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陛下の専属様  作者: 月詠 桔梗鑾
第3章
39/151

女店主その3-SIDE__-

はい、3話目です

今回は第三者視点、つまりは客観的に


要約するなればナレーター的な...



「どうなさるおつもりで?」



光の差し込まないその一帯に数人の気配

月でさえも遮断してしうようなその場所で事は起こっていた






「まだその時期ではない」





誰かが問うたその声にまた違う声色の誰かが答えた

違う声色の誰かは静かに窓から空を見る



この一帯は何ものにも邪魔されない様自然の摂理を捻じ曲げて作っている

故に日の光はおろか風さえも吹きはしない






「それでは我々はあの御方に信頼を置いてもらえないではないですか!いつまで水面下でこのようなことをし続けるのです!?」



「黙れ!!」



突如、何もない暗い世界に風が舞う

その風は先ほど見ていた窓をも壊す




「まだ時期ではないの...動くな」



自然の摂理を捻じ曲げて作った世界にひびが入り

そこから差し込む微量の光





その光りに照らされたのは一人の女だった

女は近くにいる男をこれでもかと睨んでいる





そして女の声音は絶対的支配力を持っていた

"黙れ"その一言は怒気を含んでおり女の顔を一層歪ませていたに違いない




「申し訳...ございませんでした」




男は音も立てずにスゥっといなくなる

まるで煙の如く




「暫く一人にしてはくれぬか」





「「「御意」」」



傍で待機していたほかの者達も次々に煙のように消えていく



暫くしてその場に残ったのは女だけになった






「ほんに...この世界は薄汚れておるな。300年前、純潔の魔女が居た時代ならばこんなことにもならなかっただろうに。今この世界をぎりぎりの状態で支えているのは中央の魔女のみ」





≪今更な話をお前はするのだな≫



何処からともなく声がする

人払いは女が済ませたはずなのに...



しかし女はその声に驚くわけでも、まして怒るわけでもなくその声を近くへ呼んだ



のしりのしり

時折ミシッといわせながらゆっくりと近づいていく



それを女は愛おしそうな眼差しで見ている



「今更...か。そうであろうか」




≪だがあ奴らが言ったことも一理あるぞ。このまま水面下でただじっとしてばかりいては我々はあの御方から信用を失ってしまう≫



女の元にいたのは大きな獣だった

漆黒の毛並を優雅に躍らせてその獣は女の足元に座り込む



一つ一つの動作があまりに優雅

そして月明かりでさえもものともしないその黒




「あの者共より先に我々が魔女を見つけ出すのだ。その意思は変わっていない...が、私はまだ動く時期ではないのだよロイ」




ロイ...それは獣の名だった

女の手に撫でられ気持ちよさそうに目を細めるも





ロイと呼ばれた獣は依然納得をしていない様子



「頭が固いのは嫌だねぇ...本当に」



≪お前が言うかそれを≫




獣は再びのそりと立ち上がる

四本の脚で立っているのにもかかわらず大きさは近くに座っている女と同じくらい





女が座っている椅子はけして低いわけではない

むしろ女の足は椅子からぶら下がっている状態で..だ




「もう行くの?」



名残惜しそうに女は呟く

ロイはその声に無言でうなずく



≪こちらにはこちらの仕事がある≫




そう言って窓から消えていった

その瞬間




こぼれる程度しか差し込むことのなかった月の光が部屋一帯を包み込んだ



時折その壊れた窓から風が吹く









「素早い獣よ」







女は窓の外を見つめる

それはまるで恋い焦がれる姿







よく見れば部屋はそれほど汚れてはいなかった

ところどころ何かでひっかいたような跡がある





多分それは先ほど女が怒った時に出来た跡だろう





「私もそろそろ戻るかね...」





女の呟きは誰に返されるわけでもなくその部屋に静かに響き渡るのみだった




一応これから先重要...かな

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