陛下の騎士その1
―――様
..ま...様
ユサユサ
心地よい温もりと適当な柔らかさ
気持ちよく眠っている私を起こそうと誰かが優しく擦っている
―――魔女様
お目覚めの時間にございますよ
今度はさっきよりも強く揺さぶられる
そんなに揺らさないでほしい
(ね...眠いわ)
まだ寝ていたいのにそれを妨げる何かがあるから私は億劫だけれどなかなか持ち上がらない瞼を持ち上げまだ揺らし続けているその人を見る
「あぁ、やっとお目覚めになられましたか魔女様。」
そこにいたのは茶金の髪を後ろで一つに編み込む30代くらいの女官...らしき人がいた
「魔女様?」
あ、今の仕草可愛い
まだ眠い私はボーっとしながらその女官を見つめて思った
「あらまぁ...寝起きは陛下並みに酷いのですわね」
そんなことを言われていたことにも気が付かず....
そのできる女!!と言わんばかりの女官を見つめていた
「魔女様、しゃんとなさってください!」
「.....起きました」
耳元で大きく叫ばれた
耳が痛いわ
脳がキンキンするよー
この人鬼だ鬼―
なんて本人には言えないけれどね
「ふふっ、お初に御目文字仕ります魔女様。私魔女様の女官を務めますリリーと申します」
綺麗な挨拶をされて私はどうすればいいのかわからない
今までこんな敬われるような態度をされたことがないからね!!
「あ、そんなに畏まらないでください!!私みたいな一般人にそんな礼は必要じゃないですから」
こういうの苦手
人の上に立ってるみたいで凄く無理!!
「良くも悪くも優しい魔女様で安心致しました」
どういう意味だそれ
ふふふ、と笑うリリーさん
「それは....ありがとうございます?」
疑問形で返せばリリーさんはまたふふふと笑った
なんなんだ!?
何か間違ってるんだろうか私は
いや、何も間違ってはいないはず!!
「いえ、大変可愛らしい...つい苛めたくなるよ、つい可愛がって差し上げたくなるような魔女様だなぁと思いまして」
嘘だ
私には聞こえた
幻聴なんかじゃない
はっきりいったもん!
(苛めたいってなんだ苛めたいって!)
なんかリリーさん濃いなぁ
綺麗な顔立ちをしているから余計そんなことを言われると何もないのに身の危険を感じてしまう
だってねぇ?
それは私の性癖云々(せいへきうんぬん)の話ではないと思うよ
「リ、リリーさん!!」
そう言えばリリーさんは少し驚いたような顔をして私を見た
「魔女様、私共に"さん"など不要です。どうかリリーを御呼びになって下さい」
「不要?」
「はい、さぁリリーとその可愛らしいお口で!」
ひぃ!?
山彦のように尋ねれば熱がこもったお返事をいただいてしまった
なんか....リリーさ、リリーは凄いなー
こう、攻めてくるからタジタジになっちゃう
「じゃーリリー、おはよう」
笑いかけるようにやっと言えた一言
朝の挨拶は大切です
「おはようございます、魔女様。さぁさぁ時間が押していますよ!お召し物はこちらに御座いますので即急に身支度を整え陛下の下へ参りますよ」
そ・れ・を!先に言ってください
陛下に会うのに心の準備が必要なんだよ!
....なんて、何度も起こされたのに反応を見せなかった私が悪いわけで
リリーにあれよあれよと整えられていく私なのでした
女官登場リリーさんです
お年は34歳
熟した女性にございます(*^^)v
見た目は茶金の髪を後ろで一つに編み込む...筋肉〇ンのラー〇ンマンみたいな感じ(嘘です)
眼はアメジストで少し釣り目
でも笑うと艶やかな雰囲気の大人の女性です
ちなみに既婚者です(゜o゜)




