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第百十三話 さらに強力な三名が来たぜ!


 酷い話もあったもんだ。

 いきなりタイムリミットが設定されるって何なんだよ・・・。

 てか、それだと司馬炎とか出てこられないんじゃないの?

 流石にそこまで時間をかけるつもりはないけどさ。

 

 まぁいい。来年に宣言されることは、まずないだろうしな。

 西暦でいえば赤壁の戦いどころか官渡の戦いだってまだなんだ。

 それにタイムリミットが宣告されたら、その時こそなにふり構わず都を攻めれば良いだろうしな。

 逆に考えれば、その時のために布石を打っておく必要があるということでもある。


 そして七月になった。

 深圳の大都市計画のことを知り、またもや様々な人物が僕の目通りを希望してきた。

 ただし、ほとんどがモブなので、そのまま名無しの官吏という扱いになる。

 それでも有難いことに変わりはないけどね。


 そんな中、またもや頼りになる三名が遙々やって来た。

 年齢は皆、十代半ばなので、成人したてなんですけどね。

 それでは、その三名を紹介します。


顧悌 字:子通

政治7 知略5 統率3 武力3 魅力8 忠義7

固有スキル 説得 登用 人相 名声 鎮撫


朱桓 字:休穆

政治6 知略8 統率8 武力7 魅力7 忠義7

固有スキル 機略 看破 制圧 開墾 強奪 水軍 歩兵

 

周魴 字:子魚

政治7 知略8 統率7 武力6 魅力7 忠義7

固有スキル 開墾 制圧 機略 看破 説得 情勢 鎮撫

 

 朱桓は知っているぞ! そして強いぞ!

 でも、確か孫権の配下だったよな・・・。

 何故、こっちに流れてきたんだろ?

 そんなことを思っていると、顧悌こていが代表して恭しく話しかけてきた。

 

「私は姓を顧。名を悌。字を子通と申す者です。手紙にて遠戚の元歎(顧雍の字)に請われた故、こうして参じた次第」

「ふむ。顧雍の・・・」

「右に控える朱桓は私と同じ呉郡呉県の者で、私が交州へ参ることを聞きつけ共に参じました」

「ほう」

「左に控える周魴は、呉郡陽羨県の生まれで道中にて知り合い『上使君に仕えたい』と申したので、それならばと・・・」

「ハハハ。三人とも有望な若者だ。顧雍には感謝しないといけないな」

 

 でも、顧悌はともかく、朱桓と周魴はなんで劉繇さんの所に行かなかったんだ?

 その辺り、ちょっと聞いてみることにしよう。

 

「ハハハ・・・。しかし、揚州王君(劉繇)も名君の筈だ。何故、余の所に君ら二人のような有望な若者がわざわざ参ったのかね?」

 

 すると朱桓がクスリと笑い、切り出してきた。

 

「揚州王君は確かに名君であります。しかし、我らが仕えるには些か不都合なことがございまして・・・」

「何? どのようなことかね?」

「はい。当てにならない人相見の大家が幅を利かせているのです」

「・・・ひょっとして、それは許先生(許劭。字は子将)のことかね?」

「アハハ。ま、そういうことです。私もそこにいる周魴も全く評価されなかった訳でして」

 

 ありがとう許子将! 本当にありがとう!

 ・・・劉繇さんに凄く悪い気がするけど、僕のせいじゃないからね。

 

 けど、許子将ってスキルの人相を持っていないのかな?

 持っていれば朱桓と周魴が引っかかると思うんだけど・・・。

 ちょっとシックリこないので、ここは老師に聞いてみることにしよう。

 

「・・・つまらんことで呼び出すでない」

「・・・茅台酒いらないの?」

「何でも聞くがよい!」

 

 流石は仙人。皆、酒が良い賄賂になるようだな。

 これは良い賄賂の品を開発したもんだ。

 新たなラム酒も開発されれば、更に良い効き薬として発揮しそうだぞ。

 

「うん。実は許子将が朱桓を劉繇さんに推挙しなかった理由が分からなくてさ」

「それの何が問題じゃ?」

「いや、能力値的に普通は推挙する筈じゃない?」

「そうとは限らん。朱桓や周魴が推挙されなかった理由があるからじゃ」

「どういう理由? 相性がどうたらとかいうの?」

「それに近いぞい。その辺はマスクじゃから、あまり詳しくは話せないのじゃがな」

「・・・ラム酒やワインは好きじゃない?」

「ぬっ!? ・・・ええとな。許子将が曹操に対し、何と評したのかは知っておるよな?」

「ええと。確か『治世の能臣。乱世の奸雄』だよね」

「そうじゃ。そこにヒントがある」

「・・・そこのところ、もうちょっと詳しく・・・」

「仕方ないのぉ・・・。曹操の祖父は誰じゃ?」

曹騰そうとうだよね。血は繋がっていないけど」

「うむ。そこが最大のヒントじゃ」

「・・・つまり『宦官の流れを引いているから』ということ?」

「おお。流石に察しが良くなったの。そういうことじゃ」

 

 つまり許子将は清流派贔屓なので、それ以外の人材の評価が低いということか。

 となると、清流派か濁流派の人相持ちは、もし見つかったとしても推挙しない可能性が高いということだ。

 面倒だけど、これは憶えておく必要があるな・・・。

 

 許子将としては曹操のことは認めていたけど、宦官の流れだから曹操に対し「乱世の奸雄」とも評することで、自分なりの着地点にした訳だ。

 少し狭量かもしれないけど、濁流派の脈流を下手に認めたら不味いという世間体があったのかもな。

 僕からしたら馬鹿馬鹿しいとしか言い様がないけどね。

 

 確かに呉の陣営って、あまり儒学者タイプって感じのは少ないような気がするな。

 僕が知らないだけかもしれないけどね。

 

「上使君。食事の準備が出来ました」

「うむ」

 

 僕は新たに加わった三人も食事に招いた。

 大抵、特に夕食時には家臣一同揃って食事をとることにしている。

 とはいっても、食事をとる場所はほとんど青空食堂って状態だ。

 流石に雨が降った時は屋内だけど、屋内だと狭いんだよね・・・。

 

「上使君。この魚醤は中々のものですな」

「周魴よ。それは魚醤ではない。穀醤だ」

 

 穀醤とはつまり穀物によるじゃんを意味する。

 で、この穀醤だけど醤油に近いものなので、僕は主に穀醤を使用することが多い。

 醤油に近いといっても現代の醤油とは違うんだけど、それでも有ると無いとでは話が違う。

 

「・・・して、上使君は何故、そのような危険なものを食べるのですか?」

「ハハハ。これは危険ではないよ」

「しかし、魚を生で食するとは・・・。大切なお体ですぞ」

「海の魚は新鮮であれば生で食べても平気なのだ。良く憶えておくがよい」

 

 そう! 深圳しんせんに拠点を変えた理由は新鮮な刺身が食べたかったからです!

 ・・・変なダジャレになっていますが、狙った訳じゃないんですよ。

 これでワサビがあれば言うこと無しなんだけど、これって大陸にはないみたいだ。

 ・・・ひょっとして、日本原産なのかな?

 ググる能力があれば良いんだけどねぇ・・・。

 

 どうもググる能力が実装されないのは、それを使っての技術躍進を制限しているという理由があるらしい。

 例えば蒸気機関なんかが実装されれば、たとえ火薬がなくても驚異そのものだからね。

 火薬が作れないという老師の話でピンときましたよ。

 

「それで我が君は三人をどう配置するつもりか?」

「ああ。暫くはここで様子をみたい」

 

 食事中、留府長府の張昭が早速クギを刺してきた。

 流石に雷は勘弁なので、無難な受け答えにしたよ。

 因みに三人の役職は顧悌が巧曹従事中郎、朱桓が都尉、周魴が督郵となりました。

 

 八月はフィリピンからの船が早くも帰港した。

 幸い現地語を話せる者がいたので、スンナリと交渉は上手くいったらしい。

 贈答品の茅台酒やラム酒の効果もあったようだ。

 これでマニラ港が租借地となったので、向こうの暴風雨による被害もなくなった訳です。

 現代でやったらブーイングどころじゃ済まないけどね・・・・・・。

 

 因みにマニラ港ですが、名称は麻里港まりこうとなりました。

 ええ。便利な勝手に互換する機能によるものです。

 フィリピンは比較的平和な部族社会らしく、特に鉄による武器の必要性はあまりないので、主な鉄器は農機具のものとなりそう。

 当然ながら、こちらからの交易品には絹もございます。

 反対に向こうからの交易品は胡椒やシナモンなどがメインですね。

 

 九月には今度はインドシナ方面に探検隊が出航。

 船はフィリピンから帰ってきた二隻の船です。

 因みに船の名前ですが、元親げんしん隆景りゅうけいにしました。

 由来は・・・察して下さい。


 暇つぶしに見ていた世界地図が、こんな形で役に立つとは想像もしなかったな・・・。

 さらに話によると、かなり小柄で色黒なフィリピン人の一人がインドシナの言葉が話せるとか。

 そういやなんかのドキュメント番組で、ミクロネシアから島伝いに渡ってきたようなことを放送していたな。

 

「上使君。徐都尉から書状が届いております」

「何? ふむ。見せてみろ」

 

 僕がインドネシア方面の地図とにらめっこしていると、新人督郵の周魴が慌てた様子でやって来た。

 交趾での戦いに何かあったのだろうか・・・?

 徐晃だけでなく鐘離昧やゴリ子もいるので、相手に韓信がいたとしても負ける気はしないでいたけど・・・。

 

 それで書状を見ると、どうやら益州で異変があったらしく、益州の軍勢が俄に慌ただしくなってきたとのことだった。

 そりゃ一年近く軍を滞在させていれば、不満に思う民衆も出てくるわな・・・。

 しかも劉焉は随分と阿漕あこぎらしいしな・・・。

 

 陳平はいないので、ここは范増と楊慮、そして情勢と機略を持つ周魴らと情報会議をするか。

 周魴は確か曹休をはめたヤツだったから、そこそこ小狡いことが上手いだろうしな。

 

「しかし、陳平の代わりがまだ成人したての若僧とはの・・・。少しは考えた方がええぞい」

 

 いきなり范増の新人いびりが炸裂!?

 流石に周魴もムッとしたが、ここは僕が嗜めておこう・・・。

 

「亜父よ。そういうな。ここにいる周魴は古の蘇秦、張儀に匹敵するほどの者だぞ」

「フォフォフォ。それは随分と大きく出たのぉ」

「・・・嘘ではない。ならば証拠を見せよう。周督郵。君は益州の事変をどうみるかね?」

 

 流石に周魴も范増と楊慮というビッグネームの前に緊張するようだ。

 だけど、曹休を出し抜いた肝っ玉はビクともしない。

 

「それでは某の意見を述べましょう・・・」

 周魴は落ち着き払って、現在の益州の情勢を説明しだした。

 情勢のスキル持ちなら隣の州までなら把握できるので、周魴も把握できている訳だ。

 

「まず永昌郡にて不満分子が反乱の声を挙げました。首謀者は黄元という県令です」

「周督郵。どのような者だ?」

「この者は恐らくですが、上使君の嫌いな者の類。佞者の類と思われます」

「何故、そう言い切れる?」

「これは以前に馬相の配下にいた者で、略奪を繰り返していたのにも関わらず劉焉にいち早く帰順したので、その罪を逃れているのです」

「・・・なんと」

「これも恐らくですが、これを機にまたもや益州黄巾党を名乗り、周辺を乱す禍となる可能性があります」

「・・・して、君の策は?」

「逆にこれを利用しましょう。我らは表だって支援せず、区連に支援させるのです」

「・・・・・・」

 

 周魴は僕の問いかけに対し、いとも容易く受け答えた。

 それを見ていた范増や楊慮も素直に満足そうな表情をしている。

 ということは、あながち周魴の策は間違っていないということか・・・。

 

「しかし、黄元という人物では永昌の民も困るであろう」

「上使君。そのようなことまで気にしては・・・」

「いや。黄元ではなく、永昌の民にとってマシな者でなくてはならぬ。そうでなければ永昌の反乱もすぐに鎮圧されてしまうぞ」

「はっ? ハハハ。成程、そういう意味でしたか」

「ハハハ。それに我らだけでなく、永昌の民にとっても有益だ。これこそ我らが進むべき道よ」

「成程。承りました」

「・・・で、そのような者はおらぬのか?」

「一人おります。西南蛮の酋長の息子で劉冑という者です」

「ほう」

「先頃、父親である者が黄元の手の者により殺害されたとの噂があります。真意は不明ですが、これを使わない手はありませぬ」

「うむ。では、区連に劉冑への援軍を要請せよ。我らはその為の食料、武具の援助を申し出るゆえな」

「御意!」

 

 黄元も劉冑も聞いたことないけど、これはもう今更だ。

 でも、本当にググる能力が欲しいなぁ・・・。


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