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陛下の専属様  作者: 月詠 桔梗鑾
第5章
117/151

出発

大変お待たせいたしました

まだまだ、忙しいことには変わりありませんが....


お気に入り登録が以前のままで、待っていてくれたと云う事に感謝してもしつくせない気持ちで一杯です


それでは、どうぞ



「今回は、私もご一緒ですから安心ですね!」



「僕の...僕の人生はここで幕を閉じるんだ」




次の日、私達の前に現れた二人の男女

そう、私とシド団長以外の二人とはこの人たちだったのだろう



それにしても...一人は笑顔で揚々としているが、もう一人はどうしたのだろうと思うほどに沈んでいる



リュヴァーを引き連れた陛下がそんな二人を見てあからさまにため息をついた



「これで全員だな」



陛下の一言に、更に沈む僕っ子の彼



「嗚呼、前回は置いて行かれて本当に寂しくて毎日枕を涙で濡らしていましたが、今回は...ご一緒ですね」



「そうだねリリー」



毎晩涙でてって、それもう怖いわ

若干引き攣った頬をどうにかあげ、笑顔をキープしてみせる



(で、この僕ちゃんことナギは何故こんなにも沈んでいるのか)



もう一人はナギと以前名乗った少年

だがいつになく覇気がなく、勿論あのクソ生意気な態度でもない



私の視線がどこへ向いているのか気づいたリリーがそれはもう極上の笑みで、私の求めていた答えを教えてくれた



「魔女様、この餓鬼に何かされたら遠慮なく仰って下さいね。私が全力で排除いたします」



排除、この言葉がいやに鋭かった

普段の柔らかい雰囲気とは一変、ナギを睨む険相が凄い



(悪人面だ)


びくりとナギの肩が上下する

そして、そろそろと陛下の背後に隠れる様に逃げたのが分かった



もしかして...



「リリー、今更だけど本名は?」


「御教えになりませんでしたか?それは失礼ですね。申し遅れました、私は王宮女官副長のリリー・チェルファンと申します」




チェルファン...そう、リリーだったのね

ナギの最も苦手とする相手の名前もチェルファン、つまりはリリーが駄目なのだろう




「リュヴァーは全員、騎乗の経験があるだろう?ここで話すのもなんだ。それにどこで聞かれているかも怪しいからな、とりあえず行くぞ」



そう言って陛下が数匹のリュヴァーに合図をかけた

近くには、竜騎士であろう腕章を付けた人が手綱を引いてやってきた



私にもリュヴァーの手綱を渡してきた

無言で受け取ると、少しぎょっとした表情をした竜騎士と、それを見ている陛下



(なによ)


「なんだ、お前リュヴァーに乗ったことがあるのか」


私がのれないとでも思ったのだろうか

だから、目の前にいる竜騎士も驚いた表情をしていたのかもしれない



「ええ、嗜み程度ではありますが、それなりには...」



そう返すと少し不機嫌になったような表情の陛下が、ぶっきらぼうにそうかと呟いて前を向いてしまった。よくわからない人だ


リュヴァーを触ると、気持ちよさそうに摺り寄せてくる姿が愛らしい。しっかりと躾もされている、だからだろうこんなにも大人しいのは



リュヴァーに跨り、陛下の合図でリュヴァーが地を蹴り飛んだ。振り落とされない様、しっかりと手綱を握り風圧を受けながら上昇していった



どんどん遠くなる地面

隊列は、陛下を中心に前を私とシド団長が。そして陛下の後ろにはリリーとナギが付いた



―――――――――

―――



数十分、空の旅をしていてふと風が強くなってきたのが分かった

陛下もシド団長も少しおかしいと感じたのだろう




それは後ろ二人も同じようで、先程より陛下に近い位置で飛んでいる



徐々にその風は強風へと変わっていく。そう、南に近づくにつれ...どんどん



「煩わしいな、一気に行くぞ」


そう陛下が言って、リュヴァーの速度が急速に加速し始めた



風の抵抗を受けながら前に進むリュヴァー。この風は明らかに精霊が起こす自然的な現象ではなく、誰かの手によって人工的に生み出された風だ



私は目を瞑り、視覚を遮断する。感覚を研ぎ澄ませ、何が起こっているのかを考えた



耳元ではゴウゴウと風の唸る音が聞こえる

そして、風は次第に肌に張り付く様な妙に暖かいものになった



すると、ぐらりとリュヴァーが一瞬傾いた。直ぐに体勢を整えたものの、陛下やシド団長、ほか二人の視線が私に集中する



「頼むから落ちるなよ」


「気を付けます」



隣にきた陛下が声をかけてきた。本当に大丈夫なのかと言いたげな表情だったが、一礼して再びしっかりと手綱を握った



強風の中、陛下は声を張り上げる


「もうすぐ南へ到着する!シドとナギは俺このまま来い!チェルファン、お前はミアに着いて行け!」



ここが分岐点だと、そう言うかのように陛下が止まる。円になるようにして、上空で止まれば、生温かな風がまとわりつく様に吹きすさぶ



青色の瞳が私を捕え、そして頷いた。言葉は無い、既に私のすべきことは昨日言われているのだから



「ここで...という事ですか?」


「そうだ、ここからは別行動になる。くれぐれも注意しろ、特にミア。いい報告を待っているからな」


「最善を尽くします。何らかの事が分かり次第すぐにでも...」




そう言い残すと陛下は再びリュヴァーに合図をかけた。すると私とリリーが乗っているリュヴァーが下降を始めた


内臓が全て口から出るような、そんな浮遊感が襲う。気持ち悪いなと思いながら上を見上げればこちらを見守っている三人の姿がみえた



「どこへ向かうのです?」


リリーが訪ねる

そうか、彼女には行先と目的を告げていなかったのか


「謎の解明のため、コルデリア家に行くのよ」


「―――――微力ながらお手伝い致しますわ、魔女様」



落下という風圧を受けながら微笑むリリーの姿が、印象に残る




「僕の自由だーー!!」




急に上空から聞こえてきた声に驚く

それは紛れもなくナギという少年の声で、直ぐに陛下とシド団長にどつかれる音が聞こえてきた



(大げさだなぁ...)


そう思ったのもつかの間、リリーが小さく呟いた


「ふふ、あの餓鬼はそうやってすぐに調子に乗るようですね。しっかり、躾けなければ...」



どんな躾をしているのだろう。ナギも怯えるに違いない、むしろあんなに生意気な性格になってしまったのは逆にリリーの躾にたいする反発心から生まれたのではないだろうかと、私はそう思った




ザワリと一陣の、強い風が吹いた



≪ミアン!!≫



私を呼ぶ、フゥ君の声

焦りを含んだその声が私の耳に入ってきた



あの暖かい風はフゥ君のものだったのか...普段と違った暖かさに違和感が残るのはなぜだろう



風に乗って聞こえてきたフゥ君の声に黙って耳を傾ける




≪緊急事態だ!早く、早く来てくれ!あいつが危ねぇ!≫


フゥ君の...フレインの声が、私の頭を白く染める




まだ、風はまとわりついたままで下降をやめないリュヴァー。浮遊感に苛まれながらも、着実に地面が近づく。まるでもっと急げと言わんばかりに、その生温かな風が後押しをする



「今行くわ....直ぐに」



「魔女様?」


フゥ君の声は、私以外には聞こえない。だから、急に呟いた私を不審に思っているのだろう。そして、急に風が下降する私達の後を押す様に吹くものだから、余計に...



「黙ってついてきて、それができないのなら私が来るまでここに居なさい」


そう言って私は手綱を引き、風の吹くまま進路を変更する。陛下の魔法で、目的地に着くよう指示されていたのだろうリュヴァーは突然の進路変更に驚いた




「大丈夫、風に乗りなさい」


優しくあやす様にリュヴァーに言う。薄紫色の目が私を見て、ゆっくり頷いた



≪貴女の意志に従いましょう、時の魔女。この風は焦燥に駆られているようですし、しっかり掴まっていて下さいね。急ぎましょう≫



その言葉と共に、速度が上がる

後ろを振り向けば、リリーはついてきていた



「お手伝いします、と申し上げました」


「頼もしいね」



上空にはもう陛下はいなかった。心の中で静かに謝る。勝手に行先変えてすいません、寄り道してからすぐにでも目的を遂行します...と




と、変な流れになってないといいのだけれど...無理矢理感が出ている気がしてならない。久々に書くと、書き方を忘れているからしょうがない←



烏滸がましくも、皆様の感想コメントお待ちしていますね←

いいえ、それではここまで読んでくださってありがとうございました

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