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陛下の専属様  作者: 月詠 桔梗鑾
第3章
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空中散歩その1


『さて、この後はどうしようか』



一人虚しく私の声が森に響いた

ロードさんは木傷を癒したばかりなので起きる気配はない




アンネ夫人....も未だ意識を失ったまま



(これでは今日中に森を抜けるはずが本当に野宿になってしまうわ)





とりあえずそれは避けたい話

あの冗談を本気にするつもりはないわ





ロードさんを起こすのは賢明じゃない

ならば、アンネ夫人しかいない...か





彼女はこの森を知り尽くしている様子だったし、彼女が起きればとりあえずここから出ることもできるでしょう




自然の力を借りればすぐにこの森から出ることもできる

....けど、途中で起きられてしまえば最後




あの傷で死ななかったロードさん

きっと回復するのも時間の問題だろうからね




危ないことはしない

これ、私の定義ね





ガサガサと草木を分け入ってロードさんより数百メートル離れた場所で倒れているアンネ夫人の元まで歩いて近づく




『怪我はしていないみたいね』





近づいて顔や全身を見るけれど、特に異常もない

無関係な人間が巻き込まれなくてよかったよかった




しゃがんでアンネ夫人に触れようとした瞬間



≪時の魔女よ≫



背後からガルベロが現れた

自然と触れようとしていた手が止まる




(まだ何かあるのかしら、精霊王が何か言ったとか?)




早く北へ行きたいのに

そう思いつつガルベロが居るであろう後ろを向いた




≪そんなに顔を歪ませないでください。お美しい顔なのですから...≫




口がうまい精霊だこと

呆れにも似た感情が湧きあがるのを抑える



『何用だガルベロ。まさかそんな美辞麗句を言うために戻ってきたのではあるまい?』



そう言えばガルベロは

困った表情をしながら笑った



≪美辞麗句などと...本心に御座います。≫



(え、本当にそれを言うためだけにここに来たのこの精霊)




と、疑いの眼差しを向ければ

急にシャキッとして私を見つめ返してきた





≪失礼。時の魔女よ、今何をなされようとしていたのです?≫





なにって....



『この女性を起こそうとしただけだが』




何が言いたいのだろうか

そう思いながらガルベロを見つめていると、やっぱり...と少し安堵した表情をされた




なんなんだ





≪時の魔女よ。その状態で起こすことは危険です≫



笑いながら言うものだから、危険なのか危険ではないのか掴めない




 

『どういうことだ、はっきりしろ』



少しイラついた声音で問うた

そんな私を見て苦笑すると、貴女様が危険なのです...と付け足された




≪今の御姿はあまりに危険です。≫




今の姿?

なんのことだと、自分の体を見る




....おおう、そういうことか




『いや、助かった。すっかり忘れていたよ』



≪いえ...我々も貴方様には思うがままに生きていて頂きたい。変に騒がれたくはないでしょうから。これしきの事で私に礼など、勿体なき事に御座います≫




どこまでも私を敬ってくれるのね

そう思いつつ、普段の...人間のミアとしての姿に戻った




うっかりしていて、本来の姿から人間の姿に変えるのをすっかり忘れていたみたい





この状態でアンネ夫人を起こしたら

もう一度気絶されるか面倒なことになる




それを未然に防いでくれたガルベロに感謝だわ




≪それでは、私はこれにて失礼致します。道中、くれぐれもお気を付け下さいませ≫



『ああ、ありがとう』



その言葉と共に

スウッとガルベロは消えていった






この森も、考えないといけないな

秩序は一度崩れたら戻りはしない



私達魔女か精霊王かなにかしら強大な力を持つ存在がどうにかしなければ....



(人間に乱されるなどあってはならないのだけれどね)



そう思いつつ、今度こそアンネ夫人を起こそうと



ゆっくりと体に触れた...



ここまで読んでくださってありがとうございました

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