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陛下の専属様  作者: 月詠 桔梗鑾
第2章
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騎士の生活その2

(漸く着いたわ)


目の前にある大きな扉

この扉の前に来るまで私は沢山の人たちから奇妙な目を向けられていた


そっと今羽織っているローブをつまむ

これのせいであるってことはわかっているんだけど



なんだあの女は

そんな目を廊下で歩いている最中ずっと向けられていた



目は口ほどにものを言う

どこかの国の言葉だけれどその言葉もあながち間違ってはいないだろう



息を整えて中にいる人に声をかける


「おはようございます陛下」


「入れ」



陛下が一言そう言えば扉は自然に開いた

陛下は一体どのくらいの魔力をその身に秘めているのか私にも正直わからない



いや、正確に言えばわかる

けれども今は私自身魔力がないから誰かを倒すことも誰かを守ることもできっこない



森や泉なら話は別だろうけどさ

あと新月の夜かな




扉が開いて目の前には机に座って書類を整理する陛下の姿が

その姿を捉えつつ私は中へ入る


私が入ったことが分かったのか扉は自然と閉まった



(目に見える限りの魔力はあの庭師より少し少ないくらいね。でもこんな複雑な魔法がかかった扉を言葉一つで開けられるんだからそんな半端な魔力じゃないんだろうね)



見えない魔力は一体どこにあるのか

今の私にはわからない



まーこの場合

分かったとしても首を突っ込む気は更々なんだけどね




「遅い」


扉のすぐ脇のほうに置物じゃないかしら...と思うくらい直立不動の恰好をしたシドさんがいた



そして言われた朝一の一言が遅い

いつの間に帝国の挨拶が荒んだのかしら...



と、思いたくなるくらい

村の人たちはみんな優しく話しかけてくれたのになー



この暮らし、わずか2日目だけれども森に帰りたいと思った

確かに眠りやすいベッドだって美味しい食べ物だって体だって暖かいお湯で洗えるけど....



森だったら新緑の木の葉で作ったベッドがあるし、バラナの実だって食べ放題だし泉があるから水の精霊に頼んで焔の精霊を呼び出せば温度調節は少し難しいけど温かいお湯だってできる



そうじゃなくても魔力が戻ればはっきり言って私にできないことはほぼない



...そんなこと、言える立場じゃないんだけどね

一応あのハゲに軟禁されるために私を閉じ込めた籠なわけだからそれを考えれば嫌で仕方がないけれども



でもその後自由を手に入れてからは本当に楽なのよねー



「すいません、途中話しかけられてしまったので」


トリップして過去の余韻に浸りそうになる頭を動かす



(なんだ、お前に話しかける奴などいないだろう的な目は)



シドさんはそんな私の返しに対していやな目で見てきた



「次はもう少し素早く行動するんだな」



お咎めを受けてしまいました

眉間に皺を寄せてシドさんにそう言われ私は渋々頷いた



私が本物の騎士だったらこんな態度許されないだろうけど

そこは陛下直々の命だから妥協する面もあるんだと思う



「今日の仕事内容だが、とくにはない。一々指示を出されると思うな、独断で行動しろ。俺を守るためにな」



書類から目を移すことなく私に向かって話しかけてきた陛下

あまりに適当だから文句の一つでも言いたくなったけどそこは我慢ね



「はい陛下」



優雅に腰を少し折ってお辞儀をする

陛下勿論見ていないけど



このお辞儀はリリーが教えてくれた

いろいろな場所でとても大切だから覚えるべきだと



リリーってば凄いわね



「では邪魔にならぬところで立っていろ」



(あー、毎日ただ立ってるのはないよね?)



そんなことを考えながら私はシドさんの横

詳しくは扉を挟んで構えるように立った



正面から見ればきっと門番的な感じだろうね

私達



チラリとシドさんを見れば変わらず陛下を見据え静かに佇んでいた



これからが思いやられるわ



騎士の生活

私的には毎日訓練に励むものだと思っていたけれど



私やシドさんは陛下専属の騎士だから陛下から片時も離れちゃいけないんだと思う



ではいつ訓練するのか

きっとシドさんは夜と朝、何かをしてその屈強な筋肉を作り上げているのでしょうね




私もこれから筋トレでもしようかな

そんなことを考えていた



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