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陛下の専属様  作者: 月詠 桔梗鑾
第3章
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再会の時その2

向かった先は何故か王宮から少し離れた講堂だった



初めて入る講堂

この前散策したときはちらっとみて終わっただけだったけど




近くまで来ると圧巻

白を基調とした壁に緑の蔦がうまく絡み付いてる




なんでここなんだろう

そう思ったけどリリーの考えに従って私は何も聞かなかった





ここの扉にも魔力が施されている

緑の蔦から流れるように魔力が....




(分かり易すぎない?)



大切なところには魔力の扉って

安直過ぎるでしょ



リリーの横で静かに私は考えた

だって、要は魔力が施されている場所には必ず何かあるってばらしているようなもの




人間必要以上の接触を避けてきて300年



まだまだ私のわからないことは多そうだ





「魔女様、少しだけお下がりくださいませ」



リリーが私のことをそっと後ろへ押す

その反動で後ろに咲いていた小さな花を踏んでしまった



(あらら....ごめんね)



そっと踏んだ花を見る

茎が折れてしまっていた



「我等を貴方様の住む領域にお招きください。我等に貴方様のご加護を....アルバノン・フィージア」



両手を胸元で組み祈るように唱えれば扉は了承したように静かに音を立てて開いた



ギギィと古い音がする

それと同時に扉の中から甘い匂いがした



(アルバノン・フィージア....高度な魔法の一つじゃない)



さぁ、とにこやかに笑うリリーはやはり凄腕の女官のようだ



きっと王宮には凄腕の魔法使いがたくさんいるんだろうねー



そんなことを思いながら促されるままリリーと私は講堂の中へと入った



私の足元

踏まれて折れたはずの花は


私が中へ入った瞬間その面影を残さず花を咲かせていたことは誰も知らない




______

__




講堂の中も白だった

見渡す限りの白



(すごーい)


私がきょろきょろと周りを見ていると

リリーは優しく微笑んだ


「ここは特定の人間しか入れません。静かな場所でのんびりいたしましょう?」



リリーの私に対する配慮だったようだ



外に出ても今の季節日差しが強いことは分かっている


それに巡回する騎士やいつも慌ただしい女官がうろうろする場所よりこういった場所なら確かに安静にできる




「うん!」



近くにあった長椅子に座る

長時間座るのは少し大変、そう思うような木でできた椅子だった



森育ちの私からすれば

でこぼこしてないし全然いいけどね



正面には大きなステンドガラス

魔女に捩っているのね



白い羽と青い羽

琥珀の羽と紅い羽


そして中央に銀の羽が描かれていて

時折射す太陽の光を浴びて各々(おのおの)が輝いていた




天上にはアルファジュール帝国の紋章




人間の手先って本当に器用よねー

ついついそんなことをしみじみ思ってしまった



「誰か来たと思ったら貴方でしたか」



ガタンと音がして聞こえてきた声はどこかで聞いたことのある声だった



音の出先に目を向けるとそこにはいつだったか私をここへ連れてきた爽やかな笑顔を見せる青年だった




彼が登場することをリリーさんは予想していなかったようで、その場に片膝をついて深々と礼をしていた



(そんなに偉い人なの!?)



リリーの反応に私は驚く

傅く彼女と彼を何度か見て、とりあえず私も同じように傅こうと椅子から立ち上がった




「あぁ、この場所では誰も見ていませんからそんな堅苦しいことはしなくていいですよ」


そう言って爽やかに微笑んだ

言葉通りに私は傅くこともせずまた椅子に座る


リリーも伺うように顔を上げた



「お久しぶりですね魔女」



なにがお久しぶりよ

悪態を軽くつきつつ私は彼に微笑む



「お久しぶりです」


大人しく淑女のように

なんてことを考えながら一瞥



「ふっ」



...嫌な奴



そんなに私の今の行動が変か!

と思わず突っ込みたくなるような笑い方




鼻で笑う彼

やっぱり彼とは合わないらしい


ヒクヒクと口角が吊り上がるのを抑え

私はその失礼な男に心を込めて再度微笑んだ



(お前真っ黒だな!!)


そう思いながら...






うん、とりあえず明日に持越し....

本当に文才が欲しくてたまらない



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