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第五十話 今度は漁復に……?

 それでは、前回の続きです。

 僕と周倉、そして三兄弟の五人は食事処へ着いた。

 そして席に着き、注文すると劉備は僕に話しかけてきた。

 

「それで司護さんってよ。どんな奴なんだい?」

「どんな奴と申されても………」

「なんでも大変人とか聞いたんだけどよ」

「……確かに大変人でしょうなぁ。それ位しか分りませなんだ……」

「おや? アンタは今まで会ってきた連中と少し違うね」

「どう違うのです?」

「連中はその後『仁君』だの『上使君』だの『舜の生まれ変わり』だの、褒めていたんだが……」

「……そ、そうですか?」

「おう! 今迄の連中は決まって大概、その次は褒め称える。だが、アンタは違う!」

「………」

「ひょっとして……アンタ」

「……な、何でしょう?」

「司護と上手くやってねぇのかい?」

「ぶっ!? そ、そのような事ではありません!」

「じゃあ、何でだい?」

「いや『何で』と申されましても……。弱りましたなぁ……」

「そっかぁ。じゃあ、いっそウチで仕官してみねぇか?」

「ええっ!? いきなり、そんな……」

「いいじゃねぇか。司護がアンタを重用してねぇなら、問題ねぇだろう?」

「……それについては少し猶予を下さい」

「おう。いきなりじゃ、やはり困るか。いいともよ。暫く猶予をくれてやる」

「……有難う御座います」

 

 これはどういう展開なんだろう?

 涪陵郡でスパイ活動が出来る?

 主君自ら埋伏の毒?

 意味が全く解りませんけどね……。

 

「それとよぉ。ここいらの黄巾賊について聞きたいんだが……」

「黄巾党について……ですか?」

「おうよ。この街でも色々な奴が黄色い布をつけていやがる。流行りかもしれねぇが、少し気分が悪い」

「……どういうことです?」

「俺らは鉅鹿で散々、黄巾賊の連中と戦ってきたんだ。でも、おかしな事にあの張宝って野郎が、今じゃ豫章のお偉いさんだ」

「……そのようですね」

「しかしだ。今じゃ俺らよりも地位が上ってのが、どうにも気に食わねぇ」

「……はぁ」

「アンタ、黄巾の連中について、何か知っている事ねぇか?」

「特にこれとは……」

「そっかぁ……」

「でも、彼らは『略奪や無体な真似はしていない』と述べていましたが……」

「ああ。していた連中もいたけどな」

「それは程遠志とかいう、一部の連中ではありませんか?」

「おお!? あいつを知っているのか!?」

「噂程度にですが……」

「あの野郎。今度、出くわしたら絶対にたまぁ、取ってやる。しかし、良く知っているな」

「……こう見えて情報には敏感なもので」

「あの野郎について他に情報はねぇか?」

「今は徐州に居て、天帝教を名乗っているとの事です」

「何ぃ!? あの野郎! 天帝教に鞍替えしたのか!?」

「はい。どうも、そのようですな……」

「そっかぁ……。で、他には?」

 

 僕は劉備に天帝教について、僕が知っている事を全て教えた。

 この場合、下手に嘘を交えるとボロが出るからね。

 相手を信用させる為には、相手が裏を取って来ても良い事しか教えないのが基本だよ。

 こういった経験が現実でも活かせれば良いけどね。

 その前に、現実世界に戻らないといけない訳だけどさ……。

 

「いやぁ。流石は単さんだ。良く知っているなぁ」

「知っている者は、私だけではありませんが」

「いやいや。ご謙遜しなさんな。増々、アンタが欲しくなったよ」

「そ、そうですか……」

「ああ、そうだともさ。途中、徐庶とかいうのを捉まえたが、襄陽で道草食っているんだ。そのせいで俺が楽出来ねぇ」

「……はぁ。え? 徐庶?」

「ん? 単さん。知り合いかい?」

「……い、いいえ。同じような名前に、ちと心当たりがありましたので……」

「単さん、顔が広ぇなぁ……」

「いやいや。お恥ずかしい限りで……」

 

 劉備は何としても僕を配下にしたいらしい。

 でも、来るのが遅すぎだよ。

 長沙でヒーコラしていた時と、こっちは違うんだしさ。

 でも、既に徐庶が取られてしまったかぁ……。

 

「しかし、単さんほどの人が小役人ねぇ……。そんなに、ここは人が多いのかい」

「王儁殿を始め、蔡邕先生もおります。更には張昭殿、張紘殿、張範殿もおられます」

「すげぇなぁ……」

「武においては、鐘離昧殿、甘寧殿、周泰殿、張任殿、厳顔殿、沙摩柯殿といった人物が御座います」

「へぇぇ……」

「そして部隊を率いる者として灌嬰殿、賀斉殿、彭越殿、杜襲殿、満寵殿といった……」

「わ、分かったよ。多すぎて名前が憶えられねぇや」

「これでも半分も言っておりません」

「その上、兵の数も多いんだからなぁ……。喧嘩なんか冗談じゃねぇや……」

「ひょっとして張忠殿は、武陵か零陵に攻め込むおつもりで?」

「……みてぇなんだよなぁ」

「それは、またどうして?」

「何でも零陵太守を任命された曹寅とかいうのが、客分にいるんだよ」

「それでは堂々と零陵に赴けば……」

「知らないのかい? 武陵でも零陵でも曹寅は民に随分、嫌われているらしいぜ」

「ほう? そうだったのですか」

「あいつら仕事もしねぇで、司護の悪口を言って暇な一日を過ごしていやがる」

「兄者も仕事は、ほとんどしておりませぬが……」

「だあっ!? 雲長! 余計な事を言うんじゃねぇよ!」

「ハハハ。それは猫の手も借りたいでしょうね」

「単さん。そうなんだよ。おまけに、あいつの配下もロクなのがいねぇ」

「……と、申しますと?」

晏明あんめい、慕容烈、趙岑、張存だ。どれも雑魚だね」

「………」

「いけね。愚痴っぽくなっちまった」

「……いえいえ。お気持ちはお察し致します」

「けど、廬植先生や劉虞さんの手前、また張忠をシバいてトンズラって訳にはいかねぇしなぁ」

「……出奔したとして、誰か頼る相手はいるのですか?」

「ああ。あてはあるよ。取りあえずは劉岱っていう南陽王の下の孟徳さんの所にお邪魔するだろうな」

「おお、曹操殿ですな」

「え? 知り合い?」

「いえいえ。噂だけですよ。他には?」

「面白い所だと。帝の倅の涼州王だな。なんたって、帝の倅だ。次の帝にはピッタリじゃねぇか」

「ハハハ。確かにそうですな。しかし、随分と都に近い所に拘りますね」

「当然さ。俺はこう見えても漢王室の血筋なんだ。ゆくゆくは太守じゃなくて、王ぐらいにはなりてぇんだよ」

「ほほう……。そうでしたか」

「まぁ、そんな事はどうでもいいか。ここまで教えてくれたんだ。アンタにとびっきりの情報をくれてやろう」

「何でしょう?」

「聞いて驚くなよ。実は張忠と、お隣の牂牁国王の劉普に密勅が下されているんだ。『武陵、零陵を攻めろ』ってね」

「ええ!? それは真ですか!?」

「ああ。だが、劉普の方は『南で賊が跋扈しているから無理だ』と断ったらしい」

「それでは張忠殿は単独で……?」

「ところがそうじゃない。劉焉とも繋がっているのさ。劉普が零陵に攻めたら、牂牁国に攻め込む手筈だそうだ」

「……なんと!?」

「劉焉は益州王として君臨するには劉普が邪魔なんだろうな。司護の方にも劉焉からの使いが来たんじゃねぇか?」

「……私はそこまで関与しておりませんので」

「そっかぁ。けど、これでアンタの株も上がったよな」

「私の株が上がったんでは、余計に出奔しにくくなりますが……」

「あ、しまった! その通りだな! アハハハ!」

 

 何処まで本気なんだろう?

 でも満更、嘘でもなさそうだし……。

 下手すると士燮あたりにも、劉焉の密使が行っているよなぁ……。

 

 そして、僕は劉備達と別れた後、明日に備える事にした。

 どんな大会になるのやら……。

 

 明日になり、盛大な壇上で弁論大会が行われることになった。

 この壇上は一週間前から造っていたもので、かなり高さがある。

 大体、5メートルぐらいかな?

 なので、遠くからでも見えるんだ。

 

 集まった人は十万人規模です。いや、マジで。

 ……もうね。「なんかのフェスティバルと勘違いしてないか?」って感じ。

 これが半分、娯楽のような感覚っていうのは、それぐらい娯楽がないって事を意味するんだけどね。

 テレビもねぇ。ラジオもねぇ。アニメもねぇ。漫画もねぇ。

 ……なら、そうなるもの仕方ないかぁ……。

 

 それでは、弁論大会の模様です。

 あまりにも長すぎるので、ここからはダイジェスト版です。ごめんなさい。

 

 双方とも最初から激しい舌戦を繰り広げていた。

 当初は道教に関しての問答が全般だったかな?

 そちらの方は良く分かりません……。

 五行思想が云々とか言われてもねぇ……。

 

 ただ、分った事として太平道は仏教や儒教にも寛容で、色々と学ぶべき所はあると主張。

 これに対し天帝教は、他の教えを全て邪教と見なし、排除しなければならないという考えらしい。

 ここではマイナーな五斗米道まで批判している始末だし……。


 で、その天帝教だけど、天帝だか黄帝だかが「唯一無二の存在である」と主張している。

 ……ある意味、画期的な教えでもあるのかな?

 だって言っている事は一神教に近いもの……。

 僕は一神教だろうが多神教だろうが、全然興味ないですけどね。

 根本的に無神論者だし………。

 

 そして中盤から、やっと政治方針に関しての討論が始まった。

 ここの部分は少しだけ紹介するね。

 

 天帝教の朱房曰く

「黄巾党の張三兄弟は、我が身可愛さに私欲に溺れ、当初の目的とする漢打倒を踏みにじった惰弱な者達だ。それ故、本来の道である我らが正道であり、本質であり、更には原理なのである。故に太平道は既に滅びたも同然なのだ!」

 

 これに対し、馬元義の返答は

「黙れ! 本来の目的は民を救う事にある! 漢が民を救う道に戻るというのであれば、仁を以って応えるのが礼となる。我らの根本の教えは民を守る事にあり、民を虐げるものを排除する事のみだ! よってお前らの行動こそ、佞邪な言動になるのだ!」

 

 天帝教の孔鮒は、それに対しこう述べた。

「断じて否である! 民の為という戯言で自らを正当化しようとしているに過ぎない。本来の目的を失えば天災が起こる筈である。それを踏まえず、天災を引き起こすつもりならば、民の為とどうして言えようか!」

 

 ここで当初から目を瞑り、ずっと黙っていた張宝が発言した。

「ならば聞こう。賊と言われた司府君の領内で飢饉、疫病、洪水、地震、何でも良い。被害が受けた所を述べてみよ」

 

 許汜がそれに反論する。

「黙れ! 賊太守の事なぞ、どうでも良い! 論点をげ替えるでない! 問題は、そもそも民の為であろうが!」

 

 張宝はそれに対し、こう言った。

「挿げ替えなぞはしておらぬ。民の為と思い、黄帝が下した判断である。よって我らは司護殿の求めに応じ、楊州王に助力をしたまでのことだ。もし、我らが間違っているのであれば、司護殿も間違っている事になる。この周辺の民を見てみよ。間違っていると言う者はおるまい!」

 

 これで大体、勝敗が決まったようなものだった。

 僕の名を利用するというのは、この事だったのね。

 確かに天災は起こっていませんね。

 なんたって、最強の固有スキル「吉兆」を所有していますから……。

 

 けど、気になったのは孔鮒って奴だ。

 妙に落ち着きがなかったような気がするけど、気のせいかな?

 気にしても仕方ないか……。

 

 弁論大会は黄巾党の圧勝みたいな感じで終了した。

 まぁ、当初から出来レースの雰囲気ありましたけどね。

 これが噂になって会稽郡に行けば良いのですが……。

 

 では、12月の政略フェイズに行くとしよう。

 大体、同じなんですけどね。

 

 長沙は韓曁が銀山採掘。

 桂陽は李通が城壁補修。

 零陵は周泰が劉君と竹千代の武芸指導。

 武陵は厳顔が零陵に移動。

 

 そして臨賀郡は……。

 蔡邕、徐奕、桓階、杜襲、是儀、陳端、張紘、満寵、王儁が開墾。

 僕、繁欽、尹黙、趙儼、灌嬰、張昭、秦松、王烈、孫乾、管寧、劉度が街整備。

 劉先、范増、邴原が城郭整備。

 賀斉、趙陀が帰順。顧雍が治水。

 鞏志が教授で政治力アップ。

 金旋が教科。

 周倉は僕の護衛。

 邯鄲淳が零陵に移動。

 鐘離昧が城代になる為に武陵に移動。

 張承、頼恭、厳畯、張範、来敏、李孚、游楚は衡陽に移動。

 

 衡陽建設期間は残り二か月。


 それと全員の給料を零陵から負担。

 金5100を消費。

 

臨賀パラメータ

農業941(1000) 商業876(1000) 堤防79 治安100

兵士数31300 城防御179(500)

資金9147 兵糧110200 


零陵パラメータ

農業1300(1300) 商業1300(1300) 堤防100 治安100

兵士数53646  城防御361(500)

資金3860 兵糧173400

 

長沙パラメータ

農業1200(1200) 商業1500(1500) 堤防100 治安100 

兵士数44973 城防御600(600)

資金6980 兵糧163000

 

桂陽パラメータ

農業1000(1000) 商業900(900) 堤防100 治安100

兵士数52282 城防御340(500)

資金1976 兵糧144700  

 

武陵パラメータ

農業1200(1200) 商業800(800) 堤防100 治安100

兵士数54345 城防御498(500) 

資金3567 兵糧175000

 

 さて、問題は益州と交州か。

 天帝教は、どうでも良いとして、張忠の所の劉備達をどうするかだなぁ……。

 あ、それと金旋の新スキルは弓兵でした。

 まぁ、いいか……。


現在の位置情報。


長沙

張任、韓曁、杜濩


武陵

鐘離昧、朴胡


桂陽

李通


零陵

厳顔、周泰、沙摩柯、邯鄲淳


臨賀

蒋欽、国淵、甘寧、桓階、劉先

杜襲、賀斉、尹黙、満寵、趙陀

金旋、陳平、孫乾、繁欽、彭越

秦松、劉度、王烈、徐盛、鞏志

蔡邕、徐奕、王儁、顧雍、趙儼

是儀、陳端、張紘、張昭、管寧

灌嬰、司護、范増、周倉、邴原



衡陽建設中

張承、頼恭、厳畯、張範、来敏、李孚、游楚


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