再会の時その1
その日は一日何もしなくていいと言われた朝
その言葉に内心喜びましたよ、はい....
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昨日は早く眠りすぎたかなのか
いつもより体がスッキリしている
(まー昨日あれだけ毒されたんだから大丈夫と私が言っても信じてはもらえないだろうけど)
脅威の回復力を持つ私は
昨日の毒など既に体から消えてしまっている
ただ、普通ならばあり得る話でもないので
あえて表向き辛そうな顔で対応
目を開けてすぐに飛び込んできたのは
心配そうに顔を歪ませたリリーだった
「大丈夫でございますか!?あぁ御労しい...今日は休んでもいいと陛下から仰せつかっております。今日一日は安静に致しましょうね」
私の手を握り
涙ぐむリリー
どうしてそんなに激しいのかしら
御労しいとどの口が言ってるのよ、手が....手が痛い!
彼女からしてみれば
私を心配するあまりに力が入りすぎたのだろうと思うけど
この怪力は冷や汗ものだ
このままでは私の手が握りつぶされてしまう
「だ、大丈夫よ!!昨日の初出勤だったのに今日休むなんて恥ずかしいくらいよ」
握られていない方の手でそっと...いやかなり力を入れて
握られている手を抜き取った
それにしても
陛下が私のことを言ったのかしら
まさか....
流石に東の王様が庭師の恰好をして私と一戦交えたなんて言う筈はないと思うけど
「恥ずかしいだなんて!誇りに思うべきです魔女様!!」
どんなことを言ってくれたのだろう
誇りに思えとな....聞くのが嫌だな
話が盛られ過ぎている気がしてならない
リリーは私のことに対して
頬を赤く染め興奮して話していた
喜怒哀楽の激しい女官だ
これでいいものなのかしら女官って....
「あ...ありがとう」
気圧される勢いで
私はとりあえず礼を言う
そうしたらリリーはきゅるんと眼を丸々と開き
嬉しそうに私を見て再び鼻息を荒くしていた
なんなんだリリー
そう思うもそれに対して突っ込んでしまえば何かいらない知識を詰め込まれそうな気がして
大人しく彼女が静かになるまで待った
それにしても
一日休みだなんて...いいね
初出勤から思ったことは退屈過ぎて死にそうだったこと
退屈が嫌いなのよ私
だから早々に悪いけど
休みを貰えてうれしいに決まってるわ
私はニヤーと口元を歪めた
その姿をリリーは興奮状態のため見てはいなかった
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「それでは、安静とはいえその姿ではいけませんのでお召代え致しますよ」
何に興奮していたかわからなかったリリーは数分すると元の
淑女らしいリリーに戻った
私が着せられたのは
桃色の淡いドレス
着心地は楽
いつもよりゆったりしていてコルセットがそんなにきつくない
髪の毛を一つに結ってくれた
それだけ、この前みたいな感じじゃなくてよかった
さっき体も綺麗に流してもらえたしね
「よくお似合いにございます」
そう言ってリリーは私をほめてくれた
鏡に映る本当の私と違う私
ここまで姿を変えられるのもいっそ清々しい
魔力が無いのに色彩を変える方法
魔女ならば誰しもが使える言わば生まれ持った能力の一種
自然を操るも然りってところ
「ありがとう」
くるりと回るようにリリーのほうへ向く
はにかんで見せればリリーは優しそうな目で私を見てくれた
「陛下がご用意したんですよ。」
なんとなくそんな予想はしていましたよ
と、いうかこれから先も陛下が私の服を管理しそうな感じだわ
なんて思ったりもして....
朝食を食べ終わったあと
私は少し外の空気が吸いたいとリリーに願った
最初は心配そうな顔をされたけど
無理はしないことを条件に一緒に外に出ることで許してくれた
最初着替えるときもリリーは私を支えながら着替えさせてくれた
興奮するし変だけど流石は王宮の女官なのね
(体は別に大丈夫)
なんて口が裂けても言えないわね
私はリリーに支えられながら外へと歩き出した
この回はさして意味のない穏やかな回...
ゆっくりゆっくり進みましょう