名前 (改稿一回目)
名前を一話で出さないで引っ張って、一話で感情移入しやすくするという試みだったのですが、二話で出す意味あるのかという見事に無駄になってしまいました。
一とコックピットで話をすることにした。相互理解をするためだ。
「ところであなたの名前はなんていうの?」
唐突に一が聞いてきた。そう言えば名乗ってなかったな。人に名前つけておいて、自分の名前名乗らないのはおかしいな。まあそんな大層な名前でもないのだが。
「俺の名前はナゼグだ。ナゼグ・ノートスだ。」
「ノートスと呼ばれたい?それともナゼグがいい?」
俺はノートスは他人行儀のような気がした。私見ではあるが。一は俺にとって家族のような気がした。しかし家族とは物心つく前に死別しているが。だから家族というものがよくわからないから、この感覚が家族というのかはわからなかった。わからなかったが、今こういう風に一と話すのは他の人間とは、感覚が違っていた。だから家族ってこうなんだろうと思ってしまった。
「一の話を聞いて欲しい。ノートス?ナゼグ?どっちなの?呼ばれたいの。」
「ああ。悪い。なんか考え事をしていたら返事が、遅れたな。ナゼグと呼んでくれ。そっちの方が親しい感じがする。」
一が催促してきた。名前はどうやら一には重要なことのようだ。自分の名前を一とつけた俺がどんな名前なのか興味があるのか、それとも大事なことだからなのかの判断はつかないが。聞いてみるか。
「俺の名前に興味があるのか?それとも一にとっては名前が大事だからか?どうして名前にこだわる?」
一は困ったような驚いたような複雑な表情を浮かべると静かに語りだした。
「生物には名前ある。それきっと意味ある。一は生物見られたい。一は兵器思われる、嫌。きっと他の娘たちもそう。だから一っていう名前大事。」
そうだった。一は誰よりも生物と見られたがっている。俺はそんなことにも気付けなかったのか。ドルロイドを開放する。その目的は生物と見られていない、この状況を変えるためなのに。
「一。つまらない質問して悪かったな。俺はどこかで一を生物扱いをしてなかったのかもな。すまん。ドルロイドにとっての名前が、そこまで重要なことに気付けなかった俺の失言だ。
許してくれ。」
「ナゼグ。一のこと、まだよく知らない。だから悪くない。許す許さないよくわからない。一怒ってない。一、ナゼグのこと知りたい。過去を教えてほしい。」
一は優しく微笑みながら聞いてきた。頬杖を操縦桿につき、足をバタバタしている姿はまるで子供だった。ちょっと一の仕草が面白かったが、笑いをこらえて、俺の今までの人生の話をした。
「俺は戦災孤児なんだ。昔から丁稚奉公みたいなことをしてきた。丁稚奉公ってのはまあ子供が手伝いしてお金を貰うって感じかな。今は一人で住んでるが、小さいころは奉公先で大人と生活していた。まあ特に変わった経歴はないな。ドルロイドを動かせないくらいだな。他の奴らと違うのは。丁稚奉公や戦災孤児は、今は溢れるほどいるしな。」
一は得意げな顔で笑っていた。
「じゃあ、一が初めての人なんだね。」
「その言い方は、誤解招くから他の人の前では言うなよ。」
俺は思わずツッコミをいれた。
「違うの?」
「いやな。まあそうなんだけどな。初めて動かしたドルロイドっていう言い方にしてくれ。見た目女の子なんだからそういう話し方されると周りが驚ろくからな。」
一は困った顔で照れながら
「言葉って難しい。ナゼグに手とり足とり教えて欲しい言葉を。」
「それもおかしい。手とり足とりではなく、丁寧にって言ってくれ。なんか怪しい響きする言葉ばかりチョイスするな。一は。」
一は不思議そうに俺を見て今度は満面の笑みで聞いてきた。
「ところでどうやって戦争終わらせるの?」
怪しい響きの言葉発言は一にスルーされたみたいだな。でも俺にとっても、戦争をどうするかは考えるべきポイントではあった。
前途多難ですね。小説は難しい。名前引っ張ってこれではね。