陛下の騎士その2
着せられたのは薄紅色のふんわりとやわらかく華やかな...ギャザードレスのような物だった
ちなみにこのドレス、あの陛下が直々にくれたもの
いつか現れる魔女のために沢山のサイズを用意していた....らしい
と、リリーは嬉しそうに語ってくれた
コルセットの締め具合がなかなか
いや、悪い意味でだけどね
リリーさん笑顔で「まだ締まりますよー」だなんて言って無理に締め上げるから息が苦しい
巷の女は毎日こんなに苦しい思いをしていただなんて
森育ちの私には考え付きません!
そのあと薄く化粧を施され、髪も綺麗に結ってもらった
よく1人で私をここまで飾れたものだ
一人関心しながら鏡を見る
そこには私の知らない誰かがいました
身だしなみって本当に大切ね
この瞬間に私は強く思ったよ!!
「可愛らしいですわ魔女様!ささ、陛下がお待ちです。参りましょうか」
(ご飯食べる前で本当によかったわ。これは歩くのも大変)
一歩足を進める度にその振動が伝わってくる
丁度コルセットで締め上げられているところで止まるからかなりお腹に響く
お恥ずかしながら一人では早く歩けないのでリリーに手伝ってもらいながら陛下の待つ部屋へと急いだ
....心の準備?そんなのどこかに投げたわ!!今は陛下よりもコルセットよ!
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コンコン
「陛下、魔女様をお連れ致しました」
着いた先にあったのは大きな扉
一人では到底開きそうにもないその扉は惜しみなく金と魔石を散りばめたまさに王のための部屋を象徴するかのような扉だった
(扉でこれかよー、絶対部屋は目がちかちかするね)
――入れ
そんなことを思っていたら中から陛下と思わしき声が聞こえてきた
実際ちゃんと聞いたことなかったからね、昨日はいろんな意味で耳から通り抜けて行ったし
「さ、魔女様。お行き下さい」
リリーは笑顔で私を扉の前に促す
....え、リリーは?
困惑の表情をリリーに向ければリリーは微笑んで一言
「魔女様とお二人でお食事を召し上がる....これが陛下の要望ですわ」
「そんな話聞いてないけどね!?」
思わず突っ込むも、リリーはただ微笑むだけで私はそれ以上何も言えずその見るからに重そうな扉に手を触れた
あ....ここにも魔力がある
一瞬手がビクッとなったけど幸いリリーは気が付いていないようだった
悟られないようよくよく扉を見れば描かれている絵の...絡み付く様な金の蔓から微量の濃度の高い魔力が流れていた
試に押してみる
するとどんな仕掛けか、その扉は簡単に開いた
(成程、陛下の許可があれば入れるようになっているのかもしないわね)
ギィっと音がしてバタンと締まる
背中にリリーの気配を感じたままその重い扉は閉じた
中は案外きらきらしていなかった
机といすと奥に大きなベッドがあって高級そうな絨毯とか花瓶とか置物ぐらいしかない
...あの剥製の鳥、今じゃもう絶滅したけど昔いた綺麗な鳥だわ
ぐるりと見渡して最初に目が留まったのはその鳥の剥製
全体的に白いのに毛先だけ赤と黄色と黒のラインが入っている
最初はたくさんいたけれど観賞用にどんどん人間が捕まえて番を失ったその鳥たちは絶滅の一途を辿るしかなかったんだよね
レアなものがここにはきっと沢山あるのね
流石帝国の王宮だわ
「何をしている、そんなにその鳥が気に入ったか」
横から声が聞こえた
この人は気配が無いのか?
それとも影が薄い...それはないね
もーオーラ全開で威厳に満ち溢れている
まだ若いんだろうけど凄いねー
なんて300歳を超えた私も言われてみたいわ
「いえ...見たことがない鳥でしたので」
「ほう、誰でも知っている鳥なのだがな。本物ではないとしても城下の街に行けば山ほど売っているぞ」
しらねーよ
だって街行かないもん!
用事ある時以外は森でひっそり精霊と暮らしてますからね
嫌味だけど陛下のご先祖が作った檻で!
....あ、語弊を招いちゃいけないね。今では気に入ってるよ
誰も来ないし静かだし自由だからね
「あ...私街にはあまり行かないんです」
そうちょっと、というかかなり無理な言い訳をすれば陛下は納得?してくれて私に手招きをしてきた
こいこい
そんな感じで私を呼ぶ陛下
うはん、イケメンは間近で見てはいけないと思う!
渋々陛下の元まで苦しいコルセットを気にしながら行けば陛下は満足したように近くのいすに座った
私の目の前には陛下と同じようないすがある
これに座れということなのか?
ちらりと陛下を見れば座れと目で言われた
ひぃー怖い怖い
だめだ....文才が欲しい
と、いうか長くなったので3つに分けますね