潜入捜査その2
さて、大変お待たせいたしました。
今年ももうあと少し...思い返せば激動の一年でしたね。
未曾有の大震災から始まり日本人の"絆"が試されたものです
皆様にとって今年一年はどのような年になりましたでしょうか?
それでは、どうぞ
あの後私達は宿を出た
流石にあの宿で国家機密並みの話をするのは些か危険だ
出る際、宿のおばさんが言った
「随分とまた早くに出るんだねぇ...ふふふ」
ムッとして声の主を辿ればあのおばさんが不敵な笑みを浮かべていた
関係ないだろうと言いそうになったところで隣にいたロードさんが目線で相手をするなと言ってくるから微笑んで無視をした
「何故聞くことを止めたのですか?」
歩きながらさっきの宿でのことを思い返す
いや、やっぱり聞くべきだった...気になる
早朝でもここはやけに人通りが多い
活気...というわけではない、どちらかというと朝帰りだろうか
「下町のしがない情報屋といったところでしょう。されど情報屋です、あまり多くを語ってはいけません、情報を操作される可能性もありますから」
あの人情報屋だったのか
それは知らなかった...というか、なぜわかった?
ちろっと目線を上にするとニヒルに笑うロードさん
はい、聞きませんよー
―――――――
―――
暫くロードさんに着いていくと見知った店が目の前に
入口で待っていろと言ってロードさんはどこかへ行ってしまった
(ここは、数時間前ロードさんが出てきた店ね)
そう数時間前フゥ君が、怪しいロードさんを見つけた場所
ここに連れてくるとは....何があるのかしら
顔を顰める
すると何処からともなく暖かな風が全身をつつむように撫でた
自分はここにいる...とでもフゥ君は言いたいのだろうか?
そう思って静かに笑った
「何を笑っているんですか、気でも狂いましたか」
本当にこの人は...
いつの間にかロードさんが現れていた
「ランウェイ様って容赦ないですよね、女性の扱いについて少し学ぶべきだと思いますよ」
「減らない口ですね、貴女も」
うふふ、ふふふとお互いに無言で笑いあう
なんて不思議な光景だろうか
手が出ないだけいいだろう
そんな空気を突如割く声が響いた
「そんなところで何をしていらっしゃるんです、笑う暇があるのなら早く入っていただけませんか」
ガチャリと扉を開けたまま私達を見据える....麗人
おおう、眼福だ
「なんです、じろじろ見ないでください」
しかしなんだ
性格は残念なようだ
言葉を詰まらせる
確かに見てたけどさ?そこまで言わなくてもいいじゃないか
「ミアさん、とりあえず入りましょうか」
「はい」
麗人の声で私達は一時休戦
快く...ではないけれど出迎えられたその扉に向かって足を運んだ
入ったときに思ったこと
外観は古っぽかったが中は案外綺麗だ
この人の性格が表れているのだろうか?
ばれないだろうと思ってその麗人を横目で見ればばっちり目が合った
ひっ!!
さっと目線を下げればあからさまにため息をつかれた
「ここなら誰の目も気にすることなく話せるでしょう」
そう言って私を見た
「紹介しましよう、彼はレイム・アルバート。今は事情があるため彼の身のうちを明かすことは出来ませんが信頼できる今後の強い味方です―――彼女はミアさん、私の護衛です」
「ミア、と申します。帝国騎士団陛下直属部隊に席を置いております。此度は陛下勅命の下ランウェイ様の護衛を務めさせていただいている次第に御座います」
我ながらこんな挨拶をしたのは久方ぶりだ
今までなら挨拶される立場だったからねー、頑張った
しかし...
――――ふっ
(こいつ、鼻で笑いやがったな)
目の前の麗人はその挨拶に返すわけでもなく鼻で笑った
まさか鼻で笑われるとは、何たる侮辱
「そこまで説明して頂かなくて結構だよ。俺は聞いての通りだ、まぁあくまで俺はロードにのみ味方というわけで君の味方じゃないことだけは理解しておいてくれたまえ」
(類は友を呼んだな)
似ている
ロードさんと雰囲気というかなんというか....ともかくこう、生理的合わない
「レイム、そう言うな。今から行うことに彼女なしでは出来ないんですよ」
「そうは言うけど、正直彼女の纏う気がどうも怪しいんだ。信じろと言われて信じれるほど俺は純粋じゃないぞ」
――――――侮れないな
私の気脈が見えるのかこの人間は
本来人間の眼では気というものを見ることは出来ない
感じることは出来ても...だ
つまりは感覚というわけだ
それをこの男は見たのだ
異質、異端と言っても過言ではないだろう
「彼女は魔女ですよ」
ロードさんの言葉に目を見開くレイムさん
まさか魔女だとは思いもしなかったのだろう
(それにしても急に心境の変化でもあったのか?私を魔女と認めただなんて)
「――――分血?そう云う事ならわかるけど...まあなんでもいいさ」
「だと、私は思っています」
私を見て笑うレイムさん
まだどことなく信じてない様子
それにしても分血か、考えたね
純潔とは認めないわけね、まあ銀を持っていないからそう思うのも正しいけどさ
「よろしくお願いいたしますね」
私はそう言ってレイムさんに手を差し出した
勿論、握手をしようとしたのだけれど...期待を裏切らない
―――ふっ
鼻で笑ってくださいました、それはもう美しくね
新しいキャラクターが増えました。
レイムさん
本名は別にあります←
まあ短いバージョンですね、北国の皆さんは3つに区切られていますから
ミドルネームというやつですね
それでは、ここまで読んでくださってありがとうございました