出会い(改稿一回目)
人と機械がどこまで分かり合うことが出来るのか。戦争を止めるには。そんな想いで書きました。二話目以降も修正していく予定です。
「俺は何故動かせないんだ。ドルロイドを。これじゃ戦えない。俺はただ、俺はこのスカイワールドを、世界を救済したいのに。ちきしょおおおお!」
俺はいつも動かせない。いつもだ。なぜだ。なぜドルロイドたちは俺に力を与えてくれないんだ。そして俺はドルロイドを動かせないためにドルロイドの士官学校を除籍させられた。
ここはスカイワールドという世界。世界中で戦争をしていた。
俺は何故こんなにも人が争うのかわからなかった。
いつもボロボロに世界がなる。大人達が始めた戦争を終わらせたいと生まれたときに思い、パイロットを目指した。
そしてこんなことは早く終わらせたいと人々が、誰もが思っていると、俺は感じているように思えた。
俺もそんな中の一人だった。
それには力が必要だった。俺はだからドルロイドを動かしたかった。
しかし一機も動かせない現実。兵士にすらなれない。
その現実を受け止め、生まれた村に戻ってきた。毎日村で悶々としていた。
そんな時、俺のスカイワールドの小さな町ギュに新たなドルロイドが発掘された。ドルロイドは発掘される。ドルロイド発掘のため、発掘の技術が発展してきた、スカイワールドでは発掘は長くても一日で終わる。
ドルロイドは意思を持っている。だから野生のドルロイドもいる。そもそもロボットではないと訴える宗教団体もいるくらいだ。
ドルロイドは本来、話すことが出来、意思疎通出来る8メートルのロボット生命体。
操縦はドルロイドといかに意思疎通出来るかで勝敗が決すると言っても過言ではない。
しかし、皮肉にもドルロイドを発見してしまってからスカイワールドは争いがたえなくなってしまった。
発掘されたドルロイドたちは軍が管理する。そして人間が操縦出来るように調整される。そして軍が回収して改修する。形は様々。しかし俺の好みとは今までのドルロイドたちは違っていた。
もしかしたら俺がどこかでドルロイドを嫌っているのかもしれない。だから動かないのか。そんな風にも思っていた。
ギュで発掘された、ドルロイドを見に行った。見たことのないドルロイドだった。見に行った時、俺ははじめてドルロイドを美しいと思った。真紅の躰。顔は細長くかつ、バランスがいい。そしてこの機体には天使を彷彿させる羽が生えていた。俺はこいつを動かしたいと思った。幸い軍は来ていない。チャンスだ。こんなことは滅多にない。ましてや見たことのない機体なんて。
村人は皆動かせなかった。
俺が搭乗する番が回ってきた。
みんな口々にあいつは無理だろ、だって俺らにも無理なんだぜと口々に言っている。
だが俺だけは動かせる自信があった。コックピットに入った。ドルロイドのコックピットは、ドルロイドの外が全方位で映し出される。空中にパイロットが浮かんでいるような感じだ。操縦桿も複雑ではない。14歳くらいの少年でも動かそうと思えば動かせるくらいだ。俺は操縦桿を握った。
「頼む。動いてくれ。」
祈る思いだった。するとこのドルロイドのコックピットに人間が出現した。突然コックピットが光ったと思ったら、俺の目の前で操縦桿の上に人間がいた。
「君は?どうやって入り込んだ?」
俺が聞くとその人間は
「私は一。あなたが名前をつけた。」
どういうことだ?俺が名前を?初対面だぞ。
「あなたが乗ったとき、あなたは一と、このドルロイドに名前をつけたいと願った。
あなたは、私を美しいと思った。だから私はあなたについていく。
私はこのドルロイドの心臓であり、分身のようなもの。だから名前も一緒。
あなたがこのドルロイドを動かしたいように、私もあなたに動かされたい。」
ドルロイドは意思疎通するとは聞いていたが、これはまるで女の子じゃないか。本当にドルロイドから?俺をからかっているだけの娘か?俺はドルロイドのコックピットから、女の子が出てくるなんて聞いたことがない。
「俺をからかっているのか?」
「私は始まりのドルロイド。オリジナル。他の量産機は心臓である核が人型をしていない。この世界の人間がそれを嫌った。ドルロイドを同じ生命体と思えない人間たちの手によって。そいつらがこの戦争を引き起こした。沢山の人がこの戦争で死んだ。ドルロイド達も命がある。だから同じ。かわいそう。私、言葉うまくない。あまりあなたにうまく伝わらないかも。ごめんなさい。あなたにお願い。人間やめない?」
何言っているんだ?この娘は?どういうことだ?
「人間やめるメリットはなんだ?どうやめるんだ?言葉はとりあえず、そこ以外はちゃんと伝わったぞ。」
俺はこの娘が嘘をついているように思えなかった。
「ありがとう。あなた、優しい。人間やめて機械化するの。デメリットはあなたが子孫を残せなくなる。もちろん歳もとるし、撃たれれば死ぬ。メリットは意思疎通がもっと出来るようになる。あなたが考えていることが、一が全部分るようになる。あなたの脳が一と、共有することになる。あなた、戦争終わらせたい願い、強い。けど私、旧式弱い。だけど、私、叶えたい。あなたが大好きだから。」
なんかロボットなのにかわいいな。いや違うな。この娘は生命体なんだな。しかも感情を持っているし、言葉も話す。俺は決心した。
「もしこの戦争を終わらせられるなら悪魔に魂を売ってもいい。だから機械化を頼む。」
一は今までの表情のない顔が一変し、怒りと悲しみの入り混じった、複雑な表情を浮かべると
「悪魔は人間。あなたたちが私たちドルロイドから人の姿を奪った。言葉を奪った。そして道具扱いしている。他のドルロイド泣いていても、一のように感情を出せない。ただ好きな人に乗ってもらうだけ。だから機械化も出来ない。したくても出来ない。他のドルロイドも助けたい。傷つけたくない。本当は。」
俺は疑問を投げかけた。これは一を傷つけるかもしれない。けど聞かなければならないことだ。気づくと俺は一の肩を持っていた。それだけ俺には重要なことだ。肩を持ち、必死に問いかけた。
「一、お前戦えるのかよ。仲間なんだろう?俺が一の立場なら無理だぞ。」
一はまた複雑そうな顔をした。そして笑顔を浮かべた。こんな表情のできるやつは初めてなので俺は驚いた。
「人間同士が戦うようにドルロイド同士も戦う。ただそれだけ。」
そうか。俺も同じだ。自分のために他者を殺す。だがそれは。気づくと肩から手を離していた。そして決意を固めた。
「一、俺はなるべく核を傷つけず戦う。ドルロイドの命は奪いたくない。お前たちとなるべく戦いたくない。そしてドルロイドをあいつら軍人や、争いから開放してみせる。一、俺を機械化してくれ。それで一人でも多くのドルロイドを救済してみせる。一が戦うことが嫌なのはわかっている。それとな、絶対無理するな。
こればこれだけは誓ってくれ。無理はしないこと。」
この人は優しくて強い。一はそう思った。多分力が強いのではなく、心が強いんだ。一はこの人を機械化していいのか迷った。でも機械化しなければ、進化している他のドルロイドに勝つことが出来ない。なぜなら、一は旧式だからだ。新型は軍がドルロイドにいろいろ手を加えることで新型になっている。そんなドルロイドに、一が機械化なしで勝てるはずがない。一にはわからない。でもこの人の夢を叶えたい。大好きだから。どうすればいいのか本当は一にもわからない。
これが覇王誕生の瞬間だった。世界は震撼する。このドルロイドが好きな青年に。
初投稿です。まだまだ若輩者です。アドバイスいただけたら幸いです。