第三十七話 もう入蜀!?
9月となった。まだまだ暑い……。
温度は大体25℃を少し超えるぐらいなんだけど、何しろ湿度が高くて蒸し暑い。
だけどもそれは他とは違い、適度に俄か雨が降り注ぎ、米などの出来は良いということになる。
他の地域は旱魃が続いていると聞くと、少し申し訳ないように思う。
さて、では9月前半の政略フェイズ。
……と思ったら劉表からの使者が来たらしい。
蒯良ということだけど、何の用だろう?
一先ず、謁見室に行き、話すことにしよう。
「よう参った。蒯良殿。劉使君は息災かな?」
「我が主、劉表様は襄陽王となられました」
「なっ!? 今、何と申された!?」
「はい。ですから、襄陽王となられました………」
「……それは目出度いな。成程、そのご報告でありましたか」
「いや、もう一つ。問題がございまして……」
「……問題ですと?」
「申し訳ございませぬ!!」
すると、いきなり蒯良が土下座した。
一体、何だ!? 何が起こったんだ!?
何か嗚咽まで聞こえてくるし!?
仕方ないので、その先を聞いてみることにするか……。
凄く嫌な予感しか、しないんですけどねぇ……。
「泣いていても分らぬ。説明してくれ。蒯良殿」
「……はい。実は太守任命は果たせませんでした」
「……そうでしたか。仕方がありません。もう少し様子を見ましょう」
「もう一つあります。零陵太守に、あの曹寅が任命されました!」
「なっ!? 曹寅!? あの曹寅か!?」
「はい! そして、その曹寅は南郡太守に任命された蔡瑁殿に武陵を攻めるよう、急かしているのです」
「……我らが大人しく、零陵を明け渡さないことを踏んでいるのだな」
「……はい。なるべく蔡瑁殿には良く言い聞かせ、こちらで引き止めますが……。もしもの時は」
「我らは引かぬぞ! 大体、長沙太守の件を反故にしているのは、そちらですぞ!」
「分っております。ですから、こちらがもし軍勢を出した場合、お互い睨み合いのままで終わらせて貰いたいのです」
「………劉表殿には劉表殿の立場もあるだろうしな。相分かった」
「おお、有難うございます!」
どういうことだよ!?
襄陽王って何!? 襄陽王って!?
けど、驚くべきはこれだけじゃなかった。
続々とおかしなことが、報告されてきたんだよ。
劉焉が益州牧から蜀王に。
兗州刺史の劉岱が南陽王に。
楊州牧の劉繇が丹陽王に。
淮南の劉普が牂牁王に。
……もう、頭痛くなってきた。
さらに追加すると、今までいた有名無実の王が廃されたとか……。
全員、領地を捨てて賊から逃げちゃったらしいね……。
それと同時に益州牧に楽松。
并州牧に江覧。
楊州牧に袁術。
荊州牧に焦和。
豫州牧に黄琬。
兗州牧に賈護。
……が、それぞれなったらしい。
もうムチャクチャ過ぎるよ……これさぁ。
楽松、焦和、江覧、賈護なんて誰だか分らないし……。
もう意味が全く分りません!!
大体、劉普がいる牂牁郡って、零陵のすぐ隣じゃねぇか!?
それで誰なんだよ!? 劉普ってさぁ!?
……さらにまだ続くよ。
巴郡は広すぎるため、四つに分けられたらしい。
西は巴西郡。太守は前鉅鹿太守の郭典。
中央の巴郡には前廬江太守羊続。
東は巴東郡の太守には元巴郡太守曹謙。
そして南東部の涪陵郡には張忠が太守らしい。
張忠って何処かで聞いた名だと思ったら、桂陽の前太守で桂陽を滅茶苦茶にしていったダメ太守じゃねぇか……。
何でそんな奴を復帰させるんだよ……。
曹寅といいさぁ……。
僕は訳が分からなくなったので、尹黙を呼び、聞くことにした。
州牧から王になる意味が分らなかったからだ。
「尹黙よ。ちょいと訊ねたいことがある」
「何なりと。我が君」
「州牧から王に任命されたのには、意味があるのか?」
「はい。州牧は、その州全体に発言権があります。しかし、王は国というか郡だけしか発言権がないのです」
「つまり事実上の格下げということか?」
「いえ、そうではありません。栄誉としては上なのです」
「すると名は上になり、実は下となったという訳か?」
「そのように捉えても良いでしょう。ですが……」
「何だ?」
「……王になれば帝位の継承権が発生します」
「何? では、今の帝と弁皇太子がいなくなれば……」
「左様。国王達による帝位継承への争いが行われるかと……」
もう、いいや……。
まずは9月前半の政略フェイズです。
長沙は韓曁が銀山採掘。杜濩が城壁補修。
武陵は厳顔が補修。
桂陽も李通が補修。
零陵は……。
蒋欽が訴訟問題。
蔡邕、徐奕、桓階、杜襲、是儀、陳端、金旋、張紘が開墾。
顧雍が治水。
僕、繁欽、尹黙、趙儼、灌嬰、張昭、秦松、劉度が街整備。
范増が城郭整備。彭越が巡回。
王儁が帰順で、周倉は引き続き僕の護衛。
零陵パラメータ
農業361(1300) 商業355(1300) 堤防97 治安95
兵士数49146 城防御109(500)
資金2754 兵糧30000
長沙パラメータ
農業1200(1200) 商業1500(1500) 堤防100 治安100
兵士数34973 城防御594(600)
資金3780 兵糧28000
桂陽パラメータ
農業697(1000) 商業757(900) 堤防100 治安95
兵士数30182 城防御160(500)
資金3261 兵糧22000
武陵パラメータ
農業1200(1200) 商業800(800) 堤防100 治安100
兵士数34345 城防御388(500)
資金2467 兵糧30000
零陵も随分と復興しだした。
それなのに、むざむざ曹寅なんて奴に引き渡してたまるか!
それはそうと、問題は郡から国になった牂牁国。
それと巴郡から別れた涪陵郡だ。
そして聞くところによると、蔡琰は更迭されたらしい。
特に名君でもないけど、暗君でもないらしいけどね。
でも、滅茶苦茶する十常侍の縁者たちに比べれば、よっぽどマシです。
あと気になるのは荊州牧の焦和。
いきなりの抜擢だから、かなり能力値高いのかな?
なので、まずは范増を呼び出して聞いてみることにする。
「良く来た。亜父殿よ。つかぬことを聞く」
「うむ。何の用じゃ? まだ、城壁が穴だらけだから、手短に頼むぞい」
「新任の荊州牧の焦和や、益州牧の楽松とは何者だ?」
「……ただのボンクラじゃ」
「ボンクラ?」
「そうじゃ。口だけは達者な帝のお気に入りどもじゃの。鴻都門学とやらで、それなりには学はあるらしい」
「それで何故、ボンクラなのだ?」
「まず政治がまるで分っておらん。前益州刺史の郤倹と同じ部類じゃな」
「また何でそんな者を、州牧などという重要な地位にしたのだ?」
「劉表や劉焉らへの牽制じゃろう。それに焦和は劉表と一応、同じ机を並べた知り合いらしいからな」
「そうか。なら問題はないか?」
「ただ、面倒な曹寅がおるからなのぉ。いずれ武陵、零陵に兵を進めるつもりじゃろう。劉表にその気がなくともな」
「涪陵郡と牂牁国からも、援軍の可能性はあるか?」
「あると思った方が良いじゃろう。牂牁王の劉普も県令あがりだが基本的には凡人じゃ」
「しかし、油断は出来んな……」
「そうじゃのぉ。牂牁国は零陵ほどではないにしろ荒れ放題じゃから、すぐには無理じゃろうが……」
「となると問題は涪陵郡の張忠ということか……」
「そ奴も無能者じゃが、野心と自己意識だけは曹寅と同じで高いからのぉ……」
「……こうしてみると、余の周りは無能者ばかりで固めているようだが、何か意図はあるのか?」
「そうじゃな。ある程度、能力がある者なら、わざわざここには攻めて来ない。朝廷からの命でも、のらりくらりと間を置く筈じゃ」
「成程。無能者故、攻めてくる可能性が高くなるということか……」
「ただ、牂牁国だけは気をつけた方が良い。無能でも帝の親族と同じ扱いじゃ」
「ハハハ。捕えたら人質にするまでだ。交渉材料ぐらいにはなるであろう」
「うむ。それが一番じゃな」
「……そういえば曹寅だが、あ奴に刺客を送れるか?」
「それは無理じゃ。護衛に穆順とかいう、それなりの者を登用したらしいからの」
「そうか。まぁ、仕方ない。別の手を考えるとしよう……」
しかし、他の手立てといっても、下手には動けないからなぁ……。
やっぱり、ここは地道に内政して、様子を見るか……。
今回は特に動きがなさそうだし、9月どころか、10月の前後半まで一気にやってしまおう。
では、9月後半の政略フェイズ開始。
これで兵糧がガッポリ入ってくるぞ!
長沙は杜濩が城壁補修。
武陵は厳顔が補修。朴胡が金2000を零陵に輸送。
桂陽も李通が補修。
零陵は……。
蔡邕、徐奕、桓階、杜襲、是儀、陳端、金旋、張紘、王儁が開墾。
顧雍が治水。
僕、繁欽、尹黙、趙儼、灌嬰、張昭、秦松、劉度が街整備。
范増が城郭整備。彭越が巡回。
周倉は引き続き僕の護衛。
零陵パラメータ
農業484(1300) 商業458(1300) 堤防98 治安94
兵士数49146 城防御121(500)
資金3212 兵糧78400
長沙パラメータ
農業1200(1200) 商業1500(1500) 堤防100 治安100
兵士数34973 城防御600(600)
資金6680 兵糧148000
桂陽パラメータ
農業697(1000) 商業757(900) 堤防100 治安95
兵士数30182 城防御170(500)
資金4018 兵糧89700
武陵パラメータ
農業1200(1200) 商業800(800) 堤防100 治安100
兵士数34345 城防御399(500)
資金1167 兵糧150000
そして10月に入った。
陳平たちは、未だ帰ってこない。
便りがないのは良い便りとは言うけれど、ちょっと心配……。
鄭玄を連れて来てくれるといいけどなぁ……。
で、10月にも少し動きがあった。
益州で従事をしていた賈龍が牂牁国に招聘されたらしい。
また着実に牂牁国は内政を重点的におき、人材を集めているとのこと。
牂牁国の相として前汝南太守の徐璆が入った。
さらに、配下には冷苞、許貢、周昕、魯粛……。
ん!? 魯粛!? どういうことだ!?
これは誰に聞けば……。とりあえず、報告した尹黙を呼ぼう。
「すまぬ。尹黙よ。街道整備の途中で呼び出してしまって……」
「いえいえ。で、何の御用です?」
「牂牁国に魯粛という者が招聘されたと聞いてな……」
「ああ……。しかし、魯粛という者は成人して、まだ間もない無名の者ですよ?」
「何故、そのような者が?」
「親友である劉曄君の招聘で来られたとか……」
「何? 劉曄だと?」
「はい。劉曄君は劉普王の次子です。何でも聡明な方と聞いております」
「……そうだったのか」
「それが何か……?」
「……うむ。牂牁国はかなり手強いぞ……」
何だよ!? それ!
折角、魯粛も狙っていたのに!
しかも、劉普って劉曄の親父かよ!
そういやぁ……霹靂者しか作ってないくせに、随分と能力値高かったからなぁ……。
正史だと、それだけじゃないんだろうなぁ……。
魯粛を取られてショックだけど、悔やんだところで仕方がない。
それじゃあ10月の前半の政略フェイズ……ふぅ。
ほぼやる事、同じなんだけどね。
長沙は韓曁が銀山採掘。杜濩が金6000を零陵に輸送。
武陵は厳顔が補修。
桂陽も李通が補修。
零陵は……。
蔡邕、徐奕、桓階、杜襲、是儀、陳端、金旋、張紘、王儁が開墾。
顧雍が治水。
僕、繁欽、尹黙、趙儼、灌嬰、張昭、秦松、劉度が街整備。
范増が城郭整備。彭越、甘寧が巡回。
周倉は引き続き僕の護衛。
零陵パラメータ
農業607(1300) 商業561(1300) 堤防99 治安100
兵士数49146 城防御121(500)
資金7112 兵糧78400
長沙パラメータ
農業1200(1200) 商業1500(1500) 堤防100 治安100
兵士数34973 城防御600(600)
資金680 兵糧148000
桂陽パラメータ
農業697(1000) 商業757(900) 堤防100 治安95
兵士数30182 城防御180(500)
資金3918 兵糧89700
武陵パラメータ
農業1200(1200) 商業800(800) 堤防100 治安100
兵士数34345 城防御410(500)
資金1067 兵糧150000
それじゃあ、10月後半の政略フェイズいきます……。
もう、これ以上、おかしな事は起きないように……。
長沙は特になし。
武陵は厳顔が補修。
桂陽も李通が補修。
零陵は……。
蔡邕、徐奕、桓階、杜襲、是儀、陳端、金旋、張紘、王儁が開墾。
顧雍が治水。
僕、繁欽、尹黙、趙儼、灌嬰、張昭、秦松、劉度が街整備。
范増が城郭整備。彭越が巡回。
周倉は引き続き僕の護衛。
零陵パラメータ
農業730(1300) 商業664(1300) 堤防99 治安99
兵士数49146 城防御133(500)
資金5776 兵糧78400
長沙パラメータ
農業1200(1200) 商業1500(1500) 堤防100 治安100
兵士数34973 城防御600(600)
資金3680 兵糧148000
桂陽パラメータ
農業697(1000) 商業757(900) 堤防100 治安95
兵士数30182 城防御190(500)
資金4575 兵糧89700
武陵パラメータ
農業1200(1200) 商業800(800) 堤防100 治安100
兵士数34345 城防御421(500)
資金1767 兵糧150000
長沙はもう既に開発は終了。
武陵は城壁のみ。
まずは零陵を叩き上げてから、次は桂陽を最大値にする。
絶対に曹寅なんかに、この零陵は渡さない!
そして10月も終わりに差し掛かった頃、またもや報告が上がってきた。
隣の益州涪陵郡で、大幅な人事が行われたとのこと。
どうせ、ロクな奴がいないと思うし、パラパラと流し読みし………ん!?
あれ? 気のせいかな? 何か、おかしい奴がいるぞ?
目の錯覚だよね……。絶対、錯覚の筈だ……。いや、やっぱり違う……。
「おい! 尹黙! 何処にいる!?」
「はっ! 尹黙はここに……。如何なされました? 我が君?」
「この魚復県の県令は本当だろうな!?」
「は、はぁ……。間違いない筈ですが……」
「本当に、これで合っているのか!?」
「……はい。ですから、そのように……」
僕は何度も見返した。おかしいからだ。
だって……この、魚復県令の名前が……。
劉備玄徳って、どういうことだ!?




