ご対面その2
つーいにー!
主人公は陛下とご対面しまs...←
軽く残酷描写入ります
あー、見たくない人はバックしてください
「さぁ言え、魔女!竜の鱗で作られた盾はどこにある!?」
恐ろしい表情で私に迫ってくる私をここに閉じ込めたヒト
馬鹿ね...私が知るはずがないでしょう?
それは東のリーナ姉さんが知ってるのに
あんた馬鹿だよね、リーナ姉さん殺したんだもん
直接じゃないけど
追い詰めたのはあんただもんね
「なんだその目は...薄汚い魔女が、そんな目を私に向けるな!」
バシッ!!
私の背中に赤い筋がまた一つ増えた
帝王様は私の眼がお嫌いのようね
喋れない私はこのヒトを見るしかできなかった
なのにそれが気に入らないと鞭で私を痛めつける
私悪いことなーんにもしてないのに
イタイ
イタイ
「純血の魔女だと?こんな餓鬼が。ハッ笑わせる...何も役に立たぬではないか!」
バシッ
ビシッ
そう言って何度も何度も私をその鞭で殴る
私が喋れないのはあんたのせいなのに
私はまだ生まれたばかりなのに
ほかの姉さんたちに比べれば何も知らないんだよ?
私は最初に言ったでしょう
あんたはそれを無視したんだ
私が悪いの?
あぁ...もう私が悪者でもいいから、早くここから出して!!
_________
____
「!?」
バッと飛び上がるように私は目が覚めた
久々に嫌な起き方をしたな...ってあれ
え、ここどこ?
(頭痛いしーここどこよ)
酷く痛む頭を支えながら今いる場所がどこなのかを考える
馬車に乗せられて...あの男の人に魔法を使われたんだ
そうだ、そこで私は眠らされた
ってことはここはもしかしなくても城なのか?
「うぁー、厄介ごとは本当に嫌いなんだけどなぁ」
私の声は誰に拾われるわけでもなくこの広い部屋に響いた
見渡す限り綺麗に装飾された部屋
ふかふかの大きなベッド
窓際には綺麗な花
その近くの机にはチェス盤が乗っている
私の存在が異質に感じるほど広い部屋
ためしに窓際に行ってみたけど抜かりない...魔法で出れないように細工してあるのが見えた
少し離れた場所に大きな扉があるけれど、そこも完全にふさがれている
嫌だな、昔を思い出す雰囲気だ
「檻みたいじゃないの....」
「お前には檻に見えるらしいな」
突如私のちいさな呟きに返す低くバリトンの効いた声が響いた
その声は私の後ろにあり...私は気づかなかった
(気配にだけは....敏感なつもりなんだがなぁ。私ちょびっと感覚鈍った?)
そんな訳がないのは重々承知です
こいつ....気配がまるでなかった
振り向く勇気がない私は近づいてくる足音にどうすることもできなかった
「お前が魔女候補か」
そしてその声はついに私のすぐ近くまで迫ってきた
冷たい声
優しさのカケラもない
そんな声が私の耳に届く
「聞いているか娘」
怖い
直接見ていないのに悪寒が絶えない
私はその圧力のかかる声に漸く反応するかのように後ろを向いた
そこには....恐ろしく綺麗な人がいました
(うっそーん!?超かっこいい、これ人ですか!?)
さっきまでの恐怖は何処へ.....
その人を見た瞬間私は驚きのあまり目を見開いた
目の前にいる男は
人形のように綺麗な金髪でブルーの瞳をしていた
作り物のように綺麗な顔立ち
ただ残念なのは笑わない口元
私が振り返ってなおその冷たい表情は変わることは無かった
「俺の言葉を聞かぬとは愚かな娘だな、死にたいのか?」
「ええ、魔女ですが」
死にたくない死にたくない
ま、簡単には死ねないけどー
目を見て話されると脅威抜群
この男の人は私を見下している
言葉のとおりです
私は見上げる形ですね
それに愚かとか死にたいのかとか
物騒なことしか言えないのかこの男の人は...
"ええ、魔女ですが"
だなんて嘘を隠したいなら絶対に言わない
"私魔女なんて知りません!ここはどこですか?家に帰してくださいこの変態!!"
って感じのストーリーが王道でしょ?そう言ったら言ったでこう云う類の人間は
"面白い、俺にそんなことを言ったやつは初めてだ"
とかいらんフラグが立ちそうだからそれを回避するためにはわざと厭らしい欲に絡んだかのようなモノにならないといけない
...のに
「ハッ、気に入った。そんなに堂々と魔女宣言をされたのはお前が初めてだ。いいだろう....今日からお前が俺を守れ...本物の魔女が見つかるまで1年間だ」
そう言って男の人は楽しそうに口元を歪めた
...計画ってさ
王道ってさ?
"...お前もそこら辺にいる女と同じか。去れ、どうやら間違いだったようだ"
"そんな!?私は魔女ですのよ!"
"衛兵!この女を城から放り出せ!"
"嫌よ!離しなさい!!"
的な流れになる場所よね?
おかしいでしょ、この流れ....
目の前には綺麗に笑う綺麗な人
私の計画した流れはどこに消えたんだ!!
ってか守るってなに!?
しかも1年もかよ
つーか結局私が魔女じゃないって思ってるんじゃん
なんでそこでいらんフラグを立てるんだよ!
「え...あはは」
もう笑うしかないでしょ
こんな、目が拒否したら首ちょん切るって圧力を放っていたらいくら魔女でも怖くて動けません
首を縦に振るしかできないみたいです
「俺の名はアレン・アルファジュール。名の通り7代目帝王、魔女...お前の名は」
やっぱり、とういうか陛下であらせられましたかー
もーなにも驚かないですよーだ
「私はミアと申します...」
魔女にとって真名、つまり本名は絶対のタブー
名前は契約
だから迂闊に名乗れはしない
「ならばミアよ、お前は今日からミアンとする...ミアン・レティシェホードだ。似ているし何も問題はなかろう」
(なぜお前がその名を...)
新たにつけらてた私の名前
....私の、本当の名前!!
「な...なぜですか?」
眼が左右に動かないよう、悟られないようにそのブルーの瞳を睨みつけるように私は見た
男は不思議そうにするも冷たい表情のまま
「お前には関係のないことだ。いいか、余計な検索は無用。お前は私が危険だったとき命を懸けて守ればいい。本物が見つかり次第お前は帰れる、勿論報酬を与える...いいか、契約だ。1年間は俺を守れ」
なんと言うことだ...
「血に従い血の掟の定めし主の名の下に我ミアン・レティシェホードは貴方様の命令に絶対的な忠誠を」
私は怒りで燃えそうな感情を押し殺しこの男の前に傅いた
この言葉は...この動作は生きていて2度目
「ほう...一端に魔女を自分から名乗るだけはあるな、魔女の契約詠唱を知っているとは。期待しているぞ」
(くそがっ...またも私は帝王に縛られるのか!!)
綺麗な男は用事が済んだとでも言いたげにその場に私を残し颯爽と部屋から出て行った
私は動けないままその場に傅いていて...
悔しくて、300年経った今でも帝国に....帝王に縛られるなんて
魔女として本当に情けないわ
静かな部屋
陛下との最初の対面はそれはそれは酷いものだった...
対面終了
陛下酷いー
むしろ最初の帝王アウトでしょ...