忍び寄る
いつの間にかお気に入り件数1300件
本当に感謝します(涙)
では、どうぞ
「――オルダンテ殿下、国境の結界が揺れました」
ザワリと声が上がり始める
突如、その一室は騒然と化した
「何者だ」
「警備を固めよ」
「何処の国の者だ」
慌てふためく初老の男たち
皆口々に侵入者を排除しようと考えているのが目に見えてわかった
「余が侵入を許した」
その声を耳に入れた瞬間
初老の男たちは一斉にその声のする方を向く
「ノーア」
その声は初老の反応をさして気にせず何かを呼ぶ
チリン
チリン
何処からともなく鈴の音が聞こえてきた
一定のリズムでこちらに近づいてくる
「んにゃー」
チリン
「おいで、ノーア」
その声は鈴の音を鳴らすソレを呼ぶ
手がソレに伸びていき―――
チリン
「なぁーう」
チリン、と音を立てながらソレは一声鳴き己を呼ぶ手に絡み付いた
手に絡み付くソレを愛おしげな眼差しで抱き上げる
力を入れれば簡単に崩れ落ちてしまいそうな程儚く見えるソレ
「殿下、それに――――魔女様」
初老の男が呆れ口調で呟いた
先程まで騒然としていた場がソレの登場で一気に和む
「今回もノーアが活躍してくれそうだ」
その声...元いい殿下は優しい手つきで真っ黒な猫を抱いていた
「にゃー」
殿下の期待の声に返事をするかのようにノーアと呼ばれた黒猫は鳴いた
「誰が侵入しようと我が国には魔女が居る。ノーアが居る限りこの国は安泰だ。即位問題で治安が悪化しているのをいち早く食い止めなければいけないしな...アンナ、その侵入者を一応見張っておけ」
「仰せのままに、オルダンテ殿下」
最初の声はアンナと呼ばれる女性のものだった
そしてアンネは殿下の命令に頭を下げその場から煙のように消えていった
再び一室に沈黙が訪れる
しかし、その沈黙を破るかのように笑い声が響いた
「あははは.!...本当に忠実な犬に成り下がったものだ。あの女も!!兄上に仕えていた従者にも関わらず。裏切られた兄上、御可哀想だな」
言葉とは裏腹に以前笑い続けるオルダンテ殿下
その声に賛同するかのように周囲も笑い始める
時折聞こえる声はどれも欲に塗れていた
「殿下ほど、次期国王陛下の座が似合う存在もいますまい」
「第一皇太子殿下では甘すぎる」
豪華な一室
そこは第二皇太子殿下が公務をこなす一室だった
第二皇太子を中心に6人の男性が席を連ねている
そこに異質にも見える―――猫
我干渉せず、と言いたげな表情で殿下の膝で眠っていた
「さて、では私は兄上の様子でも見てくるとするか...あとはお前たち6人に任せるとしよう。行こうか...ノーア」
立ち上がり後ろを見ずにその初老の男たちに向かって一言
大切そうに猫を抱きかかえながら扉を開けて出ていく
「んなーう」
バタン
猫の声と扉の閉まる音が重なった
閉まる瞬間まで
猫は扉の奥にいる6人から視線を外すことは無かった....
...と、云う事で第三視点でした。
意味が解らん、でしょう(-_-;)
もうすぐ解決しますよ
ここまで読んでくださってありがとうございました