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陛下の専属様  作者: 月詠 桔梗鑾
第6章
137/151

計画

新年あけましておめでとうございます。

今年もよろしくお願いいたします。


「――――と、まあこんな次第です」


粗方説明を終えると陛下はそれはもう盛大にため息をついた。隣にいるナギの視線が少し気になるところではあるが陛下の反応が気になる。


「つまり、だ。俺たちと離れた後二人はコルデリア家に潜入し、何故かコルデリア家専属の政府第四騎士団の中に変装した東王がいた。変装した東王がニーナ嬢の兄君に毒を盛ったと思って間違いはない・・・それが調べた答えか」



皆さんお気づきで。ええ、端折りましたとも。それも大切なところを何重にも包んで。最初に向かった、ティウォールが捕えられていた場所の存在と、第四騎士団の存在、そして紛れ込んでいた東王については事詳しく陛下に伝えた。


しかし、私がニーナ嬢に殺されそうになったこと、そしてソレイユさんが死んだこと、さらにはリリンの存在については語らなかった。この件に関しては私自身の問題だからだ。



といっても、私が瀕死の状態であったことは宰相であるロードさんが知っているのだけれど・・・。ニーナ嬢が私に敵意を持っているとリリーは知っているけれど、殺そうとしたことまでは知らない。ロードさんとリリーは、二つの状況がかみ合って漸くわかるという状況だ。


たいへんややこしい状態ではあるけれど、問題はいたってシンプル。私はニーナ嬢を呪いから解放するために陛下の血を欲する。陛下は、自国の毒華の問題を解決する。


南国での目的は、双方形は違えど道は共通だ。


「まあいいだろう。それにしても、東王か。随分と大きく動いたものだな。南と中央の戦争が目的か。変装していた東王の様子はどうだった?」


「以前の庭師とはかけ離れた存在のように感じました。狂気が前面ににじみ出ていてマッドナイトと呼ばれる第四騎士団にいても違和感はさほどもありませんでしたよ」



水の屈折を利用した高度な魔法を長時間操る東王カザエル・ダンジュール・・・古き昔、戦いの最中さなか魔力を奪った男の子孫。陛下と比べても劣らぬ魔力と知能を持つ・・・か。リーナ姉さま信者でいつぞやは殺されそうになったなぁ。



「では、陛下。どのような方向でこの問題を解決なさるおつもりですか」


ロードさんが静かに口を開く。視線はもちろん、陛下へ向けられた。私たちの視線に臆することもなく、ニヒルに笑う陛下。


「一先ず、毒に侵されたコルデリア家の長兄に治癒を施さなければなるまい。ロードに任せよう、ミアお前の血も必要となる。」


「「御意」」


「その後、回復したニーナ嬢の兄君に毒を盛られた時の状況を説明して貰えば南王を納得させることができるだろう。この件に関しては王である俺が話を進める。シド、お前も付き添え」


「御意のままに」



そして―――と、ナギとリリーを見て陛下は口を開く。


「お前たち二人は魔女を探せ。隠密を得意とするお前たちなら見つけ出すことはできずとも手がかりの一つや二つ簡単にとってくるだろう。魔女は居る。300年の時を経ても、存在し続けている。既に東王もそのことに勘づいているに違いない。」



「「御意」」


(そうか、リリーは女官の中でもトップクラス。王家直属の隠密部隊だったのか)


高い魔力と、優れた知能。ますます、彼女の上司である筆頭女官長が気になる・・・どれほどの逸材なのだろうか。そういわれていれば私はいまだに女官長にあったことすらないと気が付いた。この件が片付いたら、是非一度会ってみたいものだ。



「今夜は南王主催の夜会が開かれる。我々も招待状を受け取っている。粗相のないよう、そしてあちらの状況をより多く探れ」


そう言って陛下は再び書類へ視線を落とした。陛下の血をもらいたい、この話は夜会ですべきか・・・この部屋では人が多すぎる。内容もあまりよろしくない。



「では、私と一緒に参りましょう?」


「え、え?」


後ろからリリーが手を引く。そしてそのまま部屋から出ようとする。どこへ行くというのだ。困惑の表情を浮かべる私にリリーは微笑んで一言。


「夜会に出席するのです。身だしなみを整えなければ。」


当たり前のことでしょう?目がそう言っている。いやいや、まだ日中だよ。早くない?そんなに準備がかかるの?え、そうなの?



「せいぜい、みれる容姿にしてもらえ。リリーの腕は確かだ」


「陛下、それでは彼女に失礼です。元は変わらないのですからそんなにプレッシャーをかけるものではありませんよ」


双方ともに、全く持って失礼な発言だと思う。どちらの言い分もわからなくはないが少なくとも私の心の傷は今痛手を負った。リリーの手を引き足早に部屋を後にする。


「―――失礼します」


バタンッ


(くっそ、覚えてなさい!!別人のごとく美しく変身してやる!)


「リリー、完璧に仕上げて頂戴!」


「かしこまりました。私の持てる力をすべて出し切って魔女様をこの世界一の美女に変身させて差し上げます!」


単純?いいえ違うわ、これは男から叩きつけられた挑戦状。女としてのプライドをかけた戦い。全く乗り気ではなかった夜会、彼らの口車に乗せられて挑む気持ちで準備を始めた。


昨年は、感想コメント本当にありがとうございました。

今年も、皆様の支えによってこの作品を完結まで持っていきます。


よろしくお願いします。ここまで読んでくださってありがとうございました

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