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第七十二話 すったもんだも有りました

「ほい。何やら不思議がっているようじゃの」

「あっ!? 老師!?」

 

 いきなり斬新な登場しやがって・・・・・・。

 楊慮もそうだけど、まだゴリ子に関して決着が・・・・・・。

 

「どうでも良いが、趙媼は儂の責任じゃないぞい」

「はぁ!? じゃあ、誰の責任だよ!」

「己自身の責任じゃ。あれだけ『女武将が欲しい』と喚いておったではないか」

「・・・・・・いや、こんなの以外にも関索の嫁とか」

「おらんぞ? 関索もいるかどうか微妙じゃしの」

「え? 何で?」

「確か儂、以前『能力値は演義と正史の良いところ取り』と説明したじゃろ?」

「・・・・・・確かに」

「関索の嫁どころか、関索自身が演義にちょっとしか出ないからの」

「ええっ!? それじゃあ!」

「・・・・・・うむ。検索したが王姉妹とか居らぬわい」

「じゃ、じゃあ祝融とか王異とか・・・・・・」

「既に両名とも他の地域におる。仲間にしたいなら、さっさと攻め込め」

「・・・・・・ひでぇ」

「あと、既に存在している誰かの娘とか息子、孫の場合、登場年を早めることは不可じゃ」

「・・・・・・そうなのか。あ、それと」

「楊慮の能力値が異常に見えることかな?」

「・・・・・・うん」

「楊慮は十七歳で本来なら死んでおるからの」

「じゃあ、何でこんな能力値!?」

「それでも数百人の弟子がおったからじゃ。その界隈では、一番の名士という触れ込みだったからじゃろうのう」

「十七歳で死んで数百人の弟子??」

「そうじゃ。それで扱いが龐徳公や司馬徽より、扱いが上ということなんじゃろうな」

「それだから、この能力値ということか・・・・・・」

「ただ、能力値やらスキルなんぞ、ゲームデザイナーの思惑次第なんじゃろうがのぉ」

「今、スゲェことぶっちゃけた!!」

「大したことは言っておらんぞい? 評価なんぞ、個人差があるのは当然だしのぉ」

 

 でも、それなら姜維とか早い段階で出てくるのかな?

 もし、そうなら嬉しいけどね。

 

「お主、良い勘をしておるの。その通りじゃ」

「えっ!? じゃあ、姜維を早い段階でゲット出来る訳?」

「親父の姜冏きょうけいは登録されておらんしの。じゃが、それと同時に他の勢力での出現もありえるぞい」

「・・・・・・ちぇ~」

「元は涼州天水の出自じゃからのぉ。どうなるやらじゃ」

「・・・・・・で、今後は楚漢戦争頃の人物は出てくるの?」

「既にほぼ出そろっておる。まぁ、他にも前回の更新で、かなり削除されたらしいがの」

「えっ!? でも、肝心の劉邦とか樊噲はんかいとか出てないんですけど?」

「樊噲は何処かで燻っておるかもな。劉邦は・・・・・・まぁ、これから楽しみにしているが良いわ」

「きっ・・・・・・気になるなぁ・・・・・・」

「それじゃ儂は失礼するぞい」

「あ! 待って!」

「何じゃい?」

「・・・・・・ということは今後、于吉仙人のサイコロは楚漢の頃の人物じゃなくて、登場年数が早まった人物ってこと?」

「ほぼ、そういうことじゃな。じゃが、于吉云々以前にお主」

「何?」

「欲張りすぎじゃ・・・・・・。楊慮も取る気、満々ではないか」

「当然でしょ! ゴリ子しか女武将がいないなんて、冗談じゃないからね!」

「まぁ、待て。一応じゃが、確か女盗賊は二人おる。ただ、姓しかないから出てきた場合、名と字はお主が決めよ」

「えっ!? 本当!? 可愛いの!?」

「女のくせに盗賊なんぞ、普通はブスじゃね? ・・・それとハッキリ申しておく。完全な雑魚じゃ!」

「ええっ!? 何で!?」

「あっさりと討伐されておるからのぉ・・・。ハッキリと見ておらぬが、博士仁クラスの雑魚の筈じゃ」

「・・・・・・ゴリ子と言い、どうしてそこまで女子の扱いが酷いんだ?」

「知らぬ。ゲームデザイナーが時流とやらを全く無視するからじゃね? じゃあの」

 

 老師はフッと消える間際「やれやれ」という表情をしていた。

 上手くいけばサイコロで姜維をゲット出来るのか。

 そうなると女盗賊はどうしよう・・・・・・。

 でも、ブスの博士仁はいらねぇなぁ・・・・・・。

 兎も角、于吉仙人様! 早く来て下さいね!

 

「噂は本当だったのですね。確かに珍妙な発音の文言を並べ立てる」

 

 いけね! 楊慮の存在を忘れていた!

 急いでつくろわないと!

 

「・・・・・・いやいや、お恥ずかしい。貴殿のような大人物に会えたことを感謝し、天にお礼を述べていたのです」

「・・・・・・口調からして、そのようには見えませんでしたが」

「これは失礼。それなら既にご存じかも知れませぬが、余は姓は司。名を護。字を公殷と申す」

「やはり・・・。あ、手前は襄陽の出自で、姓は楊。名は慮。字は威方というしがない一書生です」

「ハハハハ。ご謙遜を。ならば何故、このような多くの弟子がおられるのかな?」

「暇潰しに私の世迷い言を聞きに来ているだけでしょう。それよりも、先ほどの言葉は・・・・・・?」

「ああ、それは『何故、このような大人物がいても平和にならない』ということで、思わず語気が荒くなったのでしょう」

「・・・・・・はて? それに少なくとも、私はそのような者ではありません」

「いえいえ。ご謙遜を召されるな。この司護、改めて楊慮殿を招きたく・・・・・・」

「待たれよ。貴殿は、既に大勢の俊英を抱えているではありませんか」

「その通り。ですが、太平の世を実現するには、まだまだ足りぬのです」

「そんな事はないでしょう。著名な鄭玄殿を始め、王儁殿や蔡邕殿など多数の・・・・・・」

「確かに私は不徳の者ですが、高名な方々もお集まり頂いております」

「それこそ過ぎた謙遜でしょう。何故、私のような若輩者を・・・・・・」

「それは違います。私は確かにつまらぬ者です。ただ唯一、民のために働いていることが評価されているだけなのです」

「この世の中において、それが出来る者は数少ない。それだけで上使君と言われるに値しましょう」

「いえいえ、滅相もない」

「兎も角、私は諦めて下さい。そのような方々と比べられるのは、僭越が過ぎるというものです」

 

 話は平行線を辿っております。

 王儁の時みたいに土下座しかないかなぁ?

 でも、この口ぶりだと、それでも難しそうだしなぁ・・・・・・。

 

「私にお任せを」

「おお、ジンちゃん! 上手く説得出来る?」

「天下の大人たいじんを野に埋もれさすのは、世にとって災いと同じことです」

「そう! 正しくその通り!」

「腐れ儒者仲間が増えていくのは好都合だしな」

「黙れ! 凶賊!」

「フクちゃんは黙ってて!」

 

 という訳でジンちゃんにバトンタッチ。

 でも、どうやって説得するんだろ?

 

「威方殿。貴殿は勘違いなさっている」

「何を申される?」

「余に仕えるというのではない。『民の為に尽くしてくれ』と余は嘆願しているのだ」

「・・・・・・しかし、それは」

「それに貴殿がこの地にて養生なさっているというのは、天のお導きによるもの。本来であれば、貴殿は既に他界していたかも知れぬ」

「そ、それは・・・・・・。いや、しかしですね。確証がありますまい」

「それではこうしましょう。今後、我らに何らかの災いが降りかかれば、余は天に嘘を申したことになる」

「はぁ?」

「それまで、この荊南に居て下され。民と天に代わり、威方殿にお頼み申す」

「アーッハッハッ!!」

 

 いきなり楊慮が大声で笑い出した。

 何だろう・・・怖い・・・。

 

「ああ、可笑しい。貴殿は余程、天に祝福されている自信がお有りと見える」

「・・・不徳者ではありますが、天下を安寧にする誓いを立てました。それを天は受け入れたのです」

「・・・ということは、貴殿は帝になるという意思をお持ちなのですか?」

「とっ! とんでもない! そのような意識は毛頭ありませぬ!」

「では、何故?」

「余は天下太平の暁には、黄帝君に倣い、神山に籠り、隠遁するつもりでおります」

「・・・これはおかしい。本来ならば天下が平定された後、天下の基盤を作ることこそが、最も難儀なことですぞ」

「分かってはおります。それ故、貴殿にその後を任せたい」

「えっ?」

「確かに若き俊英も多い。ですが、その俊英を纏める者が足りない。そこに丁度、貴殿が参られたのです」

「・・・私に務まりますかね?」

「余の目に狂いはありませぬ。それは余が推挙した者達を見れば、当然のことでしょう」

「確かに。無名であった陳端殿を始め、数多くの若い俊英を見出しておりますな」

「はい。それ故、人を見る目には間違いない、とこう自負しております」

「成程。しかし、それでも止めた方が貴殿の為です」

 

 何故だ! どうしてだ!

 やっぱり土下座しかないのか!?

 ・・・でも、土下座しても無理そう・・・・・・。

 お願いジンちゃん! ここが踏ん張りどころだ!

 

「何故、そう思うのですか?」

「私を登用すれば、面倒なことになりかねません」

「ほう?」

「鄭玄殿を始めとする古文学閥派の方々は私を疎んじることでしょう。そうなると派閥争いに成りかねません」

「何だ。そんなことですか・・・・・・」

「待って下さい。これは大変なことですぞ」

「問題ありません。天竺だけでなく、遠くは羅馬からも人が集まる地ですぞ」

「それが危ういのです。あまりに器を大きくすると、脆くなることが往々にして多い」

「貴殿が危惧していることも分からなくもない。しかし、そのような消極的な考えでは太平の世は築けません」

「・・・そうでしょうか?」

「それに余は郷挙里選に興味がない!」

「・・・・・・今、何と言われた?」

「若き俊英のほとんどは、余が自ら頼み込んで得た逸材です。勿論、郷挙里選で推挙された人物も大いに結構! しかし、だからといって贔屓をすることはありません」

「・・・ううむ」

「派閥を作る前にまずは闊達かったつな議論をし、お互いの理解を深め、知識を共有することこそ発展するというものですぞ」

「成程。それは道理です」

「揚げ足取りに終始する小人には興味はありませぬ。もし、威方殿がそのような人物なのであれば、こちらから暇を出します」

「アハハハ!」

 

 ・・・・・・また大笑いした。

 早く味方になって下さいよ。お願いしますよ・・・・・・。

 

「そこまで言うのでしたら仕方ありません。宜しい。若輩者でありますが、民のために力を尽くしましょう」

「本当ですか!? それは有り難い!」

「弟ともども以後、宜しくお願い致します」

「こちらこそ宜しくお頼み申しますぞ。いやぁ、目出度い! 実に目出度い!」

「ついては有望な者達の目処があります。推挙したいのですが宜しいでしょうか?」

「威方殿の推挙なら間違いありますまい」

「忝い限りです」

 

 こうして楊慮が味方になりました!

 ポスト范増ということになるのかな?

 でも、亜父にはもっと頑張って長生きして欲しいしなぁ。

 性格もあまり黒くなさそうだし・・・・・・。

 

 楊慮が派閥の恐れを主張する理由は分かるけど、スキルというものは僕にしか表示されないからね。

 「和解」持ちが居れば、簡単に解決することですから。

 けど、あまりに大所帯になるなら、和解持ち増やさないとマズいのかな?

 

 そうそう。楊慮の取り巻きというか弟子を隈無く見回さないと。

 この中に龐統が居れば即座にゲット!

 そうでなくても能力値次第でゲットしますけどね。

 弟子といっても、大部分が年上っぽい。

 ・・・・・・って当たり前と思いますけど。

 でも、どんな者達がいるんだろ?

 

許汜 能力値

政治4 知略6 統率3 武力2 魅力4 忠義3

固有スキル 説得 弁舌

 

 何処かで見覚えがある奴が・・・・・・。

 何処の雑魚だっけ? コイツって・・・・・・。

 えっと、確か天帝教云々とかいう奴じゃなかった?

 しかも、必死に他の弟子達の陰に隠れようとしているし・・・・・・。

 でもって他は皆、無名の名無し君ばかり。

 まぁ、その他大勢の雑務係ということか。

 

「おい。そこに隠れている君」

「はいぃ!?」

「何故、隠れるのかね?」

「・・・い、いえ。手前は荊使君の面前に出るような者ではありませぬ故・・・」

「それは余が決めることだ。そうであろう? 許汜殿」

「ええっ!? 私を憶えておいでか!?」

「うむ。幸い天帝から罰も貰わずに済んだのでな。ところで、ここで何をしているのだ?」

「・・・・・・お恥ずかしい話ですが、天帝教が瓦解し野に隠れ住んで居たところ、楊君のご高名を聞き、弟子として精進していた次第」

「おお、成程。そうであったか」

「・・・前非を悔いております故、あまり天帝教のことは」

「うむ。それは重畳。これからは民のために尽くすように頼みますぞ」

「は! ははぁ!!」

 

 さて、こいつも登用するとなると字を決めないとな。

 すぐに一発で決まったよ。玄碧げんへきに決定だ。

 続けて読めば「きょげんへき」だ!

 なんてピッタリな名前!

 それにしても、こんな奴を弟子にしているなんて・・・・・・。

 「登用」持ちではあるけど、「人相」持ちじゃないからか・・・・・・。

 そして、不思議そうな顔をしている楊慮に、僕は今までの経緯を話した。

 

「お、お恥ずかしい。許君が、まさかそのようなことを・・・・・・」

「ハハハ。何、過ぎたことです。お気遣いは無用ですぞ」

 

 ・・・けど、問題はどんな奴を推挙してくるかだな。

 楊松、博士仁クラスを持って来られても困るしなぁ・・・。

 ま、政治と忠義が5だけあって、あとはオール1でも良いけどさ。

 

 そして後日、楊慮が招いたのは、この両名でした。

 

習禎 字:文祥 能力値

政治8 知略7 統率4 武力1 魅力8 忠義7

固有スキル 説得 弁舌 和解 名声 開墾 判官

 

鄧方 字:孔山 能力値

政治5 知略5 統率6 武力5 魅力5 忠義7

固有スキル 歩兵 補修 抗戦 判官 

 

 龐統いないけど、有り難く登用させて貰おう!

 しかし、謎の人物が多すぎますよ。

 老師も言っていたけど、このゲームデザイナーって時流に沿わないどころか、寧ろ逆流しているんじゃ・・・・・・?


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