摩天楼
意味無き文章の、その裏。脈絡無き展開の、その心。
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世界は闇に閉ざされていた。闇が払われるにはまだまだ時間が有る。
そうだ、退廃的な廃屋の、更にその上。そこにきっと僕は存在していた。
とはいえ、4872の矛盾を抱え込んだ世界において、それは些末事なのかも知れない。ヒトはその何倍存在するだろうか。綺麗に丸め込まれた意識は、確かに矛盾の数百倍は有るのだ。
シュークリームが転がっていた。
果たしてそれの中に詰まっているのはカスタードクリームなのか、或いは生クリームなのか、はたまたその両方なのか。
チョコレートという選択肢も有るかも知れない。
そう、世界は常に不透明。見えるものだけが真実足り、残念ながら目の届かない所での事象は図り知ることが出来ない。それは、過去や未来ですら例外ではない。
残念なまでに瓦解した天守閣。そう、僕は確かにそこに在った筈なのに。
それを確かめる術は何処にもない。
ぶち抜けどぶち抜けど顔色一つ変えない時間は、確かに僕の身体を淡々と蝕んでいく。無常。僕はこの二文字が嫌いで仕方がない。
突き抜ける摩天楼、その足元で、轢き殺された線路が惨憺たる姿で泣いている。涙で身体中を錆だらけにして、線路は軋むような悲鳴をあげていた。
『ねえ。また、人が僕の上に寝っ転がったの。』
『僕にはどうすることも出来なかったの。』
『沢山警笛がならされていたけど、無意味だったの。』
『もう何人目? 僕はあと何度、向き合い続ければ良いの?』
『ねぇ、僕はもう、許されないの? 永遠に、永遠に?』
軈て飛行機が摩天楼に突き刺さった。ついさっきまで突き抜けていた摩天楼は綺麗に壊れてしまった。
ついさっきまで在った筈なのに、消えてしまった。
摩天楼はもう、何処にもない。
棄てられた町の中で、僕はそれをどんな顔をして見ていただろうか。
街を間違えてテロに失敗した飛行機のハイジャック犯を嘲笑う事は、残念ながら出来なかった。消えていった多数の命に沈痛を覚えることも、無かった。
僕の顔はどう歪んでいただろうか。分からない。
自分がどんな顔をしていたかなんて分からない。知りたくても、最早それを確認する手立ては失われた。僕の表情も全て、過去に成り下がってしまった。
泣いていた線路は、いつの間にか消えた。大量の瓦礫に埋もれて、その姿は見えなくなっていた。
ロベリアが風に靡いて、そして静かに微笑む。その優しい笑みは、単純に僕の思考を妨げた。
鈍色の空をぼんやりと見上げる。乱立するコンクリートブロックの隙間に僅かに、『何か』が詰まっている。
何かとは? 夢? 真実? 汚泥? 排泄物? 過去? それとも……君?
それはきっと僕次第なのだろう。
そうしてこの街は、百合の香りと共に光に沈んで行く。
さよならは、十七本の薔薇と共に。
Fin.
あとがき
一応、僕の考えが少し入ってるんですが、クソ文章ですねすいません。
はてさて、主人公の正体は、結局?