絶望
新章です!
プロローグ
↓
華添
↓
輪廻
....ときましたが、一応今後の内容で重要になってくるお話です。
OPの内容全然触れてねーじゃん!と思っても今後、今後(大切なので2度言います)いろいろと出てきます。
文才が乏しいため理解し辛いかと思いますが暖かな目で見守って下されば幸いです。
長々と失礼しました
それでは、どうぞ
帝国歴1624年
混沌とした空気が世界を包んだ
多くの人間が恐怖に戦慄いた...
世界で最も恐ろしい時代が訪れる一年前
既に事は動き出していた
豪華絢爛
煌びやかな室内と甲冑を着た屈強な兵士
彼らに守られるような形で堂々と玉座に座る...男
宝石を身に纏っているかのような服装
蓄えた髭を厭らしい手付きで撫でるその男こそ帝国の王
頭上には黄金に輝く冠を置いている
威厳
厳格
富
この国を統べる王のみが与えられる王冠
「つまらぬ」
全ては王のこの些細な一言から始まった
憂を帯びた王
その憂を晴らすものは誰か
ザワザワと辺りが騒がしくなる
王が存在する場で許可もなく口を開くことは重罪である
しかし、この王の一言には口を開かざるを得なかった
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3か月前
同じように"つまらぬ"と発し臣下の一人を獣の群れに放り出しそれを終止笑顔で眺めていた
半年前は側室の一人を直属の部隊である兵士に襲わせた
その時も王は何をするでもなく笑いながら眺めていた
1年と少し前
村を一つ滅ぼした
他の村には魔物が出たと王は悲しみに満ちた表情で告げた
しかし、実際は魔物ではなく王の勅命であった
その事件を起こした兵士の一人が恐ろしくなり部隊を脱退し妻と子供と共に国を去ろうとした
それを知った王はその兵士と家族を殺した
王への反逆という全くありもしない嘘偽りを着せられ、家族共々....次の日門前の台の上に首だけの状態で3日放置された
それ以前も王は"つまらぬ"の一言で口で言えないような残虐的な行動を行っていた
王宮に衝撃が走ったのは6年前
魔女の護り人を王は殺した
この世界を支える柱
純潔の魔女の護り人
魔女と精霊王が実在する世界
二つの創造主が存在することで成り立っていた世界
精霊王を護る5つの精霊
魔女を護る5人の選ばれた存在
絶対不可侵
決して触れてはいけない領域のはずだった
王は貪欲過ぎた
日々の生活に飽いていたらしい
その日も、軽い口調だったそうな...
「護り人の力が見たいぞ」
唐突にそんなことを言い出した
護り人は月に一度、王に謁見をしていた
しかしそれはあくまで王と同等の立場での謁見
だが王は己が上だと言い張って護り人を卑下していた
この世界の理
我儘な王に付き合うよりか秩序に倣い平穏に暮らしたいと思った兵士や側近、臣下は誰一人として"自分が連れてくる"とは言わなかった
それに対し、王は残酷な一言をそれらに言い放った
――――なれば一人ずつ胴と頭を切り離すとしよう...
「...僭越ながら...宜しいでしょうか」
自分が死ぬことは誰しもが望まない
王の一言にいち早く反応した若い臣下の一人が率先して口を開いた
恐怖からなのか唇が震えていて声も細く力なかった
王はその臣下を見て笑い、発言を許す
臣下は自分が連れてくる。自分は王に絶対的に忠誠を誓っていると言った
若い臣下はこの世界では希少な魔力を使える人間だった
皆からは魔術師と呼ばれ若干27にしてその位に就き多くの功績も残している
しかし、純粋な心の持ち主であった
優しい人間だったのだ...
若い臣下は護り人を探した
そして見つけた
生まれて数年の魔女の護り人
若い臣下はその護り人を訪ねた
護り人は自分が王の臣下であるとわかると顔を顰め軽蔑するような目を向けてきた
護り人は普通の人間にはない力を持っている
きっと今の王について何かしらの不信感を抱いていたのだろう
思えば6年も前から王は可笑しかったのだ
以前はとても優しかった王が、いつからか....
何度か話したが護り人は王には会わないと言ったので諦め城へ帰り王へ報告した
「申し訳ございません。護り人は魔女からは離れてはいけない、月に一度の謁見にのみ参じるのだと言い張りまして――――」
そこでその若い臣下の声が途切れた
ひっ!という声にならない悲鳴と、辺り一面に飛び散った血
王の手には赤く染まった鈍く光る剣
周囲は恐怖に支配された
「なんとも興醒めだ」
そう言って王はその剣を一振りし鞘に納める
静寂に包まれた城
誰一人として声が発せない状況の中、王だけが笑っていた...
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それ以来、王が言う"つまらぬ"に対して過剰反応するようになった兵士、側室、臣下
ざわめくのは仕方のないことだった
誰もが皆命が惜しかった
だが、誰かが進言しない限りここにいる誰かが殺されてしまう
自分かもしれない恐怖
苛立ちと不安
ざわめく一室からどこからともなく一人の女性が現れた
紅の髪に焔と銀を合わせた瞳を持つ艶やかな女性が...
一人の臣下がその存在に気づき傅く
すると周囲も気が付いたのか一斉に傅いた
滅多に姿を現さない....純潔の魔女
南に存在する魔女がどこからともなく王の前に現れた
「お主...南のコルデロ・ルゼラか」
王は貧欲で傲慢で...自分の価値を高く評価していた
だから創造主である純潔の魔女もぞんざいに扱った
その場にいる王以外の人間が冷や汗をかく
絶対的存在は王だ
しかし不可侵領域の魔女は別物
魔女は普段自分達には到底手の届かない存在だから
南の魔女はそんな王の態度を見て笑った
「どの口が物を言うておる馬鹿者が」
静かに怒りをあらわにする魔女
魔女の姿勢が気に食わなかった王もその一言に怒りを表した
「人間の皮を被った化け物が私に何たる侮辱を...」
王の一言に皆、死を覚悟した
誰がこんな王にしたのだ
ここにいる皆が確信した、この国の存亡の危機
魔女も例外ではなく
今度は周囲に濃密な魔力を漂わせる
魔女の魔力に当てられた弱い兵士の一人が一瞬にして砂と化した
それを見たほかの兵士はゴクリと喉を鳴らす...
「死にたいか人間」
地を這う声
それは王の後ろから聞こえてきた
王の首筋には先程王が鞘に納めたはずの長剣
細く白い腕なのにもかかわらずその剣を握り殺意を込めて睨む...東の魔女
竜王の鱗から作られたとされている剣は元は王の物ではなく東の魔女ダルマスタ・リヴァナウロの物だった
その剣を王の首筋に立てる様は見るに恐ろしい
「殺してしまえリーナ」
東の魔女に促すよう言ったのは北の魔女バルブレロ・アネッサ
「リーナ姉さんが殺らないのなら...私が殺す」
次の声に誰もが耳を疑った
5人の魔女のうち、まだ年若い魔女
未だ俗世に出たことは無かった
初めて現れて出しだ第一声が、生死を断つ内容であることにこの王がどれ程愚かなのか...と、誰しもが感じ取った
傅いているため、容姿は分からないが
歴代の魔女は皆美しかった
きっと彼女も美しいに違いないだろうと推測する
「どうする?」
そう言ったのは西の魔女コークス・ユシュカだろうと思われる声
―――――顔を上げなさい...と魔女の誰かが言った
問いかけられたのは自分達だった
恐る恐る前を見れば
王を囲む、神が作り出したと言っても過言ではない
美しい魔女が覇気を纏ってそこに存在していた
王の正面に
紅の髪、焔と銀を合わせた瞳を持つ南の魔女
玉座の左に
黒の髪、漆黒と銀を合わせた瞳を持つ北の魔女
王の背後に
藍の髪、碧と銀を合わせた瞳を持つ東の魔女
玉座の右に
赤銅の髪、琥珀と銀を合わせた瞳を持つ西の魔女
そして王から少し離れた窓の淵には....
まだ若いが、その風格はこの世界を支えるに足りる力を纏った少女
銀の髪、蒼と銀を合わせた瞳を持つ中央の魔女
これが純潔の魔女
城に居る混血の魔女とは格が違う
圧巻だった
誰も口を開ける状況ではなかった
しかし、魔女は自分たちに問うている
口を噤んでいる方が万事に値する
このような王
そう思っているのが多数
だが今は世継ぎが居ない
存亡の為にはいち早く王の血を引く人間が必要だ
「恐れながら....王は、我らが王には世継ぎが存在致しませぬ故...」
臣下と思われる男が消えるような声で発した
「だから、今は殺すべきではないと?」
かぶせる様に西の魔女は笑って言った
はい...小さく小さく男は頭を垂れた
王はその発言に歪んだ表情で笑っていた
誰も触れない
「世継ぎを待つ。だが、馬鹿を野放しには出来ぬ...監視を置くぞ」
「では、私がその監視役を務めましょうアネッサ姉さん」
中央の魔女が名乗りを上げた
ここ帝国は中央の魔女が一番支えとなっている
だからだろう...自分の支える国の王を監視する
少女は薄汚れたものを見るような目で王を睨んだ
「しっかり見ていなさい」
ええ、と笑って答える少女は花が咲いたような笑顔だった
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半年後、世継ぎをと進言した臣下は宰相となった
そしてさらに半年後...1625年
帝国は過ちを犯す
長くなりました。ええ...
この後監視をしていたミアンが―――となるわけです。
おいおい出てきますから
長い目で見てやってください。
それにしても、いつの間にかお気に入り件数1200件\(◎o◎)/!
本当にありがとうございます
まだまだ続きますが飽きないで読んでやってください。
ありがとうございました