表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
陛下の専属様  作者: 月詠 桔梗鑾
第3章
46/151

ディーヴァの怒号その3-SIDEロード-

...たぶん4まで縺れそうな勢いです。

この回にロードさん視点も盛り込みたい月詠です



とりあえずどうぞ


「お前は生きたいか」


耳に入ってくる心地の良い音

声そのものが音楽のように軽やかに奏でられる



一瞬の刹那

光り輝く世界に、銀のそれはそれは美しい女を見た



__________

___






何か様子がおかしいと感じたのはこの森に入って数分のこと

妙な禍々しさがあった



(以前来たときはもう少し...こう、賑やかだったんですがね)




辺りを見ても何も変わらない

至って普通の森なのだが、どうもしっくりこない





いつも通りアンネ夫人はあの儀式のようなものをする




そこまではよかった...が





(この状況は少しばかり危ないですね)



冷静に判断している場合ではないとわかっていても

どこか心は静かだった



それは普段から"死"に対して覚悟を決めていたからなのか...




視線の先には今にも私を殺そうとしている木の精霊

一見可愛らしい容姿にも関わらず恐ろしく攻撃的ですね






結界で防いで入るものの

彼女から流れ込んでくる負の感情に時折呑み込まれそうになる




精霊は所詮人には適わない存在だとばかり思っていましたが、甘く見るものでもありませんね




精霊は人に仕えて初めて力を出せるもの

そんな先入観が未だに私の中に残っていた




野生の精霊

精霊王が自ら作り出した精霊ではなく、大地に根付く数多の生物から意思を持って生まれたのが精霊




精霊王が作り出した精霊は

極僅かでほかの精霊より圧倒的に力が強い



それに比べて野生の精霊は

普段は特に何をするわけでもないが、人間が介入し主従関係を結ぶことで人間の魔力を精霊に与え強くし仕えさせることができる







(この木の精霊は野生なはずなんですがね)




精霊王が作り出した精霊はこちらの知る限り5人



火、焔を扱い日輪に輝く炎の精

水、雹水を扱い潤いをもたらす水の精

地、大地を包み命を生み出す土の精

雷、王の威厳といかづちを表す雷の精

陰、人の世にはばかる影と因縁を纏う闇の精




およそ300年前までは

この5人と精霊王しかこの世界には存在していなかったと文献に載っていた




それが定かであるのか、私自身300年も前のことなど知りもしないのでわかりませんが...




そんな前置きなどどうでもいいのに

この状況だとそんなことしか頭に浮かばない



―――いや、なんとなくこうなる予想もしていた

彼女が言う嫌な臭いとは十中八九私のことでしょう



思い当たる節が少々ありますから




ただここまで敏感だとは私も思っていませんでした

失態ですね




ちらりと余裕がないにもかかわらず私は気になってアンネ夫人と少し離れた場所にいる騎士を見る



アンネ夫人はこのようなことが初めての様子で

どうすればいいのか顔を青ざめながら周囲を見ている



私の護衛は...

本当に変わっていますよ貴女という女性は



(こんな状況にも関わらずこの件に興味がないといった表情だ)





私のことを守るわけでも

助けるわけでもないようですね彼女は...




ま、いまの現状を見て助けに来ようなど命を捨てるような愚か者ではない方が、今後陛下の傍で騎士を務めるものとして陛下の邪魔はしないのだろうと思いますが




陛下は強い

助けようとして陛下に切り捨てられた騎士は大勢見てきている



逃げることが弱さではないと知っている

だからこの状況で貴女が出しゃばらないことは賢明な判断でしょうミアさん




「ま、私を助ける訳もないのでしょうが」



ボソッと呟く

小馬鹿にしたようにあしらってきたのですからね



目の前にいる女はどうにも綺麗な声で歌うように紡いでいる



あちらの呪文が完成するまでこちらも最大限魔力を引き出す

自分のキャパシティーをオーバーしそうなことは重々承知の上でだ




だがこちらとしてもまだ死ねない

死ぬ覚悟と死ぬ時期を誤ってはいけないのだ




(この精霊には生きていてもらわなければいけないから迂闊には殺せない。本当に厄介ですね、このままでは私が死んでしまいますよ)




特殊な体質ですから、簡単には死なないのですがね




≪我、力を求めん!!≫


完成した呪文が私の最大限引出し作り出した結界に光の矢となって降り注いでくる




厳密に言えば粒子の塊でしょうけど

これはまずい



作り出した結界にひびが入ったのかわかった



次々と降り注いでくる矢

防ぎきれるものではない



(どうする)



選択肢がもうない

あと数秒、今この瞬間にも壊れてしまいそうなこの結界




(最悪ですね)



パリンと一つ音がした

結界が壊れたのだ



体に無数の光の矢が突き刺さる

最初に刺さったのは腕


焼けつくような痛みが全身を駆け巡ったと思ったら次は体中に刺さり始めた

どこに刺さっているのかもどこが痛いのかももうわからない



意識が別などこかへ行こうとした...



その時




「その辺にしておけガルベロの眷属よ」





混沌とする意識の中

視界に入ったのは鈍く光る..."銀"



流れるような艶やかな銀

思わず手を伸ばした



しかし、その銀に手は届くことなく数倍もの重さを増して再び戻ってきた

血塗れた己の手



――――触れなくてよかったのかもしれない

そんなことを思った



≪...あ、そんなっ≫



木の精霊だろうか

さっきまでの怒号はどこへいったのか



項垂れるような

それでいて驚きと喜びが混ざった声が徐々に聞こえなくなっていく耳から入ってきた



「ガルベロの眷属よ、これ以上の行為は我に対する侮辱か?」



圧倒する声だ

陛下と同じように、なにものもひれ伏させる声



威厳

自信



そして力....




≪い、いえ滅相もございません!!...違うのです違うのです!人間が、人間が私の住む領域を荒らすから...血の臭いを纏った人間どもが、ガルベロ様が御創りになられたこの森を穢そうとしたのです!!だから今回のそやつも同じだと思うて...≫




ガルベロがこの森を創ったのか

ガルベロは精霊王が作り出した地の精霊




彼女はガルベロの眷属だったのか




それにしてもだからだったのですね

最初に感じた違和感は人間が荒らしたからだったのですか...




確かに私も血の臭いを纏っている

あの時、あんなに憎しみを込めた目で見られたのはそのせいか



「お前がこの森を守ろうとしたことも理解できぬわけではない。...が、お前の所業によりここに住みつく我の生み出した子らが息絶えたのも事実だ。ガルベロには我から話をつけておこうぞ。お前はお前の成すべきことし、静かにしていればいい」




それは命令だと思った

その声に気圧されるかのように木の精霊は無言で頷いていたように見えた



次の瞬間にはスッと木の精霊はいなくなった




静かになった途端

痛みだす体



目を開けるのも面倒ですね


(ただ、もう一度目に入れておきたいものです)



やっと見つけたのだから




「お前は生きたいか」




目が合う

300年生きている、死ぬことのない魔女よ



貴女がちっぽけな存在である私に話しかけている

これ以上の幸せはあの日以来だ



貴女の声に私は頷いた

もう声は出ないのだから



「難儀なことよ、そのまま死に絶えれば来世は幸せだろうに」




―――苦痛を選ぶとは人間らしい

そうつけたし微笑んだ気がした



そこで私の意識は反転する

目の前が真っ暗になる寸前



視界に入った最後の笑顔を私はどこかで見た気がすると思いながら...






すいません

4まで長引いちゃいましたね



新しいキャラクター沢山出てきたので

ここいらで人物紹介いれようかな..


ここまでよんでくださってありがとうございました



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ