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陛下の専属様  作者: 月詠 桔梗鑾
第4章
68/151

差し伸べた手

私情ですが、先日ハ○ーポッターの最終章part2が発売されましたね

未公開映像なども入っており、終止にやにやが止まりませんでした。


ただ、もうこれで完結かと思うと寂しいばかりです。

今後の彼らの活躍に期待です


それでは、どうぞ

「――――汚い、汚らわしいわ」



そう、あまりにも不純

詳細を聞いて明らかになったことと



まずジル殿下の弟は旅の途中で何かに遭遇、または何らかの"何か"があった

そして得体のしれない女を連れてきた


女の動きは尋常ではない

殺傷能力も高い



そこまで考えて目の前にいる青年を見据える



「洗脳された、とジル殿下はお考えで?」


「そうとしか....思えません」




眉間に皺をよせ、悩むように額を抑える

割れたガラスの隙間から夜風が流れ込む



その風は青年の思考を阻むかのように冷たく吹いた



≪その女が鍵、だろうな≫



物音一つ立てず空中に浮くアネッサ姉さま

本人を前に言いはしないが、幽霊さながら



(足なんか、もう透けて消えてるし)



ビシッ


「いっ!!」




突然額に激痛が

原因は分かっている



≪人をじろじろ見るな集中しなさい≫



浮いているこのオバサン

くそ、まだ何も言ってないのに!



睨めば鼻で笑われた

どっかの宰相にそっくりだな



「ボソッ――――チッ、その姿が悪いんだオバサン」


ベシッ


≪....人間と精霊を前にして体裁も繕わずその様は発言、もう一度躾けが必要だったかい?≫



どこまで聞こえてるんだこのヒトは

小さく小さく呟いたはずなのに音を拾われた



ほかの二人は私とアネッサ姉さまのやり取りに奇妙な眼差しを送るのみ

聞こえてないんだよー普通ならさ


なにさ、実は意志なんかじゃなくて実体あるんじゃないわけこのオバサン



しかもまた叩いた

口より先に手が出るタイプなんだよね、アネッサ姉さま



「その女性、西国の者だったらあり得ない話ではないのでは?」




叩かれた額をさすりながら

私は考えをそのまま口にした




「――――それは、我が国が手薄とでも言いたいのでしょうか」



モスグリーンの瞳が細まる

温かみのあった目が冷たく光る



(優しいだけの坊ちゃんではないんだね)



その表情を見て苦笑

甘ちゃんだと思っていた



紛争が起こるからと自ら甘んじて幽閉された?それをはじめに聞いて呆れた



潔く身を引いたなんて、ただの馬鹿か偽善者だけだ

残された、ジル殿下の下へ着いた派閥はどうなる?



仮に弟が収める国ができたとして

満足に知識を持たない人間がどこまで国を保る


そんなことたかが知れてる



幽閉されて、ジル殿下が皆を護るため...と死んだらそれで終わりだと思っているのか


残された派閥の人間も殺されるだろう

教養の乏しい王が国を治めれば確実に他国からの侵略、またはその情勢に流され国が壊れてしまう



そうすれば民は飢餓に苦しみ

労苦を強いられ王という主を恨みその場で息絶えていく



甘い、甘いんだ

王が豪華絢爛で煌びやかで裕福な暮らしができるのはそれだけの義務があるから



恐ろしいほどの責任と命を一身に背負う代わりに豪華な生活を許されるのだ



国は、民が居なければ成り立つことは無い

ジル殿下の後先を考えない行動は正直頭を抱えるようなものだったけれど、甘ったれでもちゃんと王としての自覚があることを今知れてよかった




「誰もそんなことは言っていません。なぜそう解釈されたのかお聞かせください」



面白い

実に面白い



一見優しく穏やかそうに見えるジル殿下

その奥にある、私達を呼べるだけの意志が見たい


「いくら西国が武力国家とはいえ、他国にそう易々と入られる程我が国の警備は弱くはありません。あの女性はただの女性ではない。」



違う

そんな回りくどい話が聞きたいんじゃない


もっと核心に迫った何かが欲しい



「女性でさえ、この国と競り合えるだけの力を持ったのでは?」



そう言えばジル殿下は一層表情を険しくさせた



「――――あの女性は、既に死んでいる」



私を含め、フゥ君もアネッサ姉さまも絶句

それが真実か....



(汚い、これだから人間はどこまでいっても罪深い)




そこからジル殿下は重い口を開き

ぽつりぽつり途切れ途切れ話始めた



―――――――――

――――





最初は見知らぬ女性だと思ったジル殿下

しかし、気づいた



女性が剣を抜こうとしたジル殿下の背後に居たとき

横目で見えたそうだ、榛色のフードから覗かせる顔を...




「あれは、一瞬ではあったがあれは弟の婚約者だった人間だ。そして――――俺がこの手で切り殺した女だった」



爪が皮膚に食い込むほどの力でその手を握る

きっとその手で女性を切ったのだろう



「だから、驚きと己の罪で気が動転して抵抗することもなくここに来た...と云う事ですね」




是、と神妙に頷いた

全てつながった



殺したはずの女が再び目の前に現れた

しかも、弟と一緒に



西国という私の考えは違う結果とはなったけれど、それより性質たちが悪い



それからは懺悔するかのような様子

私達はそれを静かに聞いていた




過ちは去ることはない

罪深き人間は、欲を募らせる



(だから招いたのだ、このような結果を)



婚約者だったその女性は元王宮の召喚士として弟を護衛していたそうだ


婚約が決まったが、誰一人として文句を言う者もいなかった


それもそのはず、家柄も上流貴族とあって本人たちだけでなく周囲でさえその関係が続けばいいと思っていたからだった



兄であるジル殿下もその様子を微笑ましく見ていた


自分かいる以上、王にはなることが無い弟

きっと劣等感に苛まれているだろうと思っていた


だからせめて心安らぐ存在が弟の傍にあればいいと常日頃から思っていたそうだ



「彼女は...フィアナ嬢は、禁を犯した」



思い出すかのようにジル殿下は重々しく言う

そう、弟の婚約者はその優れた才能である召喚術で呼んではならない存在を呼ぼうとした



「"精霊王様"を、御呼びしようとしたんです」


≪笑えぬな≫


アネッサ姉さまが冷ややかな目をジル殿下に送る



「ご法度だ、人間。それは精霊を敵にしたも同然だ」


フゥ君が厳しい口調で攻め立てる



「創造主を手懐ける気か馬鹿者が」


荒々しくなる感情

私達はジル殿下のその話に感情を露にするほかなかった


「重々承知の上に御座います。我々人間にとって精霊王様は絶対不可侵。何故、フィアナ嬢が精霊王様を御呼びしようとしたか定かではありませんが、陣を完成させ、呼ぼうとした時先代の王である父上が彼女を止めたんです。間一髪、といったところでしょう」



城に漂う魔力の変化に違和感を感じた先代王ヴィンセント国王は自らの足でその場所まで向かったそうだ



傍に控えていたジル殿下もまた、父についていく形でその場へ行った


何の偶然か、その日に限って弟は城下へ視察に行っていたらしい

いくら弟とはいえ王族、執務を全うするその姿は正しい



そして、大罪を犯そうとした彼女を取り押さえられた



「これは...彼女はあいつの婚約者です!!」


地べたに押さえつけられた彼女に鋭い刃を向ける国王

流石に殺すわけにはいかない、弟にとって心のよりどころなのだから



しかし国王はその冷徹なまでの眼差しを逸らすことは無かった


「精霊王様は、創造主だ。不可侵の存在を、この娘は愚弄したことになる」


「――――っ」



最もな言い分だった

国王は弟である息子と、彼女との婚約にいち早く頷いた人だった


誰よりも二人の結婚を望んでいた



しかし、不可侵の存在と弟を天秤にかけたとき

それは見事に傾いた


冷静な判断だ

これが、国を背負う男の眼差しなのかと驚きもした


国王が何度か彼女に質問をするも、彼女は何一つ言葉を発することはなかった


(駄目だ、これは...俺の仕事だ)


王という立場だからこそ、この場で一番悲しんでいようとその刃を振り下ろす役目がある父



次期国王になるのだ

父の荷を、少しでも背負わなければ...





「――――陛下、その者の処分私が致しましょう。陛下の御手を煩わせてはなりません」



下を向いて押さえつけられていた彼女がその言葉に顔を上げた

悲しみに染まった表情だった



父である国王も

息子であるジル殿下の発言に驚いていた


しかし、数秒考え

静かに自分の持つ長剣をジル殿下に手渡したそうだ



国王と次期国王

宰相と臣下、数名の侍女と従者、衛兵が見守る中


公にされる前に彼女は生を断たれた



―――――

―――



「帰ってきた弟には、彼女はベランダから落ちそうになった侍女を助けたために死んだ、そう伝えました」




そこで話は終わった

想像以上に厄介な内容



誰一人口を開くことは無かった



はい、またグダグダですね

申し訳ありません



文才が欲しい

そして謎が解き明かされていってほしい!



ツイッターにてフォローをしてくださった皆様

本当にありがとうございます



それでは、ここまで読んでくださってありがとうございました

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