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陛下の専属様  作者: 月詠 桔梗鑾
第4章
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願い事

そろそろアクションが欲しいですね

次の次あたりでうごきましょうか....ね(多分)



では、どうぞ



青年の間抜けとも取れる表情に私とアネッサ姉さまは顔を見合わせて笑う

一国の次期国王の前で笑うなんて礼儀知らずかもしれないけど、しょうがない



「ふふ、詳しくお聞かせ願えませんか?ときとはこの一瞬も流れている。私達から見た世界と短命な貴方達人間から見た世界は全く違う。担う者としての意見が欲しいの」




そう言って私は青年に手を差し伸べる

その手をゆっくり掴み、立ち上がる姿は生まれたての子羊さながら



「意見...ですか」




尚も畏まる青年

そんなに魔女の概念が抜けないか、この男



(案外堅物なのかもね)



≪末の子に敬いの言葉など不要ぞ、体裁とそれまでの概念を捨て対等に言葉を交わしてやってくれ≫



高笑いをしながらそう言うアネッサ姉さま

それにつられてフゥ君も同様に笑いだした



「ちょっと、聞き捨てならないですアネッサ姉さま。不要ってなんですか不要って!フゥ君も笑わない!」


抗議の意を全開に、彼らを否定

さっきまでの静かで心地の良い感動のシーンを台無しにしてくれるわ



≪お前がまだ敬いの言葉を満足に扱えぬのに他人に敬われる言葉を使ってもらえると思うでない、日頃の生活態度が現れる瞬間だ末の子よ≫


ちっ、急に説教が始まったよ

アネッサ姉さまはいつも唐突に説教を並べてくるから厄介なのよ



「しっかり今躾けて貰ったらどうだ?」


「五月蠅い」



便乗してフゥ君までも...

別に使えないわけじゃないの!使う必要が無いだけで!



なんて言ったらもっと何か言われそうだから言いませんがー



(まったく、無反応な殿下も淑女の前なんだからフォローぐらいしなさ――――)



「――――くっ...はは!」




そう思って青年の方へ目を向ければ

顔をくしゃりとして笑い声をあげた



(笑うと、可愛いじゃない)



「ちょ、笑わないでくださいよ!」



その雰囲気を壊すようなことは言わない

きっとこの青年自体、ここ最近は思い切り笑えてないだろうし



笑うことで気持ちの整理をつけて

いい方向に進めるような意見を沢山述べて欲しいからね




「ははっ...も、申し訳ありません」


笑いが引かない様子で途切れ途切れに言葉を紡ぐ

いじけるように割れた窓の方を向き空を見る


そこではっ、と気が付く




「もう、それより!時間が惜しいわ、日の出前には一度私は戻らなければいけないの。状況だけ説明してくれればどうにか協力するわ」




こんなに和んでいる暇はないのだ

宿にはロードさんを残している



それでなくても抜け出している身

ロードさんが夜中に私を訪ねることは無いとは思うけど、魔力に敏感な人だ



もしかしたら不審に思うかもしれない



それにこの塔の下にいる衛兵だって

夜中とはいえ警戒を怠っていないはず



相手(魔女と名乗る者)の存在がどんなものかわからない以上、面倒事を起こしたくないから私だってことを荒立てる真似はしたくない



「申し訳御座いません。あまりの非現実的な現状に正直動揺するばかりでして―――「あぁもう!だから、そんなに堅苦しくならないで下さい!そういうの苦手なの、いつも通りの口調でお願いします!むしろ命令です、遣り辛くて仕方ないわ」――――承知、いや、わかりました」




あれほど堅苦しい雰囲気の中で話すのは嫌だと言ったのに続けようとする青年の言葉を思わず遮った



その様子に外野二人は呆れ顔

この場合、2体....も適当かもしれないけれどね




ジル殿下の意見はこうだ



―――1年と少し前、ジル殿下の父君であるヴィンセント国王が崩御した

数年前の成人の儀で既に次期国王よりその座に上がることを許されたジル殿下



死は誰しもに訪れる休息

誰もが悲しんだが時代のエンブレス国を作り上げていくであろうジル殿下に皆期待を寄せていた



そんなジル殿下には3つ下の弟がいた

幼いころより教育を徹底してきた兄ジル殿下とは違い、弟は王位継承はあってもどこか楽観的でよく旅に出ていたそうだ



争う事のない兄弟は珍しがられたが、同時に譲位争いは無いと民も安心していた




しかし、丁度半年前のこと

急に旅を終え帰ってきた弟は見知らぬ女性を連れていた



「急に帰ってきたと思えば、そちらの女性は?」



執務室で仕事をしていた時

突如帰ってきた弟にさして驚きもせず笑顔で対応したジル殿下




はしばみ色のフードを深く被った女性を不信に思いもした

これでも次期国王の御前でフードを脱がないとは....と思ったから



唯一、フードから覗かせるその長く艶やかな金髪と女性特有の丸みを帯びた姿勢から女性と判断した



それに楽観的な弟が連れてきたんだ

そこまで深く考えても意味はない



....そう、単純に思った



「僕の、魔女ですよ。ジル兄様」




普段からは想像もつかない高圧的な声音に周囲にいた人間も、そしてジル殿下も不振に思ったそうだ



更に魔女とは、どういうことだ



「何を言っているんだ?」



ジル殿下が立ち上がった途端のことだったそう

弟の隣にいたはずの女性は一瞬にして視界から消えた


「―――なっ」




次の瞬間

その光景に目を奪われた



(なんと....なんということだ!)



「貴様!」




声を張り上げ

腰に携えている剣を握った



ジル殿下の只ならぬ声に、近くにいた衛兵も足音を立てて入室してきたそうだ



「ジル兄様、この子...僕だけの魔女なんだよ」



薄気味悪く笑う弟

一瞬にして視界から消え失せたその女性は、その場にいた数名の臣下を血だまりの中へ落とした



そう、ジル殿下が立ち上がったその瞬間には

室内は血飛沫が舞う穢れた空間と化した




あり得ない光景に、一同声すら出せない

唯一挑もうとしたジル殿下


彼でさえ、剣を鞘から抜くことは出来なかった

―――榛色の女性がジル殿下の背後に立っていたからだった



「動かないことが賢明だよ、その子僕にだけ従順だからさ」



ふふ、と笑う...様子が変わった弟

そう――――様子が変わった弟が、確かに目の前にいた




直ぐ後のこと

あの一室での事件はそのまま誰に明かされるわけでもなく闇に隠され



ジル殿下を快いと思わなかった一派が弟の方へ寝返り、その女性を魔女と崇拝し始めた

そこからだ、国全体がおかしくなった




今までジル殿下と言っていた民も、魔女という存在を前に意識を変えた




「....で、今に至ると?」




静かに頷く青年

固唾を呑んで私達の言葉を聞いていたフゥ君とアネッサ姉さま



「貴女の意見をお聞きしたい、時の魔女」



鋭い眼差し

それは、確かに威厳をもった"王"の眼だった



(さて、どう言うか)



「そうですね―――――汚い、汚らわしいわ」




そう、冷たく地を這う声が

塔の最上階の一室で、やけに響いた



最後の方

ちょっとグダグダでしたね



すいません


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ここまでよんでくださってありがとうございました

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