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第七十九話 神キターッ!?

 

 こうして僕は念願の6の人材と待望のご対面となった。

 相手が卑弥呼であったのが、余りにも想定外でしたけど!

 そして現時点での僕よりも少しだけ背が低いぐらい。

 ・・・大体、180センチメートルぐらいかな?

 もっと小柄だと思っていただけにビックリ・・・。


 では、ここで待望の能力値のチェックといこう。

 どんな特殊スキルがあるのか、ちょっとドキドキ・・・・・・。

 

オウス(ヤマトタケル)

政治2 知略8 統率8 武力10 魅力9 忠義6

固有スキル 機略 歩兵 豪傑 伏兵 踏破 水軍 帰順 逃亡 草薙


 想定外過ぎるぞ!!

 てか、「草薙」って何だよ!?

 意味が分からん!

 

「貴様! 何を申すか!?」

「あ、いや。これは失敬した。思っていた人物とは違っていたので・・・・・・」

「何!? そもそも貴様は誰だ!?」

「荊州牧の司護と申す」

「・・・・・・知らぬ」

「・・・・・・だろうね」

「・・・・・・して、誰と思っておったのだ?」

「そりゃ当然、卑弥呼だが・・・・・・」

 

 オウスは首を捻った。

 まさか、まだ卑弥呼って生まれてないのか?

 

「・・・・・・生憎そのような者は知らぬが?」

「では、邪馬台国は存在しておらぬのか?」

「・・・・・・何処の国だ?」

「え? 何?」

「・・・・・・いや、待て。勘違いしておるようだな。貴様は」

 

 オウスは警戒しながら説明を始めた。

 それによると邪馬台国という名前の国はないらしい。

 というのも、そもそも「ヤマタイ」という言葉は別の意味があるという。

 

 まず「ヤマ」が「矢を待つ」つまり「矢を控える」という意味、即ち休戦という意味だそうで・・・・・・。

 次に「タイ」が連立という意味、これは「帯」という漢字が当て字となる。

 そして最後に「コク」だけど、これは実は「国」ではなく「刻む」に近い。つまりは「時刻」の刻ということだ。

 それで「ヤマタイコク」とは即ち休戦同盟を表す言葉だそうだ。

 つまり本来なら「矢待帯刻」が正しい表記らしい。

 

 矢待帯刻は当然ながら一時期的な連邦であり、西は北九州から東は東海の西部まで加盟しているとのことだ。

 連邦議長のような存在の巫女がおり、それが「ヒミコ」と称される別格の巫女とのこと。

 そして、現段階の卑弥呼の名前は「アマチラスノヒメノミコト」だそうで・・・・・・。逆に長いな・・・。

 漢字で書くと雨散姫命になるのかな?

 そう言えば、卑弥呼と天照大神って同一人物説もあるけど、それが関係しているのかな・・・?

 

 矢待帯刻は議会制に近く、各国の王や、その代理人が議場で話し合い、決定をヒミコに託すという。

 本当は当て字として陽巫女が良いらしいけど、面倒なので卑弥呼でいきます。

 そして評決は最終的に占いで決まるらしいけど、ほとんどは領土の占有権問題だとか・・・。

 

 しかし、ゲーム世界とは言え無茶苦茶な・・・・・・。

 大体、オウスっていうかヤマトタケルって実在するのかよ?

 ・・・・・・まぁ、そんなことを言ったら周倉の立場がねぇか。

 

 色々と老師にツッコミたいので、僕はオウスに待ってもらい、瞑想したフリをして老師を呼び出すことにした。

 「神々と交信したい」と言ったらアッサリと了承してくれたからね。

 変に物分かりがいいなぁ・・・・・・。凄い不安だけど・・・・・・。

 確かこの女装って、そもそも暗殺の為だったような気がするし・・・・・・。

 ・・・・・・という訳で、出てきて! お願いだから!

 

「よしよし。素直な心がけじゃのぉ」

「えっと・・・・・・まずはだけど、このオウスって6で合っているんだよね?」

「・・・・・・おかしいのぉ。既に6は衝陽でウロついている筈じゃが?」

「えっ!? じゃあ、このオウスって何者?」

「・・・・・・ううむ。追加パックかのぉ」

「・・・・・・何だよ? 追加パックって?」

「え? 追加パックを知らんの?」

「・・・・・・いや、意味は分かるけどさ。そういう意味じゃなくてさぁ・・・・・・」

「おお、そうか。ま、気にしなさんな」

「普通、気にするに決まっているだろ!」

「大体、朝鮮もヴェトナムもある訳じゃし、インドどころかローマまであるんじゃぞ。倭国がない訳がなかろう?」

「・・・・・・いや、だって普通さ。三国志って中国だけじゃない?」

「そうとは限らん。東夷伝(魏志倭人伝はその一部)も立派な三国志の一部じゃよ」

「そう言われれば、そうかもしれないけど・・・・・・」

「それに朝鮮半島から倭国に渡っておる訳じゃし、朝鮮半島の半分は、ほぼ漢みたいなもんじゃし」

「今度は隣の国の人たちがファビョるようなことを・・・・・・」

「じゃが、事実じゃからのぉ・・・・・・。それに半島の一部は倭国じゃし」

「そんな事を言ったらもっとファビョるよ!」

「だって儂、現実の半島情勢なんて知らんもん」

「・・・・・・ああ、もう。無茶苦茶なことを」

「所詮はゲームの世界じゃ。試しにお主が蔡邕あたりに史書として『尖閣どころか琉球も中国領土』とか書かせたら面白くね?」

「ブッ!? 絶対に断る!!」

「フォフォフォ。愉快愉快」

「・・・・・・全く。でも、確かにゲーム世界だからなぁ・・・・・・ん? 待てよ?」

「どうしたのじゃ?」

「鉱山とかも同じ場所にあるの?」

「その筈じゃがのぉ・・・・・・」

「そうか・・・・・・。なら、話は早い」

 

 別に倭国を占領する必要はない。

 租借地とか言って佐渡金山や石見銀山、その他諸々の鉱山を手に入れれば良い訳だ。

 そういう意味でも、早く香港までのルートを確保しないといけないね。

 ・・・・・・そういや、オウスは何でここに居るんだっけ?

 僕は瞑想から醒めたフリをして、そのことを聞くことにした。

 

「オウスと申したな。貴殿は何故、ここにおるのだ?」

「俺とて解らぬよ。こちらが聞きたいくらいだ。卑弥弓呼を殺しに狗奴国に入ったは良いが・・・」

「卑弥弓呼? 何者だ?」

「熊襲の王だ。奴が自分勝手な領土割譲を騒ぎ立て、ヤマタイの諸国に侵略しているのだ」

「どういう理由で?」

「奴は金印を持っている。光武帝から下賜されたとかの・・・」

「それはもしかして、漢委奴国王印かんのわのなのこくおういんのことか?」

「何故、知っているのだ?」

「それを今、神々に聞いたからだ」

「・・・・・・ううむ。貴様もヒミコと同じ力を持つのか」

「まぁ、それは良い。どうにかして貴殿を倭国に戻してやりたいが・・・」

「いや、その前に帝に会わせてくれ」

「・・・・・・無茶なことを言うな。大体、帝にお会い出来る筈がなかろう」

「事は急を要するのだ」

「どのような件だ? それは」

「卑弥弓呼が漢の帝に使者を送ったのだ。自身が倭国の王、帥升すいしょうの末裔とな」

「何と!? で、漢に応援を要請し、倭国に攻め入らせるということか?」

「その通りだ! それを止める為に私は帝に会わねばならぬ!」

 

 無茶を言うなよ。僕だってデブ帝には会ったことないのに・・・・・・。

 特に会いたいとも思わないけどさ・・・・・・。

 

「言いたいことは分かった。だが、それは無理な相談だ」

「何故だ!? 貴様は重要な役職ではないのか!?」

「重要かもしれぬが、余には伝手がない。余自身が帝に謁見したことすらないのだぞ」

「・・・・・・何の役にも立たないではないか!」

 

 勝手なことを言うな!

 怒鳴りたい気分だけど、確かコイツって実の兄の手足をもいで平気で殺すような無茶苦茶な奴だしな・・・・・・。

 傍にゴリ子や許褚がいない以上、怒らせたらマズい・・・・・・。

 

「まぁ、そう言うな。それにだぞ。まずは君が倭国に戻らねばならぬであろう?」

「それは確かにそうだが・・・」

「同じように瞬時に戻れるのかね?」

「それが出来れば、ここでこのように屯しておらぬ」

「それであろうなぁ・・・。そこで一つ提案がある」

「・・・ほう?」

「まずは君を倭国に送り返す。ついては少し手伝って欲しいことがある」

「何だ?」

「我らにはまず海港がない。そこで、これから海港を奪取する。まずはそれを手伝う事が一つ」

「・・・で、他には?」

「こちらで漢の軍勢が倭国に攻め込まないよう陽動をする。その際、卑弥呼に使者を送るので、その伝手となって欲しい」

「そのようなことならお安い御用さ」

「・・・うむ。だが、こちらにはこちらの事情がある。今すぐという訳ではない。それでも良いか?」

「おいおい。それじゃあ、何時になったら俺は戻れるんだ?」

「少なくとも三ヶ月は待って欲しい・・・・・・」

「ちぇっ。俺も他に宛てがある訳でもねぇし、仕方ねぇな・・・」

 

 一応、説得には成功した。

 魅力的だけど、流石にこいつを留めておく訳にはいかないからな・・・。

 てか「草薙」って何だよ?

 もう一度、出てきて・・・。

 

「ほいほい。『草薙』じゃな。酔っ払って全裸で騒いだ挙げ句、道ばたで寝ることじゃ」

「そんな訳ねぇだろ! てか、いい加減もう忘れてやれよ!」

「フォフォフォ。実際は『どんな火計も効かぬ』という代物じゃ」

「どんな火計も?」

「そうじゃ。相手が孔明だろうが陸遜だろうがな」

「じゃあ、赤壁の戦いでも・・・・・・?」

「ああ、どんな規模でも効かぬぞ」

「・・・・・・スゲェ」

「他に所有する者は居らぬからの。いや、もう一人いるかもしれんが・・・」

「それと日本地図は現代と同じと思って良いの?」

「当然じゃが、築地だの何だのはないぞい。後に埋め立てした地や人工の河川とかは皆無じゃよ」

「・・・ま、そりゃそうだろうなぁ」

「何でまたそんなことを聞くのじゃ?」

「だって、港湾施設とか造るんだから、気になるのは当然じゃないか」

「・・・・・・わざわざ日本にか?」

「うん。それと沖縄と台湾にもね」

「・・・お主、クリアするつもりがないんか?」

「するつもりだよ? でも、交州を攻略したとして、その後に拡張する場所がなければ当然じゃないか?」

「やれやれじゃなぁ・・・」

「石見銀山も佐渡金山も手つかずなら、取ってしまっても誰も文句言えないだろうしね。どうせゲーム世界だし」

「確かにそうじゃがのぉ・・・」

「中国の鉱山は知らないけど、日本なら大凡おおよその見当はついている。なら、これを利用しない手はない」

「クリアに遠のくような気もするがのぉ・・・」

 

 何とかオウスことヤマトタケルを説得し、外へ連れ出すと、まずは格好を変えさせる為に衣服を用意した。

 そりゃ、江戸時代にタイムスリップした医者ぐらいの違和感がありますからねぇ・・・。

 それとカタカナでの明記が出来ないので、せめて漢字表記出来るようにしておく。

 姓は倭、名は建。字は武尊ということにしておこう。

 

 僕は政庁に戻る途中、オウスこと倭建に色々と聞くことにした。

 この世界の倭国の状況を具に聞く必要があるからだ。

 てか、ヤマトタケルってことは当然、親父が・・・・・・。

 

「君に聞きたいことがある」

「何だ? 随分と聞きたがりだな」

「君の父上は?」

「何故、そんなことを聞く?」

「聞いては拙いものか?」

「そんなことはないが・・・。ヤマウシロノタラシヒコだ」

 

 ヤマウシロ? 山城のことか?

 そういえば昔、山背って表記されていたらしいしな・・・。

 

「それは名か?」

「我が父はヤマウシロの大君だ。故にヤマウシロノタラシヒコが正式な名だ」

 

 タラシヒコって言うのが王と同じ意味なのか・・・。

 つまり山城国王って意味なのね。

 

「・・・それでヒミコは何処にいるのだ?」

「大抵は葛城国の樫の高原たかはらの社にいる」

「樫の高原?」

「樫の木で覆われた森の中に開けた場所にあってな。元は雨乞いのためだけの社であったが、そこで各地の王の代理と共に居るのだ」

「・・・では、定まっていないのか?」

「他は秋の収穫には出雲にて祭祀を行い、熊襲どもが襲来した場合は、神託を兵に伝える為に伊都国へ向かう」

 

 あくまで、このゲーム上の倭国の状況ですからね。

 僕も良く分からないけど・・・・・・。

 続けて質問コーナーいきます。

 

「卑弥呼には確か弟がいたと思うが・・・・・・」

「よく知っているな・・・」

「名は何という?」

「ツキノヨミテとスサブノオオミコトだ」

「・・・・・・」

 

 ツクヨミとスサノオのことか・・・・・・?

 てか、神じゃねぇか・・・・・・。

 ヤマトタケルも神だけどさ・・・・・・。

 それよりもスサノオとヤマトタケルが混在するなんて・・・・・・。

 

 でもね。考えてみたら関羽も神になっている訳で・・・。

 菅原道真や豊臣秀吉、徳川家康、山本五十六だってそうだし・・・。

 そう考えると、ツクヨミやスサノオも実在したのかな・・・?

 

 更に聞くと卑弥弓呼は大攻勢を仕掛けており、卑弥呼が派遣した出雲国のノミノスクネという人物が防戦中。

 場所を聞くと、現在の佐賀県吉野ヶ里あたりらしい。

 更に釜山付近の狗邪韓国には、葛城国のタケウチノスクネが派遣され、漢の軍勢と応戦中とのこと。

 因みにスクネの意味は「タラシヒコの補佐」だそうです。

 

 ノミノスクネとかタケウチノスクネってどっちも聞いたことがあるな・・・。何処だっけ?

 帰ったらググる項目が更に増えた・・・。

 

 政庁に戻ると僕は太学従事の張承を呼び、オウス改め倭建の語学教師に任命する。

 倭建は不満を漏らしたけど「もし、帝に謁見しても言葉が分からないままで良いのか?」と聞いたら渋々了承した。

 少なくとも日常会話ぐらいは憶えて貰わないと、異国では暮らしていけませんからね。

 日本人街なんて無い訳だし・・・・・・。

 

 そして、次に僕は范増を呼んだ。

 朝鮮半島情勢のことを聞くためだ。

 半島がきな臭いなんて、嫌なリンクしているなぁ・・・・・・。

 当然、フクちゃんモードで対応します。

 

「何じゃ? 折角、色街に繰り出そうという時に水をさしおってからに・・・」

「ハハハ。それはすまんな。だが、ちと聞きたいことがあってな」

「どのようなことじゃ?」

「朝鮮半島についてだが・・・」

「今のお主に関係あるのか?」

「ああ、余が連れてきた者が関係している」

「・・・はて?」

「奴は倭人なのだ。そこで・・・」

「・・・・・・何で倭人がここにおるのじゃ?」

「余とて知らぬ。奴も知らぬらしいがな・・・」

「妙なこともあるもんじゃな・・・」

「・・・して、半島はどんな状況だ?」

 

 范増から聞くと、韓州牧になった袁隗が三韓をアッサリと討伐し、現在は釜山付近にある小国「狗邪韓国」に侵攻したとのこと。

 狗邪韓国の王である首露王は、隣国の対馬国と州胡(済州島)に応援を要請し、これと交戦中。

 この狗邪韓国がどうやら倭人の国らしいんだけど、あくまでゲーム世界ですからね。


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