表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
182/216

第百八話 長沙王誕生!…か?

 さてさて。ここで龐統の加入は大きいぞ。

 僕は心をウキウキさせながら謁見室に行き、そしてまたもやコッソリと見た。

 そして、そこには正しく紅顔の美少年がそこに・・・ん? 美少年?

 龐統だよな? 確か不細工だよな? あれ?

 まさかとは思うが・・・。

 

劉廙 字:恭嗣

政治7 知略5 統率1 武力1 魅力8 忠義7

固有スキル 書家 芸事 人望 名声

 

 ・・・・・・誰だよ。これ。またこの手法だよ・・・。

 黄忠以来の伝統のお家芸ですよ・・・。

 懐かしい気もしますが正直、勘弁して欲しいですよ・・・。

 

 僕は心の中で溜息をついてから姿を現した。

 能力値は悪くないし、人材は多いにこしたことはないしね。

 

 けど、僕に会うというのに、何か物悲しそうな表情をしている。

 そこが少し気になるな・・・。

 

「お初にお目に掛かります。司護殿。私は劉廙りゅうよく、字を恭嗣と申す者です・・・」

「うむ。水鏡先生の推挙とのことであるな。どのような経緯で・・・」

「・・・ああっ!」

 

 いきなり劉廙が泣き出した!?

 何で!? 僕、何かした!?

 

「・・・ど、どうしたのだ? 急に・・・」

「・・・すみません。堪えていたのですが、堪えなくなり・・・」

「・・・だ、だからどうしたというのだ」

 

 劉廙からの説明によると劉廙には劉望之という兄がおり、その兄は名声が高く、劉岱に仕えていたそうです。

 その兄がある日、宴会を毎晩しているデブ帝に直訴したそうで・・・。

 そして、その直訴の内容には僕にも関わりがあるものだった。

 何せ僕への朝敵の扱いを取り消す直訴だったからだ。

 ・・・これは他人事じゃないよな。

 

 何故、直訴が可能だったかと言えば、劉廙が皇族だからだ。

 長沙王である劉発の末裔であるという。

 だけど、それが結果としてデブ帝の逆鱗に触れたらしく、兄の劉望之が殺されてしまった。

 そして、殺したのはあの黄皓だというんだ。

 

 一番の問題なのは、本来ならまず入獄させるのが通常らしい。

 しかし不敬にあたるとして、見せしめに黄皓が勝手に劉望之を殺してしまったことだ。

 

 それだけじゃない。

 劉廙には両親と幼い弟がおり、両親や弟も黄皓に殺されてしまったというのだ。

 劉廙は司馬徽の屋敷に下宿していたので、この難に逃れたという。

 そして司馬徽は劉廙まで害が及ぶことを怖れ、僕に劉廙を寄こしたというのだ。

 

「兄が一体、何をしたというのでしょうか・・・。父や母や弟が何を一体したというのでしょうか・・・」

「・・・すまぬ。かけてやる言葉も出ない」

「お願いです! 上使君! 父母兄弟の仇を私に討たせて下さい!」

「・・・それは余に『陛下を討て』と申しているのか?」

「違います! 元凶はあくまで佞臣どもです! そして、その中にいる黄皓という宦官です!」

「・・・ならば良いが」

「確かに私は陛下も憎いです。漢室を斜陽に導くことに未だに気付いていない暗愚そのものです!」

「・・・お、おい」

「・・・確かに言葉が過ぎました。しかし、私は事実を申し上げたまで!」

「・・・ううむ」

「何卒、上使君のお力をお貸し下さい! この通りです!」

 

 ・・・土下座されてもなぁ・・・。

 気持ちは良く分かるけど、都を攻め入るとなると、ちょっとなぁ・・・。

 

「君の気持ちは分かった。しかし、余にその力はない・・・」

「そ、そんな・・・」

「君の身柄は余が守ろう。そして必ずや佞臣どもを討ち果たそう。だが、今は時期尚早だ」

「・・・・・・」

「急いては事をし損じる。君も分かっている筈だ」

「・・・はい」

 

 何とか劉廙の説得には成功した。

 そう。劉廙の説得にはね・・・。

 

 問題なのは、この噂が何処からか漏れて太学の学生が騒ぎ出したことだ。

 宦官が勝手に皇族を殺したことは、かなりの大問題だからね・・・。

 

 でも、この事が何処から漏れた?

 心当たりがあるとすれば、あの三人の内の誰かだ。

 全く、勝手なことをしやがって・・・。

 

 連日、政庁には若い名無しの太学の学生が大勢で訴えにやって来るようになった。

 今こそ都を討ち入り、帝を拉致して性根を叩き直すべきだとね。

 ・・・あのさ。それって蛤御門の変ですか?

 僕、どっちかというと佐幕派なんですけどね・・・。

 

 さて、どうしたもんかな・・・。

 一人で考えたところでどうしようもないし、ここはこの件をバラまいた連中に相談するか・・・。

 気が進まないけどね・・・。

 

 という訳で、またもや自室で范増、楊慮、陳平との麻雀大会開催。

 今度はドベにはならないぞ!

 ・・・違いますよね。分かって言っています・・・。

 

「またもや我らを招いて麻雀とはね。我が君も好きですな」

「陳平よ。好きでやっていると思うか?」

「ハハハ。確かに負けるのが分かっていてやるのは、余程の物好きでしかありませんね」

 

 陳平め・・・。言いたい放題いいやがって・・・。

 でも、そんな事はどうでもいい。

 

「君らを呼んだのは他でもない。劉廙の件についてだ」

「やはりそうじゃったか。で、お主は如何するつもりじゃ?」

「本来なら会議を開き、鄭玄らの意見も聞くべきであろう」

「それは道理じゃな」

「だが、その前に亜父の意見も聞いておきたい」

「儂の読みじゃが、儒家連中は北伐を提言するであろうのぉ・・・」

「何? それは意外だ・・・」

「そうかの? ただの一宦官に過ぎぬ者が勝手に庶流とはいえ皇族を害したのは本来、漢室においては由々しき問題じゃぞ」

「確かにそうだが・・・」

「それに親兄弟の仇を討つのは儒家にとって、いや人として当然のことじゃ。それ位はお主も分かるじゃろう」

「だとしてもだ。今は交州の件を最優先にしたい。一人の私怨で軍は動かせぬ」

「・・・ふむ。やはり、そう来たか」

 

 范増がそう呟くと同時に「それ、チーです」と楊慮は范増の捨て牌に啼いた。

 それと同時に楊慮は范増に応える。

 

「いずれにせよ確かに時期尚早ではあるでしょう。行動するなら劉弁の噂を世間にもっと広めてからです」

「では、楊慮よ。お主はどうせよと申すのじゃ?」

「劉廙殿は長沙王の末裔。そこで我が君が長沙を郡から国とし、劉廙を王にするのです」

「ふむ・・・。やはり、その手で来よるか・・・」

 

 この楊慮の返答に今度は陳平が質問する。

 あの・・・君達。僕のことを忘れていませんか?

 

「長沙の王とすると問題は劉寵がどう動くかだね。楊さん」

「その通りです。我が君が梯子を降ろしたと考えるかもしれませんからね」

「成程。君の狙いはそれか」

「はい。少し尻に火をつけねばなりますまい。『貴方の代わりはこれで出来た』とね・・・」

「それで中原を騒がせておき、頃合いを見て我らは堂々と北伐を開始する・・・か」

「その通りです。劉寵殿には少し焦ってもらう必要があります。帝が留守にした隙をついて都を攻め取ることも出来たでしょうに・・・」

「ふむ。我が君の考えは如何ですかな?」

 

 陳平がここで僕に振ってきた。

 どう返答しようかな・・・。

 

「確かに妙案だ。ただ、ついでに目の上のたんこぶを潰す必要がある」

「ほう? つまり・・・」

「袁術だ。奴さえ片付けてしまえば豫州王君も・・・」

 

 僕がそう発言しようしたその時だった。

 突然、扉が凄い勢いで開いたんだ。

 開けた人物はなんと張昭。

 

「何事だ? 留府長史」

「かような事をしている場合か! 急いで来るのだ!」

「え? な、何事だ?」

「産まれたのだ!」

「・・・は?」

「君の孫が生まれたのだ! 何と喜ばしいことか!」

「ええっ!?」

 

 え? でも、まだ六ヶ月だよな?

 どういうことだ?

 てか、僕はこの時点で事実上のおじいちゃんですか?

 ・・・・・・未だにロマンスの欠片もないというのに!

 

 向かう途中、どうやら本来なら妊娠九ヶ月目だったことが発覚。

 結果、医学が現代日本ほど発達していないことを僕が失念していただけでした・・・。

 大体、現代でもすぐに妊娠したなんて分かる訳じゃないしな・・・。

 

 邸宅に向かうと中はほとんどお祭り騒ぎだった。

 そりゃ司家において初めての子だからね。

 で、問題はどっちの性別かだよな。

 

「父君!」

 

 文恭(司進の字)は興奮した面持ちで僕を出迎えた。

 そりゃ初めての子供ですもの。当然ですよね。

 僕は未だに経験ありませんけど・・・。

 

「おお、でかしたぞ。文恭よ。ところで両人とも無事か?」

「はい。母子共々無事でございます。これも医学校が設立されているからでしょう」

「ハハハ。そうか。しかし水臭いな。何故、余にもっと早く知らせなかったのだ?」

「父君は何かとお忙しい御方です。我ら親子の心配なぞなされては・・・」

「それは違うぞ。余はお前の父親だ。もっと頼るが良い。・・・して、どっちだ?」

「え? あ、はい。どっちもです」

「だから母子共々健在なのは既に聞いた。余が聞きたいのはだな・・・」

「アハハ! だからどっちもですよ!」

「・・・まさかとは思うが・・・双子か!?」

「はい! お喜び下さい!」

 

 いきなり双子って・・・。

 男の子はそのまま跡継ぎにするとして、問題は女の子の方だよな。

 どうしたもんかな・・・。

 

「それと父君。既に男児の幼名は竹千代と決めておりますが、女児の幼名が未だに決めておりません」

「む? 余に決めろと申すか?」

「はい。智云(劉煌の字)も父君に決めて欲しいとのこと。何卒、お願いしたい」

「そうか・・・。そういうことなら・・・」

 

 まず徳川家康の姫と言ったら誰がいたっけ・・・。

 ま、文恭の娘だし、だとすると秀忠の娘ということになるな。

 そうなると思いつくのは千姫・・・?

 それはいかん! 不幸の代名詞じゃないか!

 

 でも、他が思いつかないな・・・。

 こうなれば徳川家縛りじゃなくても良いか・・・。

 まずは・・・誾千代ぎんちよ

 

 いかん! 完全に鬼嫁じゃないか!

 という訳で即座にボツ!

 ・・・誾千代ファンの人ごめんなさい。

 

 次の候補は直虎・・・?

 いや、でもなぁ・・・・・・。

 直虎自体、謎が多過ぎる上に、あまり幸福そうな人生じゃないしな・・・。

 という訳でボツ。

 

 次に思い浮かんだのは茶々・・・。

 いかんぞ! 一番いかん名前だ!

 当然、即座にボツだ!!

 

 他にも小松や五郎八、珠子などの候補が挙がったが、最終的に残ったのが二つ。

 それは小督おごうと千代だった。

 ただ、千代だと竹千代とカブッているので、結局のところ小督となった。

 

「どうであろう? 小督しょうとくというのは」

「またお珍しい名前ですね」

「嫌か?」

「いえ。父君の決めた名前です。不満はありません」

 

 こうして僕は一気に二人の孫が出来た。

 でも、未だに素直に喜べない僕がいる。

 狭量なのかもしれないけれど、こればかりはね・・・。

 

 でも、折角の慶事だ。

 これと一緒にしてドサクサに長沙を郡から国にしてしまおう。

 問題は劉廙に七星剣を渡すかどうかだ。

 

 ただ七星剣を渡してしまうと劉寵の機嫌を損ないかねない。

 劉廙の長沙国王就任はあくまで劉寵への牽制と保険でしかない。

 血統からいっても庶子の流れだから、劉協を除けば劉寵の方が相応しい。

 

 と、ここで四月から六月までの内政フェイズ。

 現在の数値にまず衝陽と他の五郡からの収入を足してみた数値がこれ。

 

農業2700(5000) 商業3340(5000) 堤防96 治安90

兵士数52733 城防御312(1000)

資金33108 兵糧153000

 

 商業3340は半端ねぇな…。

 こうなりゃ一気に上限まで上げてしまおう。

 

 という訳で前回と同じく、僕と張昭、陳羣が十倍掛け商業投資。

 鄧艾と国淵が十倍掛け開墾。

 陶侃と趙佗、李秀が帰順。

 張紘、顧雍が治水事業。

 以上…と。

 これでどうなるかな…?

 

農業3820(5000) 商業5000(5000) 堤防92 治安82

兵士数56333 城防御312(1000)

資金16608 兵糧153000

 

 フフフ…これで最早、洛陽なんてチッポケな存在になったぜ。

 秋になれば大量の兵糧がガッポリと入ってくるし、輸送路さえ確保すれば北伐なんて屁みたいなもんだ!

 …多分だけどね。

 

 でも、これからどうしようかな…。

 既に衝陽の商業は最大になってしまったし、僕のやる事が既にない。

 ということは、荊南を誰かに任せて僕は交州東部、即ち広州牧として赴任するのが最良だ。

 そして広州を更に開発しまくり、その経済基盤を軸にして行動を移すのが最善だろう。

 問題は荊南を誰に託すかだな……。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ