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陛下の専属様  作者: 月詠 桔梗鑾
第4章
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崩れる音その4

例えばそこに、居るはずのない人間が居たとき....どう反応するのが普通なのだろうか


目の前の男がニヒルに笑う

以前とは想像もつかない程、この男は私を前に上機嫌だった。



しかし彼の表情とは裏腹に、ジル殿下は生気を吸い取られたかのように脱力していた。更には何故かアネッサ姉さまも透明感ある姿で男の前に居た。




彼は私の上司であり、契約者である...陛下

カオスな状態に、私の脳はそろそろ限界を迎えそうです





―――少し、時間をもどしましょう

どうしてこういった経緯になったのか...

――――――――――

―――――



水龍さんのおかげで私達は無事何事もなく離塔へとたどり着いた

結局、私達を追っていたのは誰だったのか皆目見当もつかないけれど、一つ言えることはフゥ君のあの風を突き破るだけの力を持っているってこと




やはり300年も経つと魔力も総じて皆強くなるのだろうか

私が会う人の多くが何かしらに特化した、強い者達だった



(そういえば、ごたごたしていてすっかり忘れていたけれど...ガルベロの森にいたリュヴァー、よくもまーあれだけ気位の高い彼らが大人しく人間に従っている。精霊王は何を考えているのかな)



精霊王が作ったであろう時空の歪み、考えていることがよくわからないな

まあ今のところは無害だし、大丈夫でしょうけど...



≪お、見えてきた≫


思考を阻むフゥ君の呑気な声

あんた、さっきまで追われてたのに随分切り替えが早いのね



「万が一のことを考えて、そこらへんに着地してもらえる?その後は自分で中に入るから」


この前は夜だったから安心したもの

今はまだ明るい、いらない危険を増やす必要はない



≪そういや、猫の姿だもんなー。ここら辺でいいか≫


そう言って離塔に近づき



―――――落とした




「ちょ、フゥ君!?」


かなりの高さから落とされたけれど、そこは風の精霊

私の周りに風のクッションを作り何事もなく着地した



だけれども突然の行動に驚くのは誰だって同じ

更には猫の姿だ、どことなく不安な気持ちを...少しは察して欲しい!



とてっと私の4足が地面に着いたとき、生きていることを実感



(魔女だから死なないけどさ...死なないけど怖かった)



落とした本人を睨みつけるために上を向いたが、既にフゥ君はいなかった

怒られることを予測しての行動だったのだろう...あとでお仕置きしてやる




仕方なしに足を前に進める

アンナさんが言った通り、然程怪しまれることなく中に入ることができた



ノーアと呼ばれる猫が居るせいもあるのだろう、警戒心などすれ違った衛兵からは微塵も感じなかった



ただ、私が中へ入ろうとしたとき

少し驚いたようにこちらを見ていた衛兵が居た



そうか...この中にはアネッサ姉さまの許可が無い限り入れないもんね

猫の私が入れるなんて、不思議におもうよなー



中に入ろうと思えば、不思議な力で跳ね返される

きっとここを護っているけれど、その意味までは知らされてないと思う



知っていたら少なくともここで警備する衛兵は、こんなに気を緩めていないだろう



自分がどれ程大切な場所を任されているか知らない

無知とは怖いものね



(ま、ジル殿下の監視も兼ねているようだし関係ないのかもね)


何食わぬ顔で中に入りそのまま階段を上る

正直、この階段かなり苦しかった



猫の姿だから歩幅も小さく人の何倍も足を動かした

テンポよく?無理無理、猫になっても体力は一緒....年を感じるわ




≪フッ...フニュ≫


階段を上りきった途端

思わず変な声が出た


一応、最大限の注意を払っているから猫語

この姿勢がこの後起こる出来事で不幸中の幸いといったものになっているとはまだ私は知らなかった



息を整え扉をひっかく

この身長で、この扉を開けることはまずできない



ガリガリ

鋭い爪でひっかくと、誰かが開けてくれた

扉の隙間から体を滑り込ませ、あけてくれた本人を見る



≪んなっ!?≫

見えたのは、それはそれは見知った....陛下でした

――――――――――

――――




「お前の趣味か?この猫は。―――犬派だと前は言っていたのを覚えていたんだけどな」



「あ...ああ。ミア、ミヤーン様って言うんだ」


ミヤーンって、それは酷い

思わず顔を逸らしてしまった


陛下もジル殿下を見て呆れている

アネッサ姉さまに至っては、笑いを全力で堪えているのが分かった



(人の名前をそんな風に無理矢理言い換えた人を私は初めて見ました)



しょうがないな

渋々その名前で続行する、返事をするように一鳴きしてみせた


「確かに、みゃーんと鳴いているな」


納得するな

そんなところで納得するな


だけど...

(まずい、この状態では話せない。タイミングを見計らってよ陛下!)


アネッサ姉さまの方を向けば申し訳ない表情をしていた

そう言えば、なんで陛下を中に入れたんだろう



「その猫は、ジル皇太子殿下の?」


私の方を、まるで調べるように見てくる陛下

そりゃそうだ....たぶん陛下の元にもオルダンテ殿下と一緒にいる猫の存在のことを



(私と勘違いされると困るのだけれど)


「ち、違う違う!俺の猫だ!」


「わ...わかった。変なことを聞いて悪かった」


ジル殿下の気迫に押され慌てて謝る陛下、いつも執務室で見ていたのと少し違う一面にちょっと驚いた



折角の好機

さて、どう乗り切るべきか...



完結までの大まかな部分が出来上がりました。結論、やっぱり北国編早く終わらせたい←



これが終われば後は真実に向けて淡々と突っ走ります\(◎o◎)/

ここまで読んでくださってありがとうございました

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