表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
陛下の専属様  作者: 月詠 桔梗鑾
第3章
48/151

ディーヴァの怒号その5

本当に久々の更新

大変お待たせいたしました


どうぞ


暫しの沈黙の後、ガルベロは是と一言頷いた




――――人間が精霊の住まう森を穢すなど甚だしいものよ...

人間とて精霊が居なければこの世界では生きてはいけないのに、なぜ知って尚そのような行為をし続けるのか本当にわからないわ





ため息をつき視線を今も戦っている二人に向けた



するとガルベロが少し声を張って言った


≪時の魔女よ...この森はあと数百年もすれば消え失せてしまいます。秩序は我々にも戻すことは出来ない、この森の末路は荒れるのみ。人間の所業に御座いますぞ!何故なにゆえ人を守るのです!?≫







察しのいい精霊だ

私がガルベロに念話をしたのは、いま戦っている二人を止めさせるためのものだとこの会話で感じ取ったに違いない





(守る...か)


既に守る存在などありはしない

そう考えて私はふっと自嘲気味に笑った



『ガルベロ、手を取り合え...人の業を視よ、人の命を視よ。そう精霊王は言ったはずだ』




大きな樹を優しく捕える

すると何処からともなくスッと人影が現れた



それは紛れもなく、精霊王が生み出した大地の精霊ガルベロ



未だに怒気の含んだ表情は消えてはいないものの以前とさして変わらない優しい風貌をしていた



『漸く姿を現したか。久しいな』



≪本来はこの姿を人間には曝してはいけない身...しかし今は気づかれないでしょうから。≫



そう言って私の元に近づいてきた



『なかなか大変な身だな』


≪時の魔女には及びませんよ≫




ガルベロはそう言って笑った

なんとも癒される笑顔だ....




『申し訳ないな。だがお前の力が必要だった』



ちらりと戦っている二人を見る

こんなに話していて大丈夫かと言われれば大丈夫なんだよね




ここは云わば亜空間

そこに存在していてもその場所と時間の流れは一定ではなく、さらに言うならば誰からも見られない完全に異質の空間




私の言葉にガルベロは硬い表情をする

わかっていたことだけれどね




≪もう一度問わせて頂きたい。何故時の魔女は人間を守るのです≫


『守るのではない。あくまで流れを見ているだけだ...考えてみろ。人間はこの世界に生かされてういるのだぞ?なのに人間は自分たちでこの世界を維持していると思っている。笑えるじゃないか...見えない神に願い、強大な力に恐れる。人間は守る価値などない』




そう、守る価値などありはしないのよ

300年経ってなお変わらない私の考え



≪ならばなぜ≫


ガルベロの声にそうではないと首を振った



『だが、時折見せる人間の行いに目を見張るものがあるのも事実。私達は退屈なんだよ...先人の記憶を受け継ぎ今を生きている。ただふと、思うことがある。本当に今生きているのか?と。先人の記憶と今の記憶が混ざるとどうも生死の境が分からなくなる...そんな時人間はその行いで今私という存在が生きていることを証明してくれるんだ。難しい話かもしれんな、精霊には記憶を受け継ぐなどという行為はなされないから』



高位の精霊に人間は自分たちの土地を荒らす生き物でしかない

だが下位の精霊は人間と共存することによって力を引き出すことが出来る



そして私達長く生きる存在の楽しみでもある



守るのではない

あくまで流れを見ているだけ...




『ほんのちょっとの好奇心と慈悲で人間を助けたり殺したりするのさ』


≪時の魔女よ...貴方様の御心を察することは到底出来得るものではありません、我々精霊には降りかかることのないものですから。しかし、納得致した部分もございます。些細な力では御座いますがお力になれば幸いです≫




私の言葉にガルベロは何を言うわけでもなく納得してくれた




≪我らが王も時の魔女と同じ心中に御座いましょう...だから私に業と命を視よと仰ったに違いありません。≫




賢い精霊は嫌いじゃない

私はありがとうの意味を込めて微笑み返した




『我が話をつけよう。あの精霊をどうにかしてはくれぬか?』



時間がなかった

私が彼を助けるという行為にきっとあの精霊は悪意がないとはいえ邪魔をしてくる




だからこそガルベロという彼女より存在が上の者がほしかった



≪時の魔女よ、お言葉を賜りました≫



そう言ってガルベロは再び姿を消した

私も動くとしますか...




―――――――――

――――



ゆっくりと倒れるロードさんの体を視界にとらえ

私は彼と精霊の間に割って入るような形で立った





血まみれで倒れるロードさんを見て

単純に馬鹿だと思った



やられる前に殺ればいいのに....




『その辺にしておけガルベロの眷属よ』




睨みつけるように精霊を見る

精霊は私という存在に圧倒されるかのように表情を一気に歪ませた




一言二言話せば渋々といったように消えた

きっとガルベロが何かしてくれたのだろうから....




さて、問題は彼



今にも目を閉じてしまいそうなロードさん

この状況、普通なら死んでしまうんだけどねぇ...



まあいいか



『お前は生きたいか』



思えばそんなことを口走っていた

生きたいもくそもない



私は彼が死にたいと言っても助けるのだけどね、陛下との約束だから





だけど、次の瞬間

私はそんな約束とか云々を忘れてしまう




(この状況で....笑うか?)




声が出ないのだろう

ロードさんは私の眼を見て微笑みながら頷いた



普段は見せない静かな微笑み



生粋の魔女信者って訳ね




『難儀なことよ、そのまま死に絶えれば来世は幸せだろうに』



だが、そんな人間だから面白い

無駄に足掻くんだ...



ロードさんの瞼が完全に閉まる


『苦痛を選ぶとは人間らしい』


そう言って私は少し笑った






...と、時間がないんだった

まだ完全に息を止めたわけではない



私は倒れるロードさんの横に座り、掌をそっとロードさんの体に翳した




『汝、その戒めを払い

我、その救いとなる


汝、その鮮血を払い

我、その支えとなる


汝の欠片を我の掌に...

我の声に応え我に仕えよ


ヴァル・シータス・ア・ルレイス』



私の呪文が紡ぎ終えた瞬間

掌から光が溢れロードさんの全身を包んだ



その光りは傷ついたロードさんの体を癒していく



さっきまで轟音が鳴り響いた森から

一筋の光が舞い降りた....




はい、長くなりました

でもとりあえず5で終了させたかったんです←



ここまで読んでくださってありがとうございました

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ