第四十四話 広陵三国志?
5月となりました。
道草を食いまくって、やっと秣陵に着いた……。
臨賀郡の落成には間に合う見込みないけど、こっちはやる事をやるだけ。
秣陵の政庁に向かう前に、あの時に世話になった婆さんの所へ向かう。
僕が店に行くと、婆さんは驚きを隠せなかった。
まぁ、滅茶苦茶喜んでくれたけどね。
お年寄りは大切にしないといけません。
大体、今までセリフがあった女性キャラは、この婆さんと蔡邕さんの娘さんだけですよ!
で、婆さんは僕ら三人を歓待するため、ご馳走を用意してくれた。
因みに范増は僕の爺さんという設定です。
周倉は、そのまま護衛ですけどね。
婆さんの所に来た理由、それは天帝教の噂を聞くためだ。
こういうのは、やっぱり商人の方が詳しいだろうしね。
しかも婆さんは行商の元締めだから、情報も豊富だろうし。
僕は雑談を婆さんとしながら、ついでに天帝教について聞くことにしたんだよ。
「そういえば最近、黄巾党は南昌と翻陽にしか見ません。江東も静かになったでしょう」
「ところがねぇ。司護さんや。そうじゃないんだよ」
「……ほう? どうしてです?」
「今度は天帝教とかいう連中が荒らしているんだよ」
「しかし、徐州牧の陶謙殿はそのような無体、許す筈もないでしょう」
「それが違うんだよ。今、広陵郡の太守様は三人いるんだよ」
「ええっ!? 太守が三人ですか!? そりゃ、またどうして……」
「アタシが聞きたいぐらいだけどねぇ……。袁術様が派遣した呉景様。陶謙様が派遣した笮融様。そして劉繇様が派遣した張英様がいてねぇ」
「……広陵郡は徐州でしょう? 何故、袁術殿や劉繇殿が太守を派遣しているんです?」
「三人とも広陵郡の奪い合いをしているからだよ」
「……分りません。劉繇殿は陶謙殿と仲が宜しい筈では? 劉繇殿を楊州王になるよう勧めたのは陶謙殿でしょう?」
「それがねぇ。どうも、おかしな事になっているらしんだよ」
「ほう? それは、どうしてです?」
「いやね。陶謙様が、おかしな天帝教とやらに熱を持っているらしくてねぇ……」
「ええっ!? 何故ですか!?」
「李膺様が生きていらっしゃるらしいんですよ……」
「李膺殿は既に二十年近く前に亡くなった筈では……?」
「それが生きていたらしいんだよ。天帝の御力とやらで、今も生きているとか……」
「……到底、信じられませんなぁ」
「そうなんだよ。どう見てもおかしいだろ? それで劉繇様が書状で陶謙様に注意を促したそうなんだよ」
「……それが陶謙殿の逆鱗に触れたのですか?」
「そう! そうなんだよ! しかも、広陵太守の笮融ってのが、これまた酷い奴でねぇ……」
「どう酷いのです?」
「酷い増税を課しているんだよ。天帝教の寺院を造るとかで……」
「……信心するのは結構なことですが、それを民に押し付けて苦しめるなぞ、言語道断ですな……」
「そうなんだよ。それで劉繇様も広陵の名主に泣きつかれて、張英様を太守に任命したんだよ」
「しかし、袁術殿も黙っておりますまい……」
「あの方も厄介な方と聞いているからねぇ……。しかも呉景様ってのが、あの孫堅様の御親族だからねぇ……」
さぁ、広陵で物凄く小っさい三国志の始まりです!
……なんて冗談を言っている場合じゃないよね。
大体、何だよ。天帝教ってよぉ……。
それに誰だか分らないけど、李膺って死んだ筈の人間なんだろ?
それも隠しキャラな訳? 楚漢だけじゃなく?
……訳が分らんので、取りあえず出て来て下さい。
「ホッホッホッ。呼ばれて来てやったぞい」
「あの水鏡先生。秦末期から楚漢以外は隠れキャラっていない筈ですよね?」
「その筈じゃがのぉ……」
「……そう言えば、何故そこまで限定なんです?」
「王莽や光武帝とか出て来ると混乱するからじゃ」
「……意味が分りません」
「もっと言えば、最初から作っておらぬらしい」
「なら、そう言えば……って、ええ!?」
「なので、李膺は儂の知る限り、存在はしていない筈じゃわい」
「じゃあ、騙りってこと?」
「可能性は否定出来んな。だが、儂の知らない事もありそうじゃ。それもよしよし」
「良くない! ちっとも良くない!」
「ホッホッホッ。それを聞いたら満足じゃ。ではの」
酷い話だなぁ……。
けど、これで騙りである可能性が高まったのか……。
「何をブツブツと言っておるんだね?」
「ああ、すまない。婆さん。劉繇殿の所へ行く前に、色々と確認しておかないといけなくてね」
「大変だねぇ。貴方様も……。今じゃ荊南四郡の主様なんだろ?」
「そのうち、五郡になりますけどね。しかし、またおかしな事になりそうですなぁ……」
僕ら三人は婆さんの寮を借り、そこで寝泊まりすることになった。
一日で交渉が片付くと良いんだけど、陶謙がおかしな事にハマっているらしいからなぁ……。
おかしな新興宗教にハマると皆が迷惑するのは、何処の世界もそうなのかねぇ?
翌日、秣陵の政庁に向かうと、やはり騒然となりました。
でも、僕は賊太守ではなく、長沙太守ですからね!
ちょっと詐欺みたいな形で名乗っていますけど……。
謁見室に通されると、以前と同じように劉繇、孫邵、そして知らない初老の男が居た。
一応、誰だか見てみよう。
という訳でパラメータチェック。
章邯 能力値
政治5 知略8 統率9 武力7 魅力7 忠義5
固有スキル 鉄壁 歩兵 騎兵 機略 帰順 補修 制圧
ぶっ!? 章邯! 何でこんな所に!?
韓信や項羽に敗れたとはいえ、やっぱり強いなぁ……。
けど、章邯がいるんじゃ孫策も劉繇さんの攻略は無理かな?
そして僕が目を瞑っていたのを無視するかのように、劉繇さんは口を開いた。
「久しいな。長沙府君よ。実質、四郡の長だから州牧のようなものであろうがな」
「お久しゅう御座います。揚州王君」
「ハハハ。未だに、その名は馴染めぬ。仕方ないがね」
「奇遇ですな。実は私も長沙府君に馴染めておりませぬ」
「ハハハ! 賊太守の方が馴染んでいたか。それで今日の突然の訪問は何用かね?」
「実は、この書状をお持ちしました」
「……ふむ。どれ見せてみよ」
書状を読むと劉繇さんは怪訝そうな顔をした。
まぁ、当然なんだけどさ……。
「これは、どういうことかね? 豫章郡太守に張宝、九江郡太守に張梁とは……」
「その両名を推挙しに参りました」
「……この両名が何者かは知っておるよな?」
「はい。存じ上げております」
「何故だ? この両名は黄巾党の三頭目の二人だぞ?」
「はい。ですから、こうして揚州王である劉繇様にお願いしに参りました」
「………何をしているのか、貴殿は分っておるのか?」
「私も以前、賊太守と揶揄されていた身分ですから、良く分かっているつもりです」
「……しかし、君と黄巾賊では意味合いが違うぞ」
「同じで御座います。黄巾党も元はと言えば、圧政に苦しめられた民の怨嗟の代弁者で御座います」
「………ふぅむ」
「劉繇様もご存じの筈です。今や豫章郡、九江郡は黄巾党を支持しております。山越王も誼を通じておりますぞ」
「………続けたまえ」
「ここで両名を太守として認めれば、会稽、呉、豫章の山越族も劉繇様に靡くと思います」
「………」
「しかるに揚州の安定を目指すならば、この両名において他にはいないと存じます」
「……君は黄巾党と当初から繋がっておったのか?」
「いえ。南昌、柴桑、翻陽が落とされる前までは、誼を通じることが出来ませんでした」
「成程。それならば合点もいく」
「民は既に疲弊しております。悪戯に戦さを仕掛けるよりは、まずは温情を以って優遇するべきではないでしょうか?」
「………うむ。それは道理に適っている」
「ならば、この両名を……」
「長沙府君よ。少し考えさせてくれ。余も突然の申し出に困惑しておるのだ」
「……承知しました。では後日、改めてお伺い申し上げます」
「宿は決めておるのか?」
「幸い、良き知人がおりまして、そこに逗留させて頂いております」
「相分かった。数日のうちに返答しよう」
「それでは良しなに……」
緊張したぁ………。
けど、天帝教については触れる事が出来なかったな。
まぁ数日ばかし滞在することだし、人材発掘でもしながら待つことにするか。
ある日、僕が秣陵をブラついていると、後ろから誰かに呼び止められた。
見ると若い男で、みすぼらしい服装をしている。
ひょっとして逸材かな? パラメータチェックしてみるか……。
趙達
特殊人材のため、表示不可
ううむ。特殊人材か……。
効果は分らないけど、貰ってきた方が良さそうかな?
そんな趙達が僕に問いかけてきた。
「何方かをお探しで? 司護殿」
「え? いや、何故いきなり私の名を?」
「ハハハ。こんなのは序の口です」
「そうでしたか。趙達殿」
「えっ!? 貴殿もまさか!?」
「ハハハ。序の口です」
「成程。貴殿の人物評の正体が分った気がします……」
「いやいや。大したことではない。それよりも何用ですか?」
「人を探していますね? 女性を。その人は広陵郡の平安県におります」
「おお、助かる。しかし、平安県の何処までかは……?」
「村の場所もお教えしましょう。お待ちください」
そう言うと、スラスラと村の名前と簡単な地図を書いてくれた。
こりゃあ便利な能力持ちに違いない。
連れて行こう。そうしよう。
「これは有難い。趙達殿。ついでに頼みたいことがあるのだが……」
「はい。何でしょう?」
「荊南に来て貰えないだろうか? 貴殿の力をお借りしたいのだが……」
「ハハハ。そのような事でしたら、お安い御用です」
「おお!? 真か?!」
「はい。喜んで。して、まずはどんなお手伝いを?」
「実は今、郡都を造っておる。運気をもたらす町造りをしたいのだが……」
「成程。分りました。では、早速向かうことにしましょう」
「宜しく頼みますぞ。趙達殿」
何か凄い人材を発掘したような気がする……。
それはそうと、政治力5しか取り柄のない雑魚とか転がっていないかな?
大都市を造るのに便利なんですよね……。
政治力5前後の武官とかでも良いけど、イザという時がありますから……。
そして数日間、人材発掘出来ないまま、劉繇さんの呼び出しがかかりました。
太史慈もいねぇしなぁ……。
もう登用されちゃっているのかも、しれないけど……。
謁見室に入ると劉繇さんは少し緊張した面持ちだった。
果たして成功したかどうか……。
「長沙府君よ。今日来てもらったのは他でもない。豫章郡と九江郡のことよ」
「はい。それで、どのようなご決断を……?」
「既に印璽を造らせた。豫章郡太守張宝と九江郡太守張梁のな……」
「おお!? では!」
「うむ。随分と悩んだが、他に手はないようだ……」
「……それは、やはり陶謙殿と上手くいっていないので?」
「ハハハ。既に耳に届いておったか」
「はい。巷で噂になっております」
「そうなのだ。黄巾党が大人しくなったと思ったら、今度は天帝教よ」
「それには張角らは関わっていないと?」
「関わっているのなら、わざわざ新たな組織なぞ作らないであろうよ。それに黄巾党よりも妙だしな」
「……妙とは?」
「竇武殿が加わったとか……」
「ええっ!? 李膺殿だけでなく、竇武殿も生きておいでと!?」
「そうなのだ。陶謙殿は『両名と会った』と自慢しておった……」
「元々、陶謙殿に面識はあったのですか?」
「以前、都で会ったようだが、もう二十年以上も前の話だぞ。まだ耄碌した齢とは思えんが……」
「成程……。黄巾党よりも眉唾ものですな……」
「しかも天帝教の連中は元黄巾党の厄介者ばかりという。程遠志を始めとする元凶賊連中だ」
「程遠志……。生きていたのか……」
「何か言ったかね?」
「……い、いえ。確かに厄介ですね」
「今、広陵郡は酷い有様だ。かといって、廬江郡の陸府君も袁術との睨み合いで、どうすることも出来ぬ」
「そこで豫章郡、九江郡の黄巾党が……」
「そう。その通り。真に『民の為の軍』と言うのであれば、助けて欲しいのだ」
「……承知いたしました。急ぎ張宝、張梁の両名を説き伏せて参ります」
「貴殿に遣いを任すとは、心苦しいがな……」
「いえいえ。劉繇様には助けて貰った御恩があります。今こそ、その恩を返す時です」
やっぱり、そういう事情かい……。
けど、張角は何処に行ったのかな?
流石にもう寿命が尽きたとか……。
広陵郡は目と鼻の先だし、まずは呂岱の母親でも見つけるか。
ついでに人材発掘出来るといいなぁ……。
豫章太守と九江太守の印璽を受け取り、僕が南昌へ届けることになった。
荊南五郡の長がパシリですよ。
まぁ、これも民の為です。……少し、うさん臭いけど。
長江を渡り、広陵郡へ着くと、呉郡へ渡って行く小規模の流民グループと何度か遭遇。
広陵郡の南東側は劉繇さんが押えているらしく、太守の張英が持ち堪えている模様。
やるな! 張英! 中々の活躍じゃないか!
ただ陶謙の主力は青州に出張っているらしく、既に袁紹、公孫瓚、廬植の連合軍と小競り合い中らしい。
おかしい……おかしいよ。陶謙……。そして劉備いないから、徐州は劉備の手に渡りませんよ……。
そして、そんな流民グループにパラメータのアンテナはっていると……。
いましたよ! やっぱり! 結構な連中が!
国淵 字:子尼 能力値
政治9 知略5 統率1 武力1 魅力6 忠義6
固有スキル 開墾 判官 説得 鎮撫
厳畯 字:曼才 能力値
政治8 知略6 統率1 武力1 魅力7 忠義8
固有スキル 説得 登用 判官 教育
孫乾 字:公祐 能力値
政治8 知略7 統率1 武力1 魅力8 忠義8
固有スキル 説得 機略 弁舌 商才
大豊作です! 有難う! 陶謙! 君は本当に良い人だ!
………そして、色々とごめんなさい。
勿論、三名とも説得して配下になってくれましたよ!
そして三人とも落成間近の臨賀郡へ移動させました。
幸い呂岱の母親も無事に見つけ、広陵を後にする。
あとは南昌にいる張宝と張梁を説得すれば良いだけです。
といった所で今月の政略フェイズ。
やっぱり臨賀郡の落成には、間に合いませんでしたけどね……。
長沙は韓曁が銀山採掘。
賀斉が金6000と兵糧40000と共に臨賀へ移動。
零陵は邴原、劉先が城郭整備。
周泰には竹千代の武芸師範役。
零陵から甘寧が一万の兵と共に移動。
桂陽は……。
蔡邕、徐奕、是儀、陳端、張紘、陳平が開墾。
趙儼、灌嬰、張昭、李通が街整備
顧雍が治水。管寧、王儁が帰順。
満寵、桓階、杜襲、金旋、繁欽、尹黙、秦松、劉度、王烈が臨賀郡に移動。
零陵パラメータ
農業1300(1300) 商業1300(1300) 堤防100 治安100
兵士数43646 城防御313(500)
資金6060 兵糧78400
長沙パラメータ
農業1200(1200) 商業1500(1500) 堤防100 治安100
兵士数34973 城防御600(600)
資金3980 兵糧108000
桂陽パラメータ
農業1000(1000) 商業900(900) 堤防94 治安100
兵士数32282 城防御270(500)
資金4376 兵糧89700
武陵パラメータ
農業1200(1200) 商業800(800) 堤防100 治安100
兵士数34345 城防御498(500)
資金5567 兵糧100000
臨賀パラメータ
農業0(1000) 商業0(1000) 堤防50 治安50
兵士数10000 城防御0(500)
資金6000 兵糧40000
現在の位置情報。
長沙
張任、韓曁、杜濩、徐盛
武陵
厳顔、朴胡
桂陽
李通、蔡邕、徐奕、王儁、陳平
是儀、陳端、張紘、張昭、管寧
顧雍、趙儼、灌嬰
零陵
彭越、劉先、周泰、邴原、沙摩柯
臨賀
蒋欽、鞏志、国淵、甘寧、鐘離昧
桓階、杜襲、賀斉、尹黙、邯鄲淳
満寵、金旋、厳畯、孫乾、繁欽
秦松、劉度、王烈
出張中
司護、范増、周倉




