表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
78/216

第五十三話 もう一人の水鏡先生

 5月になり、僕はまず南郡の江陵を目指した。

 周泰、蒋欽と因縁のある蔡瑁だけど、僕にはないから大丈夫な筈。

 江陵に着くと楊松が統治していた頃に比べ、民衆は穏やかなようだ。

 まだまだ賄賂などは横行しているようだけど、以前に比べたら随分と改善されているらしい。

 

 見える範囲でしか分らないけど、少なくとも荒れてはいない。

 以前、何度か他の勢力の郡や街のパラメータを見ようと思い、目を瞑ったけど、表示はされないんだ。

 自分の勢力下じゃないと表示されないんだよね。

 

 政庁へ赴くと、当然ながら衛兵に止められる。

 僕が「司護が来たと伝えて欲しい」と言ったら、怪訝そうな顔つきで、その場で待機するよう言われた。

 まぁ、普通なら自ら来る訳ないからね。

 

 暫く待つと、偉そうな若い武官がやって来た。

 一応、パラメータチェックしてみるか。

 

張允 能力値

政治5 知略5 統率7 武力5 魅力6 忠義5

固有スキル 水軍 弓兵 補修

 

 張允か……。あまり能力値も悪くないな。

 来たら当然、雇うけどね。

 そしてパラメータチェックしていると、当然のように張允は僕に話しかけてきた。

 

「貴殿が長沙府君ですか?」

「はい。蔡府君にお取次ぎ願いたい」

「……失礼だが、確たる証拠をお持ちで?」

「流石に印璽を持ち歩く訳にはいかないので、これでお許し下さい」

 

 僕は長沙太守の判が押してある蔡邕の書状を張允に見せた。

 すると張允は驚いて、僕にこんな事を言ってきた。

 

「いや、まさか。本当に自らいらっしゃるとは……」

「ハハハ。襄陽王君にも、そう言われました」

「………はぁ。蔡府君は謁見室におられます。どうぞ、こちらへ」

 

 謁見室への廊下で歩く間、長い沈黙が続く。

 蔡瑁とは、つい最近まで微妙な関係だったからね。

 いや、今でもか……。

 

 謁見室に入ると二人の人物が待ち構えていた。

 一人は中央でどっかりと座っている男。

 恐らく、これが蔡瑁だろう。

 もう一人は若い武官の姿だけど、誰だろう?

 二人ともパラメータチェックしてみるか。

 

蔡瑁 字:徳珪 能力値

政治7 知略7 統率7 武力6 魅力6 忠義5

固有スキル 水軍 看破 開墾 補修 判官 鎮静

 

黄祖 能力値

政治5 知略7 統率7 武力5 魅力5 忠義6

固有スキル 補修 弓兵 伏兵 抗戦 看破

 

 黄祖か……。

 けど、悪くないな。降参してきたら、どっちも貰おう。

 何時になるか分らないけど……。

 僕がチェックしていると、蔡瑁が大声で笑いながら話しかけてきた。

 しかも、いやに馴れ馴れしくだよ……。

 

「ハッハッハッ。司府君。よう、参られましたな! この蔡瑁、いつ会えるかと心待ちにしておりましたぞ!」

「ハハハ。これはかたじけない。私も蔡府君と会えるのが楽しみでした」

「ささ、堅苦しい挨拶は抜きにして……。今日、参られたのは例の件の事ですかな?」

「はい。条件付きで承諾しに参りました」

「おお!? それはそれは……。ん? 条件ですと?」

「はい。条件付きです」

「……はて? どのような条件ですかな?」

「他に三人の王の推薦が必要です」

「……三人の王ですと?」

「益州王、楊州王、牂牁王のお三方です」

「なっ!?」

「それならば朝廷も認めざるを得ないでしょう」

「待たれよ! 楊州王も益州王も今では朝敵ではないか!?」

「ええ。だからこそです」

「話が見えぬぞ。司府君」

「まずは朝廷が二人をお許しになることです。さすれば、涼州王、豫州王も矛を収めるかもしれません」

「そんな無茶な……」

「私は筋道を立てないと気が治まらない性質たちでしてね。そうでなければ、お引き受けする事は出来ませぬ」

「いや、しかし……」

「……そういえば、蔡府君は益州王君とお知り合いとか……」

「都にて少し会話したことがあるぐらいだ。仲が良いという程ではない」

「それでも面識のない私よりは幾分マシかと……」

「……いや、それは……。こいつは困った事を言うお方だ」

 

 蔡瑁は困り果てた表情で僕を見ている。

 さっきの薄ら寒い馴れ馴れしさは、すっかり息を潜めてしまったようだ。

 そこに黄祖が蔡瑁への助け舟とばかり、僕にこう言ってきた。

 

「失礼だが、貴君は現実というものを知らないようですな」

「貴殿は?」

「江陵県令の黄祖と申します」

「ほう、貴殿が江陵県令の……。して、どういう意味です?」

「最早、帝の権威は無いも同然ですぞ。そのような戯言は程々にするが宜しい」

「ハハハ。別に私は権威にすがろうと思っておりませぬ。順序を弁える為にしているだけの事です」

「しかし、貴君が幾ら順序に従っても、肝心の帝がこの有様では……」

「口を慎みたまえ。それでは君は朝敵として戦うことになっても、構わないというのか?」

「既に貴君は以前、朝敵だったではないですか」

「それは否です。私の行動は少なくとも朝敵ではない」

「朝廷に受け入れられていない時点で、同じかと思いますが……」

「いや、違う。佞臣どもに朝敵にされていただけだ」

「いやいや。双方とも待ちたまえ」

「蔡府君……」

「黄祖も慎みたまえ。司府君は客人だぞ。それよりも、先ほどの件だがね……。司府君」

「はい」

「やるだけはやってみよう。揚州王は良いとして、一番の問題は牂牁王だ」

「どうして牂牁王が一番の問題なのです?」

「牂牁王の劉普は袁一族と繋がっている。特に袁術とな」

「そうでしたか……」

「ここだけの話。劉普を推挙したのは楊彪殿だ。楊彪殿は袁術の妹を妻にしているからな」

「……ううむ。ややこしいですな」

「そうなのだ。上手くやりこめるよう手配せねばならぬ」

「……分りました。劉普殿はさておき、楊州王君はお任せ下さい」

「……ああ、私も益州王に色々と掛け合ってみよう。私の親戚の蔡琰もおるしな」

「心強い限りです」

「それで荊南へ戻られるのか?」

「いえ、このまま襄陽王と南陽王に面会するつもりです」

「そうか。ならば益州王の事も頼むが良い。私よりも力になれるだろうよ」

「はい。ご助言、忝く……」

「ハハハ。これぐらいしか出来ないがね」

 

 僕は蔡瑁と夕食を共にし、翌日に江陵を発った。

 道中、亜父范増が僕に話しかけてきた。

 それと同時に僕はフクちゃんモード発動。

 

「やはり面倒そうじゃな。上手くいくとは思えんぞい」

「いや、これで良いのだ」

「何が良いのじゃ?」

「ハハハ。要は余が朝廷に対し、周りに忠節心があるように思わせれば良いのだ」

「このようなやり方でか?」

「そうだ。金も兵も掛からぬからしな。それにだ。これが上手くいけば、劉岱、劉繇の兄弟に恩を売れる」

「それは、そうじゃろうがのぉ……」

「それよりも亜父よ。涪陵郡の動きはどうだ?」

「全くないようじゃ。ただ、益州の南で動きがあったぞい」

「ほう? 益州の南だと?」

「そうじゃ。挙兵した者がおるらしいの。そのせいで牂牁国は、蜂の巣を突いたような騒ぎじゃそうな」

「ハハハ。増々、面白くなってきたな」

「そうじゃのぉ。益州王は蜂起した連中を早速、太守に任命したそうじゃ」

「流石は劉焉だ。動きが早いな。それじゃあ、そいつらが牂牁国を目指しているのか?」

「そのようじゃの。それと交州も窺っておるらしいぞい」

「そうか。そいつらの動きも注視せんといけないな……」

「ただ、攻め込むとなると厄介じゃぞ」

「攻め込みはせぬ。あのような場所は放っておくに限る。何せ実入りが少ないからな……」

 

 益州の南ということは孟獲?

 もう成人しているのかな……。

 ちょっと早すぎるような気もするけどね……。

 

 その後、数日かけて襄陽に着くと、更に街の規模が大きくなっていた。

 少し懐かしくなって、僕は趙儼らと出会った居酒屋に行くことにした。

 また逸材いるかもしれないしね!

 

 汚くて小さな居酒屋に着くと、そこには青年二人が談義をしていた。

 これは良い予感がしてきた。

 という訳でパラメータを見てやろう!

 

龐徳公 字:尚長 能力値

特殊人物の為、登用不可


司馬徽 字:徳操 能力値

特殊人物の為、登用不可

 

えええ!? どういう事だ!?

 全く意味が分らないよ!

 落着け! 落ち着くんだ! 僕!

 

 そうだ。まず、あの二人と話す前にやる事がある。

 そう……それは……!

 

「先生! 出て来い!」

「よしよし。久しぶりじゃのぉ」

「久しぶりだけど、それどころじゃない!」

「どうしたのじゃ?」

「アンタは誰なんだ!?」

「水鏡じゃが………?」

「じゃあ、あの司馬徽が偽物か!?」

「………」

「教えろ! 早く!」

「……バレては仕方がない。実を言うと儂は水鏡ではない」

「じゃあ、誰なんだよ!?」

「南華老仙と人からは呼ばれておる……」

「……えええ!?」

「何じゃ? 知っておったのか?」

「張角に何かの書物を渡したとかいう……」

「太平清領書のことじゃな。何じゃい。最初から知っておったなら、先に言うておけば良かったのぉ……」

「何で水鏡先生を名乗ったんだよ?」

「儂の名は……ほれ。あまり知られておらんじゃろ?」

「まぁ、僕も偶々かなぁ………」

「それでじゃよ。まぁ、すまんかったの。別に騙すつもりは無かったのじゃ」

「なら、最初からそう言えば良いのに……」

「チュートリアルで南華老仙はマニアック過ぎるじゃろう……」

「そりゃ、そうだけどさ……」

「まぁ、そういうことじゃ。よしよし」

「いつまでも水鏡先生ぶらないでよ……」

「……ううむ。癖になってしまってのぉ」

「……もう、いいよ。じゃあ、今度から何て呼べばいい?」

「老師で頼む。ではの」

 

 なんか、どっと疲れたなぁ……。

 色々と言いたい事あるけど、もういいや。

 それよりも水鏡先生って雇えるのかなぁ?

 勇気を振り絞って試してみるか……。

 

「失礼。お二方」

「よしよし」

「何でっしゃろ?」

「ご両人はご高名な龐徳公殿と司馬徽殿ですな?」

「よしよし」

「あんさんは何方様かね?」

 

 ……龐徳公の口調ってこんなの?

 それに水鏡先生は「よしよし」しか、言わなそうなんだけど……。

 てか、随分と説得し辛そうだなぁ……。

 

「お二人にお聞きしたい事があります」

「よしよし」

「ほう? わてらに相談ですかな?」

「はい。この先、漢はどうして行けば宜しいと思われるか?」

「よしよし」

「そんなん簡単な事でっしゃろ。現在の帝にゃあ、既に徳がおまへん。頭を挿げ替えれば、少しはマシになりまっせ」

「……そのような大事、簡単にはいきますまい」

「よしよし」

「現在の帝なら問題なく地方の王にでも喜んでなるさかい。せやけど、何進、董卓、十常侍どもが許さへんやろね」

「………」

 

 水鏡先生は「よしよし」しか言わないし、龐徳公はエセ関西弁だし……。

 本当に掴み所がないなぁ……。

 名前を明かしても良いもんかな………?

 

「それよりもお前さん、タダ者じゃおまへんな。何方様や?」

「……これは申し遅れました。司護。字を公殷と申す者です」

「ほほう。噂の仁君様やね。わてらと、そう齢は変わりまへんな」

「はい。御両人のお噂を聞き、こうして参りました」

「ハハハ。それは嘘でんな」

「……う、嘘では御座いませぬ」

「ハハハ。そんな事はどうでもええねん。わてらを『配下にしたい』ってんなら、やめとき」

「……何故で御座います?」

「船頭多くしても山に登るだけやっちゅーねん。反って、あんさんの統治がおかしくなりまっせ」

「……はぁ?」

「せやから止めておきなはれ。ただ、あんさんの所でも何とかなる者がおったら推挙するさかい。それで堪忍したってや」

「………分りました」

「よしよし。私からも一つ……」

「……何でしょう?」

「急いては事を仕損じる。よしよし」

「……はぁ?」

「よしよし」

「………」

 

 僕は何が何だか分らないまま、居酒屋を後にした。

 だって意味が分らないし……。

 これ以上、時間潰しても意味ないか……。

 という訳で襄陽の政庁へ赴くことにしました。

 

 襄陽の政庁に行くと黄忠が、いきなりのお出迎え。

 少し雑談をし、そのまま謁見室に通された。

 ついでに武官らしいのをパラメータチェックしてみたけど、魏延らしいのはいませんでした。

 まだ成人していないか、或いは在野か……。

 僕がそんな事を考えていると、劉表が話しかけてきた。

 

「蔡瑁から話は聞いている。また無茶な要求をしてきたとな」

「これは襄陽王君のお言葉とは思えませぬ。私は道理を通しただけに過ぎませぬ」

「しかしだね。焦和なんぞに義理を立てんでも……」

「焦和殿にでは御座いませぬ。朝廷に対し、義理を通したまでのことです」

「頑固な男だな。君も……。だが、君の言いたい事も分かる」

「もう一つ、手立てとしましては、焦和殿が荊州牧の印璽を私に授与することがありますが……」

「そっちの方が無理だ。あいつは袁術の手先になっている。まさか、君は袁術と誼を通じるつもりか?」

「私としては、それでも構いませぬ。ですが、袁術殿は私を嫌っているでしょう」

「当然であろう。君が劉繇殿に張宝と張梁らを太守に推挙したのだから……」

「そうですよね。仕方ありますまい……」

「まぁ、良い。余としては、あまり気は乗らぬが、君がそう望むならば致し方あるまい」

「有難きお言葉。襄陽王君のお墨付きがあれば、牂牁王君も動くやもしれませぬ」

「だが、それが一番面倒だぞ。益州王と牂牁王は、互いに睨み合いを続けておる」

「それについては、良い解決策が御座います」

「何と!? どのような策だ?」

「実は……」

 

 といったところで、今月の政略フェイズ。

 僕と范増がいないだけで、やっぱり変わり映えしませんけどね。

 

 長沙は韓曁が銀山採掘。

 杜濩が金6000を衡陽に輸送。

 桂陽は李通が城壁補修。

 零陵は厳顔が城壁補修。

 邯鄲淳が劉君、歩君、蒋君、竹千代に講義。

 臨賀では劉先、邴原が城壁補修。

 

 衡陽は……。

 張範、王儁、賀斉、趙陀、管寧が帰順。

 游楚、厳畯が民事裁判。

 顧雍、劉度が治水。

 徐奕、金旋が城壁補修。

 蔡邕、桓階、杜襲、是儀、満寵、陳端、張紘、国淵が開墾。

 繁欽、尹黙、趙儼、灌嬰、張昭、秦松、王烈、孫乾が街整備。

 来敏、徐盛、張承、李孚に引き続き宿場町増設と周辺の街道整備。

 

衡陽パラメータ

農業446(1500) 商業487(1500) 堤防99 治安96

兵士数41083 城防御183(600)

資金9919 兵糧50000 訴訟1レベル


臨賀パラメータ

農業1000(1000) 商業1000(1000) 堤防100 治安100

兵士数37244 城防御358(500)

資金3147 兵糧90200


零陵パラメータ

農業1300(1300) 商業1300(1300) 堤防100 治安100

兵士数53646  城防御416(500)

資金5860 兵糧173400

 

長沙パラメータ

農業1200(1200) 商業1500(1500) 堤防100 治安100 

兵士数64973 城防御600(600)

資金1980 兵糧103000

 

桂陽パラメータ

農業1000(1000) 商業900(900) 堤防100 治安100

兵士数52282 城防御390(500)

資金5976 兵糧144700  

 

武陵パラメータ

農業1200(1200) 商業800(800) 堤防100 治安100

兵士数44345 城防御498(500) 

資金6767 兵糧135000


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ