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第二話 初めての武官は金旋配下の・・・。

 さて、5月に入り楊松が帰ってきた。

 年齢的にまだ若い筈だけど、老け顔のせいなのかとてもイヤらしそうな顔つきだ。

 いや、性格がにじみ出ているんだろうけどさ……。

 ニヤニヤしながら僕にこう言ってきた。

 

「閣下! お喜び下さい! この楊松、区星を武陵の曹寅そういんへとけしかけることに成功しましたぞ! この楊松、管仲や楽毅のように閣下にご尽力します故、ご安心なされよ!」

「そ…そうか。大儀であった。余も心強いぞ」

「武陵平定の折には是非、この楊松を太守に任命してくだされぃ!」

「え? あ、ああ。そうだね。まずは疲れただろうから帰って休むと良い」

「ははっ! いやぁ、これ程の大仕事をこなすと随分と疲れるものですなぁ! ワッハッハッ!」

「………」

 

 ええと……ツッコミ所が満載なんですけどね……。

 まず、第一に「江夏の黄祖へ向かわせろ」って言った筈だよね!?

 武陵なんて、一番近いじゃないか!

 なるべく遠くへ追いやりたかったのに!

 

 そして第二に武陵の曹寅って誰!?

 え? 武陵の太守?

 また謎の人物だよ! もっとメジャーな奴を出せよ!

 

 心の中で叫んだところで、何もならないことぐらい僕だって知っている。

 仕方ないので5月上旬政略フェイズを行うとしよう……ふぅ。

 

農業173 商業225 堤防79 治安57 兵士数14235 城防御287

資金2207 兵糧15000

 

 現時点でのパラメータはこれかぁ……。

 まぁ、もっと商業あげた方がいいよなぁ……。

 てか、そろそろ農業もあげたいところだけどさ。

 で、そんな事を考えていると突然、謎の人物第一号君が発言してきた。


「閣下。某にもう一人心当たりがある人物がおります」

「おお、陳端。先日は謎の人物二号君を連れてきてくれて本当に助かった」

「は? 謎の人物…なんですか? それは?」

「やばっ……。い、いや、こっちのことだ。秦松なる英傑を連れてきてくれて感謝しているぞ」

「はぁ………?」

「で、貴殿が推挙する人物とは誰のことかな?」

「はい。王儁おうしゅん。字を子文! 閣下も良く存じておりましょう!」

「おう……。だ……誰?」

「……まさか? ご存じでないので……?」

「……あ、いや。あ、あの王儁殿か?」

「はい! 今は中央の争いを避けて武陵に移り住んだとのこと」

「そ……そうだったのか」

「しかし、若輩の某では相手もして下さいますまい。閣下、自ら赴けばきっと力になってくれましょう!」

「何? 余が自ら?」

 

 え? ちょっと、待てよ。武陵って確か区星が今、攻め込んでいる最中じゃ?

 でも、知らない人物とはいえ、能力値良さそうだからなぁ……。

 おのれ! 楊松! 余計な事しやがって!

 

「閣下。何をブツクサ言っているのです?」

「あ、ああ。実は区星が武陵に向かっているという噂を聞いてな……」

「なんですと!? 太守曹寅は悪知恵だけには長けているという噂ですが、戦さはからっきしのヘッポコ太守ですぞ!?」

「う、うむ。……てゆーか、そうなの?」

「区星め。荊州には近々、劉表が赴任してくると知り、武陵に矛先を変えたか」

「……う、うむ。そのようだな」

「ここは急ぎ王儁殿をこの長沙にお連れ下さい! されば、この長沙の民も安堵しましょう!」

「………」

 

 ……もう決定事項らしい。

 しかし、陳端も秦松も若いのに能力値良いんだけど、本当にどんな人物なのか分らないよ。

 

「困っておるようじゃの。よしよし」

「あ、水鏡先生!」

「お主、本当に陳端も秦松も、ましてや王儁も知らんのかの? 曹寅よりはマシだと思うんじゃがの?」

「し……知りません。漫画やアニメで出てきた記憶ないし……」

「仕方ないのぉ。陳端、秦松は張昭、張紘らと共に孫策に仕えた参謀じゃ」

「ええっ!? でも、漫画やアニメとかには一切出てきていませんよ!」

「そんなことは知らん。で、王儁じゃがの。この者は中央で名声が高く、曹操と大の仲良しじゃ」

「そ、そうなの!?」

「しかも、献帝が許昌に招聘しようとしたが固辞した者じゃ。これは見物じゃの。試してみるのもまた、よしよし」

「うう……成功するのかなぁ……?」

「じゃが、お主には固有スキルの『説得』があるではないか」

「そう言えば『説得』についてはまだ聞いていませんでしたね」

「『説得』は登用の難易度が高い強情者を登用しやすくする固有スキルじゃ。これで少しは安心したかの?」

「……けど、僕に説得力なんてないですよ?」

「その時になれば分かる。そうとしか今は言えないのぉ」

 

 ……分ったよ。武陵に行けばいいんでしょ……もう。

 てか、乗馬なんて生まれてこの方やったことないよ。

 それはそうと、五月上旬の政略フェイズやらないとなぁ。

 

 まぁ、ここも基本は商業優先でいこう。

 陳端に開墾、秦松に町造り、博士仁に市中見回り……と。


農業185 商業238 堤防78 治安58 兵士数14235 城防御287

資金1807 兵糧15000

 

 そして初めて僕は長沙を出ることになった。

 伴の者は旅人に変装した衛兵A,B,Cだけ。

 野盗に襲われて死亡したらゲームオーバーってことになるのかな?

 

 そんな事を考えながらトボトボと馬に乗って歩いていく。

 村人Aから途中「虎が出るから気をつけなされ」とのアドバイスもらう。

 ううう……帰りたい。長沙じゃなくて元の世界へ。

 

 で、四日ほどして長沙と武陵の境あたりにさしかかった辺り、槍を小脇に抱えた若武者がこちらにやってくるのが見えた。

 ヤバイ! こっちに来る! 説得スキルでどうにか出来るの!?

 

「待たれよ! そこにいるのは司護殿ではあるまいか!?」

「……え? ああ、如何にも司護だが……。お命頂戴とかは勘弁……」

「……は? ハッハッハ! 司護殿は冗談がお好きと見える。拙者は野盗の類ではござらぬ」

「して……貴殿は私に何か用かい?」

「これはしたり! 拙者をご陣営にお加え下され!」

「……失礼だが、そこもとはどなたかな?」

「これは申し遅れた。拙者、鞏志きょうしと申す」

 

 ん? 聞いたことあるぞ! 良かった! で、パラメータは……。

 

鞏志 能力値

政治3 知略4 統率5 武力5 魅力3 忠義4

固有スキル 弓兵 罵声

 

 わぁ! 強い! 待望の武官じゃないか!

 これでもう博士仁に頼らなくてもすむぞ!

 いや、関羽どころか華雄あたりにでも会ったら一発で首が吹っ飛ぶんだろうけど!

 

「それはそうと、わざわざ武陵なんぞに何の用でしたか? 司護殿」

「鞏志。実は武陵で隠遁しているという王儁殿を迎えたいと思ってのことなんだ」

「なんと!? あの王儁殿ですか!?」

「そうなんだ。で、鞏志。君、何処に王儁殿がいるか知らない?」

「はっ。では知り合いの者に聞いてみます。しかし、なんですなぁ……」

「何? なんなん?」

「お若いとはいえ…その…威厳らしさがちと……」

 

 現段階で20歳そこそこだもん!

 もっと言えば本来まだ17歳だもん!

 配下の者も皆10代か20代だもん!

 鞏志、君だってまだ20歳になっていなさそうだし!

 楊松と博士仁は凄い老け顔だから、あまり実感ないけどね……。

 

 そして、鞏志に先行させ、王儁がいる場所に案内してもらうことになった。

 どうも武陵でも随分とはずれの位置に隠遁しているらしい。

 良かった……区星と出くわさなくて……。

 

 王儁は山里の集落で一番の御屋敷に住んでいた。

 といっても、ただ広いだけで豪勢な屋敷とはお世辞にも言えない。

 そこで近くに行き、畑で農作業をしている使用人っぽいおじさんに訊ねてみることにした。

 

「失礼。王儁殿の御宅はここで宜しいのかな?」

「はい。如何にも王儁の家はここですが……」

「そうなのか……ん?」

「如何しました?」

「いや、その……」

 

 普通、使用人が主人を呼び捨てにするかぁ?

 まさかとは思うけど……。

 でも、齢を聞いてなかったしなぁ……。

 よし、パラメータを見てみるか。

 ちなみにだけど、村人Aとか衛兵Aとかのパラメータをみると脳裏で表示はされなかったりする。

 

王儁 字:子文 能力値

政治7 知略7 統率4 武力2 魅力9 忠義8

固有スキル 名声 帰順 開墾 人望

 

 おお、中々の数値! けど、やっぱり武力はない。当然か……。

 てか、魅力9なんて僕よりも高いじゃないか!?

 魅力なんて今のところ、何の役に立っているか分らないけど!?

 

「これこれ。そんな事はないぞい」

「あ!? 水鏡先生!? 何時の間に!?」

「わしがいないと困るじゃろう。じゃが、困るのもまた、よしよし」

「いや、あの…あ、魅力なんですけど」

「その能力値はお前さんが『王儁を登用出来るか出来ないか』に深く関係しているぞ」

「ええっ!? そうなんですか!」

「それと固有スキルの帰順と人望についてじゃがの」

「はい!」

「登用出来たら教えてやろう。ホッホッホッ」

「ああっ!? そんなあんまりだ!」

 

 僕が叫んだと同時にだった。

 今度は後ろから声がした。

 不思議そうな表情を浮かべて王儁が僕を見ている。

 

「さっきから何をブツクサ言っているんです?」

「ああ、王儁殿。これは失敬。いや、その……」

「後ろには誰もいないようですが……」

 

 あれ!? さっきまでいた筈の水鏡先生がいない!?

 背後霊みたいな感じで他の人には見えないとか?

 そういえば陳端や秦松も水鏡先生を無視して話していたなぁ……。

 

「いや、これは私の癖で……白昼夢というヤツです。ハハハ…何せ領民のことを思うと夜もあまり眠れなくて」

「それはそれは……して、私に何の用です」

「率直に言う。王儁殿。私と長沙までご同行して頂けないか?」

「は? いきなり何を申される?」

「近々、区星という賊将がこの武陵に来襲するとのこと。それに、貴殿のような英傑が野に隠れているというのも、天下万民の為にもなりますまい」

「そうでしたか…。しかし、私は既に隠居した身です。お引き取り下さい」

「いいえ。簡単には引き下がれませぬ。確かに私は若輩ですが、民のことを想うことは誰にも負けぬと自負しております」

「いや、私のような者が参ったとしても、有益とは思えませぬが……」

「なんでしたら今の長沙の太守の地位をお譲りしても良い!」

 

 いきなり僕は何を言いだすんだ!?

 てか、勝手に口から言葉が出て来るんだけど!?

 これが固有スキルの「説得」ってやつ!?

 

「いやいや。貴方は長沙の太守でも刺史ではないでしょう。現に朝廷から認めてもらってない筈だ」

「確かにそうです。しかし、それは宦官に賄賂を出す金よりも、民に使う方が当然だと思ったからです」

「……ふぅむ」

「それに王儁殿が長沙にいらっしゃって下されば、近隣の民も安心するでしょう。私の代わりに太守となる訳ですから」

「しかし、そう言われましても……」

「お願いです。どうか、この若輩者に力をお貸しください。誓って民の為に尽力しますので!」

 

 僕はそう言うといきなり体が動き、土下座した。

 もう、こうなりゃヤケだ!

 初めての土下座だけど、僕であって僕じゃないようなもんだしな!

 

「頭をお上げください……司護殿」

 

 柔和な笑顔で僕に優しく言うと続けざまに王儁はこう言った。

 

「この里にいる者達は私についてきてくれた者達です。この者達を同行させて下さるのであれば、長沙に参りましょう」

「本当ですか!?」

「この王儁、そのような嘘は申しません。……それともう一つ」

「太守の座なら喜んでお譲りしましょう!」

「……いやいや。その逆です。そのようなことは軽はずみに言わないで頂きたい」

 

 こうして僕は王儁と鞏志を手に入れ、長沙に戻ることになった。

 これで何時でも楊松と博士仁を追放できるぞ!

 

「お主はそんなに楊松と博士仁が嫌いかの?」

「これは水鏡先生! いや、そんな訳………あります」

「まぁ、良い。きっかけさえあれば悪評が立たずとも追放できようて……」

「ええっ!? 本当ですか!? やったぁ!」

「……それはそうと、固有スキルの帰順と人望についてじゃが」

「ああ、はい! 結構、便利そうなスキルですよね!?」

「まず帰順じゃが、これは見回りをした際に無頼漢を兵士にさせることが出来るものじゃ。同時に治安も高めてくれる。しかも、必要な能力は魅力じゃ」

「おお、それは強い!」

「王儁の場合、魅力が9じゃから治安を9上げるうえに、魅力の百倍、つまり九百の兵を徴用することが可能じゃ」

「でけぇ! 博士仁に巡回を任せていたのが馬鹿らしくなってくる!」

「次に人望じゃが、周辺の小豪族や小規模の賊、異民族などを味方にすることが出来る。これは大概イベント待ちしかないがの」

「じゃあ、区星もいっきに兵ごと配下に!?」

「あくまで小規模じゃ……。そう都合良くいきはせん」

「やっぱ駄目かぁ……」

「黄巾賊の連中に比べればマシじゃろう。贅沢を言うでない!」

 

 背後霊の水鏡先生に怒られてしまった。

 いやいや、僕はさっさと元の世界に戻りたいだけなんだってば!

 

 長沙に戻ると領民は皆、大喜びで出迎えてくれた。

 そりゃあビッグネーム連れてきたからね!

 僕は知りませんでしたけど……。

 でも、楊松と博士仁は如何にも面白くなさそうな顔をしていたな。

 

 まぁ、良いや。さくさくと五月下旬の戦略フェイズを行おう。

 現時点での長沙のパラメータは……。


農業185 商業238 堤防78 治安58 兵士数14235 城防御287

資金1807 兵糧15000

 

 王儁は帰順、鞏志には市中見回り、陳端には開墾、僕と秦松は町造りと……。

 楊松と博士仁は遠慮せずに、その辺で遊んでこい!

 そして、その結果。こうなった。

 

農業197 商業266 堤防77 治安69 兵士数15135 城防御287

資金1573 兵糧15000

 

 現在の配下。

 楊松、博士仁、陳端、秦松、鞏志、王儁



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