潜入開始その2
一か月振りの更新
お待たせいたしました、どうぞ
「ふふ、可愛らしいですよ」
「ミア嬢はいっそのことこのまま猫の姿の方がいいんじゃないか?」
上からロードさん
そして言わずもがな毒舌なレイムさん
ロードさんのその変態チックな眼差し、今回は何も言いません
が、レイムさん
貴方本当に口から出る言葉のすべてに棘がありますね
レイムさんの言葉はどういう意味か
深くは考えません、なぜ?考えても悲しくなる一方でしょうからね
「姿は猫ですが、ミアさん私の言っていることが分かりますか?」
≪なぁう≫
.....?
も、もう一回
≪なぁう....んにゃ!?≫
そうだ
猫になったからこれで万全だ!と思った数秒前の自分を蹴飛ばしてやりたい
なんてこった
意思疎通の要、言葉が話せないではないか!!
私はさっき"わかりますよ"と言った
なのに口から出た音はまさかの猫語
いや、猫の姿なんだから猫語なのはわかるけどさ、わかるんだけれどもそこはどうにかできないもんなの?300年生きてるけどこんな事実は知らなかったよ!
こちらを険しい表情で見つめるお二人
「これでは彼女が私達の言葉を理解しているか定かではありませんね。ミアさん、もし私の言葉わかるのであればお座りしてください」
お座りって...私は犬か
言いたいことはあったけどとりあえず言われた通り座る
「ロード、それだけじゃわかんないだろ。疲れたから偶然座ったってこともありえる。ミア嬢、その場に伏せてくれ」
あん?
レイムさんの口端が若干上がってますよ
こいつ、楽しんでるな
渋々そのまま手...前足を伸ばしお腹を床につける
ちょっとひやっとした
でも、もふもふの毛のおかげで気にするまでではない
「はい」
―――――なんですか、ロードさん
頭上に影ができたと思って見上げればロードさんが目の前でしゃがんできた
中々の至近距離
近くで見れば見る程顔が整ってる
「はい」
だから、なんだ
なんだ.......その手は!
あれか?
あれでしょう?ふふ、知ってるわよ
もふっ
「ふふ...よくできました」
なんたる辱め
魔女なのに、これでもこの世界を支える純血の魔女なのに
お...お手をさせられるとは!!
見上げるロードさんの表情
ええ、それはもう鬼畜の笑み
しかも何故か私の手を握る
そして開いたもう片方の手で私を撫でる
まるでいい子いい子してくれているかのよう
くそ、なんか気持ちいい
すると急に握られた手に圧力がかかった
強く握られている
(予想は、していたさ)
思わず私は視線をロードさんから床に向けた
なんかもう、悲しい
握られている手は、私の肉球を堪能している
確かに猫の肉球って気持ちいいよね、でもねそれってね
触ってる方は楽しいけど、触られている方はなかなか恥ずかしいんだから!
ぞわってするのぞわって
鳥肌が立つってやつよ、もふもふの毛でわかんないだろうけどさ!
「堪りませんねぇ」
厭らしい顔つきで私を撫でるロードさん
しかしレイムさんの言葉でその手が止まった
「顔がにやけてるぞ。いつまでやっているつもりだ、話が進まない。ミア嬢もいつまで床に伏せているつもりだ?女性ならそんなだらしのない恰好をいつまでもするな」
仕方がないといった表情で私から離れ立ち上がるロードさん
止めて頂いたことには感謝しようレイムさん
聞きづてならない
この体勢にしたのは貴方ですからね
だらしのない?
流し目で笑いながら私をこんな体勢にしたくせに自分関係ありません的なことをよくも抜けぬけとっ
キッと睨む
「なんだその目は。まだ遊んでほしかったのか?やはり獣になると、理性があまり保たないのか?」
ちっげーよ
なんでそうなるんだよ、私は構ってちゃんか?
「可愛らしいじゃないですか。ですが空気を読みましょうね」
そう言って私を床から抱き上げ自分の膝の上に乗せた
ロードさん、とりあえず空気を読みましょうね
私レイムさんにすんごい睨まれていることに気づいてください
再び撫でまわすロードさん
もういいですよ、好きにしてください
「その猫は俺が拾ったと云う事にしよう。ロードが持っていくより俺が持って行った方が怪しまれることもないだろうからな」
ミア嬢から、その猫になりました
扱いが雑になったということです、はい
「その方がいいでしょうね。さてでは潜入内容と、注意事項とを説明しますか」
漸く本題です
ただ、聞き終わるまでに私はどれだけこの小さな頭に詰め込めるか心配です
私の思考を阻むロードさんの撫で攻め
悔しいかな...その撫で方は、堪らないわっ
悶えるミアン
魔女なのに、魔女なのに....
それでは
ここまで読んでくださってありがとうございました