表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
60/216

第四十一話 臨賀郡建設開始

 さて、2月となった。

 依然として特に動きはありません。

 このまま暫くは束の間の平和かなぁ……?


 去年はそれ程、旱魃や冷害などの被害は全体的に少なかった模様。

 それで黄巾党やら北方の異民族が大人しいらしい。

 ………真実は別にあるような気がするけどね。


 さて、今月から臨賀郡の設計が始まった。

 けど、どんな形で決めれば良いんだろ?

 

「という訳で儂の出番じゃな」

「………便利ですねぇ。水鏡先生は」

「儂も『出て来い!』と言われるのは、あまり好きではないからのぉ……」

「……すいません」

「それもよしよし。で、新たな都市計画のことじゃな?」

「はい。臨賀郡の街を造ろうとは思うんですが、どうやれば良いんです?」

「簡単じゃ。ぶっちゃけ金額で変わる」

「……はい?」

「小規模なら金5千、兵糧5万じゃのぉ」

「中規模や大規模なら?」

「中規模なら金1万、兵糧10万で、大規模なら金2万と兵糧20万じゃな」

「……因みに大規模って、どれ程です?」

「長安クラスじゃな。洛陽クラスは残念ながら造れんのじゃ」

「……長安クラスでも滅茶苦茶凄いですよ。でも、莫大過ぎるなぁ……」

「まずは小規模で良いのではないか? 造るにしても期間も短いしの」

「どれ位の期間で完成するんです?」

「三か月で完成じゃ。ちなみに農業、商業共に上限値は1000となる。中規模は1500で大規模は2000じゃ。因みに城防御は500、700、1000じゃぞ」

「でも、それなら小規模の街をどんどん造成した方が値段安くありません?」

「残念ながら郡や街を造るにも上限があるのじゃ。じゃから本当は大規模な都市をバンバン造った方が、後々お得なのじゃよ」

「成程。それと中規模と大規模の都市の完成時期も教えて下さい」

「中規模は半年、大規模は丸一年掛かる」

「それと内政値はどんな状態です?」

「治安と堤防は50からスタートじゃ。農業と商業は0じゃぞい」

「ええっ!? 0からスタートなの!?」

「街や都市を造るというのは、かなり金も労力も使うのじゃ。土地を均したり、地盤改良したり、街の土台や堀などを造ったりとな」

「……成程。だから簡単に『遷都だぁ!』とか言うと、民にドえらい迷惑がかかるんだな……」

「まぁ、そういうことじゃのぉ。都市計画は綿密にやらんと後悔するぞい」

「他には何かあります?」

「小規模の場合だと政治力が20必要じゃ。中規模の場合は40で大規模は60じゃな」

「……政治力20なんて者はいませんよ?」

「合計して20じゃよ。つまり政治力5の者を四人とか、政治力4の者を五人配置するとかじゃな。ではの」

 

「最初は小規模で」と思ったけど、どうしようかなぁ……。

 大規模は、まず金が足りないし……。

 いきなり独断で決めるのもなんだし、ここは会議で決めた方が良いかな?

 という訳で都市計画について、会議を開くことにした。

 

「今日、呼んだのは他でもない。桂陽郡と零陵郡の南部を一部切り取り、臨賀郡を設置する訳だが、皆の意見を聞きたい」

「我が君。宜しいですかな?」

「うむ。張昭か。貴殿の意見は?」

「はい。この計画は蒼梧郡だけでなく、交州全体に対する牽制と見て宜しいのでしょうか?」

「それもある。だが、それ以上に会稽郡、豫章郡のことも見据えてだ」

「と申されますと?」

「今は黄巾党と山越は友好的な関係にある。だが『これからも永遠に』という訳には成らないであろう」

「それは御尤もでございますな。では、その時の難民を受け入れる下準備ということですかな?」

「うむ。それにどうも交州が気にかかる。朱儁殿本人なら兎も角、ご子息にまで、その器量があるかは分らぬ」

「左様ですな。そう考えれば理に適っていると思われます。儂は賛成致しましょう」

 

 張昭のお墨付きを貰った!

 張昭はまだ三十代だけど、既に重鎮のような佇まいだからなぁ……。

 ある意味、一番孫権が恐れていた男だけあるよなぁ……。

 そして、またもや別の者が挙手をした。

 

「我が君。某も宜しいですか?」

「おお、徐奕。君の意見は?」

「はい。臨賀郡の設置は問題ないのですが、荊州牧の焦和への対応はどうなさりますか?」

「捨て置いて問題ないだろう。州牧とはいえ、完全に名ばかりで影響はない」

「しかし、それでは『朝廷の意向を無視した』と捉えかねませんが……」

「確かにその通りかもしれんな……。ただ、我らは民の安寧を第一とする。焦州牧に関しては事後承諾で問題ない」

「畏まりました。確かに今の朝廷は我らよりも、涼州王と豫州王のことで手一杯でしょうしな」

 

 これで少し朝廷を軽視し出したと思われるのかな?

 でも、僕のやっている事なんて可愛いもんだしねぇ。

 他の勢力がやっている事に比べたら……。

 

「私もお聞きしたい儀があります」

「おお、満寵か。構わぬ。新参者でも遠慮せず、どんどん意見を言ってくれ」

「では、お言葉に甘えさせて頂きます。件の焦和ですが、現在江夏郡に居るとのことです」

「何? 江夏? 何故だ?」

「江夏は袁術の息のかかった劉祥が統治しております。恐らく袁術の兵を借りるつもりかと……」

「しかし、南昌の黄巾党が邪魔であろう?」

「はい。問題はそこです」

「どういうことだね?」

「袁術は現在、揚州牧となっております。ですから豫章郡を攻める大義名分があります」

「うむ。続けてくれ」

「その場合ですと、恐らく焦和は我らにも豫章郡攻めを依頼してくるでしょう」

「………ううむ」

「その際、我らはどう動きますか? 我が君の指針をお聞きしたい」

「……それは臨賀郡の設立と関係あるのかね?」

「……新たに街を造成していることを理由に断るとなりますと、我らが黄巾党と裏で組んでいると誹謗されるかもしれません」

「成程な。確かにそうなると少し面倒か……」

「そこでどうでしょう? 劉繇殿に遣いを出してみては?」

「劉繇殿に? 何故だ?」

「劉繇殿は現在、揚州王を名乗っております。ですから『楊州王の断わりなく豫章郡に兵を動かせない』と言って断るのです」

「おお! 口裏を合わせて貰う算段だな!」

「はい。劉繇殿は袁術と因縁の間柄。ここは弁舌に自信のある者に行かせ、説き伏せましょう」

「うむ。誰か自信のある者はおるか?」

 

 僕は周りを見渡した。

 だが、これには誰も挙手する者がいない。

 流石に皆、自信がないんだろうなぁ……。

 だって黄巾党を庇うという行為に、結果的にはなるんだし……。

 

「そうか……では、仕方がない。余が自ら出向くとしよう」

 

 そう言うと、やはり皆はザワめいた。

 どうせまた「いつもの病気だ」とか言われているんだろうなぁ……。

 けど、今回はジンちゃんではなく、僕の意思です。

 ついでに、あの一帯で人材発掘したいしね。

 中々、この辺にはいないもんで……。

 

「我が君。お待ちください」

 

 そう言ったのは、繁欽だった。

 なんか意外……。

 

「うむ。君が代わりに立候補するのかね?」

「いえ……それは……」

「では、何かね?」

「まだ南昌が攻め込まれた訳ではありませぬ。それに南昌の兵の数は五万以上おりますぞ」

「そんな事は分っている」

「それに山越の援軍も合わされば、袁術もどうにも出来ますまい?」

「確かにそうだ。だが、万が一ということもある。それに余は早い段階で劉繇殿と結んでおきたいのだ」

「そうでしたか。それを聞いて納得しました」

「他に誰か意見はあるか?」

 

 それ以上は誰も何も言わなかった。

 納得したというよりも、諦めているといった方が正解かな?

 

 実際問題、今回の交渉が難しいのは僕も承知の上だからね。

 だから僕が出張らないといけないと思うんだ。

 今までは「また勝手に暴走した~」とか泣き言を言っていたけど、もうこうなったら腹を括らなきゃね。

 

 零陵に残されたのは街造りと城壁整備のみだし、それも終われば桂陽のみだ。

 そう考えると早く臨賀郡を造らないとね。

 現時点では、何処も攻め込めない訳だし……。

 

 僕はその後、自分の部屋へと戻り荷造りを始めた。

 すると竹千代が荷造りをしている僕に話しかけてきた。

 

「父君。何故、家臣を遣いにやらず、ご自身で行かれるのですか?」

「私は以前から大事な時には、決まって自身で赴くのだよ」

「……では、零陵は父君にとって左程、大事ではなかったという事ですか?」

「………う」

「………」

「そうではない。私は張羨様を信頼していたのだ。仁君と名高い張羨様なら、きっと分り合えると思っておった」

「………」

「今となっては後悔しかない。何時もその事が心から離れられない。だが、私はやらねばならぬ」

「………父上」

「為せば成る、為さねば成らぬ何事も、成らぬは人の、為さぬなりけり」

「……それは誰のうたです?」

「鷹山という人物だ。私が尊敬してやまない人物の一人だよ。張羨様と同じくね」

「そうですか……。良い詩ですね」

「竹千代よ。私は君に討たれても文句は言えない。だが、少しばかり待ってはくれないか? 私には、まだまだやらねば成らぬ事が多い」

「そのようなご心配はご無用です。私には父君は一人しかおりませぬ」

「おお!」

 

 僕は竹千代を抱きしめた。

 変な意味じゃないですからね!

 ……そんな冗談でも言わないと辛いんですよ……。

 

 旅の伴をするのは周倉と亜父范増。

 以前、秣陵へ向かった長江のコースは危険だからだ。

 現時点で柴桑周辺は、黄巾党と袁術の睨み合いが続いているからね。

 だから新ルートの豫章郡から会稽郡へ向かうコースとなる。

 

 会稽と言えば、誰か忘れていた気がした。

 そうだ! 虞翻がいたじゃないか!

 ついでに仲間にしよう。そうしよう。

 内政要員は多ければ多い方が良いからね。

 大都市建設も予定しているんだし……。

 

 そうそう、それと臨賀郡の建設ですが、小規模にしました。

 荊南は広く、他にも街が造れそうなので、今回は無理しない方針。

 まだまだ揚州には人材埋もれていそうだしね!

 色々、御免なさい。劉繇さん……。

 

 旅を控えた前日の就寝前、僕は陳平を呼び出し、豫章と会稽について聞くことにした。

 陳平達がそのルートを使って青州に行ったからね。

 それを僕が思い出したんだよ。

 

「すまぬ。ちと、聞きたいことがあってな……」

「何です? 私も暇じゃないんですよ。こんな夜更けに……」

「ハハハ。色町に出かけるのも程々にな」

「……分っていますよ。で、どんな用件なんです?」

「明日の通商路についてだ。豫章、会稽、呉はどんな状況だ?」

「豫章は平和なもんですよ。いっそ張梁が太守になったら、民衆は大喜びなんじゃないんですかね?」

「そこまで統治が上手く行っているのか……」

「民にとっちゃあ、音頭をとるのが漢でも賊でもいいんですよ」

「そんなものかね?」

「何を言っているんです? 代表的な人物が私の目の前にいますがね」

「ハハハ! もう賊太守と呼ばれなくなったのでな」

「ハハハ……全く。で、会稽ですが太守が代わりました」

「ほう? 郭異という十常侍の縁の者と聞いておったが……」

「追い出されたんですよ。正確にはね」

「追い出された? 誰に?」

周勃しゅうぼつという賊にです」

「何? 周勃だと?」

「はい。黄龍羅とかいう仰々しい名前の弟分と一緒にね」

「それで、そのまま太守に任命されたのか?」

「ああ、朝廷にじゃないですよ。揚州王の劉繇にです」

「大丈夫なのか? そんな事をして……」

「揚州牧を名乗る袁術としては面白くないでしょうね。折角、陳瑀ちんうを呉郡太守に、周尚とかを会稽太守に任じているのに」

「その二人は傑物なのか?」

「微妙でしょうなぁ……。まぁ、平均点といった所でしょう」

「因みに今の呉郡の実質的な太守は誰だ?」

「劉繇派閥の盛憲とかいう奴ですね。まぁ、こいつも微妙でしょう」

「成程、袁術と劉繇殿で、既に楊州において覇権争いをしている訳か……」

「それとついでですが、豫章の方にも双方、口を出していますよ」

「豫章も揚州だから当然だろう。しかも、肥沃で左程、荒らされていないからな」

「袁術は諸葛玄とかいうのを推挙しているそうですが、劉繇は決めかねているそうですね」

「……まさか諸葛亮の?」

「はい?」

「いや、何でもない……。そうか」

「ただ、安心してください。交易路は安定していますよ」

「……うむ。何か変な違和感があるが、安心した」

 

 周勃って確か楚漢の頃、劉邦に仕えていた奴だったよな……。

 まぁ、いいや。それよりも、ちょいと僕は気になったことがある。

 というのも、劉繇が賊だった者をアッサリと太守にしたことだ。

 

 そう言えば、僕が秣陵に行った時もアッサリと帰してくれたっけ。

 となると、凄いウルトラCのやり方があるなぁ……。

 張梁を南昌の太守に劉繇が任じれば……。

 

 まぁ、この事は道中で考えることにしよう。

 それでは今月の政略フェイズ。

 

 武陵は厳顔が補修。

 桂陽は李通が補修。

 長沙は韓曁が銀山採掘。


 零陵は……。

 蔡邕、徐奕、桓階、杜襲、是儀、陳端、張紘、満寵、金旋が桂陽に移動。

 繁欽、尹黙、趙儼、灌嬰、張昭、秦松、王烈、管寧、劉度、陳平が街整備。

 王儁が帰順。顧雍が治水。

 邴原、劉先が城郭整備。

 僕と范増、周倉は豫章郡へ出発。

 周泰には竹千代の武芸師範役。


 邯鄲淳、鐘離昧、蒋欽、鞏志に臨賀郡の街の建設を開始。

 なお、資金は長沙から3000、武陵から2000。

 兵糧は武陵から50000を捻出。


零陵パラメータ

農業1300(1300) 商業1300(1300) 堤防93 治安89

兵士数52746  城防御241(500)

資金3060 兵糧78400

 

長沙パラメータ

農業1200(1200) 商業1500(1500) 堤防100 治安100 

兵士数34973 城防御600(600)

資金980 兵糧148000

 

桂陽パラメータ

農業697(1000) 商業757(900) 堤防100 治安95

兵士数30182 城防御250(500)

資金6103 兵糧89700  

 

武陵パラメータ

農業1200(1200) 商業800(800) 堤防100 治安100

兵士数34345 城防御487(500) 

資金2467 兵糧100000

 

現在の位置情報。


長沙

張任、韓曁、杜濩


武陵

厳顔、朴胡


桂陽

李通、蔡邕、徐奕、桓階、杜襲

是儀、陳端、張紘、満寵、金旋


零陵

劉度、尹黙、張昭、秦松、沙摩柯

彭越、甘寧、劉先、管寧、周泰

顧雍、王儁、趙儼、繁欽、灌嬰

陳平、邴原、王烈、


出張中

司護、范増、周倉


臨賀郡建設中

邯鄲淳、蒋欽、鞏志、鐘離昧



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ