第五十四話 大脱走計画立案中?
跨いじゃう形だけど、6月ということです。
で、前回の続きですね。
僕の策というのは……。
「実はですね。牂牁王の劉普殿を交州王にすることです」
「……君は何を言っておるのだ?」
「南陽王の劉岱殿は徐州王か兗州王になってもらいましょう。そして、貴殿が荊州王となれば……」
「いや、待ちたまえ。そもそも州王なんてものは存在しない」
「しかし、実質的に存在しているではありませんか」
「そうだとしてもだ。朝廷は認めてはおらぬぞ。それに君は荊州牧になれないではないか」
「あ、そうでしたね。ハハハハ」
「笑いごとではない。それの何処が策なのだ?」
「そのように朝廷に働きかけるのです。さすれば丸く収まります」
「交州牧の朱符と徐州牧の陶謙ら等はどうするのだ?」
「この際ですから、まずは更迭するしかないでしょう」
「簡単に言うな! それこそ朝廷の権威を損なう行為ではないか!」
「ですが、それ以外にないでしょう。帝は司州王の兼任とすれば……」
「だ、だ、黙れ! 帝がそんな事を許可すれば、漢の威信が……」
「いえ、黙りません。この際ですが、言わせて貰います。既に帝の威信は無いも同然で御座います」
「………」
「しかし、漢室を守ることは出来ます。それで暫くは持ち堪えましょう。その上で変革を起こし、改めていくのが吉と存じます」
「どう変革していくというのだ……?」
「州王の合議制により決めていくのです。帝が議長として舵を取れば宜しいでしょう」
「………そんな事が可能な訳がない」
「ですから、全ての州王が帝に対し、圧力をかけるのです」
「上手くいくとは到底思えぬ……」
「しかし、平和裏に行うとなれば、それ以外にないかと存じます」
「……考えておく。今はそれ位しか返答出来ぬ」
「ご理解頂き恐縮です」
「いや、まだ理解は示しておらんぞ。早まるな。それより南陽王君の下にも行くつもりか?」
「はい。そのつもりです」
「相分かった。南陽王君に宜しく伝えておいてくれ」
「はっ! それでは、これにて失礼します」
我ながら良い案だと思ったんだけどなぁ?
それに劉表も荊州王になれるから賛成すると思ったんだけど……。
やっぱ駄目かなぁ………。
これで上手く幕引き出来ると思ったのに……。
まぁ、いいや。魏延もいないことだし、次行こう。次。
ということで、僕は南陽郡の宛城に向かうことにした。
襄陽までは一度来たことがあるけど、南陽は初めてだ。
南陽は随分と荒れ果てていたらしいけど、僕が見た限りじゃ復興しまくっている。
人口はかなり多く、長沙の倍以上いるんじゃないかな……?
長沙も中々の大都市になっているけど、この南陽はシャレにならない。
ああ、パラメータ見てみたい……。
宿場町を訪れる度に目を瞑り、只管パラメータを見続ける毎日。
地味だけど、こうやって発掘する以外、他に登用の手立てがない。
凄く疲れるけど、どうせ暇だし、こういう事は地味な作業が好きな僕には向いている。
人間、地道な行いが一番です。
………多分ですけどね。
で、ある宿場町でのこと。
僕が目を瞑った時、地道な作業が功を奏し、ついに見つけました!
文聘 字:仲業 能力値
政治5 知略7 統率9 武力8 魅力7 忠義8
固有スキル 水軍 歩兵 鉄壁 看破 伏兵 補修 判官
流石は文聘! 強いぞ!
見た所、成人したばかりで、まだ顔立ちが少し幼い。
だが、そんな事はどうでも良い!
曹操に取られる前にゲットだ!
……という訳で早速、文聘に声をかけてみることに。
「ああ、そこの君。ちょっと宜しいかな?」
「はい? 何用でござるか?」
「君は既に仕官していますかね?」
「それが、まだでござる。何処ぞの兵卒で構いませぬが、若輩者故、ちと難儀してございましてな……」
「おお? では、私の下で働くつもりはないかね? 君ほどの人物を兵卒なんぞにしておくのも勿体ない」
「……失礼ですが、貴殿は?」
「申しおくれましたな。私は司護。字を公殷と申す」
「荊南の長殿ではござらぬか!?」
「しっ! そんな大声、出してくれるな」
「……しかし何故、某を?」
「夢で見たのだ。ここで『新たなる麒麟児を見つけることが出来る』とね」
「おお………!? 噂は真でありましたか!?」
「うむ。私の夢も真だ。来て下さるか?」
「勿論ですとも! 早速、支度をし、家族総出で参りましょう!」
こうして文聘ゲット!!
流石の曹操も無名の新人までは登用していないようだ。
悪く思うな。これも乱世の運命だ!
………大分、違うような気もするけど。
僕は文聘に書状を渡し、臨賀へと向かわせた。
臨賀の方が最前線だしね。
まだまだ居るかもしれないので、時間が許す限り、どんどん見つけていこう。
分母が多い分、分子も多いのは当然だからね。
文聘をゲットして気をよくした僕は、まず近くの宿屋をとった。
すると、その宿屋で范増が僕に気になる事を言ってきた。
………何だろう? 取りあえず、出て来てフクちゃん!
「どうした? 亜父よ。何か変事でも起きたのか?」
「変事ではないのじゃが……。鄭玄らが捕えられている場所を突き止めたぞい」
「何!? どうやってだ!?」
「この前、天帝教の連中の中に孔鮒という者がおったじゃろ? あ奴から情報をわざわざ暴露しおったわい」
「やはり、あの孔鮒という男。道理でおかしいと思ったわ……。して、何処におるのだ?」
「徐州東海郡蘭陵県の城じゃ。そこに孔融らもおるらしいぞい」
「……ううむ。出来ることなら救いたいものだが……」
「場所が場所じゃからのぉ……。容易ではないぞい」
「……待てよ? 東海郡であれば、広陵郡の真北ではないか?」
「そうじゃが……。どうする気じゃ?」
「劉繇殿に協力して貰おう」
「簡単に申すな……」
「ハハハ。確かに劉繇殿だけでは心許ないか。では、もう一人協力してもらう事にしよう」
「………誰の事じゃ?」
「豫州王劉寵殿だ」
「ぶっ!? 馬鹿な事を申すな! どうやって協力を取次ぐ気じゃ!?」
「ワハハハハ。それは今から考える。協力してくれ」
「滅茶苦茶な事を……。大体、素直に劉寵が応じると思うのか?」
「劉寵にとって陶謙は、今では邪魔者以外の何者でもない筈だろう?」
「それは、そうじゃが……」
「だから、楊州王、南陽王、豫州王の三国同盟を斡旋させれば良い」
「……まさか、荊州牧就任の件に豫州王も入れるつもりか?」
「ハハハハハ! その通りだ!」
「呆れ果てたものよ………。己の州牧就任を、ここまで質にするとはのぉ……」
「使える物は乞食だろうが、罪人だろうが構わん。当然ではないか」
「……全く。だが、鄭玄や孔融を助けたとあれば、一気に名声は鰻登りじゃのぉ……」
「ハハハハ。そうなれば事実上、俺が漢の命運を握る者になるな!」
「それが狙いか……。だが、これは賭けじゃぞ?」
「分りきったことを……。だが、兵を使わずに有利に持って行けるのだ。それに越した事はあるまい」
「確かにそうじゃな。何が何でも戦さを仕掛けるよりは、数倍もマシじゃて……」
「名声を頂点にし、大軍を以って帝を脅す。これこそ民の為よ」
「……お主は帝に成るつもりはないのじゃろう?」
「ハハハハ。禅譲はさせるつもりだぞ。今の帝では話にならぬからな。それと劉寵でも劉協でも、誰でも良いわ。俺の言う事を理解出来ればな」
「やれやれじゃなぁ………」
「王莽の二の舞なんぞ御免よ。そもそも帝位なんぞに興味はない。そのような物はお飾りで構わぬ」
う~ん………。
なんか僕が曹操になったような気分……。
僕が相国にでもなったら、暗殺計画を立てられそうだなぁ……。
「まぁ、それはそれで良いわい。それと実は、もう一つある」
「何? どんな事だ?」
「それはじゃな。『青州牧に張角を任じさせて欲しい』という嘆願が張宝から内密に来たぞい」
「張角め。何処に隠れているかと思ったら、青州になんぞに隠れておったのか……」
「ただ、これは今までの張梁や張宝とは違うぞい」
「どう違うのだ?」
「……お主、朝廷から『党人を大赦す。ただし、張角は赦さず』という勅令が出ている事を知らないのか?」
「……いや、初耳だ。しかし、それでは張角が、まるで党錮の禁に遭っていたような事になるが……」
「うむ。どうも張角は、元々そのような者のようじゃ……」
「だが、それなら今までの行為は、党錮の禁を当初から破っていた事になるぞ?」
「そうはならん。党錮の禁とは『官職追放と出仕禁止』の事じゃからな」
「……ううむ。そうであったか?」
「……お主、王儁からその話を聞いたのではなかったのか?」
「……う。失念しておった」
「変な所で抜けておるのぉ……。まぁ、良いわ。そういう訳じゃから、今までとは違うぞい」
「そんなのは簡単だ。余の荊州牧と同様に扱えば良い」
「また話が違ってくるぞい。劉表、劉岱らは、あくまでお主の荊州牧就任のみではないか?」
「だから更に、そこへ張角を加えるのだ」
「……もう、どうなっても知らんぞ」
「ハハハハ! 亜父ともあろう方が弱気だな」
「……大体じゃ。その先はあるのか?」
「ああ、まずは劉寵に張角の青州牧を任じてもらおう。そして張角と劉寵を結ばせるのよ」
「……確かにその二つの勢力が結ばれれば、かなりの脅威にはなるが……」
「ハハハハ! そうだろう!」
「しかし、朝廷にとって、極めて危険な脅威となる」
「その通り。更に今の帝を追い落とすには好都合になる」
「……名士連中が納得するかのぉ」
「納得して貰う。それしかない」
「しかし、そうなると袁一族が黙っておらぬぞ」
「袁紹、袁術の二人には消えてもらう。いや、邪魔者は全て消えてもらう! それだけの事よ」
………フクちゃん。風呂敷を広げ過ぎだよ。
でも、青州に張角がいるなら、鄭玄救出に尽力してくれるかなぁ?
てか、僕と范増と周倉だけじゃ無理ですけどね……。
しかも、今は南陽だしなぁ……。
どうすれば良いのやら……。
そこで、また范増に聞くことにした。
困った時の亜父様だ。
「鄭玄殿らを助けるには人手が足りぬ。どうすれば良い?」
「………まさか、我らだけで助けるつもりか?」
「……だから『人手が足りぬ』と申しておる」
「……まず時間が足りぬ。繋ぎをとるにしても、時間が必要じゃ」
「そうだな。まずは南陽王に会おう。そして、豫州へ赴き、劉寵と交渉している時間で……」
「まさか、劉寵にも自ら赴くつもりか!?」
「駄目か?」
「正気の沙汰ではないぞ! しかも、お主の事じゃ。さらに青州まで行くつもりじゃろう!」
「………良く分かったな」
「呆れ果てて物が言えぬ……。大体、交州勢らは既に我らと開戦する気、満々じゃぞ!」
「確かにそう考えると陳平、彭越を招聘する訳にもいかぬか……」
「何、世迷言を………」
「まぁ、良い。南陽王の所には曹操もいる。曹操に聞いてみることにしよう」
「増々おかしくなったのぉ……」
「ハハハハ! まぁ、そう言うな。大体、臨賀郡が簡単に落ちるもんか」
「なら、良いがのぉ……」
「心配性だな。亜父も……。ならば、早急に使者を立て、交州の区連に武具や兵糧を贈れ」
「………そうきたか。お主も手段を選ばんのぉ……」
「ハハハハ! 先ほど申した通りだ。使える物は使う! それだけの事よ」
あくどいなぁ……。
だけど、これで時間は稼げる筈だよな……。
でも大体、悪いのは朱符であって、僕じゃないですから!
……以前にも似たような事を言った気がするけどね……。
翌日、僕は范増の手下に対し、金1000分の武具と兵糧10000を区連に渡すように指示した手紙を渡した。
既に陳平が、区連ら交州反乱軍と連絡はとれているからね。
范増も陳平も抜け目ないよ。本当に頼りになります。
因みに輸送方法ですが、士一族が領有するエリア経由です。
さて、僕は行き交う通行人のパラメータチェックしながら、政庁のある宛へと目指すことにした。
そうしたら無事に着きました……。
いや、いいんですよ。無事に着くのはね……。
ただ、文聘以外、誰も獲れないのは厳しいです……。
といった所で、今月の政略フェイズ。
人材探索しながら移動していると時間、食うよねぇ……。
長沙は韓曁が銀山採掘。
張任が金1000、兵糧10000を区連らに輸送。
桂陽は李通が城壁補修。
零陵は厳顔が城壁補修。
邯鄲淳が劉君、歩君、蒋君、竹千代に講義。
臨賀では劉先、邴原が城壁補修。
蒋欽、甘寧が兵20000を募兵。
衡陽は……。
張範、趙陀が帰順。
游楚が民事裁判。
顧雍が治水。
蔡邕、桓階、杜襲、是儀、満寵、陳端、張紘、国淵、徐奕、金旋、王儁が開墾。
繁欽、尹黙、趙儼、灌嬰、張昭、秦松、王烈、孫乾、劉度、管寧が街整備。
来敏、李孚に張承、厳畯が加わり、引き続き宿場町増設と周辺の街道整備。
賀斉、徐盛が桂陽へ移動。
衡陽パラメータ
農業596(1500) 商業613(1500) 堤防97 治安100
兵士数42783 城防御183(600)
資金8032 兵糧50000
臨賀パラメータ
農業1000(1000) 商業1000(1000) 堤防100 治安100
兵士数57244 城防御382(500)
資金1947 兵糧70200
零陵パラメータ
農業1300(1300) 商業1300(1300) 堤防100 治安100
兵士数53646 城防御427(500)
資金7060 兵糧173400
長沙パラメータ
農業1200(1200) 商業1500(1500) 堤防100 治安100
兵士数64973 城防御600(600)
資金3980 兵糧93000
桂陽パラメータ
農業1000(1000) 商業900(900) 堤防100 治安100
兵士数52282 城防御400(500)
資金6776 兵糧144700
武陵パラメータ
農業1200(1200) 商業800(800) 堤防100 治安100
兵士数44345 城防御498(500)
資金7567 兵糧135000
現在の位置情報
長沙
張任、韓曁、杜濩
武陵
鐘離昧、朴胡
桂陽
李通、賀斉、徐盛
零陵
厳顔、周泰、沙摩柯、邯鄲淳
臨賀
蒋欽、陳平、鞏志、甘寧、彭越
劉先、邴原、文聘
衡陽
頼恭、厳畯、張範、来敏、游楚
国淵、桓階、杜襲、尹黙、満寵
金旋、厳畯、孫乾、繁欽、秦松
劉度、王烈、張範、灌嬰、趙陀
蔡邕、徐奕、王儁、顧雍、趙儼
是儀、陳端、張紘、張昭、管寧
張承、李孚
出張中
范増、司護、周倉




