認め、ナミスが誕生した日に自分のミドルネームを贈ったらしい。



 リュシーはリュシアンの女性系の名前。

 王が隠し子を認知するのも、自分の名前の一部を与えるのも珍しい。

 だから頭の中に入ってたんだよね。ラザール王の名前だけはすぐに覚えたよ。



 物語の中でのナミスは巫女になっているけど、私が知る実在したナミスは湖の守り姫だ。

 二人のナミスが同一人物だったとしたら、物語にするにあたって、書いた人物が書き換えた可能性はある。

 守り姫はラルエットの王女か、王家と血縁関係がある貴族の娘が務めていたから。

 ラルエット王家の名を出すのを控えたのかもしれない。

 そう考えるのは私の考え過ぎ?



 ラルエット北部と、フェストランド南部の国境沿いには、巨大な湖トール湖がある。

 その畔りには神殿があって、その神殿を守るのが守り姫。

 物語の巫女ナミスが私の知ってるラザール王の落とし胤ナミスだとしたら………。



「物語の騎士ネストも実在した人物。その可能性は高いはず」



『ネスト=ベルティ・フェルスター公爵』

 公爵という高い爵位から、ネストはフェストランド皇族の血を引いている可能性が高い。

 ネストの事は皇族家系図を調べればわかると思う。

 舞台も同じ、名前も同じ。

 これは単なる物語とは思えないよ。



 でも、私が知りたいのは邪神ネストと黒リスの関係。

 黒リスがなんで邪神と呼ばれて、ネストもまたどうして邪神と呼ばれているのか。

 ネストがリスに化けたとか?

 化け猫じゃなくて、化けリス?



 物語の中では、邪神や化けリスの文字はいっさい出てこない。

 不幸な最後を送った二人が、誰かを恨んだり呪ったりするシーンなんて、どこにもないんだよ。

 サビーナ姉様みたく、怪しげな呪文で何かの儀式をした、とも書いてない。



 最後は湖で平和に暮らしましたって、二人が湖底の世界で結ばれた事で物語は幕を閉じちゃってるんだから。

 ちょっと無理矢理っぽく、二人の幸福を強調するかのように終わってる。

「う〜……ん」

 考え過ぎて頭がパンクしちゃいそう。

 出口のない迷路に迷い込んじゃったみたい。

 今からまた本をあさっても、文字に埋もれるだけのような気がしてきた。



 もう、いっそ手っ取り早くクラウスに聞いちゃおうかな。

 ここで一人で悶々と考えているより、思い切ってクラウスに聞けば、案外すんなり教えて…………くれるかな?




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