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陛下の専属様  作者: 月詠 桔梗鑾
第4章
78/151

潜入捜査その3‐SIDE陛下‐

今年最後の執筆!

皆様、本当にありがとうございます。


なのに陛下視点...

最後ぐらい出させてあげてください←(笑)

ナギの言葉に嘘はなかった

細く笑うナギの表情が末恐ろしい



(それにしても、核心に迫ったようだな)



ナギの目は確かに魔女を見たに違いない

もしくは気配だろう



「断言できるか」


「出来るね、僕達は真実のみを口にするんだ」



紅の眼が楽しそうに弧を描いている

血のように紅い目で俺を見る



それにしても、やはりあの国に居たのは本当だったのか

北国に魔女が居る



俺が求めてやまない純血の魔女は既にあちらのモノになっていると云う事か?

どんな偶然があったかは知らないが、それは偶然だ



(俺と共にあることこそ、必然だというのに)


なんともいえない感情が内を巡る

心の中で叫んでいる、その魔女は俺のモノだ...と



汚らしい感情だ

しかし、この感情も魔女に魅入られたあの男の血筋というさがだろう



俺とて魔女を保護し大切にしたいと思っている

それは、言い換えれば自分のモノにしたいという欲望の現れであるのかもしれない



浅ましい

これが人間の尽きない欲求なのだろうか


今はただもう一度会いたい

会ってどうするのだろう



あの男のように魔女に枷を付け幽閉でもするのだろうか



いやらしい顔つきをしてるよ、帝王」



思考を阻むナギの声

何が面白いのか人の顔を見て笑っている



ナギの声にシドが反応した

左の腰に下げている剣を抜いた


おいおい、流血沙汰はよしてくれ

それでなくてもロードがいないんだ



仕事が増えるだろう

いつの間にかあのドロドロとした感情は彼らによって何処か遠くへ追いやられたようだ



「帝王、なんなんのコイツ。さっきから僕に痛いくらい殺気を送りつけてくる」


首筋に添えられた鈍色の剣

あとほんの少しでも動いたらナギの首皮が鋭い剣先によって切れる


しかし、ナギはさして怯える様子もなくむしろ挑発さえする


「シド、剣を下げろ。それ以上俺の許可なく動くのなら部屋から出すぞ」


それは最後の警告

渋々剣を降ろすシド、主を護る者としてその素早い行動は褒めるべきだがコイツの場合はその度合いが過ぎている。過保護だ、俺の母親にでもなるつもりか?



――――それは、遠慮したいな

そっとばれないようにシドから視線を外した



「ナギもナギだ。どうしてそう挑発的なんだ、あまり五月蠅いとチェルファンを呼ぶぞ」


俺のその一言に過剰に怯えだすナギ

その怯えようは尋常じゃない


勿論、そんなことは承知の上で言ったのだが



「ひ、酷い!帝王は僕をあの女に売るのか!?いや、この場合あの女は既に女ですらない!」



お前をそこまで追いやるのが女官とは世も末よ

彼女は女官の鏡と言ってもいい女性だ、だから今回彼女に少女の専属女官として就かせたわけだが...良い仕事をするとは思っても恐ろしいとは思わないんだがな



「ならば静かに報告して帰れ」


睨むように言い聞かせる

少し酷なことをしたか、とナギの表情に罪悪感を覚えるがこれも躾だ



「最初に言おう、ミアという少女だけど...あれは多分、希少な時の魔女の分血だ。申し訳ないけどこちらに関しては核心や確証がないから信じるか信じないかは帝王にお任せするよー」



そう、今回ナギには2つの任務を与えていた

一つは前から与えていた魔女の捜索



そして最近新たにミアと名乗る少女について探るよう指示していた


やはり彼女に祖母などいないらしい

信じがたいことに森の中で生活をしていたようだった


あまりに怪しい

しかし、ナギの報告が確かなものとなれば疑いは晴れるだろう



それに分血とはいえ時の魔女の血をその身に宿している

ロードが銀を見た、と言った件についてもあながち間違ってはいないだろう



彼女もまた保護対象だ

ゆくゆくは本物である純血の魔女の侍女にすればいい



だが、珍しいこともあるものだ

真実しか語らないナギが不確かなことまで俺に伝えるとは



何か考えがあってのことだろうし、追求はしない方がいいだろうな



「そして本題の魔女様だけど。新緑の精霊を知っているよね、彼は文献によると時の魔女によって生み出された最強の風の精霊と書いてあった。誰が書いたか知りもしない文献だから信じもしなかったけどねー....居たんだ、確かに文献通りの姿と濃密な魔力を宿す精霊が」



その言葉に傍で控えていたシドも驚く

彼ら騎士団にとって新緑の精霊とは魔女の次に崇拝しているものだ



魔女を護る騎士

その騎士こそ、新緑の精霊が相応しいと我々は考えていたからだろう



「その話は、誠だろうな」


シドが興奮した面持ちでしかし平静を保つようにゆっくりとした口調で問うた



「うん。あんな精霊が精霊という枠に収まっていること自体可笑しいと思うくらいね」



ナギをも唸らせる精霊

新緑の精霊、春の息吹を感じさせる緑の髪と透けるような黄褐色の瞳


魔女に愛された精霊

ナギの言葉に何を言うわけでもなくただシドは俯いてしまった


「帝王ならわかるはずだ。自然という生命はある日を境に"戻った"と言っていただろ?そして今まで音沙汰なかった新緑の精霊が僕の目の前に現れた、しかも北国に。繋げていけば一本の糸になるだろう?」



だが、ナギの考えは些か安直過ぎる

たったそれだけの証拠で魔女が北にいると核心できるのだろうか


俺の考えを読むようにナギは続けた


「それに――――一応保険をかけて放っておいた僕のペットが朧げながら捕えてくれたんだ、あんまりにも近づいたから新緑の精霊の風によって粉々になっちゃったけど、僕と繋がっているからね。記憶としてちゃんと僕の元に届いているよ。言い訳じゃないけどねー近づいたといっても全然気づかれる距離じゃないんだ、でもその位置でも粉々...言いたいことは、わかるよね」



広範囲に風が渦巻いているのか

しかもそれを継続させるだけの力もある



――――確かに、精霊の枠に収まるようなものじゃないのかもしれないな



「その記憶が、断言できる確証というわけだな?」


俺の言葉に是と頷く

そしてナギは空間を指差した


ボフン

小さな爆発音がした瞬間、目の前に二人の男女らしき姿が映し出された


やはり遠い位置からの記憶だ

小さくてよく見えないが、確かに緑色の髪をした男性が誰かを抱きかかえる様に飛んでいる



「世界初じゃない?魔女と最強の風の精霊を映した記憶だ」


「今すぐ消せよ」


誇らしげに言うナギにくぎを刺す

見せて回られたらたまったもんじゃない



それにしても.....

この遠距離でも、銀は目立つな


風に靡く様に長い銀髪が揺れていた

それは、まさしく時の魔女の髪色


絶対的魔女の証だ

しかし、どうだ


「遠すぎて顔が見えない」


大まかにとらえることしかできていない

これでは魔女を見つけたと言っても探し出すことすら無理に等しい



「.....引き続き、探せ」



落胆と少しの喜び

魔女が再び俗世に現れたことが分かっただけで十分なのかもしれない



それに、ミアという少女ももう少し気にする必要があることもわかった

今回はそれだけで十分だ


腰を折り傅くナギ

その姿に先程までのあどけなさは無く、ただ忠誠を誓い動く機械だ




「御意に、我らが帝王」


一言残し一瞬にして消えた

未だ下を向くシド



あの月夜の晩、東の魔女の御霊があるあの場で出会った2人は新緑の精霊と時の魔女だと断定できるだろう。あの後何度も幻ではないかと思っていたが...


我ながら慎重な性格なんだと思う

2人が立っていた場所には草が踏みつぶされた跡があった


その場では納得したのにいざ時間が経てば疑ってしまう

本当は儚い魔女の存在に、確証がなかったんだ


だが今日のナギの報告のおかげでこちらも核心した


何故あのタイミングで現れたかは流石に検討もつかないが、何らかの意味があったのだと考えておこう



それにしても北国にか...

そこまで思い考え、ふと案が浮かんだ


我ながらいい案だと思う



早速シド、と彼をこちらへ呼ぶ

はっとした表情で彼が近づいてきた



「どうなされました陛下」


そうだ、別にこの執務室にこもって事務処理をすることが仕事だけではない

にんまりとらしくない笑みを浮かべ...



「――――――俺も、北へ行く」


出た言葉はあまりに子供のようだった

そして、数秒の後シドの絶叫が響いたのは言うまでもないだろう

あーあ、フゥ君のせいで見つかったー←

多少グダグダかもしれません、ご了承ください(-_-;)

でも、実際陛下は一度会っているんですよね...この話で漸く核心した的な...(笑)


これから元旦初売りの為寝ます!

限定55袋....無謀ながらも狙いますよ

――――――――


今年度は大変お世話になりました

暖かくこの作品を見守って下さったこと、心より御礼申し上げます


2012年1月1日の0時に予約更新を入れておきました。

来年も陛下の専属様共々月詠をよろしくお願いたします<m(__)m>



年末ご多忙の折では御座いますが、お体にお気をつけて良き新年をお迎えくださることを願い、僭越でありますが来年もご指導ご鞭撻の程宜しくお願い申し上げます。2011年12月31日月詠

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