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癒しのはずのクラスメイトに弄られるのもメインヒロインの役目

「ぅ~…」



クラスにつくや私は机につっぷした。

アレが毎日続くようなのは勘弁してほしいところだけど……



「どしたのいいんちょ、お疲れみたいだけど~?」



憔悴しだれている私に近づいて親しげに話しかけてくる二人の生徒。

髪を耳でそろえた長身のショートカットの女子生徒、腰まで伸ばした金髪を三つ編みにして瓶底眼鏡をかけた女子。

クラスの中でも特に仲のいい二人である。

突っ伏していた顔を上げ私は彼女達をジト目で睨みつけた。



「思い切り顔をニヤ付かせながら聞かれてもね……。分かってて聞いてるでしょ」



あ、分かっちゃう?などと悪びれた様子もなく笑うショートカットの方の女の子。

伊藤善美。

バレー部らしい長身に、引き締まったスタイル、それでいて出るところは出ている。

私はどちらかというと子供体系なので、彼女のスタイルには憧れるものである。



女性として過ごして15年と少し。男としての見方はいつの間にかできなくなっており、今では大きな胸を見ても羨ましいとしか感じない。

努力として牛乳も飲んではいるのだが、全く成長する兆しもないのは今は世界の修正力というもののせいだと信じたい。

もしそうだとしてもそれはそれとして空しい物があるのだけれど。



「あれ、入学式で総代やってた子だよね?詳しい話聞きたいな」



金髪で三つ編み、そして瓶底眼鏡。なんともアンバランスな容姿の女の子。

久瀬岬。

アメリカ人とのハーフらしく、その証である金髪はよく見れば綺麗に手入れされており、ちゃんとした格好をすれば見違えるほど綺麗なのを私と善美は知っている。

もったいないとは思うが、これが彼女の学校でのスタイルなのだとか。文芸部だから、とは彼女の弁。よくわからない理屈だが、それが彼女のポリシーであるらしい。

おまけに実は着やせ体系で、普通に見えるあの体には善美のものすら超えるたわわなものがついている。


二人と比較されるように子供体系が強調される私の身にもなって欲しい。少しくらい分けろ。



「……笑わないでよ?」



普段何かとお世話になっている親友である二人に隠し事はしないと決めている。

私はクラスメイトに聞かれないように二人を近づけ小声で経緯を話す。



笑われた。思い切り周囲をはばかることなく笑われた。

岬でさえ、何かをこらえるようにしている。友達甲斐のない奴らだ。


先ほどまでよりも強く睨みつけ、善美の足を踏みつける。

悪びれた様子もなく謝ってくるが、全く誠意が感じられない。これでも私の親友なのだろうか。


「でもさぁ……、それだけ聞くと」


「ねえ?」


なにさ?と言いたげな私に二人して指を突き付け


「「自業自得」」



全く持ってその通りなのでぐうの音も出ない私は軽くのけ反り机に頭をぶつけ再び突っ伏した。

でもそんなはっきり言わなくてもいいじゃない、とは思ってはならないのだろうか。

笑うな。それくらい分かってるんだよちくしょう。



「……で、二人はどうして朝の出来事を知ってるの」



話題をそらそうと、疑問に思っていたことを聞いてみる。

愛されてるねーなどと私の肩を叩いていた善美が言うには



「わが校のアイドルと今話題の新入生総代君が一緒に登校してればそりゃあ噂にもなるよ」



「かっこいいもんね、彼」



あの容姿で、総代まで務めたのだ。確かに話題にはなるだろう。

総代になったのが私のため、というのを考えると恥ずかしいけれど。



「……アイドル?」



誰が?という意思を込めて聞いてみる。

あんたが、と指をさす二人。

なんだそれは。さすがに何度も告白されていれば私がもてるというのは分かるが、校内中に渡るほどの人気者になるほど……では……



「――今ので思い出したんだけど、風の噂で私のファンクラブなんてのがあるって聞いたんだよね」



そういえば、私こと『九条楓』はゲームの中でそんなものを作られていた覚えがあった。

だがここは私にとって現実なのだ。こんなとこまで同じじゃあないだろう、という思いを持って聞いてみる。




答えがない。教室がいつの間にか静まり返っている。気付かなかったがこちらに聞き耳を立てていたのだろうか。

……ナニコノハンノウ。



「ま、まさかだよねー?」



顔が引きつっているのが分かる。真実であってほしくない。

ゲーム内ではどこで撮ったのか私の着替え写真なんてものもあった。

一縷の望みをかけてもう一度聞く。



「う、うん!そんなものあるわけないじゃない!」


「や、やだなぁいいんちょ、そんな漫画みたいなのがあるわけないって!」


「だ、だよねー!」



アハハハハハ、と乾いた笑い声をあげる私達。

ちなみに善美が私のことをいいんちょと呼ぶのはからかう時かごまかす時と相場が決まっているのだが、気にしない。

うん、そんなものはないんだ。


私は涙目で三度机に突っ伏すと、考えるのをやめた。

遅くなって申し訳ない…ようやく就職その他もろもろが落ち着き始めました。

不定期でも空いて2週間くらいのペースやっていきたい

後短い…一話3000文字くらい欲しいですね……

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