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陛下の専属様  作者: 月詠 桔梗鑾
第6章
138/151

夜会

今回は、実はそういう意味だったのということが一つ明らかに。

では、どうぞ。

南王主催の夜会。陛下が南国へ来たということで、急遽開かれることになった夜会らしい。リリーが持ってきた数十着のドレスを試着しながら説明を受けた。



南王は、決して何かに秀でた才能もなければ、これといって大きな事件を起こしたわけでもないどこまでも普通、それが他国からの南王への評価だ。中央のように賢帝と呼ばれるわけでも、東王のように病弱と呼ばれるわけでも、西国のように戦に秀でているといわれるわけでもない。


だがしかし、南の魔女の護り人が今現在も生き残っているということは一目置かれているだろう。実質、国そのものを成り立たせているのはコルデリア家といっても過言ではない。



「魔女様は、何を召してもお似合いですね」


リリーが最後の一着を私によこしてきた。蒼色の鮮やかなドレス。いろいろと大胆な部分はあるけれど、綺麗。リリーも何かを感じ取ったのか微笑みながら手渡してきた。



「私、できれば魔女様にはこれを着ていただきたいです」


「随分押すね、でも私も気に入った」


手に取り、肌さわりを確認する。上質な、夜露に濡れてしっとりした森の木の葉のよう。


「では、こちらでよろしいですね。後は・・・ご自身を磨いて紅を引けば、今夜の主役になれますわ」


―――――――――――――――

―――――


「ふふ、見立ての通りです。お可愛らしいですよ、魔女様」


「――――うーん」


その後、南国の侍女にも手伝ってもらい、身を清め全身を飾り終えたが・・・思い出してほしい。私の今の容姿は蜂蜜色の髪に茶色の瞳だ。そこに原色の蒼色が入ったとして・・・はたしてこれで大丈夫だろうか?


リリーは、幸せそうな顔をしているけれど、なんだか少し不安だ。そんなリリーは薄紫色のドレスを身に纏っている。自身の瞳の色に合わせたのだろう、なんたる大人の色気。


「あ、そうそう。陛下からこれを。そして、こちらはランウェイ様からです」


手渡されたのはドレスと同じ色の蒼い涙型の耳飾り。そしてもう一つは黒色の刺繍が入ったハンカチだった。いつの間に用意したのだろうか・・・そう思いつつも、渡された二つの品を使用することにした。


コンコン

扉ををたたく音がした。きっとシド団長だろう。扉の向こうで待機していたシド団長は、陛下達が来るのを知らせてくれた。


「ただいま」


リリーが応え、素早く扉を開ける。扉の先にいたのは、正装をした陛下とロードさんだった。


(こうしてみると、生前のハゲにそっくりね)


現れた陛下を見てそう思う。今更だけど、あの人のことをハゲだなんてあだ名で呼んだりしているけれど、別にあの人の髪が剥げているからそんな名前になったなんてそんなことはないんだよ。


ハロルドゲイル・アルファジュール。愛称はハロルドだったが、それでは面白くないと私が幼い頃に彼につけたあだ名がハゲだった。なんて、今ではどうでもいい話なんだけれど・・・



「これなら夜会に出ても問題あるまい」


私に腕を差し出す陛下。腕を組めということか?そっとリリーを見ると、既にロードさんと腕を組んでいる。今回の夜会は同伴が条件らしい。


「失礼します」


そっと、陛下の腕に触れる。服に手が触れて、一瞬躊躇うがしっかりと組んだ。凄いと、素直にそう思った。見た目ではそんなにわからなかったが、随分と筋肉がしっかりとついている。


魔法にだけ頼っているものだとばかり思ったから、体術も心得ているのかと関心すらした。ハゲは体術はからっきしだったから。流石に魔力は遺伝するがそういった得意不得意までは遺伝しなかったらしい、良かったですね陛下。


―――――――――

――――


夜会会場となる王宮の中央へとたどり着く。扉の周辺から、そこへ続く道へは騎士が列をなして警備している。扉の入り口には文官だろうと思われる男の人が長い書簡をもって、今回の参加者を確認しているようだ。


「アルファジュール帝国より、アレン・アルファジュール国王。宰相、ロード・ランウェイ様他二名。ご入場!!」


「行くぞ」


名前を呼び上げられ、陛下と共に中へ入る。開けた視界に見えたものは、豪華な広々とした空間だった。


(至る所に贅を凝らしている、美しいわね)


「よくぞ参られた。ほんのささやかな持て成しではあるが存分に楽しんでいってほしい。今後の互いの友好のためにも、我が国をよろしく願おう」


「いえ、十分すぎるほどの歓迎感謝する。今夜は南国の礼に乗っ取って楽しませてもらおう。こちらこそ共に平和な国にしていこう」



表面上の挨拶が、陛下と南王との間でやり取りされる。初めて見た、南王。平凡ではあるが流石は一国の王。陛下がやり手といえども年齢から見て取れる威厳は南王の方が勝るものがある。



「おや、そちらは・・・可愛らしいお嬢様ですな。ごゆっくり楽しんでいってくだされ」


「グレイシーザ様の歓迎、痛み入ります。帝国騎士ミアと申します。南王様が訪問された時には私が率先してご案内警護いたします故、その際はいつでもお申し付けください」


目線を若干会わせないように、うつむき加減に挨拶をする。私の後に続いてロードさんとリリーも南王に挨拶をしていた。


軽快なリズムと共に音楽が流れ始める。夜会が正式に始まったようで、あちらこちらで踊る者達が現れた。



「俺たちも、一曲ぐらいは踊らないとな」


「ちょ―――えっ!?」


手を引かれ踊りの輪へ混ざろうとする陛下。踊れないわけではないけれど、陛下のパートナーとして一番初めに踊るのは気が引ける!!


だが、強引な陛下はそのまま引っ張って輪の中へ連れてこられてしまった。ここまできては仕方がない、陛下を恥にさらすわけにはいかない。



「なかなか上手いな。それに、その耳飾り。」


フワッ

陛下が踊りながら私の耳に触れてきた。そして一曲目のダンスが終盤を迎える。その時、陛下が囁くように言った。


「知っているか、ドレスの色は瞳の色に合わせるのが常だと。自分の色と違う色の場合は、ドレスの色の瞳をした者がパートナーであると通常認識される。よくお前に映えていると思うぞ、俺の蒼は」


「――――っ!?」


嫌に美しく笑う陛下に、そして事の内容に言葉を失う。し、知らなかった!!そんなこと、私は姉さま方から教わってなんかない!


だから、リリーのドレスは薄紫色なんだ。女性は瞳の色に合わせるのが普通なんだ!リリーも、教えてくれればいいのに、これがいいなんて進めるから。



口が戦慄くのを咄嗟に、ハンカチで抑える。そのハンカチをみて陛下が考えるそぶりを見せた。そう、このハンカチはロードさんからもらったものだ。こんなタイミングで役に立つとは思わなかった。



「あいつの刺繍、か。珍しいこともあるものだな。踊りは一曲でいいだろう、後は好きに過ごすがいい。俺はまだ挨拶回りが残っているからな」


そう言って去ろうとする、陛下の背中に声をかけた。丁度いい、あのことを話す時間を少しでも作ってほしい。


「陛下、あのっ」


私の声に、ゆっくりと振り向く陛下。視線がしっかりと合う。少し目を細めてなんだと目が語ってくる。


「お話がございます。少々、込み入ったお話ですので・・・」


「―――いいだろう、時間を作っておこう」


「ありがとうございます」



再び前を向いて颯爽と歩いて行く陛下。時折耳にはさむ陛下を賛美した黄色い声。美しい陛下は、どうやら国を越えても人気は高いらしい。


―――――――――

―――――


陛下と離れた後、出された食事に手を伸ばしてみたり、時折挨拶に来る人たちと話をしているうちに完全に壁の花となってしまった私。依然として陛下はあいさつ回りの最中だ。


トントン

「はい――――あっ」


「国賓である我々が、壁の花になるなど言語道断。陛下はどうしたのです」


ロードさんが現れて話しかけてきた。そういう貴方こそリリーはどうしたのかと問いたいものだ。


「陛下は、挨拶回りがあるから適当にしていろ、と」


「そういうことですか。陛下も気ままなことをなさる。それにしても、そのドレス。陛下に合わせたのですか、貴女には少しもったいない気もしますがまあ綺麗だと思いますよ」


(ほ、褒めた)


ロードさんが私を見て間接的にでも褒めるだなんてことがあっただろうか。ロードさんだって、白い正装が漆黒の髪をより引き立てて美しいというのに・・・


「時に貴女は先程から何やら思いつめた表情をしていると思いましてね。気分がすぐれないのならば先に戻っても構わないのですよ」



よく見ているな、表情に出したつもりも行動に出したつもりも全くないのにこの男は嫌なほど周囲をよく観察している。些細な行動や言動にも目を光らせている、宰相とはこういった五感に素早く反応できてこそできるものなのだろう。



「大丈夫です、お気遣いいただき感謝します。しかしこの通り元気ですから、最後まで参加します。あ、ランウェイ様を呼んでいる方がいらっしゃるみたいですよ」


「―――そのようですね。まあ帰るときは一声かけてくださいね。」


―――――――――――――

――――――



「まじ・・・ミア様」


「リリーどこへ行っていたのよ」


薄紫色のドレスを纏い、リリーが再び現れた。どうやら仕事の一環として先程までナギと一緒に王宮内を視察してきたらしい。今夜は人が多いこの場所に警備が集中するからほかが手薄になると踏んで行動したらしい。


「それより、陛下から言伝ですわ。――――この夜会が終わり次第、月が高く上る頃来るように。とのことです」


「そう、ありがとう」



視線を陛下へと向ける。南王と静かに笑いながら話をしている陛下を見て、どうにかうまく血をもらおう。そのことだけが頭をいっぱいにした。


(ソレイユさんの約束を守らなければいけない)






と、いうことでそんなに進むこともなく夜会終了。内容薄い癖に描写多すぎてつまらないと思った方申し訳ありません。そして、奴の本名今更こんなところで出てきました(;´・ω・)


追伸

こちらが完結していないにもかかわらず新連載あげました。こちらとは少し違う形のお話となっていますのでよろしければ一読お願いいたします。お気にいりや評価なんて下さると涙して喜びます(ノД`)・゜・。


それでは、ここまで読んでくださってありがとうございました

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