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鏡塔学園戦記 〜ウサギと独鈷杵と皆朱槍〜  作者: 瀬戸内弁慶
第四話:鏡塔忍法帖 ~彼女は如何にして漁夫の利を得たか?~
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時州レポート(世界観・設定)

今回は番外編として設定を紹介。

他に説明不足な点があれば追記するかもです。


微妙に他作品のクロスオーバーしている部分もあるので、見慣れない単語があれば適当に流してください。

・龍脈

 本来は地下深くを流れる、大いなる気の流れである。

 だが、最近になって鏡塔学園周辺にて汚染が観測される。


 その影響によってか、近隣の生物や無機物の内に、結晶が生まれる事態が発生する。

 ほかにも、季節等、本来の活動環境を無視したように動植物がはびこっている。


 余談だが、わたしは別の場所(せかい)で似たような現象を目撃している。

 切り立った岩場にあるそこでは春だというのに紅葉が咲き、紫陽花が吹きこぼれ、椿が雪に埋もれていた。

 現在、それらとの関係を調査中。


 龍脈に『寄生』された生物の右脳を刺激し、身体能力や感性をいちじるしく向上させる。

 だがその反面、精神のバランスを大きく崩すという副作用があり、体質、意志の強さにより個人差はあれどいずれは自我を崩壊させる。


 汚染の原因はおそらく度々目撃されている茶褐色の外套だろう。

 本来人間には不可侵の神域があぁも浸食されていると、その侵入経路はただひとつしかない。


 龍脈のある地点は、並行世界に通じている。


 わたしと同様の、能力を持っている。


・『龍ノ巣』

 龍脈に汚染された人間は異形化して本来の龍脈の流れに引き戻され、その中で『龍ノ巣』と呼ばれるコロニーを形成する。

 『コモン・キー』を介してのみ、その空間への侵入が可能であり、破壊する方法は主に三パターン存在する。

 それすなわち核たる存在を破壊するか、宿主が自我を取り戻すか、宿主が死ぬか、である。


 いずれにせよ自壊するあれらの空間は、取り込まれた本人の心象やトラウマ、コンプレックスを象徴する、断片的で不完全で、だが間違いなく一種の並行世界だ。


 さながら『盤古の欠片』のように、今の龍脈は世界を作る性質を持ってしまっている。



・『(ピース)

 結晶化した龍脈で作られたチェスの駒。

 この天才術師、時州瑠衣によって純正化処置や細かい調整が施されている。

 余人には作成不可能、であるはずだがどうにも粗悪品が模造されているらしい。


 それぞれの結晶が持つ特性によって『歩兵(ポーン)』『(ナイト)』『僧侶(ビショップ)』に形状が分けられている。

なおそのカテゴライズのモチーフは、その場のノリとシュミだ。


 これらの駒は『ルーク・ドライバー』を介して固有の能力と相応の武器を所有者に与える。


・『ポーン』

 脚力を重点に強化させ、持ち主のポテンシャルを読み取ったうえ、そのスピードを最大限に生かす軽量武器を展開させる。

 また、特殊な磁場を生じさせ、脚力に応じた飛距離の瞬間移動『初歩跳躍』が可能となる。


・『ナイト』

 持ち主の腕の筋組織を増強、脳内物質を変化させることで闘争本能を刺激する。

 また、その闘争本能をかき立てるのにもっとも適正な形状へ変化する。

 一方で、自身の欲求を抑制する克己心が求められるため、人間を選ぶ『駒』でもある。


 摩擦熱を龍脈の力によって増幅することで、エネルギーフィールドを展開し、霊的、物理的な障壁にする能力を持つ。


・『ビショップ』

 『ナイト』とは対照的に当人の精神の均衡を保ち、霊的な感性や資質をブーストさせ、それを効率よくアウトプットさせるために祭具の形状となる。


 これといった固有の能力は存在しない。


 わたしや九戸社はそれぞれ別個の能力を発現させていたが、あれは我々自身の能力が強化された結果である。ニンジャすごい。


・緑の『駒』

 わたしが人工培養した龍脈で作成した『駒』。

 手順はまったくおなじであるはずなのだが、硬度はともかく攻撃性を再現することができないでいる。


 協力者二名は「いい訓練用だ」と喜んでいるが、わたしの思惑から外された装備を喜ばれてもプライドが傷つくだけだ。渡さなければよかった。


 これと同じ屈辱をかつて味わったことがある。

 射場家と共同開発で、符術用の札をつくったことがある。本来は補助ユニットとして開発したはずだが、それ単独で用いると非殺傷用になるという、本来の企図にはない働きを見せた。

 思えばあれも緑色だった。


・『コモン・キー』

 厳密にはこれは龍脈を元には作っていない。『歩兵』の空間転移能力を応用して開発した補助ユニットだ。

 『ルーク・ドライバー』へ挿入することで特殊な音波をもった声を発生させ、龍脈内にて共鳴させる。そして現実世界、『龍ノ巣』間の出入り口となりうるポイントを発見、固定させることで往来を可能にする。


・『ルーク・ドライバー』

 わたし、時州瑠衣が開発した、龍脈調査用のサバイバルツールだ。

 そして、龍脈への介入、汚染に対する防除機能をそなえている。

 もっとも、すでにユーザーが浸食されてしまっていては、その汚染を遅らせる程度しかできない。


 誰にも使用可能だが、その電源にはわたしの霊力を用いているため、わたしの意思なくして起動はできない。


 錠前を模したドライバーで、デバイスの回路を『龍穴』に見立ててその中に『駒』の龍脈を循環させることで無毒化、安全な術式として物質化させる。


 上記の『札』の技術が『ルーク・ドライバー』の起源ではある。

 だが『龍ノ巣』はどうなのか?

 精神や肉体を引きずり込み、本人の意志を物質化させるというその特性は、わたしが増産したあの『札』の特性とよく似ている。


・『ターミナル』

 我が『ルーク・ドライバー』の設計データを牧島無量が盗み出していたことが、新田前の情報によって明らかとなった。

 どのタイミングでかは分からないが、そのデータを基に開発されたものが『ターミナル』であるという。


 発注したのは『吉良会』幹部の葉月幽とのことだが、改造した人間は不明。おそらくは海外に居残った星倉(ほしくら)あたりだろう。

 牧島単独でコードが読み解けるものか。わたしのクセや思考パターンを知り尽くした人間でなければならない。


 わたしのドライバーの設計思想が人命の保護や調査を目的としたサバイバルツールであるのに対し、こちらは龍脈の防除機能を外し、そのリソースを戦闘のスペックにすべて当てている。


 それに必要な硬度の強化を手にするため、基本部分は超硬質の金属で形成されている。

 そのため『ルーク・ドライバー』よりも出力やスペックこそ勝るものの、形成される武器のパターンはハードそのものに依存し、制限されてしまう。


 たとえばその一号機『High Glow』は棒状の武器にしか展開できず、さらに言えば牧島本人のスピードや『キング』の能力などとは凄まじく相性が悪いようだ。

 葉月はおそらく、意図的に相性の悪い『駒』を牧島へと与えている。

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