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陛下の専属様  作者: 月詠 桔梗鑾
第4章
84/151

レイムの正体

こんなに早く明かすつもりはなかったのに...

どうぞ


ロードさんの注意事項と潜入内容は全部で3つ



一つ、互いに干渉しないこと

今まで何の接点もなかった3人がいきなり距離を縮めたら周囲に怪しまれる。この場合、3人ではなく2人と1匹なんでしょうけど...



一つ、互いに何かあった場合即座に脱走すること

これに関しては私とロードさんに当てはまる。何らかの事故により私かロードさんの正体がばれてしまった場合はどうにかして2人で逃げ切る。レイムさんはこの国の人間だから正体も何もない、だけど私達は帝国の人間だ。それでなくても王不在の王宮に半ばスパイのような形で潜入するわけで....ばれたらお咎めをくらってしまう。最悪戦争だ




そして...


「一つ、我々は理由は違えど目的は一緒です。しかし、3人で現在魔女の恩恵を受けていると噂のある第二皇太子殿下を今の位置から引きづり降ろすことは出来ません。ですから一つでも多くの情報を掴み、その内容を我々が帝国に持ち帰り即急に対応する形をとります。無茶はしてはいけません、相手は魔女...その真相も我々は知る必要があるでしょうから」



ロードさんの注意事項は尤もな話、さらに潜入の内容も理解できる

私とレイムさんはその内容に頷いた



「いつ、王宮に向かう?」



「できればすぐにでも。彼女に掛けている魔法とて永久ではありませんからね。こちらもあまり長く彼女を猫の姿に留めておくのは少々辛い」



そう言ってロードさんは立ち上がった

何処へ行くのだろう、視線を追うとロードさんはクスリとそれはそれは綺麗に微笑まれました


おおう、不意打ちの笑み



「可愛いですねぇ...ですが、流石に3人で王宮に行くのはあまりにも怪しいので先に行かせてもらいますよ。後程時間を見てミアさんとレイムは来てくださいね」



ロードさんの微笑から緊張しているのが少しわかった

笑っているけど、たぶんかなり集中している



神経を研ぎ澄ませているような、そんな感じ



「気をつけろ、この猫になら多少干渉できるがロード...お前とは接点も何もない。ったく、せめて重臣ならば話す機会もあっただろうに下級臣下に変装するなんて。」



確かに、ロードさんにしては意外なミス

もう少しそこまで考えているものだと思っていた



「痛いところを突きますね。ですが、こちらも慎重に行動したが故の結果です。一度は宰相の次席辺りの臣下となる予定でしたが....彼らを取り巻く気配が見え隠れしていたので、不用意に嗾けるべきではないと判断したんですよ」




取り巻く気配?

まさか、あの召喚士の仕業かしら



「馬鹿な奴らだとは思っていたが、まさかそいつら全員...か?」



呆れたような少し悲しそうな表情を見せるレイムさん

頭のキレるレイムさんはロードさんが言ったことを理解したようだった



「私も呆れてしまいました。多分、レイムの想像している通りです。全員が他者からの干渉を受けています」



干渉を受けている

つまりは、誰かによって行動が監視されている状況の事を指す



この場合の流れから見て、死んだ召喚士の女の仕業だろう



直接彼らの体に何かあるわけではないだろうが、行動が監視されている以上怪しい動きをすれば即座に殺される。勿論、ジル殿下の弟に...



せないね

召喚士がそうまでして何の理由があるのか



愛する彼の為?

話によれば召喚士の女は無言無表情の人形なのでしょう?



ジル殿下が実際に見ているからその証言は正しいものだし...



まてよ、なら宰相であるレイムさんも干渉を受けているんじゃないの?


重臣は宰相の次席にあたる面々

そのすぐ上にあたる宰相が、干渉を受けていないわけはない




――――なんて、そんな疑問は必要ないわね

最初からレイムさんは干渉を受けていない



これでも魔女だ

魔法が使えなくても視える



ロードさんに見えた気配が私に見えない訳は無い



「俺は大丈夫だからな!?」



ロードさんの話に、自分が疑われているとでも思ったのかしら

それ以前にそんな気配があった時点で私達はレイムさんにここまで話はしなかったはず



「馬鹿ですね、その位わかっていますよ」


「そ...そうか。ならいいが」



≪にゅ≫


おお、思わず笑ってしまった

慌てるレイムさんに笑いが堪えられず笑ってしまったけど....



「何だその変な鳴き方は」


その通りに御座いますよレイムさん

我ながら変な声が出たものだ、どこから出たのかしらと思うほど




ひやっとした視線が向けられる

八つ当たりしないでくださいよ、まったく



「ああ、ですがいつ干渉を受けるかわかりません。ミアさんは猫なのでその点については大丈夫でしょう。レイムが干渉を受けたことに気が付かなくても猫のままなら影響はないはずです。その点も含めてやはり3つのことを守って行動することが大切ですね」




互いに干渉しない....か

それなら余計なぼろは出ないだろうからね



「では、御先に失礼します。―――――彼女を、頼みましたよレイム」



ロードさんはそのまま扉を開けて外に出ていった

漆黒の髪が扉から漏れる光を受けている



出る間際、ロードさんの表情は今までにない位固いものだった



さっきは緊張だろうと思っていたけど、そうではないね。あの表情は...



そこまで考えてバタンと扉の閉まる音がした

思考が途切れる



チラリとレイムさんを見上げる

レイムさんの表情もまた、苦しそうだった



そこで一つの予測を立てる

(まさか....いや、あり得ない話ではない)



今思ったことはまだ考えるのはよそう

とりあえず目の前にある問題から処理していかなきゃいけないし



「なあ、あんたは本当に時の魔女の分血か?」



空気が変わるのが肌で感じられた

鋭く、視線が私に向けられている



どこに隠し持っていたのだろうか、これはこれで凄まじい魔力だ



≪なぁう≫



静かな一室に私の声はよく響く

気抜けするくらい可愛らしい鳴き声



「ちっ、そうだった。人語を話せないなら一方的な会話になってしまう。くそっ!」



レイムさんはそのまま隣の部屋に行ってしまった

馬鹿な人



普通の人間ならば、今の魔力に当てられて平然としているわけがないと云う事に気づかないなんて...



レイムさんはきっと強い

それだけじゃなく、頭もいい



だから宰相なんて地位にいる



(ここにも面白い人間が居るわ)


わくわくしてきた

猫だからきっと今の表情なんてわかりっこない




――――それにしても、人語ね....

そうだ。自分でできないなら頼めばいいじゃないか



≪なう≫

(おーい、フゥ君)



私が一鳴きすれば静かに風が渦巻いてフゥ君が現れた

彼は私が生み出した精霊、言葉なんて隔たりは無い



≪随分可愛い姿じゃないか、っとそんなに睨むなよ。言いたいことは分かってる、上から聞いていたからな...人語が話せればいいんだろう?≫



腹が立つけど察しのいいフゥ君は嫌いじゃない

そうだと頷く



ともすればフゥ君は私のもふもふの喉に手を近づけてきた

すぅっと爽やかな空気みたいなものが流れたのが分かった



≪これで大丈夫なはずだ。そろそろ気づかれるだろうから俺は消えるよ≫


「ありがとう」



確かに声が出た

私の礼と共にフゥ君は再び風を渦巻かせながら消えていった




その数秒後のこと

レイムさんが戻ってきた


「...気の、せいか」



微量ならがもフゥ君の気配を察知してきたのだろうか

まあ、レイムさんならあり得ない話じゃないけれど...



「さっきの質問だが...」


(もう一回聞くんですか)



「本当に時の魔女の分血ならば頷け。違うのであれば首を振れ...但し、嘘をついた場合ロードが何と言おうと貴方をここで始末させてもらう」



随分とまぁ、ロードさんに対して怖いくらいの感情を抱いているのね


私は何も言わずただ首を上下に動かし頷いた

その様子に、レイムさんが顔を顰める


「本当なのか?」



まだ信じられないのだろうか

それとも、私がロードさんの傍にいることがそんなにも気に食わないのか....



もう一度頷くと不満そうな顔をしながらまたも隣の部屋に行こうとしていた


私がここにいるからレイムさんは隣の部屋に行くのだろう

流石にまだ王宮に行くにはちょっと早いから



レイムさんの背後を見つめながら...私は疑問を口にする


静かに

だけど、鋭く



「私が彼の傍に居ることが、許せないですか」



私の声に驚いたように振り返るレイムさん

今まで話せなかったのに急に話せているのだ、まあ驚くのも無理はないけれど



「お前...話せてっ!」


「私が、彼の傍にいることが許せないのですか?」



レイムさんの声を私の声でねじ伏せる

私の質問に、どんどんレイムさんの顔が赤くなるのが分かった



(精神攻撃にもう少し態勢をつけなさいよ)


咋な態度に、なぜだか少しレイムさんが可愛く見えた


「何を言っている。アイツの隣に居るからといって図に乗るなよ!」


「私は分血の魔女なんでしょう?彼の隣に立つにふさわしい人間ですよ」



敢えてレイムさんを更に煽った

レイムさんの魔力が濃密に漂い始めた、きっとこの人の感情に魔力が同調し始めた証拠だろう



「それなら俺だってアイツの隣に立つだけの資格がある!それに俺はお前より信頼されている、俺もアイツを信頼している!」



「ならば、なぜ?」



私の声は、決して大きくは無いけれどその場の空気を変えるものになった



「何が言いたい」


私の唐突な問いに冷静さを取り戻し始めたレイムさん

私は心底聞きたいことがあった



ロードさんの隣がどうとかどうでもいいの

ただ、面白いと思ったから無駄に首を突っ込んだに過ぎない



「信頼しているのに、なぜ




――――――――男の様な物言いで、男の様な恰好でランウェイ様の前に立のです?」



私の問いを聞いた瞬間

レイムさんの眼が大きく見開かれた


「な....にを、言って」


「魔女である証明をしたに過ぎませんレイム様。私達魔女に嘘は不要。私には最初から見えていました、貴女が必至に隠そうとしていたことも。ああ、幸いにもランウェイ様はお気づきになられてはいない様子ですが」



その内容は決定的なものだと判断したレイムさんは俯いてしまった


そして、小さく本当に小さな声で囁くように言った



「誰にも気づかれていないと....思ったのにな」


(きっとレイムさんは皆をだましている。多分誰一人として気づいてはいないだろう...私を除いて)


「恐ろしいな、魔女というものは」


まるで化け物だ...そう言ったような気がした

化け物、強ち外れではない。的は得ているだろう



だから私は怒るわけでもなく苦笑し、言った



「どう足掻いても核は変えられません。その核を見ることができないのはただの人間くらいですよ。そう、貴女が本来男性ではなく――――女性だということも」



なんて美しい麗人だろうか

なんて、愚かな女性だろうか



私は俯くレイムさんを見てそう思わずにはいられなかった


と、いうことでレイムさん実は女性でした

最後の方グダグダでしたね。すいません(-_-;)


ここまで読んでくださってありがとうございました

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