第四十五話 南昌での会談
6月となり、すっかり蒸し暑くなってきました。
国淵らは既に早馬で臨賀郡に向かわせたので間に合いますが、僕らはノコノコと西へ移動中。
それと国淵からの情報によると、鄭玄と孔融は陶謙によって牢獄に入れられたとか……。
何をしているんだ? 陶謙は……。
やっぱり新興宗教の洗脳って怖いなぁ……。
途中、合肥を経由して行くことになりました。
ここは袁術の御膝元ですので、堂々と名乗ることは当然、出来ません。
けど、合肥に行く理由、そう! それは!
人材発掘の為です。当然ですね……。
まぁ、天帝教に関しての情報収集というのもありますけど……。
でも、合肥に人材いるかなぁ? いるといいなぁ……。
それはそうと、気になっていたことがあります。
という訳で先生カモン!
「……唐突に何じゃな?」
「趙達の能力を教えて下さい」
「……半年前に天災を予知することが出来る。よしよし」
「……それだけですか?」
「それだけとは何じゃ!? ……確かに吉兆持ちでは意味ないがのぉ」
「じゃあ、他に聞きたいこともあったので、ついでに……」
「何じゃ?」
「徴兵ってやった事ないんですが、どうやるんです?」
「何と!? 今まで、やった事がないのか!?」
「はい。必要なかったので……」
「金100と兵糧1000で兵1000を雇う事が出来るぞ。よしよし」
「なんだぁ……。結構、集まりやすいんですね」
「お主!? 何を言っておる!?」
「何を……って?」
「普通なら苦労して兵をかき集めて……。荊南四郡が、あんな事になっているのを失念しておったわ」
「ふふん。これも地味過ぎる内政重視の賜物です」
「……全く。次から次へと人材をかき集めおってからに……」
「こんなの基本中の基本ですよ。本当は、まだまだ欲しいんですけどね」
「この業突張りめ。程々にしておかんと、後でしっぺ返しが来るぞい」
「しっぺ返しが来る前に、どうにかしますんでご安心を」
「良くない! ちっとも良くない!」
「何で???」
「言ってみたかっただけじゃ。ではの」
まぁ、いいか。兎も角、これで兵数は確保できるんだし……。
それはそうと、内政要員をもっと集めないとね。
けど、袁術の配下になっているような奴じゃあ、大したことないしなぁ……。
あ、孫堅たちをディスっている訳ではないんですからね!
合肥まで行く途中、宿場町に寄りながら目を瞑って通行人を見るけど、やっぱり人材はいない。
そりゃ、そうだよなぁ……。簡単に見つかる訳がないか……。
やっぱ豫州や兗州あたりをウロつかないと出くわさないのかなぁ?
合肥に到着すると、意外にも平和そうな街だった。
まぁ、城壁とかは随分と所々、壊されていたけどね。
ここも随分と戦闘が繰り広げられた場所らしいからなぁ……。
ここの県令は袁渙って人物らしい。
袁術の一族だと思っていたけど、どうも違うようだ。
……ややこしいなぁ。
宿屋に行き、その辺の人々と雑談を交す。
そうする事によって、新たな人材発掘の糸口が見つかることがあるからね。
酒を奢ったりして聞き込みをし、数時間後にやっと目星がついた。
なんでも張範、張承という兄弟が洛陽から官を捨てて近くの村に居るとか……。
早速、行こう。そうしよう。
張範、張承の兄弟が移り住んでいる場所は、琵琶湖以上もある大きな湖、巣湖の畔に住んでいるとのこと。
問題は両者とも親が司徒だの太尉だの歴任しているから、僕のことを歯牙にもかけない可能性がある。
まぁ、駄目元でやってみるしかないね。
そして明日の登用に備え、僕が寝ようとした時、亜父范増が部屋に入って来た。
何でも天帝教について、情報が入ったとか……。
「我が君。ちょいと失礼しますぞ」
「うむ。構わぬ。亜父よ。何か分った事があったか?」
「繋ぎと連絡が取れましてな……。どうも古の者が絡んでいるぞい」
「……やはりなぁ。で、誰だか分かるか?」
「そこまで分らんのぉ……。だが、やり口からして恐らく、あ奴らかと思うんじゃが……」
「誰だ?」
「陳勝、呉広の両名じゃ」
「また厄介な奴らが……。しかし、どうやって陶謙を籠絡したのだ?」
「そこまでは分らんよ。ただ、あの陶謙という男、随分と思い込みが激しいようじゃの」
「名士二人を牢獄に入れたのだ。面倒な事になったなぁ……」
完全にイッちゃっているよなぁ……。
けど、過去の人間が実際に甦っている世界だしなぁ……。
僕には何とも言えないや……。
翌朝、まだ暗いうちに僕達は巣湖へと向かった。
ここまで来た以上、張兄弟を連れて帰るぞ!
教えてもらった道を進み、進んで行くと畔の所に教えられた家があった。
家は特に狭くもなく、大きくもない。
名門の出自の割に随分と質素だ。
范増の情報によると邴原の親友だとか……。
それなら邴原の事を出して、上手く説き伏せるしかない。
家に近づくと上半身裸で釣りをしている青年がいた。
どうやら張範っぽい。早速、パラメータチェックしてみよう。
張承 字:公先 能力値
政治7 知略6 統率3 武力2 魅力7 忠義7
固有スキル 説得 鎮撫 教科 教育
悪くない。てか、都市開発にピッタリ!
こんな所で燻らせているのは勿体ないので、とっとと雇用しよう。
「どうです? 釣れますか?」
「今、始めたばかりですよ。そう、急かしなさんな」
「おっと、これは失礼」
「こんな朝早く、何の用です?」
「実は大物を釣り上げに参りました」
「ほう? どんな大物です?」
「張兄弟という名門の大物です」
「ハハハ。それは無理じゃないかな」
「どうしてです?」
「私も兄も仕官には興味がない。お引き取りを」
「まだ私が何処の家中とも言っておりませんが……」
「何処の家中も関係ありません。もう興味ありませんから」
「そうは行かない。ここで待っています」
「私や兄は太公望のような大魚ではありませんよ? 無駄ですから」
「いやいや。それでは私が、ここまで来た意味がないのです」
「強情そうなお人だね。貴殿も……」
「ハハハ。確かに家臣からは、それで何時も文句言われますから」
「……袁術殿の遣いではないのですか?」
「残念ながら袁家ほどの名門ではありません。いや、家格は無いも同然です」
「……ひょっとして、貴殿は長沙府君か?」
「はい。司護と申します。張承殿」
「そうでありましたか……。いや、本当に自ら来るとは思いませんでした……」
「それで如何でしょう? 我らの御力になって下さいませんか?」
「私は構わぬが、兄者が……」
「張範殿が如何致しました?」
「いや、貴殿が直に会えば、気が変わるかもしれません。どうぞ、こちらに」
家に入ると随分とまた質素だ。
釣った魚と庭の畑で採れた野菜での、その日暮らしだからねぇ。
賀斉や甘寧は絶対に無理だろうなぁ……。
張範も随分と渋ったけど、邴原がこちらにいる事を知るとアッサリ承諾してくれた。
まぁ、どうも「袁術に誘われていた」とのことだから、それよりはこっちに来たという所かな?
しかし、袁術って人気ねぇなぁ……。
孫堅も何でまた、そんな所にいるのやら……。
おっと、張範のパラメータ出しておかなくちゃ……。
張範 字:公儀 能力値
政治8 知略6 統率2 武力1 魅力8 忠義7
固有スキル 帰順 鎮撫 説得 名声
張兄弟を手に入れた後、合肥を後にした。
ついで柴桑に渡り、南昌へと赴く。
途中、張兄弟とは分れて先に臨賀へと向かわせた。
柴桑は現在、黄巾党が占拠している。
随分と荒れているみたいだけど、民衆は黄巾党を支援しているので、治安も割と良い方だ。
元々、肥沃な土地なので、急いで開墾しているみたいだけどね。
問題は、あまり内政要員がいない所かなぁ?
その点、ウチは内政要員が豊富ですよ。それに、また獲って来たしね。
柴桑を南に下り、南昌へ到着。
やたらと腰が低い裴元紹が、お出迎えしてくれました。
僕が「ド変人への歓待、ご苦労」と言うと、俯いて何も言わなくなった。
ええ。エセ仁君なので性格悪いですよぉ。
裴元紹の案内で政庁へ向かい、張宝、張梁兄弟と面会する。
双方とも不安そうな表情をしていたけど、僕が笑顔で来たと見ると、安堵の表情に変わった。
それと同時に僕は印璽を取り出して、口を開いたんだ。
「これが豫章、九江の印璽です。どうぞ、お納めください」
張宝は印璽を手に取ると、感慨深い表情になった。
そして僕に話しかけてきた。
「……本当に印璽を授かると思わなかった。この恩は忘れぬ」
「いえいえ。それよりも聞きたいことが御座います」
「何? 遠慮なく言い給え」
「されば、天帝教についてですが……」
両名の表情が急変した。
やはり関係あったんだな……。
そりゃそうか。程遠志がいる時点で関係大アリだしね。
「貴殿は何処まで存じているのだ?」
「(張宝)豫章府君。『何処まで』とは、どういう意味ですか?」
「では、質問を変えよう。聞きたい事は何であるか?」
「天公将軍は現在、何処におられるのですか?」
「………」
いきなり確信を突いてみた。
さて、どんな返答が来るかな?
「フハハハハ!」
「………何が可笑しいのです?」
「安心し給え。兄者は存命である。今は訳あって身を潜めておるがな」
「では何故、天帝教などという怪しげな者どもが跋扈しているのです? 連中の中には程遠志などの元黄巾党の者も多いとか……」
「……色々と理由がありましてな。宜しい。貴殿には恩も有りますし、ここだけの話にして下されよ」
その理由なんだけど、やはり派閥争いが発端だそうで……。
張角は管亥、卜己、彭脱らを伴い、北海郡周辺で隠れているとのこと。
天帝教については、黄巾党にいた闕宣が音頭を取り、程遠志らを誘って天帝教を作った。
この天帝教というのが厄介な事に、今まで内部での不満が溜っていた賊徒あがりの連中が中心だとか……。
そして、陶謙の配下である笮融、曹宏らと結託し、陶謙を抱き込み、天師と名乗る闕宣を崇めているとのこと。
もっと厄介な事に、天帝教の背後には袁術の影もチラホラ見られるとか……。
袁術としては黄巾党の内訌を企てたのかもしれないけど、その結果がこんな事に……。
そして天帝の使いとして、復活した李膺と竇武がいるらしい。
怪しい……怪し過ぎる……。
しかも影で袁術がいるとなると、かなり面倒だ……。
袁術としては天帝教らの連中を使って、劉繇、劉寵を牽制するつもりなんだろうなぁ……。
それと袁術の所にも、誰か古の者がいるんじゃないかなぁ?
こんな事をする奴、袁術の配下に心当たりがいないもの……。
何はともあれ、僕の仕事は終わり。
これで堂々と黄巾党と同盟が組める訳だ。
あとは交州次第ということかなぁ?
更に張宝は僕に、こう言ってきた。
「我らも収拾に躍起になっている。だが、こうなった以上、今は豫章と九江で手一杯である」
「御尤もです。ですが貴殿らが太守となったことで、劉繇殿に恩義がある事をお忘れなく」
「分っておる。司府君の恩も忘れぬ。この上は今の帝を引き摺りおろし、世の中を安定させるつもりである」
「………」
「あ!? まさか貴殿は今の帝を奉り続けるおつもりか!?」
「……いえ。今の帝には期待しておりませぬ。ですが、まず佞臣どもを駆逐させませんと……」
「それならば良かった。我ら同士で戦えば、必ずや民が泣くことになるであろう」
「それについても同意します。しかし、袁術は難敵ですぞ……」
「あの孫堅以外は、そうでもあるまい。面倒ではあるがな……」
「そうでしょうな。ただ、それよりも時期が大切です。無闇な行動は何卒、御慎み下さい」
「分っておる。貴殿を見習い、当分は内政に従事致す所存である」
「それは有難い」
「何故、司護殿が礼を言われるか?」
「ああ、民に代わって礼を述べたまでです」
「……貴殿は本当に仁君であるな。貴殿となら上手くやっていけそうであるよ」
こうして南昌での会談は終了した。
しかし、色々と疲れたなぁ……。
大体、臨賀の最初の内政にも間に合っていないし……。
まぁ、いいか。次は中規模都市の設立に取り組むとするか……。
張範、張承兄弟も使えることだしね。
……といった所で6月の政略フェイズ。
一気に臨賀郡を発展させていくぞ!
長沙は韓曁が銀山採掘。
張任が兵二万を雇用。
零陵は邴原、劉先が城郭整備。
周泰には竹千代の武芸師範役。
沙摩柯が兵一万を雇用。
武陵は厳顔が兵二万を雇用。
桂陽は陳平が治水。李通が城壁補修。
蔡邕、徐奕、王儁、是儀、陳端、張紘、張昭、管寧、顧雍、趙儼、灌嬰、邴原、劉先、彭越、徐盛らが臨賀郡へ移動。
そして臨賀郡が……。
蒋欽、甘寧、鐘離昧が巡回。賀斉が帰順。
金旋が城壁補修。劉度、繁欽、秦松が治水事業。
桓階、杜襲、国淵、満寵が開墾。
孫乾、王烈、尹黙が街整備
厳畯が試しに登用。
臨賀パラメータ
農業52(1000) 商業40(1000) 堤防80 治安77
兵士数10700 城防御11(500)
資金4500 兵糧40000
零陵パラメータ
農業1300(1300) 商業1300(1300) 堤防100 治安100
兵士数53646 城防御337(500)
資金6160 兵糧68400
長沙パラメータ
農業1200(1200) 商業1500(1500) 堤防100 治安100
兵士数54973 城防御600(600)
資金4980 兵糧88000
桂陽パラメータ
農業1000(1000) 商業900(900) 堤防100 治安100
兵士数32282 城防御280(500)
資金5076 兵糧89700
武陵パラメータ
農業1200(1200) 商業800(800) 堤防100 治安100
兵士数54345 城防御498(500)
資金4367 兵糧80000
そして試しに厳畯に登用を命じてみたら、こんな人物がいた。
どんな人物か良く知らないけど、登用確定だ!
これで中規模都市の建設に、また一歩前進!
頼恭 能力値
政治6 知略4 統率3 武力1 魅力5 忠義6
固有スキル 説得 判官
現在の位置情報。
長沙
張任、韓曁、杜濩
武陵
厳顔、朴胡
桂陽
李通、陳平
零陵
邴原、劉先、周泰、沙摩柯
臨賀
蒋欽、鞏志、国淵、甘寧、鐘離昧
桓階、杜襲、賀斉、尹黙、邯鄲淳
満寵、金旋、厳畯、孫乾、繁欽
秦松、劉度、王烈、張範、張承
蔡邕、徐奕、王儁、顧雍、趙儼
是儀、陳端、張紘、張昭、管寧
灌嬰、頼恭、司護、范増、周倉
彭越、徐盛




