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陛下の専属様  作者: 月詠 桔梗鑾
第2章
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魔女の悪戯

2章のED

これではあまりにも魔女が魔女の力を発揮していないので...と沢山の声が寄せられたので



魔女の力ではないかもしれないけど!...最後にやらかしてみました←

コツコツと廊下に一つの足音

影は二つ


よく見ればミアンは陛下によって

抱きかかえられていた



彼女は暖かい体温に包まれて

しっかりと抱えれている




彼女意識は唐突に浮上する

己の置かれている状況に慌てるも決して外には出さず

冷静に把握していた



あの場所で見た、聞いたことは現実だったようで

彼女は陛下の腕の中抱えられていた





(魔女である自分が人間にやられるなんて思わなかった)



悔しい反面

彼女は小さく陛下に見えない様に微笑んだ


そこからくみ取れる真意とは何か...



彼女は考えながら大人しく陛下に抱きとめられ続ける

先ほどまともにあの毒を浴びてしまったから動くのも億劫だからだろう




瞼を上げず彼女は陛下の行動を見ていた

暫く歩いて着いた先は彼女の部屋



両手が塞がっているのに

誰の手も借りずその部屋の扉が自然に開く



そのまま彼女を優しい手つきでベッドへと寝かせてくれた

案外、いいところもあるのだと彼女は心の中で笑う




「当分起きないか...」



小さな陛下の声が聞こえた

動けるもののただ立っているだけの仕事なら休ませてもらいたい、そう彼女は思った



彼女から遠ざかる足音が部屋に響く

ガチャンと音が一つ


閉鎖的な重い音が静かな部屋に響く




陛下が出ていくとこの部屋は無音となった

聞こえるのは彼女の鼓動と吐息



不意に彼女の瞼が上がった

ギラリと見たものを凍りつかせてしまうような深い銀





窓から延びる橙色の光が彼女の艶やかに光る銀と同化し

角度を変えれば燃えるような焔色の髪になっていた




スルリ

ゆっくりと柔らかな動きでベッドから立ち上がる



先程まで立つ事も儘ならなかった彼女の驚くべき回復力

この状況が分かるものが居ればそれは驚く光景だろう



彼女は橙色の光が射す窓まで歩み寄った

窓には数分前にいた女とは全く似つかない女が映っている




白い指が擦り合い

パチンと音を奏でた



すると窓が、誰の手も触れることなく開く

陛下が何の手も使わずに扉を開いた容量と同じだろう



静かな部屋に

生温かな空気が入り込んだ


優しく彼女の艶やかな髪を撫でる



「まったく...久々の戦いだと油断していたじゃない。」



―――――俺を呼べばよかったんだババア


彼女が笑うと何処からともなく皮肉交じりの声が聞こえた

次の瞬間



彼女の髪が舞い上がり唸るように風が吹いた

その状況に対して彼女は焦る素振りも見せず収まるまでただ唸る風を見つめている




「年なんだから少しは体のことを考えやがれババア...見ていてハラハラしたぞ」


風が止むと外はまた穏やかになり

部屋は静寂を取り戻す


彼女しかいない部屋に男の声が一つ

風が止んだ代わりに静かに響いた


責めるように、ただ心配の表情を声音に表す彼は弱弱しくため息を吐いた



「自然が味方してくれると思ったのだけど、300年も生きると忘れちゃうのよ。同等の力を持つ魔女の前で自然は傅かないってこと....仕方ないじゃない」


口をつきだし

苦笑するように彼女はその男に向かって笑った


「仕方ないじゃねー!俺等は本気で焦ったんだかんなババアが倒れる瞬間を見て!!」


怒気を含ませた男の顔

綺麗な顔立ちをしている分その表情は恐ろしい


そんな男を宥めるように彼女は困ったように笑った

彼女の表情を見て途端に泣きそうな、悔しそうな目をしている




「別に死なないからいいじゃない...でも、心配させてしまったのね。ごめんね」


彼女が謝ると男は呆れたような表情をして言った



「死ぬとかじゃなくて痛いの嫌いじゃんかババア。謝るならあんまり心配させるような行動はするなよな。急に森に帰ってこなくなるし、村の人間も気にして森の近くまで何度か来てるぞ。流石に入ってはこないみたいだから俺等は何もしないけどよ」



「痛いのが嫌いなのは皆同じよ。...そう、村の人達私のことを気にかけていてくれていたのね」


「それだけじゃない、気配が寸断された状況でやっとババアを見つけたかと思えばリーナさんが眠る場所で人間にやられているし。ババアは珍しく気が付いていないから本気で許可なく出て行こうと思ったぞ」



そう、彼女は見知らぬ男に連れ去られた後

自分から気配を断っていた...心配するであろう精霊を対象に



やっと見つけた己が母である存在の彼女が今にも倒れる寸前

それを目の当たりにした子の男の心境はあまりに複雑なものだろう



「ちょっと面白そうだったのよ。最初は嫌だったんだけどねー....上手に隠していた銀色も偶然とはいえ見つかっちゃうし、まさか陛下が私の真名を知っているなんて思わないじゃない?くそーって思ったけど1年くらいいいかなーなんて思ったりしてさ。反対されると思ったからね」



どんな理由だ

そう思わずにはいられないと男は思った


安易な彼女の考えで自分たちはこれほど心配させられたのだ



それに....


「わかっているのか?ババア昔この国の帝王だった男にあんだけ酷いことされたんだぞ。よくその血を受け継いだ人間の下に1年も居たいと思えるな。俺等だって反対するはずだ、偶然とはいえまた名前にババアは縛られたんだぞ!」



刹那

風が刃となって近くにあったチェス盤を切り刻んだ


怒りが風となって彼に同調している



「怒らないで。あのハゲだって今は元より昔は本当にいい男だったんだから...たった1年よ?名前が縛られたからと言っても来年までには新しい魔女を見つけるようだし。私のことも魔女だって彼らは分かっていない...私達にとって1年なんて本当に短い一瞬、直ぐに元の生活に戻るわ」




だけど、と言いかけてその言葉を喉の奥で留めた

彼女は凄く優しい目をしていたからだ


そんな目を見て今更自分達が止められるとは思わないだろう

男は彼女にもう一度ため息をついた後



「気配を断つのだけはやめてくれ。俺等はババアの許可無しじゃ助けられないんだ。危なくなったら俺等を呼べ...今の帝王だって俺等は正直信用していないんだ。今までとまるで違う"気"を纏っていやがる。」



精霊にも感じ取ることができたのか

彼女は心の中、最初に陛下に感じた悪寒は正しかったのだと思った




「きっと陛下は強いわ。私達は何かあってから動けばいいの...気配を断つこともしないし危なくなったら誰かしら呼ぶわ。」



期待を大にした眼差しでどこか遠くを見る

確かに強いだろう、彼女が倒れた後感じた魔力は自分でさえ逃げ出してしまいたくなるような冷たい魔力だった


人間にはただの魔力としか感じないだろうが

魔力が敏感な自分たちには正直きついものがあった



「俺等からの説教は終わり。...で、俺を呼んだ訳は?」


殺伐とした空気が一気に変わる

男が口にした内容を聞いて思い出したように彼女も口を開いた



「そうそう!このままだと示しがつかないじゃない?ちょっとだけ東の王様を懲らしめて欲しくて」



茶目っ気たっぷりに言う彼女に呆れを通り越して笑いさえ起りそうになる男



「懲らしめるって...ハァ、具体的に何をすればいいんだ?」


ため息をついても

結局は彼女の申し出に乗る男


口は悪いが根がいいのだとわかる瞬間だった



「んー、ちょっと天変地異を...ね」


具体的に天変地異

意味が分からないが男には伝わったようだ


分かったと一言いい窓に近づく

くるりと踵を返し睨むように彼女見て


「絶対勝手な行動するなよババア!!」


決め台詞の様な言葉を残し窓から身を投げた

その様子に驚くこともせず彼女は笑い



「だから、ババアじゃないって言ってるでしょーが!!」


叫ぶように男に言った

男の姿はもうなく、代わりに風が一陣吹いた



そのまま彼女は扉を閉める

身を投げた男は大丈夫なのか...



彼は風の精霊

人間ではないこの世界を形成するための存在



簡単に死にはしない

魔女と同じで....


再び彼女はベッドに横たわった

髪色も目ももとのはちみつ色と琥珀色の瞳



そのまま彼女は目を閉じた





数日後

東の国は近年稀にみる嵐に見舞われた


雨が槍のように降り注ぎ作目を枯らし

風が唸るように沢山のものを吹き飛ばした

雷が轟きながら光の刃となって地に落ちた




国の打撃は大きく

暫く混乱は収まらなかったとか...



それを仕出かした本人の魔女と精霊は何事もなかったような顔をし


一人、陛下は笑っていたとかいなかったとか....




っとこんなところかな

とりあえず2章は展開が早かった気もするので


3章はゆっくりいきますよー

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