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7.おともだち

ラビーは山のてっぺんのお家に帰っても、お父さんとお母さんになみだを流しながら抱きしめられても、どこにいたのか聞かれても、レオンのことは話しませんでした。自分だけのひみつにしたかったのです。

あの大きなライオンはおともだちだと、ずっと思っています。



レオンはねぐらで、ラビーのことを何度も思い出しています。レオンを呼ぶかわいい声を、ありがとうと言って泣きながら笑ったあの顔を思い出しています。

あの小さなうさぎをおともだちだと、こっそり思っています。




それから何日もたって。

ラビーはどうしても、レオンをわすれていないことを伝えたいと思っています。それでおてがみを出すことにしました。

おさるのキューちゃんが教えてくれたおてがみ。手にどろを付けて、大きな葉っぱに手形をおすのです。

たくさんれんしゅうをして、とても上手なおてがみができました。


夜になってしまう前にそのおてがみを口にくわえて、山を下りて森とつながる一本道までやって来ました。お父さんとお母さんにはないしょです。

お別れをした一本道のちょうど真ん中に、おてがみをおきました。少し風がふいてきたので、おてがみがとばされないように石を乗せました。ラビーには重い石をがんばって乗せました。

そしてレオンがおてがみを見てくれるようにねがい、お家へと帰って行きました。



レオンはお別れした日から毎日、夜のおさんぽをしています。ねぐらから森をぬけて、山につながる一本道まで。

その日も、夜になってねぐらを出て行きます。あの日のように小さなつぶの雪がふる日でした。

今日は少しだけ、せなかがあたたかいと思います。まるで小さなおともだちが乗っているようです。


そうして森をぬけ、一本道までやって来ます。すると、いつもと何かがちがいます。

一本道のちょうど真ん中に葉っぱが落ちているのを見つけました。

よく見ると落ちているのではありません。その上に小さな石が乗せられていました。

レオンは大きな手でひょいと石をどけました。


小さな葉っぱには小さな手形が付いていました。うさぎの手形のようです。

葉っぱのすみは2つのキズが付いています。それはうさぎの歯のあとのようです。

レオンはすぐにラビーからだと分かりました。おてがみというものを知りませんでしたが、ラビーが自分にくれたものだと分かりました。

レオンはうれしくて楽しくて、はじめてなみだを流しました。そして小さく声に出してラビーの名前を呼びました。



ラビーは次の日もおてがみを持って山を下りました。

きのうと同じところに葉っぱがおいてあるのを見てがっかりしました。レオンは来なかったのでしょう。

でも近付いて行くと、その葉っぱがとても大きいものだと分かりました。そばにはかわいいきいろのお花もおかれています。

ふしぎに思って大きな葉っぱの真ん中においてある石を、がんばってころがしました。


大きな葉っぱには大きな手形が付いています。ライオンの手形のようです。

葉っぱのはしはギザギザとえぐれています。それはライオンの歯のあとのようです。

ラビーはすぐにレオンからのおへんじのおてがみだと分かりました。お花はきっとおくりものなのでしょう。

ラビーはとび上がってよろこびました。

レオンからのおてがみとお花を持って、代わりに自分のおてがみをそこにおきます。

そしてレオンのまねをしてガオーと言って、お家へと帰って行きました。




おてがみのこうかんは毎日ずっと、つづいています。

ラビーはだれにも見つからないひみつの場所に、レオンはねぐらのすみに見えないように、もらったおてがみをかくしています。



月ふる夜と光とぶ朝のあいだに出会ったおともだち。

春になっても、夏になっても、秋になっても、また冬がきても。

ふっているのが、月のカケラでも光るちょうちょでもないと知っても。

ずっと、ずうっと、おともだちです。





おわり

 

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