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陛下の専属様  作者: 月詠 桔梗鑾
第5章
118/151

蒼き旅人その1

一度、全て書き上げたのに消すという行為

あれ...これで何回目だろう。もうバックボタン嫌い、ほんと嫌い←


別視点です

こちらは前編、長いので2回に分けます



でも根性で書き上げました

それでは、どうぞ



『お前たちはね、罪から生まれたんだ』



そういや...昔そんなことをあの人から言われたっけ

暗くじめじめしたその場所で、ぼんやりとそんなことを想った


――――――――――――

―――――



(あーあ、もうこれで何日目だよ)



腕は痛いし重いし...この臭いは好きじゃない


ピチャン

そんな音が時折聞こえる



音がすると、必ずその周辺から鉄の錆びたような臭いがする


俺は、この臭いがたまらなく嫌いだ



≪って、この臭いの原因はこの腕なんだろうけどさ≫



俺の手首からは赤い水が、つまり血が止めどなく流れ続けている



≪早くあの人に連絡しないといけないのにな、どうしようか≫



残念なことにこの場所は外とは完全に遮断されているらしい


いっそのこと、この腕ちぎって外に出ようか...そんなことを思っていたら、それはおこった



≪――――こ...んの、クソッたれ!≫



頭に、心底腹の立つ声が聞こえてきたと思えば、それを増幅させるかのような内容が届いた



はい、俺頭来ました。完全に切れました



≪カス、能無し、馬鹿、単細胞.....クソが≫



静かな場所に俺の声が怪しく木霊する

それにしても、なんで今あのクソの声が聞こえたのだろうか



それは直ぐに解決する



≪漸く見つけた。お前なんでそんな場所にいるんだよ≫



新緑を思わせる奴の、フレインという男の顔が浮かぶ

思い出すだけで腹が立ってきたな



≪知らない、俺もね....今までで一番ってくらい困ってる。あーやべ、お前の声聞いたらだんだん意識遠くなってきた。マジクソだなお前。―――――あの人、大....丈、夫か≫


なんだろ

本気でやばいと思いつつ、気がかりだったことを口にする



俺の異変に気が付いたのか、奴は珍しく慌てたのがわかった



≪なに、お前大丈夫かよ。馬鹿だな、大丈夫にきまってんだろ、俺が傍にいるんだ。―――――おい、大丈夫かよ≫




そりゃ安心だ

というか、お前に心配されるくらいならくたばった方がましだ。――――でも、仲良くしろって言われたからな



≪あー...なんか、無理っぽい≫



その言葉と共に意識は深く沈んでいった

遠くに、あいつの焦る声が聞こえたような気がした



―――――――――――――

――――



『お前が目覚めるのを待っていた、おはよう』



目を開ければ、その人はそう言って優しく微笑んだ

俺はそっと手をその人の頬に添える



するとその人も俺の手を上から優しく包んでくれた



≪貴女の、声がしました≫



今度は強く、その人を抱きしめた

その時俺は思った....この人はとても冷たい、だから俺が温めるために生まれてきたのだと



その人は静かに俺の背中をさすってくれた。暫くして、その人は俺の胸を押しそっと離れる



『お前の誕生を待ち望んでいたよ、ティウォール。』


≪ティウォール?≫



それは何だろうか、その人に聞けば、俺を指差してきた


『そう、ティウォール。お前の名だ、いいだろう?古代語で"流水"という意味だ。その蒼色の髪と藍色の瞳は、お前の流れる知性を表す象徴でもある。―――フレイン、おいで』



その人が呼ぶのが早かったか、それとも俺とその人との間に風が一陣吹くのが早かったか...一瞬にして目の前に男が一人現れた



≪こいつ、誰≫


その男は俺を見て、その琥珀色の瞳で俺を睨んできた


瞬間的に感じた、こいつとは馬が合わない...と


それは新緑を思わせる、フレインと呼ばれた男も同じだったらしい



≪なに、喧嘩売ってんの?買うよ≫


シュッと風を割く音がしたと思えば頬から血が流れていた


(――――こいつ)



思いのほか深く切ったのだろうか、なかなか血が止まらない


≪別に売ってませんよ、それより口より先に手が出るとは....単細胞馬鹿か―――――≫


そこまで言って口を噤む

その人は、俺の切れた頬、血が流れる場所をその白い小さな手で触れた



ひんやりとした掌、しかし何故か温かみを感じた

スッと手が離れ名残惜しく俺はその人が触れたであろう傷口に手を当てた



(あ、治ってる)


その人は、呆れたように笑った


『フレイン、ティウォール。お前たちは唯一の兄弟なんだ、もう少し仲良くできないのかね。風と水だ、相性は良い筈なんだけどね』



≪それはねーよ(ないね)≫



ものの見事に言葉が重なった

互いに睨み合う


≪被せてくんじゃねーよ≫


≪被せた訳ないでしょう、どうしようもない馬鹿だな≫



『はいはい、お前たちの馬が合わないことは十分わかったから、聞いて頂戴』




仲裁に入ったその人は、真剣な表情で俺達を見つめた

静かになった俺達に、その人はゆっくりと話を始めた



『お前たちは、罪から生まれたんだ』


≪――――罪≫



呟いた俺の言葉を、その人は微笑んでそして話を続ける


『私はある男と一つの約束を交わした。そしてある賭けをしたんだ。――――足元を見てごらん』



その人に諭され下を見る

幾千もの華が色とりどり、蕾となってそこにあった



しかし、俺の足元には大輪の華を咲かせていただろう、今は枯れ果てた華があった



『お前たちはこの華から生まれたんだ。この華は、無残に散って肉体だけがとどまった存在に私がほんの少し力を分け与え魂を宿したものだ。その者達は愚かだった。死ぬ間際、ある者は私を見たこともなかったのに神と崇め助けを乞うた。またある者は、私の行いに化け物と罵った。赤い花を咲かせ散って行った愚かな命だけれど、彼らの言い分にも一理ある。否定はしない。だから、チャンスを与えたんだ』




そこまで言ってその人は遠くを見つめた

その儚い姿に、なぜだろう心が締め付けられるような感じがした



『私達はその者達に愚弄された。けれども、なんでかね...嫌いではないんだよ、これも魔女の性なのだろうな。罪に染まった者たちは一貫して同じ考えを持っていた。過ちは去るものだと、なんて馬鹿な考えだろうか、私はその者達のその考えがどうにも許せなかった』



その人は悲しそうに、悔しそうに....憎そうに言い放った

目を閉じたことで、その人の美しい蒼銀の瞳は瞼の裏に隠れてしまった



≪言ってることがさっぱりだ、罪から生まれたんだろ?つまり罪の子ってことだろ?≫



新緑の男、フレインは光の加減で黄金にも見える瞳でその人を睨んでいた。だが、その瞳の奥からは悲しさや寂しさを感じ取った



(そうだ、俺達は罪から生まれたんだ)



確かにその人はそう言った

紛れもない事実に、とても悲しくなった



はい、きります

なんでここまでって思った方...月詠の根性が此処で尽きたようです←


かなり中途半端になってしまいましたがお許しください



感想、コメント、本当に励みになりました

ありがとうございます


ソレではここまで読んでくださってありがとうございました

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