表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
陛下の専属様  作者: 月詠 桔梗鑾
第6章
139/151

怨念‐SIDE__-

さて、この話から最終章に向け一気に動きを見せます。



300年経っても、何故お前だけはこの世界から消えないのだろう。その血が、その穢れた血がこの大地に立ち、息をしていることが恐ろしくてならない。



東の魔女は一瞬だった。抵抗すらしなかった、偽善ばかり並べるあの女が最後まで笑っていたのが腹立たしい。北の魔女だってそうだ。大した抵抗もなく説教ばかり言い散らし私の手にかかった。誇らしげに笑うあの顔が、見下されたようで気に障る。



南の魔女はあれはなかなかだったが、自分の護り人を護っているようではだめだな。護り人を盾にして逃げなかったからお前は今いないのだ。愚かな考えをしたあの娘の他人を気遣う笑みが鬱陶しいと思った。


西の魔女は、私が手をかける前に勝手に消えてしまった。まあ無駄な魔力を使わなくて済んだと思ってはいるが、死に間際私に大層迷惑な呪いをかけて行った。仕返しとして、あの女の身をバラバラにしてやった。



最後に、中央の魔女。お前を消すはずだった。だが、何故いない?どうしてどこにもいない、魔力も感じない、気配すらない。なのに四人の魔女を消してもこの世界の均衡はかろうじて保たれている。それはお前がいる証拠。



ならば、何処へ…?



憎い、恨めしい。なぜお前なのだ。どうしていつも私の前に立ちはだかろうとする。鬱陶しくてならない、消えろ消えろ。



愛しのハロルド様、どうして私を見てはくれないのです。どうしてその女ばかりを可愛がるのです。どうしてそんなにも優しい笑みを浮かべるのです。私にはそのような視線一度としてよこしてはくださらなかったのに。



邪魔な娘だ。小娘であれど、立派な女なのだ。この女はあの女の血を引いている。なんとけがらわしい血。



ハロルド様、こちらを見て?愛をささやいて。


『また新しい魔法を会得したかミア!よく頑張ったなあ!』


『リーナ姉さまが教えてくれたのよ!アッシュも一緒!』



私はここ、ほら私も新たな魔法を会得しましたのよ。今回は、そう相手の思考に入り込む…闇魔法。



貴方が私を見ようとしないのは、照れているから。私に話しかけてくださらないのは口下手だから。でも安心して、これからは私がこの魔法で貴方の心のうちに隠していた私への思いをさらけ出させてあげます。



でも、貴方ほどの魔法使いが簡単に私の呪いにかかるわけがない。ならどうすれば…嗚呼、なんていいところに、良い材料が。



『うふふ…お前の血肉を私にお寄越し』


『何故!?――――そこまで身を落とされたか王妃いや、――――!!』



良い材料は手に入った。まだ生暖かい、流石は護り人。案外強かったわね、途中からあの女の気配が感じられて咄嗟にこれしか持ってこれなかったけれど…これだけあれば十分ね。


――――――――――

―――――


『陛下、これをご覧になって?きっと喜びますわ』


『――――王妃、今忙しいのだ。後に…!?お前、それは!』


『ね?ほら嬉しそうに立ち上がって…いつもの冷静な陛下も好きだけれど、そうやって子供みたいに燥ぐ陛下も好きですわ』


少し険しい表情をしているけれど、お疲れなのね。仕方がないわ。あら、そんなに急いで私のところに詰め寄って…


『陛下、もう手なら後でいくらでも握って差し上げ―――』


『俺を、愚弄する気か。アマンダ・ルゼット。お前とは契約こそ施したが利害の一致があってこそだろう。それに、この魔力は』



―――嗚呼、だから嫌だ。そうやっていいところをまたお前は持っていくのでしょう。本当に邪魔な女だ。いつまでもいつまでも陛下を虜にするお前が。



パシッ

手を振り払い、距離を置く。もう十分よ、貴方は私のものになる。永遠に。手筈は整っている、既に契約などないに等しいのだから。



『そう、この指は…この親指はあの娘の護り人のもの。馬鹿な人、契約を解除する方法などいくらでもあるのよ。私だけを見ていればよかったのに、私だけに心を砕いてくだされば、こんなことなどしなかったのに。愛してあげるわ、愛しい陛下』



『貴様アマンダ!やはりリアン・レティシェフォードの言った通りだ。かの時の魔女の言い分は正しかった、穢れたか―――!!』


『その名を口にするな!!既に死んだ女の名だ!笑わせる!創造主の魔女、その中で最も力あるあの女の最期を!』



リアン、お前だけは許さない。私から多くを取り上げ、そして奪い、死んでいったお前を絶対に!!



陛下が私に向けて呪縛の魔法を唱えた。しかし、それをあの護り人の血肉を媒介に新たな魔法へと展開させた。



『―――ふふっ、お前にだけは渡すものか。』


陛下、愛しの陛下。私の傀儡とおなり。そしていつまでも愛して差し上げますわ。



―――――――――――――――

――――



紅色の髪を揺らす、南の護り人。偶然感じ取った魔力を探し、やたら厳重な結界をかいくぐってきただけあった。強い魔力と、技。このニーナという娘はよく使える。



(そろそろ、私の力も戻ってきた)


静かな森の中で、ゆったりとくつろぐ時間はもう飽きた。そろそろ自分で動いた方が何かと楽に違いない。



でも、まだ動くには少々早いかしら。その間に、無駄な芽は摘んでおかなければいけないわ。



時の魔女の分血がいる。しかも、愛しの陛下の血族の近くに。忌々しき事態よ。だからほら、お仕事をあげるわニーナ。



≪アルファジュール陛下に、こう言いなさい≫


―――――――――――――――

――――――



「アレン陛下、少々よろしいでしょうか?」


「―――お前は。あの後何の連絡もなかったから心配したぞ。ニーナ・コルデリア」


あれ、どうして私アレン陛下とお話ししているのかしら。いやね、最近無意識になることが多いわ。


「あ、なんでも――――あなたの側近の、ミアという少女。お気をつけて。生きるためといって最近多くの人間の血を集めているようですわ。魔女とは我々とは違うと言えど、少し恐ろしくて…。」



「――――何?」



「先日、先代の護り人であるソレイユ様がお眠りになりました。その際にも血が…いえ、お気になさらず。ただ、それだけですわ。」


「おい、それはどういう―――」


(そう、頭を下げて早くその場から立ち去るのよ。うまくいったわ。これで少しでもあの女に不信感を募らせればいい。)


憎い、憎い。リアンの娘――――ミアン・レティシェフォード。あの女の魂はこの娘の中で生きている。同じように魔女の頂点としてその銀を宿す、お前を私は許さない。




ここまでくると、誰が元凶なのか気づき始める方も多いかと思います。そして、ミアンの母登場。さりげなく出てきました。


リアンさんといいます。あまりもう出てこないかもしれませんが補足として。彼女の容姿は白銀の髪に蒼と銀のオッドアイでした。先代時の魔女として、あらゆる時空を超えることができました(何それ凄い)


色々と突っ込みどころ満載の一話。どうか暖かな目で、今後の成り行きについてコメント一文でもいただければ幸いです。



※新しく始めた『紅き死神』の方も、よろしくお願いいたします(ノД`)・゜・。


それではここまで読んでくださってありがとうございました

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ