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陛下の専属様  作者: 月詠 桔梗鑾
第3章
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再会の時その3

お久しぶりの更新です

お待たせいたしました....

「以前会ったときより随分と淑女らしくなられましたね魔女様」



それは嫌味か

鼻で小馬鹿にしたように笑う青年に苛々するのは私が短気なわけでなく青年の態度があまりに酷いからだと思いたい




カツカツと音を鳴らして私達に近づいてくる


リリーが伏目がちになり顔が少し強張っているのが分かった






「面を上げなさいリリー女官副長」



カツンと、靴がそこで音を立てるのをやめた

私の横...リリーに向かって言われた一言に軽く驚く



(副長って...要は女官№2ってことじゃないの)



道理で強いわけだ

青年の発言で納得してスッキリした私は遠慮することなく深く座りなおす



その態度が青年の癪に障ったのか定かではないけれど

青年はリリーから目を逸らし私のほうを皺を眉間に寄せながら見てきた



「ふてぶてしい態度ですねぇ....山付近に住んでいたとはいえ私の存在くらい耳に入ったことがあるでしょうに」



知らねーよ

...なんて面と向かっているほど私は勇敢な心を持ってはいない



ふふふと微笑んで姿勢を正すことしかできなかった



その様子を見てか青年は驚いたような顔つきをした

何をそんなに驚く



「本当に知らないんですね」


「世間知らずですいませんでした」



素直に言ってしまえばこっちのもん

驚いた顔はいつの間にか呆れたような表情になっていた



「魔女様、この方をご存じではないのですか?」



やっと口を開いたリリーは心なしか引いたような顔

...え、世間知らずでは収まらないわけ?




「これでも、この帝国を束ねる陛下の側近であり民を纏める宰相ロード・ランウェイです」



講堂でやけに大きく聞こえた青年の声は

凛としていて威厳を感じるものだった....なぜそこで凛々しくなるかなんて私にはわからないが




(ロード・ランウェイ....いや、まさかね)



一瞬浮かんだ自分の考えを打ち消すように頭を振る

そんなはずはないんだと言い聞かせて



それにしても一見20代半ばか後半に見える青年ロードさんはこんなにも若くして宰相になったのか



なかなか下剋上の世界らしい

いつの時代も古株が政治を担うものだと思っていたからちょっと突拍子抜け



「....宰相でしたか、軽率な行動に対して寛大なお心に感謝いたしますわ」



立ち上がり一瞥

完璧な淑女ね私



一人その行動に酔いしれる私

だってこんなこと生きててなかなかやらなかったからね!



「今更ですよ」


はぁ、とため息をつきながらやれやれと髪を揺らした


本当に一々行動が頭にくるわね

ヒクっと口元が引き攣る



生意気な感じがどっかの精霊とかぶって仕方がない



「それより、魔女様のお名前を私はまだ聞いていない」



あ、私の淑女らしい行動は"それより"で片づけられるのねー悲しいわ




そう思いつつ頭を上げロードさんを見据える

この人も綺麗な顔立ち


最初に見たときも思ったけど

爽やかで、口からあんなことを言う人には見えない



人は見かけによらないのね



「私の名はミアですランウェイ様」



ロードさんは大して興味がないようにふうんと頷くだけだった



(興味がないなら聞くな!!)



「精々頑張ってくださいね」



そう言い残してロードさんは講堂から出て行った


最後まで憎っくい男ね

後ろ姿を私とリリーで見ながらそう思う




ガチャンと閉鎖的な音が講堂に広がる

再び講堂は静寂に包まれた



ロードさんが居なくなるだけで私の苛々もどこかへなくなってしまう



リリーも張りつめていた緊張が解けたからなのか

ほっとしたような表情をしていた



「リリー強いんだね」


思い出すかのように私はリリーに質問を投げかける


そんな私を見て少し気まずそうに笑いながらリリーは答えた



「女官長様には負けますが...王宮で陛下を支える一員として恥じない力を持っていますからね」



陛下を支える一員か...

ロードさんも陛下の側近って言ってたし


人間には十分過ぎるほどの魔力も持っていた

時代の流れで魔力の質と量も変動するのかしらね



リリーとさっき出て行った宰相のロードさんを思い浮かべそんなことを思う



「強いんだね」


思わずそんなことを口走っていた

私を見るリリーは何を言ってるのかわからないとでも言いたげな目をしていた




(ハゲがいた時代の女官はここまで強くなかったからねー、世の中変わるもんだ)



講堂のステンドガラスを見ながら

舞うように在るその羽を見続けた



そんな静かな講堂に私達は暫く何も話さないままただ淡々とその空間に浸っていた







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