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第十四話 ゲッ! 曹操! ……の

 さて、顧雍、是儀、蔡邕、徐奕とその家族達を先に長沙行きの船に乗せ、僕たち四人は一路、北の徐州に向かうことになった。

 江東と聞いたし、てっきり揚州かと思っていたけど、張昭は徐州にいるらしい。

 張紘の居場所はというと広陵だというので、長沙への帰りに誘うことにした。

 

 秣陵から北に長江を渡ると、陶謙が太守をしている徐州の下邳だ。

 陶謙の評判はというと名君と言う人もいれば、暴君だという人もいる。

 好々爺のイメージがあるせいか、暴君というのは少し違う気がするけどなぁ……。

 

 長沙を発ってから既に十日余りも過ぎてしまった。

 長沙のことが心配だし、何と言っても3月上旬の政略フェイズにも間に合わないといけないので、急いで張昭を探さないとね。

 徐州は現在の時点では、あまり黄巾賊に荒らされていないらしいけど、それでも略奪とかは起きているらしい。

 まぁ、曹操のやったことに比べたら、可愛いもんなんだろうけどさ……。

 

 婆さんから貰った路銀で馬を買い、徐州小沛の北東部にある張昭のいる場所へ急ぐ。

 徐州の広大な草原を馬で走らせながら、僕は少し思い入れのある張昭という人物を思わず想像していた。

 思い入れっていっても、最初のゲームで軍師として凄く役に立ったとか、そういうことなんだけどね……。

 

 徐州では他に人物がいるかもしれないし、色々噂を聞きながら旅することにする。

 まだ孫乾とか糜竺とか登用されていなかったら、即ゲットするさ!

 ついでに糜竺の妹も貰おう、そうしよう。

 ……うん。不純です。分っています。

 でも、そうすれば劉禅、生まれてこないから!!

 あれ? もう一人の方だっけ?

 ……っていうか、僕は何を力説しているんだ???

 

 そんな馬鹿な妄想をしながら四日間の間、徐州を走破して目的の村へと着いた。

 もうクタクタだよ……というか、お隣は兗州じゃないか……。

 どうせならいっそのこと、郭嘉とか荀彧とか典韋とかも……。

 けど、まだ年齢的にいないかなぁ……?


 歩いていた村人に張昭の屋敷を教えてもらい、何とか夕暮れ時に張昭の屋敷に着いた。

 当然、思わぬ珍客に張昭は驚いていた。

 そこで僕は陳端の手紙を渡し、事の次第を伝えた。

 そうしたらジッと張昭は目を瞑り、考え出した。

 ついでに今のうちにパラメータ見ておいてやろう。

 

張昭 字:子布 能力値

政治9 知略8 統率6 武力4 魅力7 忠義8

固有スキル 商才 説得 名声 弁舌 教科 鎮撫

 

 おお、やっぱり強い! けど、「教科」って何だ?

 という訳で……。

 

「……出てきてやったぞ。『教科』は所持するスキルが三つ以下の者に固有スキルを取得させるスキルじゃ」

「おお!? それは強い! 有難う! 水鏡先生!」

「最後まで聞け。教わる方には習得に一か月を要する。それと特殊な固有スキルを極稀に取得することが出来る」

「特殊な固有スキル?」

「陳平の神算とか鬼謀とか、例にあげるとそういうものじゃ。一年に一度だけな上に、金が300かかる。じゃあの」

 

 う~ん……そこそこの配下を強化させる固有スキルかぁ……。

 後々、便利になるのかも……?

 いまのところ、取得出来そうなのは……鞏志か。

 それは良いとして、まずは仲間にしないことにはねぇ……。

 

「ブツブツと何やら話しているところをすまぬ。申し出は有難いが……」

「張昭先生! どうか長沙にて民をお救い下さい!」

「ふむ……良かろう。行こう」

「えっ!? ……宜しいのですか?」

「意外そうな返事だな。実は……陶謙殿に再三再四、配下になるよう言われていたところなのだよ」

「……そ、それは?」

「だが、あの方はちと…な。私は好きにはなれん。君ならまだ齢も近いし、面白そうだ」

「あっ……。有難うございます!」

「礼を言うのは当面の賊を討伐してからだ。断っておくが、儂も陶謙殿に負けぬぐらい強情者だぞ」

「それは陳端と秦松に聞いておりますので……」

「ハッハハ。そうか。では、明朝出立すると致そう」

 

 強情者と聞いていたから「どれだけ苦労するか」と思っていたんだけど、あっさり了承してくれた。

 これで張紘、あと一人!

 ついでに誰か来てくれるとなお、良し!

 でも、楊松や博士仁クラスはいりませんけどね!

 

 明朝、馬を走らせていると、昼ごろにある光景に出くわした。

 野盗が身分の高そうな人を襲っていたんだ。

 護衛の兵が総出で防いでいるけど、このままじゃ時間の問題。

 ここは新参者の張昭君に良いところを見せてやろう。

 

「鐘離昧! 張任! 『義を見てせざるは勇なきなり』だ! 野盗どもを懲らしめよ!!」

「承知した! 鐘離昧参る!! 覚悟しろ賊め!!」

「同じく張任!! 我が君の命にて助太刀致す!」

 

 いやぁ……強い強い。二人しかいないのに無双しまくっているよ。

 僕は当然、ただの見学。

 いや、ほら……僕の武力1だし……。

 

「おお、旅のお方。お助け頂き有難うございました!」

 

 そう言って近づいてきたのは、身なりの良い初老の紳士って感じの人だった。

 漢の高官かな? お偉いさんだったら、賄賂なしで長沙の太守を取次いでもらえるかも……。

 

「いえいえ。御怪我はございませぬか?」

「儂の名は曹嵩。一時帰郷し、これから洛陽まで戻る途中に野盗に襲われました。失礼だが、貴殿の名を聞かせて頂きたい」

「私は司護。旅の者で……えっ!? 今、なんと!?」

 

 曹操の親父かよ!?

 てか、ここで死んでいたら徐州は問題なしだったのかよ!?

 いや、その前に張闓殺してしまえば、良いだけかも……。

 いやいや……。そういう問題じゃなくて。

 

「これはあの高名な曹嵩殿でしたか!?」

「この儂をご存じで?」

「はい。あのご高名な曹騰殿の御世継であり、ご子息曹操殿の父君でいらっしゃられる。何で知らない筈がありましょうや」

「……そ、そうですか。儂なんぞ養父曹騰に比べたら小人でしかありませんが、お世辞にしても嬉しく思います」

 

 思いの外、凄く良い人そうだ……。

 ついでに曹操に売り込んでおくチャンスでもある。

 でも、そんな時、後方から怒鳴り声がした。

 

「我が君! 無駄な時間を費やしましたぞ! 先に行きましょう!」

「ちょ……張昭?」

「そのような小人を助けても意味はない! それまでのことです!」

 

 ちょ……待っ……何を言っているの!? 君は!?

 折角、曹操に売り込むチャンスなのに!

 その瞬間、僕の体は勝手に馬から降りて両手を地面につけたんだ。

 

「これは……私の配下がご無礼を……申し訳ありませぬ! 曹嵩殿!!」

「いやいや。確かに儂は大金払って九卿を買った身……。お気に召されるな」

「いいえ! これは長沙太守司護の不始末。ご無礼の段、平にご容赦下さい!」

「…!? 貴殿があの!?」

「はい。……恥ずかしながら、無位無官の身ですが、止む無く太守の代理をやっている者です」

「……猶更、気になさるな。この儂からも何とか帝に言上する故、長沙を頼みましたぞ」

「……ははっ!」

 

 ……僕はまた土下座した。

 けど、今度のは僕が自らやったのとは違う!

 張昭がいけないんだ! でも、解雇は絶対しないけどね!

 

 曹嵩と別れると、張昭は説教というか愚痴を散々、僕に浴びせてきた。

 張昭君、君は何をやったのか理解しているのか?

 ……理解した上でやったんでしょうけどね。

 

「我が君。あの者は能がない小人のクセに、官位を宦官どもから購入した恥さらしですぞ」

「そんな事を言っても仕方がないではないか」

「いいえ、仕方なくはありません。我が君は賄賂で官位なんぞ買うことはないでしょうな?」

「買うつもりがあれば、とっくに宦官どもに渡している」

「それならば良いのです。しかし、あの者を頼ると同じ穴のムジナと見なされますぞ」

「その時はその時だ。私が退いて王儁殿に太守の印璽を渡せば済むではないか」

「馬鹿なことをおっしゃいますな!」

「今はそのような事を気にしている場合ではない。賊があちこちで暴れているのだぞ。それが分らぬ君じゃないだろう?」

「……それとこれとは話が違います」

「いいや、違いはせぬ。余は自らどれだけ泥を被ろうとも、民を多く救えるのであれば、それで本望だ」

「………」

 

 ……説得に成功したのかな?

 張昭はそれ以降、黙ってしまった。

 あとは曹嵩が皇帝と曹操に僕の悪口を言わないことを願おう……。

 

 それからは一路、南へ向かった。

 目指すは広陵。ただ一つ。

 しかし、そこでは袁術の軍勢が駐屯しているという……。

 孫堅に会えるかな? でも、会わない方が無難かな……?

 

 広陵に着くと、賊らしい賊は見当たらない。

 ただ、兵士達が偉そうに幅を利かせていた。

 頼みますから張昭、地雷は踏まないでね……。

 

 またもや夕暮れ時に到着してしまったので、一晩の宿をとって明朝、張紘に会いに行くことにした。

 陳平は張昭の何がおかしいのか、何かにつけてからかっている。

 まぁ、陳平としたら生真面目で強情な者ほど、からかいたくなるんだろうなぁ……。

 何せ、兄嫁を寝取っちゃう奴だしなぁ……。


 居酒屋で僕らが酒を酌み交わしていると……。

 あ! 断っておきますけど、この世界では僕は二十歳以上の成人男性ですからね!

 ……これで良しと。


 で、酌み交わしていると、悪酔いした兵士が若い娘にちょっかいを出してきた。

 これぐらいは日常茶飯事だ。……うん。

 長沙だったら張任に言いつけて、ブン殴らせるところだけどね!

 鐘離昧の場合は容赦なく……その、埋めそうだから。

 

「おい! 貴様ら! 五月蠅いぞ!」

「……なっ!? 俺らを袁術様の兵士と知って言っているのか!?」

 

 ああ、やっちゃった……。しかも、鐘離昧が。

 一番、やっちゃいけないんですよ。君が。

 僕が何度言ったことか……。

 心の中で、だけどね……。

 

「嫌がる婦人を手籠めにしようとは、袁術とやらも先が知れているな」

「てめぇ……女のくせに随分と偉そうなことを言うじゃねぇか」

 

 …!? そっちも地雷を踏むんじゃない!

 分かっているのか!? 埋められるんだぞ! 生きたままで!

 

「誰が女だ!! 貴様!」

「おお、怒った顔も可愛いぜ。お嬢ちゃん。代わりにお前が酌をするなら、この娘は離してやらぁ」

「許さん!! 表に出ろ! 何人でも相手になってやる!!」

 

 ……言わんこっちゃない。

 ああ……陳平はただニヤニヤしているだけだし……。

 張任は素知らぬフリしているけど、いつでも剣を抜く準備しちゃっているし……。

 張昭? 言うだけ無駄……。

 

「こら! 貴様ら! また風紀を乱しておるのか!!」

「あっ!? これは……」

 

 見知らぬ三十代の武将が急に入ってきて、兵達を叱責した。

 ……助かった。一時はどうなるかと思ったよ。

 あ、どうせだからパラメータを見ておこう。

 

程普 字:徳謀 能力値

政治5 知略7 統率8 武力8 魅力7 忠義8

固有スキル 水軍 騎兵 歩兵 豪傑 突破 補修

 

 おお!? 程普! 流石は強い!

 てゆーか、引き抜きたい!

 袁術の配下にいてもロクなことにはならないぞ!

 僕がそう心の中で叫んでいると、またもや体が勝手に動いて程普に近づいた。

 

「これは、これは。有難うございます。将軍」

「あ、いや。某は将軍ではない」

「そうでしたか? 威厳といい、袁術様のご配下の将軍殿と思いましたので」

「……君は世辞が上手そうだな。悪い気はせんが、某は汝南府君ではなく別府司馬孫堅の配下だ」

「おお! あの海賊退治でご高名な孫堅様ですか!」

「本当に口が上手いな。その口で上手く世渡りしてきたのか?」

「とんでもない! 私は生まれついての正直者でございます」

「ワハハハ! 気にいったぞ。困ったことがあったら某に相談してくれ」

「有難いことです。私は単福という者です」

「そうか。某は程普だ。また、会おう。単福殿」

 

 ……思わず徐庶の偽名を使ってしまった。

 あ…でも、まだ人を殺していないからセーフかな……?

その効果があったか知らないけど、兵士を連れ、程普は出て行った。

 孫堅ごと引き抜きてぇなぁ……。

 

 未だに怒りが収まらぬ鐘離昧を何とか宥め、僕は明日会う予定の張紘ことを思い、寝床についた。

 しかし、孫堅がこの地にいると思うと、張紘よりも孫堅の方に頭が向かってしまう。

 黄祖に殺される前に、何とかして引き抜きたいからなぁ……。

 ええ、配下や子供ごとゴッソリと……。


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