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陛下の専属様  作者: 月詠 桔梗鑾
第3章
31/151

宰相と魔女その1

それ以来何事もなく一日が過ぎ

勤務時間を終えて部屋に戻り、リリーと軽く会話をしながら眠りについた



眠るとき

リリーは必ず私に"月が沈むまでお休み下さい"って言う




月が沈むまでって、普通にお休みでいいのになんて

思ったけどあえてそれに対して何も言わなかった



きっとリリーの昔からの習慣とかそんなんだろうと思ったから.....





________

___





「行ってらっしゃいませ」


「行ってきます」



まだ人に頭を下げられることに慣れてはいないけど朝の挨拶が大切だとは気が付いた



リリーとの朝のやり取りから始まるって気がするからね




(そういや、リリーって私を見送った後何してるのかな)




朝は私を起こしてくれて

見送る



夜は私を出迎えて

いつの間にか退室していく



ま、女官らしく掃除洗濯その他諸々やることは沢山あるんでしょうけどね




そんなことを考えているうちに陛下の執務室へと着いた



私は掌を扉の流れるような蔓へ翳し

優しく魔力を流し込んだ



扉の開け方を教えてもらったからだ



本来なら陛下が許可しない限りは開かないはずなんだけど...

蔓に入室を許可する者の魔力を記憶させれば次からは陛下の許可なしに入れるそうだ



オルド卿辺りを中に入れるなんて危険じゃないのかしら



昨日のこともあるでしょうに...

と、思ったけど陛下に負ける人間がいるのかが最初でしょうね



まだ見ぬ陛下の力は私の想像を遥かに超えるものだと思っているからね



わくわくする

その反面、よく自分の力に呑まれることなく自我を保っているものだと感心せざるを得なかった





「おはようございますシドさ...ん?」


「あぁ」



扉を開き昨日と同じようにシドさんに挨拶をしようとそちらを見れば



シドさんともう一人....後ろ姿だけど、なぜか腹黒い爽やか青年こと宰相のロードさんがいらした



驚く私を尻目にロードさんは鼻で笑ってこちらを見てきた



振り向くさままで綺麗なのはいい

ただその笑い方、本当にどうにかなんないのかこの男は



朝からカチンと来るがそこは淑女らしく微笑むのみ



「素敵な笑顔ですね」


「ふふ、ランウェイ様にだけ特別です」



細やかな仕返しだ

ありったけの皮肉を込めてみる



「それはありがたいですね、とても斬新な笑顔だと思います」



斬新な笑顔ってなんだ!?

皮肉を嫌味で返され意気消沈気味になる



軽く落ち込んだ私を見て

何故か頬を緩ませるロードさん



鬼畜だ

精神的に追い込む悪魔だ


そう思わずにはいられなかった



陛下が来るまでには多分もう少し時間がある


そういえば、なんでロードさんはここにいるのだろうか?



「ランウェイ様がいらっしゃるなんて今日はどうなされたのですか?」



陛下の部屋に変なものが置いてないか歩きながら調べる

静かだったので唐突に質問をロードさんに投げてみた



「何かなければここにきてはいけないのでしょうか」



(なんて面倒な人なんだ)



予想はしていた

こんな質問を投げるべきではないと


もう少し具体的に優しくオブラートにでも包んで投げればよかったのかもしれない....と、思っても後の祭りだ。


鳥の剥製を入れるガラスケースに映る私の顔は笑顔が引き攣っていた



「珍しいなー...と思いまして」


「まだ勤務して3日でしょうに。私から見ればあなたがこの部屋にいることが未だに珍妙な光景ですがね」



あー言えばこー言う

本当にこの男は私に対して棘を添えて話してくる



嫌われるようなことをしたか?

いや、最初の出だしは無でしょう?



不可抗力じゃないか

横暴だ横暴だ


そんなことは言えないから静かに剥製を見続ける




するとチリチリと扉が音をたてはじめた

陛下、ナイスタイミング!



きっと陛下だろうと、私は扉の近くへ行く

シドさんも同じように扉の横定位置についた




「「おはようございます陛下」」



私とシドさんの声が被る

それに対し陛下はチラリと見てそのままいつも通り椅子へと腰かけた



「おはようございます陛下」


「お前がここに来るなど珍しいな」



結局貴方がここにいることは頻繁ではないのね

最初の私の言い分、あってたじゃないの!!



陛下の目の前に立ち

そのことに爽やかに微笑むロードさん



(苛々するわ、そして悔しいわ!)


ばれない様必死に隠す

心の中で罵声するくらい神様が許さなくても私が許すからいいわよね



なんて自己中心的考え

そう言われてしまえば終わりだけれどいいの




いつか目にもの見せてやるんだから

と、一人意気込んだ




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