表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
71/216

第四十八話 弁論大会の準備

 10月となりました。

 交州がどうも不穏ですが、現時点では静かなものです。

 ずっと静かだったらバンバン都市建設しちゃう所なんですが……。

 

 食糧も豊富ということだけあって、間引きとかは行われません。

 ……てか、許しません。

 でも、孤児とかもいますから、そこは孤児院を立てて経営させております。

 虎の覆面被った人は来ませんけどね。

 

 それと件の交州から僅かばかり臨賀郡に移民が増えてきました。

 でも大規模ではないので、問題なし。

 何処も訴訟とかはありますが、名無しの能吏君達で充分カバーしております。

 他の四郡でも同じです。汚吏がいないって平和なもんです。

 

 そうそう、竹千代から手紙が来ました。

 何でも友達が一人増えたとか。

 姓は劉らしいですが……誰だろう?

 周泰も劉君に武芸を教えているとのこと。

 会った時にでも、パラメータチェックしてみるか……。

 

 僕がいつも通り、政務室で淡々と書類をチェックしていると、尹黙がやってきた。

 少し気難しそうな表情を浮かべている。

 ……何だろう?

 

「我が君。ご報告があります」

「何だね?」

「交州牧は南海郡の番禺ばんぐを拠点とした模様です」

「うむ。それで?」

「はい。丁公、葛嬰、屠睢とすい、周善、孔秀、王植、王忠、王楷、王垕おうこうという者達を招集したそうです」

「……ふむ。随分と掻き集めてきたな」

「南海郡、蒼梧郡の兵を合わせますと約六万の軍勢となります。臨賀郡の城壁は未だに脆く、攻められたら一大事です」

「確かにそうだ。急いで他の四郡で徴兵し、輸送することに致そう」

「御意」

「他には何かないか?」

「天帝教徒どもが勝手に蒼梧郡との郡境に集落を作り出したとのこと……」

「………面倒な事を。どうしたものかな」

「放っておくと後々、厄介な事になりかねません」

「確かにそうだな……。何か良い手立てはないものか?」

「………はて」

 

 そもそも僕には道教の知識がない。

 儒教も仏教もそうなんだけどさ……。

 まぁ、そんな事は関係ないのかもしれないけど……。

 

 わざわざ郡境に集落を作るということは、こちらが朱符に挑発しているように見せかける小細工かな?

 それ以外、思いつかないんだよね。

 そんな事を考えていると、心の中で声がした。

 

「構わないから、山賊の仕業に見せかけて皆殺しにしちまえよ」

「その声はフクちゃん……って、ええ!?」

「驚くことはないだろう? ああいう癌は早めに除去するに限るさ」

「……う~ん。でも、女子供もいるんじゃない?」

「蠅のガキは蛆だろ? ボンちゃんは蚊を殺してもボウフラは殺さないのか?」

「………そ、それは」

「なら、いいじゃねぇか」

「……いや、もっと良い方法がある」

「ほう? どんな?」

「………朱符にやらせるんだ。そうすれば、郡境を越えて臨賀の民を殺したということになる」

「おお!? 分かってきたじゃねぇか!」

「お待ち下され! ボンちゃん!」

「ジンちゃんか……」

「後々、誹りを受けるかもしれませぬ! 罪人でもない民を見殺しにするなど……」

「黙れ! 腐れ儒者! 犯罪者予備軍を殺して何が悪い!」

「そちらこそ黙れ! 凶賊! 犯罪者予備軍と決まった訳ではないだろう!」

「分ったから二人とも黙れ!」

 

 ……あ~久々に頭が痛い……。

 どちらも一応、正論かぁ……。

 ………そうだ。天帝教って確か、太平道の分派だよなぁ。

 

「……あ、尹黙いたのか?」

「……久々に、いつもの発作ですか?」

「………う。ま、まぁ、そんな所だ。ハハハ……」

「………」

「ちと、豫章に手紙を書いてくれないか?」

「……どのような手紙で?」

「弁舌の長けた者を呼ぶ為にだ。波才殿が良いな」

「……何故です?」

「天帝教と太平道の弁論大会でもやろうと思う」

「……はぁ?」

「つまりだ。民衆の前で『どちらが正統的な教えなのか競ってもらう』という訳だ」

「……天帝教が応じますかね?」

「応じなければ、それで良い。不戦敗になるだけさ」

「………」

「その後、ジャンジャン喧伝してやるまでさ。天帝教は嘘つきで、臆病者で、恥知らずで……」

「……我が君」

「何だ?」

「口調が思いっきり、変わりましたね………」

「………」

 

 僕は尹黙の冷たい視線を感じながら、どうするか考えた。

 やはり宣伝して天帝教の連中を誘き寄せるしかないな。

 そうすれば許汜みたいな雑魚じゃなく、大物が食いつくかも……。

 取りあえず、会議に出してみるか……。

 

「今回の会議は余が提案した天帝教と太平道の弁論大会の開催についてだ。忌憚ない意見を聞きたい」

「我が君……。宜しいですかな?」

「おお、張紘か」

「その、着眼点は面白いと思いますが……。どうなさるおつもりで?」

「どうなさる……とは?」

「ええ『どう優越を競うか』です。そもそも、そのような事自体、聞いた事が御座いませぬ」

「それは集まった民が決める事であろう。審査員などは特に決めぬ」

「……審査員?」

「ああ、その……。つまりだな。こちらで決めるのではない。民が評価をすれば良いのだ」

「……意味があるのですか?」

「そんな事は分らぬ。ただ、天帝教も太平道も広くアピール出来るんだぞ」

「……あ、あぴーる?」

「……いや、その。喧伝出来るのだぞ。双方とも有益であろう」

「我が君。私にも……」

「お? おお、繁欽か。良い。申してみよ」

「我らは黙って見ておれば宜しいのですか?」

「いや、質問タイムを作る」

「質問……何です?」

「……質疑応答の時間を作る。そこで皆に協力して欲しい」

「……どのような協力で?」

「弁舌に自信ある者は積極的に質問して欲しいのだ。そして、天帝教の矛盾を洗いざらいにする」

「……成程、それで我が領内の天帝教徒どもを追い込む訳ですな」

「その通りだ。天帝教が邪教と喧伝されれば、入信する者も激減するであろう」

「しかし、我が領内で入信する者は左程、おりませぬが……」

「いや、交州から来る者達への影響を考えねばならぬ。交州からまた流民が来れば影響があるからな」

「……承知しました」

「他に聞きたい者はいるか?」

「新参者なので恐縮ですが……」

「おお、頼恭か。構わぬ。申せ」

「それならば、出来るだけ弁達者な者が多く必要となりますな」

「おお、そうだな……。一時、衡陽の建設を中断させ、邯鄲淳先生などを呼び戻すとする。数が多い事に越したことはない」

 

 こうして弁論大会の開催が決まった。

 宣伝費用として金300ほど費やし、近隣にも噂を流させる。

 問題は豫章、九江の黄巾党から「誰が来るか」だね。

 それと当日は甘寧、蒋欽、徐盛らを配置し、徹底的に警備をしてもらう。

 まだ火薬はないから爆弾テロはないけど、用心に越したことはないしね。

 

 開催は来月にするとして、まず黄巾党に書状を送った。

 書状には出席希望みたいな事が書かれており、出席者は波才、馬元義、廖化、そしてなんと張宝直々に来るという。

 気合入っているなぁ……。まぁ、天帝教には因縁あるのかもね。

 

 そして、天帝教の方だけど、来るらしい。

 流石に「来ないとマズい」と思ったんだろうな。

 その為に金300も使って、あちこちに噂をバラまいたんだし。

 

 天帝教の参加者は、あの許汜を始め、孟坦、朱房、孔鮒こうふ

 知らない奴ばっか……。

 どんな連中なんだろ?

 

 噂は噂を呼び、遠方からも、わざわざ来る物好きな連中もいるらしい。

 マイクとか無いから、どれだけ声が伝わるか分らないけど、そこは大声でお願いします。

 

 公布は今月初めに行って、開催は来月末の予定。

 実質、二か月の猶予はあるから問題ない筈。

 既に開催地の臨賀では、お祭り気分の者が続出。

 ……いや、祭りじゃないんだけどな……。

 いや、ある意味、祭りか……天帝教の……。

 

 会議も終わり、政務室で寛いでいると「密使が来た」と衛兵が報せに来た。

 聞けば益州王劉焉の密使とか……。

 ……何を企んでいるだろ? 大体、予想はつくけど……。

 

 謁見室に向かうと、そこに居たのは中年の文官。

 パラメータチェックしておくか。

 

龐羲 能力値

政治7 知略6 統率5 武力4 魅力6 忠義4

固有スキル 説得 補修 開墾 判官

 

 まぁまぁ…かな……?

 追い出されたら、何時でも来るように。

 でも、人材不足と思われる劉焉だから、手放す訳ないと思うけどね。

 

「益州王君の使いとか……。余に何用であろう?」

「はっ。我が君、益州王は司護殿を荊州牧、並びに涪陵郡の荊州割譲を御認めになさいました」

「……意味が分らぬのだが」

「ですから、益州王は司護殿を荊州牧に任じなさったのでございます」

「……荊州牧は焦和殿で御座ろう?」

「……いえ。あのような者では、とても勤まりませぬ」

「……しかし、朝廷から任じられた者ですぞ?」

「最早、帝の退位は時間の問題です。今は緊急の時である故、荊州牧に任じられたので御座います」

「……余に『謀反人になれ』と申すのか?」

「これは異な事をおっしゃる。益州王は景帝の末裔ですぞ」

「……まぁ、良い。余に『何をしろ』と申すのだ?」

「さすれば、牂牁郡の奪還に御座います」

「牂牁国の間違いであろう?」

「いえ、牂牁郡です。劉普などという者は光武帝の血をひくとは申せ、最近まで袁術の下で県令を務めていただけに過ぎませぬ」

「……だからと言って、勝手に……。まぁ、良い。直に返事は出来ぬ。後日、改めて来られよ」

「……はっ。では、失礼仕ります」

 

 動いたなぁ……。

 けど、これで僕が「やったぁ!」なんて言うと思ったのかな?

 確かに僕も帝のことは見限っているけどさ……。

 

 でも、これは会議に行く前に誰か相談した方が良いな。

 そうだなぁ……。困った時の范増さんだな。

 という訳で亜父を呼んだ。

 あ、当然。フクちゃんの出番だよ。

 

「何じゃ? あの訳の分らぬ弁論大会なんぞという物に、儂は出る気はないぞい……」

「いや、その件ではない」

「では、何じゃ?」

「実はな……」

 

 僕は范増に一部始終を話した。

 すると范増は大笑いしたんだ。

 

「何じゃい。一々、儂に聞くことかね?」

「一応、亜父に相談した方が良いと思ってな……」

「お主はどうしたいのじゃ?」

「そんな事は決まっている。無視するつもりだ」

「それで良い。今は朝廷に形だけでも従っておくのが吉だからのぉ」

「家臣らにも伝えた方が良いか?」

「それは止めておけ。家臣どもが二分される危険もあるしの」

「それもそうか。では、握り潰すことに致そう」

「だが、これで劉焉の考えは分ったのぉ」

「いや、まだだ。余を謀反人に仕立てる企てかもしれぬ」

「ホッホッホッ。用心深いのぉ」

「当然であろう。こんな陳腐な策で、余を誑かせると本気で思っている訳があるまい」

「そうじゃのぉ。一応、向こうは少し手の内を見せただけじゃろう」

「いざとなれば『同盟を結ぶ用意がある』ということか……」

「そういうことじゃな。まぁ、これで選択肢は広がった訳じゃが……」

「あまり良い選択肢と思えないがね。揚州王との関係が悪化するであろうし……」

「そういえば、その揚州王をどうするつもりじゃ?」

「どうもにもせんよ。今は恩を売るだけ売ってやるさ」

「売ってどうする?」

「南陽王劉岱への手土産にする。それと襄陽王劉表の出方次第だな」

「……ふむ。では、北を狙うか?」

「いや『北も狙う』だ。まず、今は南を狙う方が良いだろう」

「ホッホッホッ。その通りじゃの」

 

 う~ん……。黒い……。

 だけど、外交なんてもんは、狐と狸の化かし合いみたいなもんか……。

 現実世界の僕には無理だなぁ……。

 

 では、今月の政略フェイズといきますか。

 ほとんど変わらないけど、それが内需拡大ってもんです。

 ……ええ、地味なんです。

 けど、コツコツやっていう事こそが一番、無難なんです。

 

 危ない橋なんぞ、渡りたくないしね!

 危機一髪の展開なんて、僕は望んでいませんから!

 劉備みたく人肉食って放浪するなんて、冗談じゃない!

 

 長沙は韓曁が銀山採掘。杜濩が臨賀郡に金3000、兵糧20000を輸送。

 桂陽は李通が城壁補修。

 鞏志が兵二万を徴兵。

 零陵は相変わらず周泰が竹千代の武芸指導。ついでに劉君も?

 それと弁論大会への金300を捻出……と。

 

 臨賀では……。

 蔡邕、徐奕、桓階、杜襲、是儀、陳端、張紘、満寵、王儁、金旋が開墾。

 僕、繁欽、尹黙、趙儼、灌嬰、張昭、秦松、王烈、孫乾、管寧、劉度が街整備。

 劉先、范増、邴原が城郭整備。

 張範、賀斉、趙陀が帰順。顧雍が治水。

 で、周倉は僕の護衛ですね……。

 

 衡陽建設には

 陳平、張承、頼恭、鐘離昧、邯鄲淳、厳畯

 残り二か月。

 

 ……ごめんよ。周倉。

 でも、僕もいい加減、護衛スキル持ちの可愛い女武将とかの方が良いんだよ!

 

臨賀パラメータ

農業652(1000) 商業594(1000) 堤防82 治安100

兵士数28500 城防御107(500)

資金4536 兵糧110200 


零陵パラメータ

農業1300(1300) 商業1300(1300) 堤防100 治安100

兵士数53646  城防御361(500)

資金7660 兵糧173400

 

長沙パラメータ

農業1200(1200) 商業1500(1500) 堤防100 治安100 

兵士数44973 城防御600(600)

資金3980 兵糧163000

 

桂陽パラメータ

農業1000(1000) 商業900(900) 堤防100 治安100

兵士数52282 城防御320(500)

資金6376 兵糧144700  

 

武陵パラメータ

農業1200(1200) 商業800(800) 堤防100 治安100

兵士数54345 城防御498(500) 

資金2767 兵糧175000


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ